行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
「竜頭ノ滝上(りゅうずのたきうえ)駐車場」を利用。竜頭ノ滝の上部にある。GPS座標(36.760576 139.45159)。無料で20台程駐車可。広くて便利だが、基本、観光客向けなので直ぐに満車になる。トイレはない。
この登山記録の行程
竜頭ノ滝上駐車場(05:01)・・・高山登山口(05:05)・・・高山(05:53)・・・熊窪・小田代原分岐(06:42)・・・冠石・・・千手ヶ浜・クリンソウ群生地(07:00)(休憩~07:45)・・・不動堂(07:49)・・・千手堂(07:54)・・・不動堂・・・千手ヶ浜・クリンソウ群生地(07:59)(食事~08:15)・・・冠石・・・熊窪・小田代原分岐(08:31)・・・赤岩(08:53)・・・竜頭ノ滝臨時駐車場(09:13)・・・龍頭の滝(09:18)・・・赤沼茶屋(09:40)・・・戦場ヶ原(09:49)・・・赤沼茶屋・・・竜頭ノ滝上駐車場(09:58)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
週末の土曜日。中国の友人と実に15年ぶりに会うことになり、「久しぶりに飲もう」と約束していたが、よりによって16時と言う夕方と呼ぶにも早い、中途半端な時間の悩ましいスケジュールだった。
なぜ悩ましいかというと、この時期どうしても奥日光に行きたい場所があり、山の機会を逃してしまうと、心がソワソワしていた。本来であれば先週末に行く予定だったが、大雨と別件の用事があり諦めざるを得なかった。そうなるともうこの週末しかタイミングがない。「どうしても山へ行きたい病」を発病し、友情を取るか、山を取るかの選択に悩んだが、迷った時には「まるごと総取り」。日ごろの仕事以上に頭を素早く回転させる。
山からの移動時間片道4時間、帰宅後の洗濯やシャワーに1時間、飲み会会場まで1時間。これを開始の16時から逆算すると、現地での活動制限は10時までとなる。歩く時間を考慮すると、前日入りで早朝から歩けばなんとかなるだろうと、金曜日の仕事が終わり次第、山へと向かった。
いつもの道の駅「日光街道ニコニコ本陣」を通り過ぎ、即行動できるようにスタート地点となる「竜頭ノ滝上駐車場」で車中泊をした。この1週間、梅雨とは思えない酷暑で寝苦しかったが、さすが標高1,355mの駐車場は寝袋を羽織らないとむしろ肌寒いくらいだった。
4時15分に起床。鳥のさえずりで目が自然と目が覚めた。心地よい目覚めに、狙い通りの快晴で心が躍った。
早速、準備を整えて4時50分に歩き出す。
今日の工程は、ほぼ散策で登山はおまけ程度のコースとなっている。「おまけ」と言っては山に失礼だが、まずその山「高山」を目指して、アスファルトの道路脇から森へと入っていく。
一歩踏み込んだだけで、いつもと森の雰囲気が違うと感じる。
淡い緑色の下草で覆われた森。ミズナラも多く群生していて森全体が瑞々しい。新緑に溢れる森はそれだけで美しいが、奥日光の豊かな自然はどこか神々しくて格別だと思う。
落ち葉が積み重なってできた登山道はふかふかでとても快適だった。どこからかキツツキが「カカカカッ」と短く木を打つ音が響いて来た。シジュウカラと思えるさえずりも森のあちらこちらで溢れている。鳥にしてみれば「人間が来た!」と大慌てなのかも知れないが、こちらにしてみれば歓迎されているようで、美しい音色が心地よかった。
朝日が差し込んできて、森を浮かび上がらせていく。森の奥へと延びる登山道。とても幻想的だった。
5時45分、高山に到着。登山道から僅か2.4kmなので、それほど時間を要さない。しかも、標高1,667mに対して歩き出しが1,355mからなので、あまり山に登ったという感覚は少なかった。
高山は、戦場ヶ原と中禅寺湖の間に位置していて樹々に囲まれているため眺望はない。
