無料送迎シャトルバスと予約型タクシーが運行中! 岡山県最高峰の美作アルプスへ

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岡山県最高峰の後山(うしろやま)を中心とした美作アルプス。緑のたおやかな稜線が広がる美作アルプスへのアクセス手段として、昨年から運行を開始したシャトルバスに加えて、新たに予約型タクシーがサービスを開始した。昨年よりも登りやすくなった美作アルプスを歩いてきた。

文・写真=加藤芳樹

 

去年の今頃、美作(みまさか)アルプスを縦走した。その前に、兵庫県側から登って岡山県最高峰の後山から駒の尾山を往復したので、今年登るのであれば3度目である。昨年秋は、智頭急行大原駅から無料のシャトルバスが出ていて、行きは駒の尾山登山口まで、帰りは船木山登山口(後山キャンプ場)から利用した。

駒の尾山を背に縦走路を歩く

駒の尾山を背に縦走路を歩く

今秋の送迎シャトルバスは、マイカー利用者のためにこの2つの登山口を往復する。駒の尾山と後山を縦走する場合のスタンダードなプランは、標高の高い駒の尾山登山口までマイカーで行って、駒の尾山に登り、後山まで行って同じ道を往復してくる。シャトルバス利用の場合は、どちらかの登山口に車を停めて、シャトルバスでもう一方の登山口に移動し、縦走を終えた下山口にマイカーがあるのだから、同じ道を往復する必要がない。

鉄道利用の場合、残念ながら去年のように大原駅からシャトルバスは出ない。その代わり、公共交通利用者向けに登山専用の予約型送迎タクシーが運行される。運賃1000円と無料ではないが、大原駅から各登山口へは、一般的なタクシー運賃では4000~5000円かかる距離と考えるととってもオトク。また、運行時刻が決まっているわけではないので、駅の到着時刻や帰りの乗車時刻は自由度が高くなった(週末と祝日のみの運行であることに注意)。

そして昨年は、コロナ禍で閉鎖していた船木山登山口近くのレジャー施設「愛の村パーク」が営業している。ここは日帰り入浴で登山の汗を流すことができ、地元の産品も販売している。帰りに立ち寄るのもいいかもしれない。

駒の尾山登山口までタクシーを利用する

駒の尾山登山口までタクシーを利用する

大原駅を出ると、予約したタクシーが待っていてくれた。特急「スーパーはくと」は9時25分着予定なので9時30分にとお願いしたが、鉄道のトラブルで電車は20分遅れ。発車時刻が決まっているバスならかなり焦るところだったが、タクシー会社と連絡が取りあえるので、安心感があった。

タクシーの行き先は駒の尾山登山口、船木山登山口のどちらでもよいが、駒の尾山登山口から駒の尾山までの標高差が280m、船木山登山口から船木山までの標高差が600m。となれば、駒の尾山登山口から登るのが断然楽だ。タクシーの運転手さんに、もしかしたら15時半になるかもしれない、と下山時刻を告げて出発だ。

美作アルプス縦走

 

コースタイム:
駒の山登山口 〈50分〉 駒の尾山 〈1時間〉 船木山 <後山往復1時間> 〈1時間30分〉 後山キャンプ場

⇒登山地図&計画マネージャ「ヤマタイム」へ

 

美しい雑木林からたおやかなササの稜線へ

稜線に出るまではブナ林を歩く

稜線に出るまではブナ林を歩く

登山道は広く、雑木林の雰囲気がとても良い。足元に実の入ったクリのイガがたくさん落ちている。東側の山並みを一望する休憩舎を過ぎると、あたりはすっきりとしたブナ林が現われる。やがてササに囲まれるようになると駒の尾山山頂に到着だ。

ちょっと早いがここで昼食とした。北にのっぺりと平坦なダルガ峰が見える。時間が許せば中国自然歩道であそこまで足を延ばしてもいいが、往復1時間以上はかかりそうなのであきらめた。その向こうにひときわ高く裾を広げているのは東山だろうか。

