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日本千山 705と706/1357

ピリカヌプリとソエマツ岳( 北海道)

パーティ: 1人 (1357 さん )

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行程・コース

天候

晴れ/曇り/晴れ

登山口へのアクセス

マイカー

この登山記録の行程

林道(9:05)熊の沢(365m/9:10)二俣(507m/11:30)奥二俣/泊(13:35/7:05)三俣(1,220m/8:25)ピリカヌプリ(9:2045)奥二俣/泊(11:45/5:00)三俣(1,200m/6:00)稜線(1,485m/7:10)ソエマツ岳(7:40)奥二俣(9:25/10:20)二俣(12:15)林道(14:15)

コース

総距離
約20.7km
累積標高差
上り約2,102m
下り約2,104m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

右岸の聖徳林道を通行止地点から8㎞奥まで走って大いに時間を節約する。「札幌の中山さんが「一泊二日でピリカヌプリに登る」と言っていたのは、ここまで車で入れることを知っていたからだ」と気付く。
林道終点の広場手前の駐車帯で車を降り、少し引返して赤布からクマの沢へ下降する。下流へ200mほど行くと二俣で、右俣に入って10分ほど歩くと流れが左へカーブする。「ほぼ真西へ向かう筈なのにおかしい。クマの沢を歩いているようだ。中山さん等も、ここで間違えてピリカを諦めたんだろう」と慎重に検討する。折りしも、「クマの沢からピリカヌプリに登る」と言っていた先刻の2人が100mほど上流の川原に姿を現す。
引返すと、二俣から下流へ50mも行かない所に赤布がぶら下がっており、目指す二俣に着いて20分のロスで遡行を開始する。流れは澄み、魚が居そうな淵が多いが姿は見えない。時々スッ、スッと姿を隠すのは、長崎の田舎で言うドンボだ。淡々とした沢を2時間歩くと507m二俣に着く。左俣を覗くと、両岸が狭まった暗い函の入口が見える。
 右俣へ入ると両岸が切り立ってくる。右岸は垂直で、数十mの滝が落下して圧迫感がある。F1を右の薮から越え、F2は水中から左岸の岩(Ⅲ級、2mほど)に取付いて登る。左岸も切り立って廊下状になり、右岸へ渡って草付を登り、枝沢に懸かる2段50mの滝の中間バンドをトラバースして本流へ戻る。
しばらく川原を行き、左岸を2回高巻く。距離は各々100m程で、最初は手懸かりの少ない草付の岩場が取付点だ。何れも微妙なトラバースがあり、岩を噛む白い流れを見下ろして、「川底の大岩の上に墜落するとお陀仏だ」と緊張しながら慎重に歩く。函は奥二俣までの半分弱で終り、その上流は岩床となって碧水が美しい七ツ釜の楽しい遡行が続く。
 前方に数人の姿が見え、先方もこちらに気付き、2人が空身で先行してテント場の確保に動く。二俣に先着すると、大型テント2~3張は可能な右岸の高台の格好のテント場にザックが置いてある。「他に人が居て心強いが、近過ぎて五月蝿いのは御免だ」と、100mほど上流の左俣と右俣の合流点の堆積の上に快適なテント場を見付けて落ち着く。
 夜、弱い夕立が襲い、ゴアテックスの内側が湿気を帯びる。好天の予報を信じてシュラフカバーを持参しなかったので、テントに接するシュラフの足と頭の部分が湿っぽくなり、「天気予報を当てにし過ぎてはならない」と反省する。

