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【速報】 八幡平バックカントリー雪崩事故 気象予報士解説

八幡平 茶臼山( 東北)

パーティ: 1人 (隊長O さん )

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警察によりますと、現場は八幡平アスピーテラインの御在所ゲートから南西におよそ1.5キロの山中です。
2023年2月27日午後2時前に通報、「なだれが発生し、けがをした男性が巻き込まれて木に衝突した」(NHK報道より)

この情報や他の報道画像から位置を推定しました。(写真地形図赤矢印)

2月28日撮影の八幡平エリア雪崩情報よりの雪崩写真で現場特定(写真地形図緑楕円)
この写真より破断面がある面発生表層雪崩で弱層が原因であることは明らかです。(3/1追加)

表層雪崩では面発生と点発生がある事故が多いのは面発生
事故が多い雪崩の種類に着目すべきである。
ソリとなる雪崩れる部分の雪が結合力が無い場合は点発生にしかならない。
ソリとなる雪崩れる部分の雪が結合力があり板状(スラブ)となっている場合は面発生となる。

※この雪崩は気温上昇により雪の結合力がなくなり急傾斜地で落ちてくる点発生湿雪表層雪崩ではありません。

◎雪崩の原因について積雪断面情報がないので推定です。

過去の気象データ(アメダス岩手松尾)、天気図より分析
①2月18日に気温上昇による硬い層ができた。

バックカントリー雪崩は誘発が9割、誘発するのは衝撃を伝搬する硬い層が必要です。
原因の一つは気温上昇(暖気流入)により雪面が融解し、その後の気温低下で硬い層ができたからです。
硬い層ができるとスキーヤーの滑走衝撃〈二階から飛び降りたぐらい)を広く伝搬し、その上のもろい層(弱層)を剥離させ雪崩れます。

登山者の雪崩誘発はほとんどありません。
サラサラパウダー新雪だけでは衝撃は伝搬しない、布団の上に物を落としても衝撃は吸収してしまうからです。

②2月19日に暖気を伴った低気圧により水分の多い雪が降った。

暖気を伴った低気圧前面の南よりの風により暖気の流入し現地では雨がふったかも?
風向きが北に変わり水分の多い雪が降った。

③2月20日に冬型気圧配置による強風で雪の表面が硬くなる(ウインドクラスト)

低気圧通過後冬型気圧配置により強風が吹き荒れ、吹き飛ばされた雪で表面が硬くなり、湿った雪を閉じ込めた。(サンドイッチ構造が完成)

寒冷地の方は歩道の新雪をロータリー除雪車が吹きと飛ばした新雪はカチカチになることを、ご存じでしょう。

④2月21日に放射冷却(気温低下)により湿った雪が霜系弱層となった。

閉じ込められた湿った雪の層が供給する過冷却水(水蒸気)の原資となり、雪表面の気温低下によりソフトライム(柔らかい霜)に変化していった。

寒冷地の方は寒い朝に霧氷(ソフトライムsoft rime=柔らかい霜)が川のそばで見られるが、離れると無くなるのをご存じでしょう。
過冷却された水(水蒸気)が木の枝にくっ付く氷の粒、木に触れるとパラパラと落ちて、もろい性質のものです。
暖気による湿った雪を掘ると断面は青い、しばらくは凍りつかず、ラッセルは辛いものになります。

※本来、霧氷の細分は樹氷(ソフトライム)・祖氷(ハードライム)・雨氷であるが、樹氷はスノーモンスターと誤解されるので霧氷(ソフトライム)という。

※情報が入りしだい更新いたします。
3月1日追加情報:八幡平エリア雪崩情報よりの雪崩写真で現場特定(写真地形図緑楕円)
八幡平エリア雪崩情報さん参考にさせていただきました。有難うございます。
http://kitatouhokunadare.blog136.fc2.com/

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フォトギャラリー:5枚

赤矢印は当初の雪崩推定位置。
緑楕円は八幡平エリア雪崩情報写真より雪崩位置を特定しました。(3/1追加)

八幡平エリア雪崩情報写真より(3/1追加)
https://blog-imgs-162.fc2.com/k/i/t/kitatouhokunadare/664.jpg

アメダス岩手松尾の過去の気象データ

①2月18日に気温上昇、最高気温7.1度           
②2月19日に日降水量7mm
③2月20日に最大風速9m/s
④2月21日に日照時間5.7時間

2月19日暖気を伴った低気圧通過

天気図(2月17日~2月27日)

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