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双門の滝訪瀑記

双門の滝( 東海・北陸・近畿)

パーティ: 1人 (Rändër さん )

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行程・コース

天候

朝方雨が降ったのか路面がぬれていた。
双門の滝までは、曇り
双門から大崩壊地までは雨
最後はいい天気

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 登山口のある橋の前に5台ほどのスペース

この登山記録の行程

熊渡(05:02)・・・白川八丁(06:19)・・・河原小屋跡(11:20)・・・高崎横手分岐(13:30)・・・熊渡(15:44)

コース

総距離
約14.4km
累積標高差
上り約2,013m
下り約2,013m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

ヤマレコを使用したが、GPSがうまく取れなかったので、双門の滝あたりでヤマップに変えた。
取れなかった部分は後で編集した。

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三連休だ。家を追い出された。
(山の記事だけ読んでると毎回追い出されているようだが、そんなことはない)

出かける口実の息子からも今回は「お出かけ・登山NG」が出た。
「土曜日は友達と遊ぶし、日曜はゲームする。」とのこと。

降って湧いた突然の「フリー三連休」。週末の通勤電車で行き先を考える。
昨日の飲み会で「お出かけしすぎて、行きたいところないんですよねぇ(思い出すだけでダサい発言)」と豪語したばかり。
登山者らしき乗客を見ながら、「やっぱり山しかないんだろうなぁ」とため息。

「双門の滝、行くかな。」

日本の滝100選の中でも“最難関”と言われる滝。
大学時代、滝めぐりを始めたころからの憧れだった。
ただ、いつか行きたいと思いつつ“死ぬ率高そう”でビビっていた。
でも最近、体が思うように動かない日が増えてきて、動けるうちに行きたいところへ行かなくちゃ、と思うようになった。

そう決まれば、行く行く詐欺になる前に準備して出発。
家に帰って登山準備、子どもの夕飯を作り、遅く帰った嫁を崇めたら出発!



滝への登山口前の駐車スペースは数台分しかないらしい。
争奪戦に勝つため、高速をぶっ飛ばす(法定速度内)。そういや、黒滝って一か月前にも来たな。
山に入るとフロントガラスに細かな雨粒がつく。ここまで来て雨は勘弁してほしい。
「川を遡行するのに雨はヤバいのでは…?」
落ちたらアウトな場所で滑る岩は、想像するだけでデンジャラス。
止んでほしいが、本降りになったら諦めなくてはいけない。遭難系Youtubeで見たサンクスコストバイアスでの事例を思い出す。

焦る気分とは裏腹に、停まっている車は2台だけだった。そんなに登る人いないのかな?


雨が止むことを願いながら仮眠。
4時半ごろ、別のグループが来て出発するので目覚めたら、私も急いで準備を始める。
5時でもまだ暗いが、出発。


最初の30分は林道歩き。熊鈴を鳴らし、スプレーを握りしめる。最近、熊出没ニュースが多いから早朝は怖い。
道は荒れておらず歩きやすいが、地味に長い。夜の雨で足元が濡れているので、スリップ注意。

金引橋ルート分岐を過ぎ、白川八丁へ。砂防ダムの上に広がる河原は伏流水で水がない。
ふり返ると朝焼け雲がうっすら出ていて綺麗。今日は晴れそうだ。

河原を進むとガマ滝(釜滝?)。
ここで水量を見て難易度を判断するらしいが、基準がさっぱりわからない。

ガマ滝の左を登ると、双門遊歩道が本格化。
崩壊地だらけで、橋は壊れ、床板は腐食して抜けそう。
“落ちたらアウト”の道が続く。
だが、これくらいなら「よくある荒れっぷり」。まだいけそう。

渡河は問題なし。杭をアスレチック気分で越える。
岩壁が見えてくると、一ノ滝・二ノ滝が現れる。滝前は広く、休憩適地。

滝前吊橋を渡ると、いよいよ“直登梯子地獄”が始まる……はずが、道がわからない。
ピンテ(目印)を頼りにガレ沢を登るがロスト。
「道違う気がする」と思いながらも登り、さらにロスト。
ヤマレコで確認するとルートから外れている。やっぱり。

戻って地図を確認。川に近い岩場を回り込むとルート発見。
「どういう構造なんだこの道?」
一ノ・二ノ滝を高巻きすると、三ノ滝の滝つぼが見える。
滝は岩陰で見えないが、谷が狭まり岩壁が迫る。ちょっと寄り道して三の滝を拝む。
いよいよ双門の滝だな――と思ったところで梯子地獄、牙をむく。


ここで、登山者に抜かれるがひょいひょい登っていく。
私は太ももが攣り、梯子を一度踏み外す。何度も「ギブアップしたい」と思うが、降りる選択肢はない。

100m以上直登するので、視界が開けるとすさまじい高度感。足がすくむ。
どうしてこんなところに道を付けられたのかと思う。
槍のように突きあがっている岩峰を登り超えると、轟轟と双門の唸り声が聞こえ、
大岩壁を割るように落ちる双門の滝が見えた。
足元はるか下に廊下のようになっていて、川が流れている。自分が立っている場所もかなり危ないところなんだろうな。

