行程・コース
天候
曇り
登山口へのアクセス
マイカー
この登山記録の行程
ゲート(8:10)登山口(1,725m/10:30)於呂倶羅山(11:50~12:15)山王峠(13:15)ゲート(13:50)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
川俣林道の滑降を楽しみにしてスキーを持参したのだが、道にも笹原にも雪は殆ど残っておらず、光徳牧場先のゲートも閉まっている(4月下旬開放予定)。歩くだけでは詰まらないが、このまま引き返すのは如何にも惜しく、「山頂は踏んで帰ろう」と舗装道路を歩き始める。
道はカーブの先から直ぐに登りとなり、10分程行くと路面が雪に覆われる。「山王峠は数百m上だから雪に期待しても良さそうだ」と考えて引き返し、スキー板を担いで戻り、シールを付けて歩き出す。
日当りの好いカーブの部分は雪が途切れるが、山王峠まで大体において雪の上を歩く。薄日が射し、振り返ると男体山が独特の山頂を見せている。「せっかく数日前に雪が降って林道を真っ白に覆ったのに」と無駄な除雪に腹を立てるが、その張本人の除雪車が峠に停まっている。
於呂倶羅山は東西に長い頂稜を持つ標高2,123mの山で、東の肩からは東南方向に尾根が派生して1,725mの鞍部まで下り、そこから再び高度を上げて山王帽子山へ続いている。川俣林道は山王峠から鞍部へ向かって緩く下っており、鞍部までの道は山蔭になって雪も幾らか多く寒々としている。
鞍部の先の鉄塔までは確りした道が在り、その先へは薄い踏跡が続いている。小岩峰から下りて樹林の中に入るとポツポツと残雪が現われる。色褪せた赤布を見付けて、「どんなピークにも人が登っているんだなあ」と、日本列島横断山行の頃の経験を懐かしく思い出すと同時に、少々残念な気もする。
途切れた雪の下の笹薮はそれ程密生しておらず、山慣れた人なら微かな踏跡を頼りに無雪期でも登頂出来るだろう。高度を上げると雪も増え、北斜面寄りに残雪を拾って順調に高度を稼ぐ。1週間程前のものと思われる腐った足跡も現われ、一部クリアランスの低い獣道の様な所を通るが、思ったよりずっとスムースに東の肩に登り着く。
頂稜の平坦部に出ると、疎らに生えた針葉樹や落葉樹の緑黒色の木立と雪原が2色の世界を造り上げており、外界の音も途絶えて別世界に居る様な感覚に捉われる。真西に在る筈の高みに方向を定め、軽くなった足取りで雪原を進む。南面には冬期に発達したと思われる雪庇の名残の先に枯草模様の涸沼が見下ろされ、樹林の切れ目からは男体山が見える。右に転ずると白根山が真っ白い肌を見せており、前白根山と金精山の上に何時になくおっとりとした感じで聳えている。山名板が取り付けてある頂上の岳樺の根に腰を下ろして大休止する。
雪が融けて地肌の出た斜面は凍結して滑り易く、後向きになって笹を掴んで下る様な所もあって油断は出来ないが、あっと言う間に林道に降り立ち、デポしたスキーを履いて峠へ登り返す。
舗装と薄雪層の間には融雪水が音も無く流れており、裂目から吹き出た水が雪面の上を絶え間無く流下して春近きを思わせる。林道の雪は何か所も途切れて徐行せざるを得ないが、重力だけで滑り降りるのは何とも楽しい。
