赤城山一周登山を敢行して上手く行ったので、「榛名山の外輪山を単発で登るのは今更と言う感じだけど、日帰り一周登山はそれなりに手強く挑戦する意味がある」と、二匹目の泥鰌を狙う。
　松之沢峠の駐車場に車を停め、関東ふれあいの道から相馬山へ向かい、榛名山外輪山一周登山の緒に着く。磨墨峠の東屋を通り過ぎて山頂へ急登すると冬枯れの山肌に霧氷が白く際立って見え、朝日を受けて融け落ちる音が、静かな山にサラサラ、カサッ、カラカラ、パサッと控え目に響く。
　鳥居を潜って水沢山(浅間山)へ向かうと急崖の途中で道が消え、強引に100ｍ下降して岩壁の基部をトラバースすると踏跡に出て一息吐く。車道との交差点がつつじ峰で、ここから水沢山へ急登すると２組５人が下って来る。
　山頂から榛名山群の位置関係を確認して引返し、二ッ岳へ向かう。標高1,307ｍの雌岳を経て雄岳を踏み、ヤセオネ峠へ下って車道から草原を横断して林の中を臥牛山へ登り、同じく道無き蛇ケ岳へ廻る。
　榛名山の象徴である榛名富士は以前に家族で登ったことでもあり、時間に限りがあるので割愛し、車道に出て、榛名湖岸のゆうすげ荘脇の登山口から６山目の烏帽子ヶ岳を目指す。
　落葉樹林の下を西の肩へ登ると、山頂へは一面の笹原が続いている。急登した岩の山頂からの眺めはなかなか良い。ここでは２人の登山者と出会う。肩まで降りて怪しい踏跡をそのまま西へ進み、鬢櫛山へ藪を漕いで登り、笹に覆われた落着いた感じの山頂で一息入れる。
　ミズナラ林を抜けて県道の峠へ降り、湖畔の国民宿舎の登山口から掃部ヶ岳を目指す。さすがに榛名山群最高峰で、今日登った山では最も足跡が多い。日没までの時間を計算すると奥に在る居鞍山と杏ヶ岳(すもう)に登る余裕は無さそうだし、疲れも出てきたので国民宿舎へ引返す。対岸の烏帽子ヶ岳が、こぢんまりした形の良い姿を午後の遅い湖面に映しているのを眺めて天神峠へ出る。
　木の階段を氷室山へ登る頃には足の筋肉の疲れが顕著で、一歩毎に呼気と吸気を繰返す。「これが最後の登りだ」と気力を振絞って天目山頂に立ち、真っ赤な夕日が山の端に沈むのをじっと眺めながら５分間の休憩を取る。
　七曲峠へは幅５ｍの道が緩く続き、一周登山達成を喜びながら好い気分で下って行く。１日で標高差2,400ｍを登ったのは恐らく初めてで、「我ながら、よく頑張った！」と満足感は大きい。
　伊香保温泉に立寄ってお土産を買い、風呂に入り、水沢うどんを食べて家路に就く。