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日本千山 1277/1357

少し遅い毛猛山( 上信越)

パーティ: 1人 (1357 さん )

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行程・コース

天候

雪後曇

登山口へのアクセス

マイカー

この登山記録の行程

大白川ゲート(22:00/5:05)尾根取付(6:25)P762(7:40)足沢山(9:35)太郎助山(12:05)百字が岳(13:00)中岳(13:25)毛猛山(14:05~25)太郎助山(15:50)足沢山(17:20)分岐(930m/17:45)国道(18:55)大白川(19:45)

コース

総距離
約24.5km
累積標高差
上り約1,598m
下り約1,598m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 好天が1日しか期待出来そうにないので、国道事務所の人が「今年は雪が多くて開通が遅れている」と言うのに力を得て、冬季閉鎖中の国道242号線大白川ゲートから日帰り登山を決意し、ゲート前の広場に車を停めて眠る。

 国道を末沢川右岸へ渡り返した「こったが沢」出合上流でズックをプラブーツに履き替えてデポし(6:05)、只見線の線路へ降りて鉄橋を右岸から左岸→右岸→左岸と渡って小沢の直ぐ先で尾根に取付く。
 斑模様に残る雪面を拾って高度を上げ、標高450m付近の急斜面直下で尾根の背に出ると籔はほとんど無く、踏跡が現れる。P762直下の雪の急斜面を登り、アイゼンを外して籔尾根を進む。この頃から雪が降り出して登行を躊躇うが、天気予報を信じて登り続け、標高950m付近で左手に残る雪面に降りてアイゼンを着ける。
 視界百数十mの中を登って太い尾根の背へ上がり、古いトレースと出合って大休止する。水2ℓとコーヒー1ℓ(テルモス)、スポ飲0.5ℓを持ち上げたが、「この天気だとそんなに水分は要らないだろう」とブナの木の根元に水をデポする。
 雪坊主の足沢山頂に立つ頃には雪が止んで濃いガスに包まれ、1,055m鞍部へ下るとブッシュが現れてピッチが落ちる。P1,084は左の雪面を巻き、雪が連続するのを期待して前進するとガスが薄くなって太郎助山への尾根が姿を現す。尾根の右側は黒く反対側には雪が白く残っているが、「クラックでズタズタの雪面通しには登れない」と悟る。
 標高1,250m付近の急斜面を登って藪から雪稜へ抜け出し、一本立てる。「遅くても毛猛山に着くだろう」と考えていた11時を過ぎており、「相当遅れているけど、頑張れるだけ頑張って何とか山頂を踏みたい」と、予備のシャツとヘッドランプ等をデポして身軽になる。
 今にも崩落しそうな残雪の上を歩いて太郎助山頂に達し、毛猛山までの尾根を見通す。「2山を越え、80mの下降を3回繰り返して最後の鞍部から150m登ると毛猛山頂を踏むことが出来る」と地形図を見ながら考えるが、「このペースだと、下山の時間が足りなくなる」と心配になる。
 「ここで止めて下山したら、もう、次回は無さそうだ」と70歳の体力低下を嘆き、時間切れのフォーストビバークを思って「山頂へ向かう毎に、死へ近付くのかも知れない」と自嘲的に考えたりして散々迷った挙句、前進を決意する。
 痙攣する右足を宥めて百字が岳に立ち、「後、1時間で毛猛山まで行けるだろう」と計算し、北面の崖を避けて雪の南面から中岳に立ち、無数の割れ目が入った毛猛山の急斜面を観察して鞍部へ下る。
 尾根の右手の灌木の斜面に取付いてツァッケを利かせて登ると今度は左足が痙攣を起こし、じっと立ち止まって治まるのを待つ。山頂直下で左上して笹と灌木に覆われた稜線へ出て、「左へ転んで滑落したら一巻の終りだ」と僅かに残った雪庇の残骸に乗るのを避けて籔を漕ぎ、アイゼンの出歯が引っ掛かってヨロメクのを苛立たしく思いながら遮二無二進んで毛猛山の山頂の小広場に辿り着く。
 「予定より3時間以上遅れたけど、執念で毛猛山に登った」と放心して立ち尽くす。「体を休めて、早く下山に移らなければ」と気付いてスポーツ飲料を摂って大福餅を食べ、コーヒーを飲んで食べ易い菓子パンを選んで口に入れる。
 「写真も撮らなければ」とカメラを取り出し、浅草山と、2年前にブッシュに阻まれて諦めた前毛猛山の尾根、3日間の好天に恵まれたら丸山スキー場から毛猛山まで縦走する予定だった未丈ヶ岳、R242からの長い尾根筋の登路等々を写真に収める。
 「4山・4回の登りを頑張って下界へ生還だ」と気合を入れ直し(と言う程には元気が残っていないが)、傾いた三角点標石と山頂に別れを告げる。急斜面をアイゼンで快調に下って「まだ、余力はある」と自信を持ち、中岳、百字が岳、太郎助山を期待より少し多めの時間を費やして越える。陽射しも風も無かったので登りのトレースが明瞭に残っていて足が捗るが、雪が腐って隠れた割れ目に頻繁に嵌まり込んで体力を消耗する。
 大切なヘッドランプのデポに出合わない。鷲が多く遊弋していたのが気になったので見付からないように置いた心算だが、「攫われたか、見落としたかだろう」と確信が持てない。登り返して探す気力は無く、「満月はつい先日だったから、月と星明かりでも行動可能だろう」と時間を惜しんで先を急ぐ。
 「今日は長丁場の下りだし、暗くなって体力が残っていないと問題だから」と1時間ごとに小憩して水分やエネルギーを補給する。P1,084前後の鞍部で横様に寝たブッシュに苦しみ、足沢山の下方でデポした水を回収して少し元気付く。
 雪面を駆け下り、標高950mで尾根の背へ上がってアイゼンを脱ぐ。明瞭な踏跡を辿って下ると分岐点(930m)から左の尾根に入り込み、「P762の登り返し40mが無い分、楽だろう」と歓迎する。
「暗くなる前に国道へ降りたい」とイワウチワを愛でる間を惜しんで急ぐものの、尾根の傾斜が緩くてなかなか高度が下がらない。三角点の先で少し高度を稼ぐと小さいアップダウンの尾根が現れ、右手の残雪に逃げて歩く。
 標高500mまで下る頃には暗くなってくる。足元から雪の急斜面が落ちており、「黒く見下ろされる末沢川と国道まで続いている」と考えて最大傾斜線を下り、最後は右手の小尾根を越えて只見線が左岸へ渡った鉄橋際へ降り立つ。
 鉄橋を下流へ渡って右の雪面に上がってズックを回収し、国道に降りて舗面にどっかと腰を下ろしてプラブーツを脱ぎ、暫し脱力する。
 暗い国道を黙々と歩いて車に戻る。1日の行動15時間は、50年間の山登りの最長記録となる。

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装備・携行品

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登った山

毛猛山

毛猛山

1,517m

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