駒の尾山山頂で少し早い昼食をとる

駒の尾山山頂で少し早い昼食をとる

昼食を終えて後山への縦走に入る。下り際に広がるササ原の尾根の姿がダイナミックで気持ちいい。ササの丈が高いので進むにつれて左右の視界は思いのほか遮られるが、ササ原に切り開かれた道は幅が広いので、前後の景色は楽しめる。時折振り返ると波打つ尾根の向こうに登ってきた駒の尾山が見える。ササの切り開いた広場がある鍋ヶ谷山を越えるとカラマツが現われる。もう少し季節が進めば黄葉が楽しみだ。

船木山へ向かう。振り返ると駒の尾山を一望できる

船木山へ向かう。振り返ると駒の尾山を一望できる

船木山の稜線に上がる手前にみごとなブナ林がある。駒の尾山のブナ林と違いこちらは大木が多く見ごたえがある。稜線に出て船木山へ登っていく。振り返ると駒の尾山の気持ちよさそうな尾根が一望できる。船木山手前で下山路を見送って船木山へ。この辺りからは南に日名倉山が見える。中腹に立ちアーチ形の建物はペルピール自然公園の鐘楼で、直径2mという巨大なベルがぶら下がっているらしい。日名倉山もいつかは登りたいと思っている山だ。

いったん下って後山へと登り返していく。今日一番の登りだ。山頂の木陰で一休みしてから下山路の分岐に戻り、下山開始。しばらく植林帯の急坂が続く。足元が悪いので苦労をする。こちらの登山道は登りではきついだろうと思いつつ下ると、いったん平坦地に出てやや右に方向転換する。今度は山の斜面をつづら折りに下るようになる。道はしっかりしているが多少ザレているので滑りやすく、注意しながら下る。クサリ場に出ると、あとは谷沿いだ。山上の散歩道のような登山道と比べると、船木山登山道は少し荒れ気味だが、変化があって飽きが来ない。再び植林となって大きな岩を右手に見ると、登山口に出る。タクシーが待つ後山キャンプ場は左に少し行ったところ。15時前に着いたと思ったらタクシーが早めに来てくれた。

船木山登山道には一部クサリがつけられている

船木山登山道には一部クサリがつけられている

さて、今日は特別に愛の村パークでいったん下ろしてもらい2時間後にもう一度迎えに来てもらうことにした(送迎タクシーは基本的には登山口と大原駅の往復)。レストランは14時30分ラストオーダーで利用できなかったが、ひと風呂浴びて、お土産を物色。登山後にすぐにさっぱりとできるのはやはりすばらしい。シャトルバスないしは予約型タクシーを利用すると、今なら愛の村パークの入浴割引券がついてくるので、立ち寄ってみてほしい。

再びタクシーに乗り込み、運転手さんに興味のあった大原の宿場町の話を聞くと、ちょっと通って見ましょうかと、街道筋を経由して駅へ行ってくれた。思いのほか駅から近く、まだ帰りの電車まで少し時間があったので町並みを歩いてみた。じっくり歩くには時間が足りなかったので、次回はたっぷり時間をとって歩いてみようと思う。

愛の村パークでは地元の特産品が購入できる

愛の村パークでは地元の特産品が購入できる

シャトルバス、予約型タクシー情報

シャトルバスは船木山登山口~駒の尾山登山口区間、予約型タクシーは智頭急行大原駅~駒の尾山登山口/船木山登山口区間を運行します。

運行日:2022年9月17日~11月13日の土・日・祝祭日
料金:シャトルバス=無料、予約型タクシー=1車につき1000円
*利用日の3日前までに大原観光交通株式会社(0868-78-2315)へ電話で予約


関連リンク

岡山県美作市ウェブサイト
http://www.city.mimasaka.lg.jp/kanko/event/1660694389728.html

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