行程・コース
天候
小雪
登山口へのアクセス
バス
この登山記録の行程
ルスツタワーホテル(7:00)北登の川(480m/7:55)貫気別山(9:20)スチームボート(9:40)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
窓から外を覗くと国道230号の街灯の光が弱々しく見えている。昨夜はオレンジ色の灯が遠くではっきりと見えていたのだが、夜の間に雪雲に包まれてしまったようだ。ゲレンデを整備する雪上車の回転灯もぼんやりと侘しく見え、タワーホテルの目の前を走っているイーストマウンテンへの連絡ゴンドラの吊索も、途中までしか追うことが出来ない。
パンを齧りながら廊下に出て貫気別山を正面から見ると、中腹から上はガスって姿が見えない。「行こうか、止して朝寝を楽しもうか」と迷いながらテレビの天気予報を見ると、札幌周辺の山の輪郭が遠くまではっきりと見えている。「昨日の予報は信じて良さそうだ」と考えて行動を決意する。
ルスツスキーパックの社内抽選に当って7人で出掛けて来たのだが、自分のもう一つの目的は貫気別山の登頂である。スキー靴の外に山靴とシールを持参して日曜日早朝に登る予定でいたのだが、昨日は吹雪だったので、今日登らないと計画を1年延ばさざるを得なくなる。
北海道の冬山はトマム山に続いて2度目だが、服装が能く判らない。「スパッツが無いのでオーバーズボンは着ざるを得ないが、風が無いとズボン下を着ると暑いだろう。雪がちらついているのでヤッケを着ることになるが、北アルプスよりは1枚少なくして肌着と薄スポーツシャツで良さそうだ。予備に上衣を1枚ザックに詰めて行こう」等々と考えを巡らす。
モノレール乗場のスノーモービル用の扉を開けて外に出ると、氷点下の外気が体を包んで顔の皮膚がピンと緊張し、ジルブレッタのビンディングを山靴用に調整しているとあっという間に体が冷える。地図と磁石で方向を確認し、「ホテルの人に見咎められて面倒な事にならないように」と山スキーを乗り出し、雪上車の走路を拾いながら南東へ進む。
夏はゴルフコースとなる雪原を歩くと、程好く締まって意外と潜らない。しかし、小沢へ降りて対岸のふっくらした斜面を登ると、ふんわりと積もった雪は締まっておらず、さすがに能く潜る。雑木林と落葉松林を抜けて牧場の大雪原に出る。雪は季節風に叩かれて硬軟の互層が出来ており、快適に歩くことが出来る。「ラッセルを避けるためにゲレンデを歩いて遠回りしよう」との考えを捨て、雪原の最上部に建つ送電鉄塔目指して直進する。
朝日が射して雪煙が逆光に輝き、風紋が美しい陰影に浮かび上がる中、フードを確り被って前進する。眩い小丘の上に出て一息入れ、左手へ林を横断して行くとウサギの巣(一夜の宿?)を発見する。
北登の川への滑降を楽しんでゲレンデ(標高480m)を横断し、右岸の斜面に取付いてイゾラゴンドラの下を登り、陽当りで一本立てる。ホテルは夕・朝食付きだが、リフトが動き出す前に山頂に着くためにはホテルの朝食を食べる暇は無く、パン1個を食べて慌しく歩き出したのでお腹が空いてくる。
パンとチョコ(例年、佐藤さんが持ってくる)の2回目の朝食を摂る。冬山必携品のテルモスを持ってくる余裕が無かったが、部屋に一晩放置して温めたPBのお茶は、狙い通りまだ暖かみが残っている。標高555m付近でゲレンデに出て山頂を目指す。登るにつれてガスが濃くなり、風に煽られて樹枝から粉雪が舞い落ちて降りかかる。
スノーモービルが下って来て、「何処から来ました? オープン前のゲレンデは雪上車などが作業しているので危険です」と注意され、「端を登って行きます」としおらしく答える。
イゾラグランコースはルスツ最長の3,200mで、標高差が530mあって初中級者が楽しめる所だ。勝手知ったるゲレンデの端を黙々と直登して行く。右からイゾラDコースを合わせると傾斜が増し、ジグザグに高度を上げてイゾラC、Bの分岐を過ぎると間も無くイゾラ第二クワッド山頂駅に着く。冷たい風にフードを真深く被り、建物の陰で立休を取る。
右手の樹林寄りを歩き、最後は右斜面の岳樺の間をラッセル気味に登って山頂に立つ。雪上車で凸凹を均してきっちりと締め固め、滑らかな斜面に仕上げたゲレンデを山スキーで歩くのは如何と言うこともないのだが、5.5kmの距離には思ったより時間が掛かっている。
スティームAコースのバージンゲレンデをゆっくりと滑り降りる。何回か立ち止まっては振り返り、綺麗なシュプールを刻んだゲレンデを見上げて「ヨシ!ヨシ!」と満足していると、本日の2・3人目が鮮やかな滑りで追越して行く。
「10時にスティームボートで待っているから」と言って出掛けて来たので、店が開くのを待って入り、窓際に席を占めて缶コーヒーを飲みながら寛ぐ。平田さんがやって来て、「女性2人はウエストマウンテンで滑っているそうです。佐藤さんは吉永母娘と合流してイゾラクワッドで滑っている」と言う。山靴の遊びを小さくすべく靴下を二重に履いて身支度をし、リフトで上がって3人と合流する。




