行程・コース
天候
曇り時々晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
JR作並駅の東側、国道48号線(作並街道)沿いのチェーン脱着場が鎌倉山登山の駐車場となる。勿論、登山目的のスペースではないので、邪魔にならないよう綺麗に駐車するのがマナー。トイレ無し。
この登山記録の行程
チェーン脱着場(07:07)・・・鎌倉山登山口(07:38)・・・山頂(07:58)・・・展望岩(08:01)(休憩~08:13)・・・山頂・・・鎌倉山登山口・・・チェーン脱着場(08:43)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
ずーっと前から登りたかった山があった。
その山に初めて出会ったのは旅行で訪れた「ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所」の工場見学の時。ガイドの女性が指さす先に、小さいながら存在感のある山があった。
「日本ウイスキーの父」と称される竹鶴政孝が、宮城峡蒸溜所を造る際に、自然と調和が取れていないと意味がないと、構内からその山が一番美しく見えるようレンガ造りの工場施設を配置したとか。側面から見た姿がゴリラに似ていることから、「鎌倉山」という正式名称よりも「ゴリラ山」という俗称で呼ばれる方が多いという。地元の人からもとても愛されているシンボル的な山だった。
そう説明を受けて改めて見ると、確かにゴリラによく似ている。山全体がゴリラのモコモコとした毛並みに似ていて、山頂直下に露出したむき出しの岩稜がまさに武骨なゴリラの顔そのもの。単純に形が似ているというレベルではなく、知らない人が見てもきっと気付くに違いない。面白い山だと思った瞬間、「これはもう登るしかない」と思った。
しかし、ゴリラ山は標奥羽山脈の東に位置する標高520.0mの小さな里山にすぎない。自
分の拠点からわざわざ車を270km走らせて登りに来るほどの山ではない。何かの機会にと思いつつ、東北遠征の際に4,5回前を通過したが、結局登るには至らなかった。
今回、金曜日の夜、仕事を終えてプライベートな用事のために仙台にやってきた。本来、山に登る時間は無かったが、寝る前にふと「ゴリラ山であれば早朝サクッと登れるのでは?」と邪な考えが閃いた。ゴリラ山は仙台市内からも比較的に近く、しかも用事がある目的先からもさほど離れていない。これは「神様が行ってこい!」と言っているようなものだと、かくして邪な悪だくみが実行された。
ちなみに、鳥海山以来、ちょっとした山であれば直ぐに登れるよう、最低限の道具は常に車に搭載している。通称「思い立ったら吉日登山道具」。
国道48号線で作並温泉に向かって走る。
三角油揚げで有名な定義山の分岐ポイントを過ぎて少し進むと、一目で「これだ!」と分かるゴリラ顔の山が見えてくる。国道を行き交う車を見下ろして「ウホッホツ」と言っているようで想像するだけで面白い。
ちなみに話しがそれてしまうが、定義山の三角油揚げは個人的にも超お勧めの場所。ぶ厚い油揚げと言うと、地元「福井」も超有名だが、正直、こちらの方が断然美味い。しかも安い。ぜひ、お参りを兼ねて観光することをお勧めしたい。
話を元に戻して。
左に「宮城峡蒸溜所」の看板を見ながらゴリラ顔の前を通り過ぎると、200m程先のところで、左側にチェーン脱着場が見えてくる。トラックの休憩スペースにも使われているので、邪魔にならないよう車を停めさせて頂いて、早速、着替えて準備を整える。
道路の反対側に渡り登山口を探す。
地図を見ながら「ここかな?」とあたりをつけるがどう見ても民家の入り口だったので、通り過ぎて別な道を探すも、結局、そこが正しかったようで再び戻って来た。ロス15分。まさか、こんな低山で登山口前に迷うとは思いもしなかった。
よく見ると民家の脇から山に向かって延びている道があった。しかし、完全に草に覆われていて、これは見落としても仕方がない。ひょっとしたら登山としては、意外に人気のない山なのかも知れない。
線路を渡るとようやく登山道らしい道になった。
最初にゴリラの背中に回り込むように、山に沿い水平移動で歩いていく。他の方のログにも書かれていたが、登山道のあちこちがぬかるんでいて歩きにくかった。
山の裏側で、山に向かって登って行く分岐点を見つけた。入り口には登山口と書かれた看板が設置されていた。
標高520mの低山とはいえ、きっと一気に駆け上がっていくコースなのだろうと思った。
登ってみると、実際にはそれほどの急登は無かったが、それでもロープ場もあり休みなく続く斜面に大汗をかいてしまった。足元にはヤマジノホトトギスが涼しげに咲いていた、
森の中をひたすら登って行く。ゴリラの毛皮のように密集していた樹々が視界を遮り、登り切るまでは一切の眺望は無かった。
頭の部分に到着。三角点の横にある機に、愛らしいゴリラの絵に520mと書かれた看板がぶら下がっていた。
思っていたよりも眺望が良くなかったので、頭の部分から顔の方へと少し降りてみると、視界が開けた岩の上に出た。顔の部分を構成する岩稜地帯だ。多分、額くらいの一に立っていることになるのだろう。
見下ろすと、車を停めたチェーン脱着場があり、その脇の国道をミニチュアのような車が何台も行き交っていた。
目線を移すと、森の中に赤い屋根やレンガ造りの建物が見えた。ニッカウヰスキーの宮城峡蒸溜所だ。初めてのゴリラ山との出会いは蒸溜所からだったが、ついに今日は山の方から蒸溜所を見下ろしている。やっと達成したと感無量だった。
遠くの山々に目を移すと、特徴的な形を持つ大東岳が見えた。これも以前から気になっていた山の一つだが、こちらはまだ行けていない。大東岳の近くには、冬に登った面白山も見えた。トレースの無い中、藪に阻まれながら苦労して登ったことを思い出す。
雲があってよくわからなかったが、遠くには蔵王連峰と思われる山塊も見えた。
ゴリラのおでこの上で暫し涼みながら、そんな山の風景をぼーっとながめた後、用紙を済ませるために一気に駆け下りた。
○○名山でもご当地富士でもない。知名度もない小さな山。でも、どうしても登りたかった山は、やっぱり愛らしい山だった。I Love ゴリラ山!
旅の思い出を有難う!

















