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日本千山 637/1357

札内岳( 北海道)

パーティ: 1人 (1357 さん )

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行程・コース

天候

曇り

登山口へのアクセス

マイカー

この登山記録の行程

戸蔦別H/泊(21:00/5:00)林道終点(615m/5:35)五ノ沢(623m/5:45)十ノ沢(1,130m/7:55)札内岳(10:05~35)最終二俣(1,550m/11:15)林道(14:15)

コース

総距離
約13.0km
累積標高差
上り約1,287m
下り約1,287m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

無人の戸蔦別ヒュッテに夜更けて到着し、4時に起床すると朝食準備中に小雨が落ちてくる。行動12時間の札内岳日帰り沢登りを決行すべく前夜にヒュッテまで入ったものの、出発前の雨に一瞬決意が揺らぐが、「今日登らなければ、明日は雨で登れない」と言い聞かせ、「登山口まで行って様子を見よう」とヒュッテを後にして車を走らせる。
2.5万分の一地形図を忘れ、『北海道の山と谷』の記録のコピーを頼りに遡行する破目になったが、札幌の中山さんからメールを貰って様子が判っているので、「何とかこなせるだろう」と楽観する。ただ、記録では五ノ沢から八ノ沢まで1時間、そこから山頂まで6時間となっており、「かなり飛ばさないと、帰りが暗くなる」と時間が気懸かりだ。
五ノ沢出合を過ぎると左へ蛇行して川幅が狭まり、玉石に代って大きな岩が積み重なった蛇行を繰返す変化と勾配の無い沢歩きが続く。かなりピッチを上げたにも拘らず八ノ沢(795m、6:45)までちょうど1時間を要し、「この調子じゃ、本当に6時間掛かるかも知れない」と焦る。しかし、最初のピッチで急ぎ過ぎて筋肉の疲労を覚えたので、「先は長い」と並足に戻して遡行する。
沢の幅は数mで、流れに木が迫って五月蝿い箇所も多い。最初の1時間はほとんど目に留まらなかったオショロコマの影が濃く、人の姿を見ても慌てて逃げる様子は無く、その気になれば幾らでも釣れそうだ。5日間で札内岳とピパイロ、喜登牛山/東三国山、ウコタキヌプリ、雄阿寒岳を登る強行日程に、「釣りをする余裕は無い」と最後の最後にザックに竿を入れるのを諦めたのが惜しまれる。
九ノ沢(845m、7:00)を過ぎて十ノ沢に達し、「山頂までの標高差は残り800mだ。1時間で200mは登れるだろうから、休憩時間を入れても1時までには山頂に着くだろう。上手くすれば12時に着けるかも知れない」と計算し、「どうやら、明るいうちに戻れそうだ」と考えると気持ちが少し楽になる。
滑滝状の岩床となり、F1:5mが現れる。登る気になれば何とかなりそうだが、「今日は、沢登りを全うするのではなく、札内岳に登って明るいうちに無事に下山するのが目的だ」と、直登を止めて左岸の踏跡を辿って巻く。次のF2:5mも右から高巻き、川原へ10m下降する。F3:30mは右岸の踏跡に入って林の中を登り、落口へトラバースする。F4:5m、F5:5mは何れも左から巻いて通過する。
水量比1:1の二俣に着く(1,450m、8:55)。谷幅や渓相からは左が本流みたいな気がするが、記録に従って右俣へ入る。表土が抉れて洗い出された石で埋まった溝には踏跡らしいものは無く、両側から迫る笹薮を掻き分けて進むと程なく沢形が消える。
山頂へ続いていると思われる斜面が見え、「踏跡が在るとすれば、あそこだ」と色付き始めた源頭の草の斜面を観察し、左の薮に入って下り気味に進むと笹の中に2~3mのナナカマドが混じって進路を阻みスムースなトラバースを邪魔するものの、10分ほど強引に進むと明瞭な踏跡が在る源頭の涸れ沢に行き当たる(1,550m、9:15)。山頂までの標高差は残り350mで、「ずいぶん早くなった。悠々と明るいうちに帰れる」と喜びながら山靴に履き替えて沢靴と傘をデポする。
未知の沢歩きのプレッシャーから開放されて身も心も軽くなって登ると、潅木帯から抜け出て草の斜面が広がる。十勝幌尻岳がゆったりと尾根を張り出し、優雅に聳えている。ピリカペタヌ沢源頭を尾根近くまで直登して左へトラバースし、這松を掴んで腕力で迫り上がると札内岳北尾根の上に出る。「最後は這松漕ぎか」とアルバイトを覚悟しながら這松を押し分けて進むと、ほんの10mで待望の山頂に着く。
小広場の中央に三等三角点標石が立ち、目線を上げると日高の稜線が視界を占領する。上空に厚い雲が広がって陽が射してないのが残念だが、大きな幌尻岳と三角形の戸蔦別岳が直ぐにそれと判明し、連れて端正な三角形の姿のカムエクに気付く。その奥には1,839m峰等々と、程々に身近になった日高山脈の山を次々と辿るのに夢中になる。
予定よりずいぶん早く山頂に立って至福の時を過ごすが、長い沢の下降が待っており、去り難い思いで山頂に別れを告げる。カールの斜面では草紅葉が始まり、ナナカマドも僅かに色付き始めている。下るに連れて勝幌が高く、堂々としてくる。デポを回収して下ると、問題の二俣には水が涸れて無く、10m下流で流水が現れる。滝状の岩床をしばらく行くと件の二俣(1,450m)で、後人のために左俣の木に赤布を結び付ける。遡行時の手の感触ではかなり滑り易いと思った岩床だが、スリップする事も無く快調に下降を続けて十ノ沢を過ぎ、ゴロゴロ石の平凡な沢を辛抱強く歩いて下り、登山口の川原に戻る。
汗を拭き、沢靴を洗って乾しながらゆっくり休み、「8時間で戻ることが出来た。若い頃沢登りでは会員の誰にも負けなかったが、鈍ったとは言え、技ありだな」と1人で悦に入り、「この調子なら、エサオマントッタベツ岳の日帰り登山もほぼ間違いなく実行出来る」と次のピークへと思いを馳せる。

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札内岳

札内岳

1,895m

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