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山スキーで岩手山

岩手山( 東北)

パーティ: 2人 (1357 さん 、ほか1名)

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行程・コース

天候

晴れ/曇り

登山口へのアクセス

バス
その他: バスで網張スキー場へ行き、リフト終点からシールで歩き始める。
北斜面を苦戦してスキーで下り、林道に出合って車道へ降り、親切な主婦の車に拾って貰って道の駅まで送ってもらい、バスで大更駅へ向かう。

この登山記録の行程

網張SG(11:45)山頂駅(1,310m、12:45)犬倉山(13:05)姥倉山(14:15)黒倉山(15:00)鞍部(15:20)幕営(1,580m、15:45/7:00)鬼ヶ城(10:20)不動平(11:05)岩手山(12:00)樹林帯(1,250m、15:00)林道(645m、16:05)車道(470m、17:20)道の駅(260m、17:40)

コース

総距離
約16.5km
累積標高差
上り約1,683m
下り約1,971m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 駅前広場でバスを待つ間、盛岡の空気は春を思わせる暖かさで、新幹線で2時間半と言う近さもあって遥か東北まで遣って来たと言う実感がない。スキーヤー共々網張国民休暇村へ向かう。
 岩手山東面の山肌は期待通り雪に覆われているが、斜面の勾配は地図通りと言うべきか、決して緩くはない。入山届けを出してリフトで上がり、シールを着けて歩き出す。直ぐに尾根の頭に出て外輪山と八幡平ツアーコースの白い尾根が目に飛び込む。
 最初の目標である犬倉岳へ一息で登って鞍部の樹林へ滑り込み、ふかふかの新雪の上にトレースを見付けて追うと姥倉岳へと導かれる。山頂の眺めは良く、秋田駒ヶ岳・烏帽子岳から雫石スキー場へ続く稜線が魅力的に見える。北側の松川温泉へ流下する沢沿いには林道が走っており、雪が多ければ面白そうだ。
 部分的に草原や溶岩が出ている黒倉山の緩い斜面を登ると、頂上直下で溶岩に阻まれる。板を脱いで山頂を踏み、岩手山を正面に見上げる。足下の地獄谷はガスを噴出して地肌も露わな姿を見せている。上流には白い雪原が柔らかに広がって、幕営場としては十分過ぎる程魅力的だ。
 疎らな樹林の滑降を楽しんで鞍部へ下り、今日の好天と明日の事も考えて、鬼ヶ城へ続く尾根を森林限界まで頑張って登り、栂の木陰にテントを張る。

 夜半から風が出て外は濃いガスだが、鬼ヶ城までは迷う心配も無いし大した登りでもないので、変化に富んで面白いと思われる岩稜コ-スを行く事にしてスキーを履く。森林限界から直ぐにクラストした雪稜となり、スリップすると滑落は避けられない状況なのでアイゼンに履き替える。旧雪は締まってアイゼンが気持ち好く利くが、数日前の新雪は表面のクラストが破れて足が潜り、梃子摺る。
 ガスはそれ程厚くなく、雪稜が時々姿を現すのに快哉を叫びながら登り、小岩峰で一休みする。ここから先は岩稜状になって傾斜が増し、緊張する場面もあって予定より遅れてP1,890に着く。
 天気は好転して不動平が見下ろせ、折しも、雫石口から5人パ-ティ-が登って来る。岩手山の火口縁にも登山者の姿を認め、「1日で登って来たのだろうか」と訝りつつ避難小屋目指して下降し、陽射しを楽しみながら大休止する。
 ここでスキーを履いて、深田久弥『日本百名山』の85山目の岩手山頂を目指す。板を背負って登るKはかなりの疲れ様だ。昨年3月以来の山スキー山行との事で、無理もないか。内輪山の火口縁まで登ると西風が強く、足は一層重くなる。雪は山頂直下まで続いており、山スキーでの登頂が果たせて嬉しい。
 北東面の雪は少なく、火口縁から数十m下って板を履く。恐い程の傾斜ではないが、旧雪がクラストして斜滑降でもスピードが出て危険を感じる。Kも途中で板をアイゼンに履き替える。
 新雪の積った柔らかい所で慎重に方向転換して辛抱強く高度を下げると樺の木が現れて雪も柔らかくなり、思い切ってターンを試みる。傾斜が落ちて恐怖感がなくなるに連れて雪が重くなり、なかなか巧くは回れない。Kも危険地帯を脱した様で、緊張から解放されて一本立てている。
 やがて、潅木の疎林に滑り込み、小枝を払って滑降を続け、楔形に食い込んだ疎林の下端に達する。彼女は途中からスキーを履いてシールのまま下降を試みるが、頻繁に転んで体力の消耗が激しく、遂には癇癪を起こして「板を捨て置いて下る」と言い出す。
 頂上から見えた疎林の下端はかなり下の様だったが標高は1,750mもあり、ここまでの下降に2時間を要しているので、林道に出るまでの時間を思うと少々焦る。傾斜が落ちた樹間を楽しく滑り、Kにも板を履くように勧めるが、「歩くのも楽しい」と拒絶反応が強い。
 針葉樹が落葉松林に変わると小枝が五月蝿くなり、所々に地肌も出てくる。林班境の小道を暫く進むと待ち焦がれた林道に飛び出し、ヤッケを脱いで熱い体を休める。K共々スキ-を履き、林道を推進滑降で下る。
 林が途切れて牧場へ出ると雪も消え、板を担いで砂利道を歩く。「大更駅まで2時間程掛かるだろうから、暗くなるね」と覚悟を決めるが、車道に出て手を上げると直ぐに車が止まってくれる。30歳前の主婦に「道の駅」まで送って貰い、ここからバスに乗って盛岡駅へ出る。
 親切なバスの運転手が新幹線の時刻表をくれる。わんこ蕎麦を食べる時間的余裕は無く、立ち喰い蕎麦で我慢して電車に乗る。
 忘れ掛けていた人情に触れた余韻の残る東北の旅だったが、この数日後、火山活動のために岩手山は登山禁止になった。

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装備・携行品

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登った山

岩手山

岩手山

2,038m

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