 最終日は山頂を踏んだ後に下山するため行動時間が長くなるので、簡単な方を後回しにすることにして、2日目はピリカヌプリを目指す。
 出合の釜は、水の中から左岸の岩に取付いてへつらなければ通過出来ず早速水の洗礼を受けるが、思ったより冷たくない。直ぐに左へ折れ、滝が幾つか続く。困難なものは無く、快適に遡行して行く。北海道へ出発する前は晴れの日が続く予報だったのだが、今日も青空は1割しか覗かれない。1時間歩いて一本立て、しばらく行くと両岸が低木に変わって視界が開ける。
 岩の上に白く水を落とす滝が正面に眺められ、近付くと三俣になっている。滝が懸かっているのは中俣で、左俣は貧弱で右俣は開けたガレの涸れ沢だ。通常は水量の多い沢が最も山頂近くまで山肌を刻んで薮漕ぎが少ないのだが、中俣への踏跡は見当たらないし一枚岩の滝の登攀は困難に思えるので、右俣へ入る。
 ガレ沢はグズグズで足元が悪く、踏跡が在るかどうか見極め難い。100mほど高度を上げるとガレの下に水が流れ、やがて岩床が現れて登り易くなる。小滝の横に巻道を認め、「やはり、右俣がルートだ」と一安心して足が捗る。
 源頭には赤布が現れ、潅木の間に通じるはっきりした踏跡を辿って登り、這松を押し分けて尾根の上へ出る。尾根の南側に入って草付の踏跡を100mほど行くと山頂が霞んで見え、コケモモと草の間に三角点が頭を出している素朴な頂に登り着く。踏跡が南へ伸び、肩には一張分のテント場が在る。「クマの沢に入った2人が山頂に現れるのは午後だろうなあ」等と思いを巡らせながらぼんやりしていると徐々にガスが薄くなって三俣が見下ろせるようになるが、ソエマツ岳までは見通せない。全く音の無いガスに包まれた山頂で孤独の時を過ごす。
 別れを惜しんで山頂を後にし、のんびりと下降してテントに戻る。まだ午前で、ソエマツ岳に登ることも出来そうだが、あくせくするのが勿体無く思え、肌着を洗濯したりシュラフを乾したり山行記録をメモったりして静かな二俣の午後を過ごす。気が付くとソエマツへ登った6人組が川原で焚火を楽しんでいる。17時頃、人声がして目をやると、クマの沢からピリカヌプリへ登ったペアーが出合の釜に飛込んで泳いでいる。

 3日目、大岩が埋める急な右俣を行くと直ぐに二俣となり、出合の滝を登って左俣へ入る。岩床と滝が標高1,200mの三俣まで続いていてなかなか楽しい。
 三俣は中俣が水量最大で左俣がそれに次ぐが、何れもV字状ルンゼで手強そうだ。昨日登った6人組が踏みしだいた跡らしいものを右俣と中俣の間に見付けるものの、途中で判らなくなる。右俣は山頂へ突上げていると思われるが、「出合からも見える山頂直下の岩壁に突き当たると厄介だ」と気懸かりに思いつつ、最も急だがホールドが多い右俣を50mほど登る。沢形は思ったより早く細くなり、木に登って偵察すると、左俣は浅い沢状地形から岩が積み重なった山肌へと繋がり、その先は草原と這松が鞍部へ突上げており、薮漕ぎが少なくて良さそうに見える。
 急な尾根の背の薮を漕いで中俣へ降り、笹薮を横断して左俣上部の草原状へ出ると獣道らしいものが在り、所々に折れ曲がった夏草を見出して大いに安堵する。大岩の傍らの高山植物を眺めながら高度を稼ぎ、文字通り地を這う松を踏み渡って鞍部から少し頂上寄りの尾根の上へ出て「ヤレヤレ」と大休止する。
 尾根の背の踏跡を辿って15分ほどでソエマツ岳の頂に立つ。這松に囲まれた裸地の山頂は冴えない印象だが、前方には神威岳がスックと聳え、気品のある姿に惚れ惚れと見入る。振り返るとゆったりと両裾を広げた優雅なピリカヌプリも見えている。昨日とは打って変わった好天で、北にはペテガリ岳と1839峰、遠くエサオマントッタベツ岳等が見えて心がときめく。
 山頂へ直接突き上げている踏跡が在るのだろうと探すが、南斜面はびっしりと這松に覆われて下降路は見当たらない。薮を漕いで体力を消耗したくないので、距離は長くなるが往路を忠実に引き返す。
三俣は左俣上部に出るが、落口の上をトラバースして右俣から下降する。
 テントを畳んでヌビナイ川を下降する。一昨日通った巻道の取付点が判り難く記憶力が落ちた身を嘆きながらも無事に函を通過して二俣へ達し、平凡な川原を2時間歩いて車へ戻る。

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装備・携行品

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登った山

ピリカヌプリ

ピリカヌプリ

1,630m

ソエマツ岳

ソエマツ岳

1,625m

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