無料送迎シャトルバスが運行開始。 岡山県最高峰の美作アルプスへ登ろう!

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岡山県最高峰の後山を中心とした美作アルプスの登山口に、今年から無料送迎シャトルバスが運行を開始した。シャトルバス利用で登りやすくなった美作アルプスを歩いてきた。

文・写真=加藤芳樹

 

岡山県と兵庫県の県境に、伸びやかなササの稜線が横たわっている。岡山県最高峰の後山から駒の尾山にいたる稜線は、距離が3kmあまりあるが、標高差150m内に収まっていて、気持ちよいプロムナードだ。近年は、「美作アルプス」と呼ばれ、人気が高い。

美作アルプス 駒の尾山から見た後山

駒の尾山から見た後山

以前、この稜線を歩いたときは、兵庫県側から後山に登り、駒の尾山を往復した。後山は古くから知られる修験の山で、険しい行者道を登った。岡山県側にも南東に行者道がある。

今日は、智頭急行大原駅から、美作市の無料シャトルバスが西粟倉村の駒の尾山登山口まで出ているというので、岡山県側からのアプローチだ。大阪駅から7時37分発特急「スーパーはくと」に乗り込み、大原駅に9時25分着。バスが大原駅9時50分発なので、ちょうどいい。

美作アルプス縦走

 

コースタイム:
駒の山登山口 〈45分〉 駒の尾山 〈40分〉 船木山 <後山往復50分> 〈55分〉 後山キャンプ場

⇒登山地図&計画マネージャ「ヤマタイム」へ

 

美しい樹林帯と爽快感のあるササの稜線を楽しむ

無料の送迎シャトルバスを利用して、駒の尾山登山口から登り始める

無料の送迎シャトルバスを利用して、
駒の尾山登山口から登り始める

駒の尾山登山口の駐車場はほぼ満車だった。ここから駒の尾山までピストンするか、あるいは後山まで往復してくるか。いずれにしてもマイカー利用では、同じ道を戻ってこなければならない。今日は、美作アルプスを縦走して船木山登山口に下り、シャトルバスで駒の尾山登山口を経由して、大原駅へ戻る予定だ。よくよく考えてみると、マイカー利用であってもこの経路なら、同じ道をたどらず、船木山登山口へ下山してバスで駐車場に戻ることができる。公共交通機関利用でも、マイカー利用でも、シャトルバスをうまく利用することで自由度が高まるのだ。欲を言えば、14時船木山登山口発のバスに乗って、立ち寄り湯やレストランのある愛の村パークに寄りたかったのだが、折からの緊急事態宣言で9月12日(暫定)まで休業。その分、ゆっくり縦走を楽しんで、16時発のバスに乗って帰ることにした。

登山口の標高がすでに950mを超えており、登山道は、緩やかにアップダウンを繰り返し、実に穏やかで登りやすい。後山への登山道の険しさと比べると、まるで森林公園の遊歩道を歩いているようだ。登山道沿いはカエデ類が多く、紅葉が楽しみな道だ。朝イチから登る人も多いのだろう。すでに下山してくる登山者何組かとすれ違う。

美作アルプス 駒の尾山登山道展望台

駒の尾山登山道展望台

展望台あたりがちょうど中間点で、やがてブナが多くなるとササ原に飛び出し、駒の尾山山頂に着いた。展望は、北側と、東の後山方面が開けている。昼食を食べているご夫婦がいたが、まだ時間は早いので、お目当ての縦走コースへと踏み込んだ。ササの背が高いので両サイドの展望は意外と少ないが、正面や背後に展開する山のうねりに目を移せば、スケール感、爽快感をたっぷりと味わえる。鍋ヶ谷山山頂の南西が刈り払われていたので、駒の尾山を眺めながらランチタイムにした。

美作アルプス 駒の尾山からは爽快感のある稜線歩きとなる

駒の尾山からは爽快感のある稜線歩きとなる

鍋ヶ谷山を過ぎるとカラマツを散見するようになる。その先にはブナの美林があるので、このあたりは黄紅葉が楽しめるはずだ。やや急な坂を登ると船木山・後山をつなぐ稜線に出る。船木山手前で、後山キャンプ場(船木山登山口)への道を分ける。南の展望のいい船木山からは、日名倉山の中腹に立つ、ベルピール自然公園の鐘楼がよく見え、時折、鐘の音が風に乗ってここまで届いてくる。さらに東に向かい、ひと登りすると、後山山頂だ。祠と、県境だけに「岡山県最高峰」「宍粟50山」兵庫側の呼び名である「板馬見山」など、いくつもの山名を示した標柱が立っている。

岡山県最高峰・後山山頂 船木山からは晴れた日には瀬戸内海まで見渡せる

(左)岡山県最高峰・後山山頂/(右)船木山からは晴れた日には瀬戸内海まで見渡せる

美作アルプス 岡山県最高峰・後山山頂

岡山県最高峰・後山山頂

美作アルプス 船木山からは晴れた日には瀬戸内海まで見渡せる

船木山からは晴れた日には瀬戸内海まで見渡せる

船木山に戻り、最後の展望を楽しんで、分岐から下山を開始した。中腹までは植林帯だが、鎖場の先で渓谷沿いのコースになると、自然林のワイルドな登山道となった。美作アルプスの広い遊歩道のような登山道と比べると雲泥の差だ。言い換えれば、それは登山道らしいとも言え、自然の中を歩いている手ごたえを感じる道だともいえる。標高差も600mほど下るから、登りに利用するとなかなかしんどいかもしれない。

美作アルプス 下山路は一部鎖場も

下山路は一部鎖場も

最後に道路に飛び出し左(東)へ進んで、後山キャンプ場の駐車場へ。時刻は15時30分。16時のバスに、ちょうどよい時間に下ってきた。結果的には愛の村パークに立ち寄るにはなかなかの健脚でないと、難しかったかもしれない。行きのバスと同じ運転手さんで、駒の尾山登山口に着くと、乗車記念のエコバッグを手渡してくれた。美作市からの提供で、シャトルバスの運行期間中、バスに乗車して、アンケート回答に協力した人全員に贈呈しているとのこと。

美作アルプスの登山帰り際にもらったエコバッグ

帰り際にもらったエコバッグ

大原駅から、帰りの列車に乗り込む。あとは大阪までひと眠り。マイカー利用ならこうは行かない。電車とバス利用ならではの恩恵だ。

シャトルバス情報

2021年8月1日から9月26日の土・日・祝祭日に、駒の尾山から船木山両登山口の区間を、送迎シャトルバスが無料で運行する。予約は不要(団体で利用の場合は事前に要相談)。

運行日:8月1日(日)~9月26日(日)、10月2日(土)〜11月23日までの土・日・祝日

*新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言が岡山県に発令された場合は、運行を取りやめる可能性があります。


関連リンク

岡山県美作市ウェブサイト「送迎シャトルバス(駒の尾山から船木山両登山口間)」
http://www.city.mimasaka.lg.jp/kanko/info/1632445537612.html

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