ここでおにぎりタイム。と大休憩。
汗で服がびしょびしょなので、止まっていると寒い。
この先も長いので、記録にも記憶にも残したら、出発。
滝の上の谷に雲が降りてきているが大丈夫だろうか…


滝見テラスからまた100mほど登る。梯子で。休憩をなかった事にするほど登る。
分岐まであと少しってところで、雨が降ってきた。急いで上着を羽織る。
すぐに雨足が強くなってきた。まじか、ここから川に降りるんだったよな。

ワークマン様のウェアなので防水に関しては問題ないのだが、(すでに汗でびしょびしょだし)
足元がぐずぐずになってくるのが困る。梯子や階段はあるが、急な下りが多い。
そして、先ほどの階段で太ももが曲げても伸ばしても攣るようになってきた。
このあたりで遭難・ビバークが頭をよぎる。

川そばまで下りてきたが、水量は大丈夫そう。
登山道は左岸にあるようだが、ちょくちょく途切れる。そのたびにあっち行ったりこっち行ったり。思うように先に進まない。

始めは弥山、八経ヶ岳も回ってやろうか!と意気込んでいたが、明るいうちに登山道に戻ってくるのも怪しくなってきた。
そんな奢っていたわたしを笑うかのように道は消え、雨はザンザン降り、太ももはピキピキ攣る。

ピンテを見つけて登った岩の向こうは谷になっていて、道がロスト。
下の方は岩に囲まれた滝つぼのようになっている。絶対降りないよなと思ってると
下の方に弥山の看板を発見。降りる踏み跡は見当たらない。
ずるずる滑りながら降りたが、岩場に囲まれていて、上流は淵になっており泳がなければ先に進めない。

このあたりで遭難・ビバークが本格的になってきたか。
看板は土砂に流されて落ちてきたよう。となるとルートは上か・・・登るのか・・・
不安定な谷を慎重に登ってピンテまで戻り、そこからさらに上がると、ルートはあった。
その後も行ったり来たりを繰り返してルートを探しながら進むことになる。
ちょいちょい出てくる梯子や橋が心の支えとなった。整備してくれてる人ありがとう!

だんだんピンテを探すのが面倒になってきたので、道なき道を進むことにした。
そうすると意外とすいすい進めてしまう。いいのか悪いのか・・・

大きめの崩壊地が白川八丁みたいになってるので、ここでおにぎりタイム。
雨も止んで、嘘のように青空が見える。なんか大丈夫感が出てきた。
よく見るYoutubeのネタにされなくてよかった。

ここからはひたすら遡行していく。何度も渡河し、岩を乗り越えていく。その岩も徐々に大きくなっていく。ボルダリングのようだ。
岩は滑らないように気を付けていたが、丸太は気を付けなかったので一度足ぼちゃしてしまった。
正面から本流ですよと言わんばかりに流れ込んでくる支流を右に見ると、
急激に狭まって、どこのぼるん!?という本流がある。ここが遡行コースの終盤となる。

右側から巨石を乗り越えると(一般登山道ではない。)鎖の梯子が垂れ下がっている。
写真で見てたけど、本物見ると、これ登れるん!?
始めの一歩を登るとものすごく揺れるし、岩に張り付いて足をかけづらい。

登りきると、最後のイベント空中回廊に着く。ネットでは周囲の様子が分からないが、
狭まった廊下のような谷で、岩壁にボルトを打ち込まないと歩くところが無い。
すぐそばは急な流れや、滝があって冒険感はマックス。

双門の滝にあこがれたのは、滝だけではなくこの空中回廊にもだった。
難易度はそんなに高くないけど、このシチュエーションが冒険心をくすぐるのだ。


空中回廊を抜け、狼平へ――のはずが、まだ登り。
鎖付き階段を登りきると道がない。滝つぼ直行コースじゃないかこれ。
時間は1時半を回っていて、弥山は無理だし、空中回廊を歩けたので満足。
地図を見ると帰りルートにショートカット出来そう。
一気に斜面を登って帰り登山道に合流。びっくりするくらい整っている道。

整備された登山道って幸せだと噛みしめながら下る。途中吉野の山々が見渡せ
青空と深い緑の稜線、そこから沸き立つ雲たち。神々しい。
今回は弥山、八経ヶ岳は断念したけど、あの峰々ともども歩いてみたい。

平穏な明るくすがすがしい道をタッタカターと下ってきた。
金引橋ルートは薄暗い針葉樹林をだらだら下るので飽きてしまったが。
あぁ、林道もだらだらしていて気持ち的につらかった。

汗くさすぎて着替え最優先。
「さっぱりしたー」と思った瞬間――
フロントガラスの右側が割れてる!?なぜ!?どうして!?
上から石?枝?衝撃なんてなかったのに!

混乱のまま下道で帰宅。
思い返せば大宇陀あたりで枝にぶつかったような…?
ともあれ、連休明けに車屋行き決定。出費が痛い。
双門の滝の達成感は吹っ飛んだ。



最難関の名に違わず、危険個所が多い。
一度入れば最後まで抜けられないので、体力と装備は必須。
なまった体にはかなり堪えた。とりあえずもう行かない。

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