少しだけ休憩を入れてから、いよいよミッション発動で中禅寺湖に向かって降っていく。
今回のミッションは、この時期の風物となっている「千手ヶ浜」にある「クリンソウの自生地」を愛でることにある。
6時35分、「熊窪・小田代原分岐」に到着。湖畔沿いのに散策道と合流し、一気に視界が開けて大きな湖「中禅寺湖」が目に飛び込んできた。
人の気配を感じて、水鳥がバサバサと飛び立っていく。湖面に反射した太陽の光が周囲の幹をゆらゆらと照らす。映画のワンシーンのような光景にうっとりした。ガツガツ登山も良いが、たまにはこういう散策も良いと改めて思った。
ゆっくり湖畔沿いの道を進んでいく。
森の中にちらほらとクリンソウが目立つようになってきた。目指していた千手ヶ浜が近い証拠だ。
小さな橋を渡ると、ついに到着。
赤・白・ピンクと、色とりどりのクリンソウが鮮やかに咲き誇っていていた。クリンソウはサクラソウの一種で、湿地帯などの水辺に咲くことの多い花で、千手ヶ浜の湖畔には群生地があり、それはそれは素晴らしい花畑が広がっている。
先週末がピークだと諦めていたが、まだまだ全盛期のようだった。森の中に絨毯のように広がるクリンソウはまさに圧巻だった。
森に差し込む光によって生み出された明と暗によって景色に深みが加わり、どこを切り取ってもまるでポスターのようで、シャッターを押す手が止まらなかった。
ひとりきりクリンソウを堪能したあと、不動堂を抜けて千手堂を見学。このまま黒檜岳 (くろびだけ)に登りたい気持ちを抑えながら、もう一度、千手ヶ浜まで戻り、湖畔のベンチに腰掛けながら食事をとることにした。
ザックから取り出したのは、湖畔の風景をイメージして買って来た「ざるそば」。
喉越しがよくて少し汗ばむ今日の山歩きにはぴったりのチョイスだった。
顔を上げると、湖越しに大きな男体山が黒々と見えていた。
右手前には黒檜岳や社山も見えている。以前、冬季に歩いたことがあるが、山頂から見た中禅寺湖越しの男体山が今日のように美しかったのを覚えている。
余りの居心地のよさに離れがたかったが、時間が限られているため重い腰を上げ、湖畔沿いに竜頭ノ滝方面へと帰路に入る。
8時45分、赤岩に到着。
小さな展望台が設置されていて、社山を正面に良く見渡すことができた。
そして、9時5分、ついに「竜頭ノ滝臨時駐車場」へ到着。
楽しかった湖畔歩きもこれで終了。そう思おうと名残惜しく、いつか社山・黒檜岳を含めて中善寺周遊もしてみたいなと新たな計画が頭に浮かんだ。
アスファルトの車道を歩き、最後のご褒美に竜頭ノ滝に立ち寄る。
竜頭ノ滝は、奥日光三名瀑の一つ。
男体山の噴火によってできた溶岩の上を210メートルにわたって流れ落ちる様は圧倒的で、個人的にもお気に入りで何度も訪れている。
駐車場に戻り、腕時計をチェックすると、行動制限時間の10時までにはまだ30分弱あった。今日のミッションは十分クリアーしたが、日光が好きでたまらない自分にとって、ここまで来て戦場ヶ原に立ち寄らないのはあり得ないと、そのまま駐車場を通り越しておもむろに赤沼茶屋を目指して歩き出した。何度か歩いたことがあるが、それほど距離は無かったはずだ。
9時43分、なんとか戦場ヶ原に到着。急いできたため息が「ゼィゼィ」と苦しかったが、青々とした草原の向こうにひと際大きく聳える男体山を見て、自然と顔が緩んだ。そうこれが見たかった。
やはり戦場ヶ原から見るこの景色は格別だ。草原には少し早いのか白いワタスゲが風でゆらゆらと揺れていた。
腕時計を見て「ハッ」とする。あまりの気持ち良さに時間を忘れていた。
急ぎ折り返して9時58分に無事、駐車場に到着した。今日一番の難関ミッションだったかも知れない。かくして予定通り帰宅し、16時からの飲み会に間に合い、15年ぶりの楽しいお酒を飲むことができた。
ミッション完全コンプリート。












































