GWに車中泊するなら知っておきたい!クルマで泊まれる場所はどこ?|登山・アウトドアを楽しむ車中泊の基礎知識①

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大型連休や夏休みなど、まとまった休暇がとれる時期は交通や宿泊などの予約がとりにくいのが悩ましいところ。そうした悩みを解決してくれるのが、移動手段のクルマを宿泊にも使ってしまおうという車中泊だ。コロナ禍以降、旅行などのスタイルも変化し、車中泊はますます注目度が上がってきている。ここでは、別冊山と溪谷『CAR CAMPING アウトドアを楽しむための車中泊』に掲載した、車中泊を楽しむために知っておきたい基礎知識を紹介しよう。

文=渡辺圭史、イラスト=日江井 香

目次

車中泊を楽しむ

クルマで旅をするスタイルが注目されている。生活様式が変わりつつあるなかで、多くの人から支持されていて、ユーザーも増加しているのだ。しかし、それと同時にマナーの問題も見えてきた。みんな同じように楽しみたいだけなのに、ちょっとしたケアレスミスがマナー問題を引き起こしてしまう。そこでここでは、車中泊の基礎知識を紹介して、しっかりと基本をマスターできるように、その魅力、車中泊できる場所、マナーや安全性について説明したいと思う。しっかりと基礎を学んで、楽しいクルマの旅に挑戦しよう。

車中泊の魅力

クルマで旅をすることに熱中するユーザーがたくさんいる。その独特の魅力がユーザーを引きつけてやまないのだ。何がそうさせるのか、まず最初にその魅力に迫ってみよう。

クルマを利用した旅や車内で宿泊する行為は以前からあった。しかし、バンライフという言葉とともに、ライフスタイルの一部として捉えられるようになったのはここ数年のこと。一気に注目され始め、そのスタイルに憧れ、実践する人が増えている。

なぜ、そこまで人気が出ているのか。それはすべてが自由だから、といえるだろう。パッケージ旅行を数ヶ月前から予約することもない。思い立った時に行動できるのが、車中泊の醍醐味。これまでのクルマを利用した旅とは違った風景を見せてくれるのだ。

また、旅に行かなくても、ちょっとした時間ができた時に、クルマの中で過ごすだけで、充実した時間を過ごせるのもポイント。街中の駐車場、地方のロードサイドの空き地であっても、クルマを止めた場所でゆっくりとくつろげる環境があるのはありがたい。

車中泊というと泊まるイメージが強いが、自分のスペースがある事が大きなファクターとなる。何も家具を作り込む必要はなく、好きな小物で飾り、自分なりの快適性を追求した空間があればいい。その空間を持ち運ぶ事こそが楽しさといえよう。

クルマの機動性を活かしながら、くつろぎの空間を持ち運ぶことで、旅の準備はほとんど必要なくなってくる。だからこそ、今まで以上に、出かけたくなってくるのは必然とも。行動しやすくなり、新しいライフスタイルを手軽に手に入れることができるのだ。

最近ではペットとの旅のためにクルマを利用する人も増えてきた。専用の宿泊施設を予約する必要もなく、家族の一員として同じ空間で過ごせるのが、オーナーにとって大切なこと。ペットとの旅を楽しむために、車中泊を始めた、という話もよく聞かれることだ。

旅のスタイルも変わってくる。これまでは目的地を目指して、家と旅先を往復する旅が一般的であった。それが、目的地を結びながら、周遊する旅に変化する。旅の途中をゆっくりと楽しむことで、より遠くへの旅へ挑戦できるだろう。

そんな自由を手に入れるために、自分でクルマを作り込むのも楽しみのひとつ。自分で行動するきっかけにもなる。自分で作った空間を持ち運びながら移動すると、なぜか高揚感も高まってくる。おかげでドライブのストレスが軽減されているようにも感じてくるから不思議だ。そして、好きな場所にクルマを止めて、リアゲートをオープン。初めて見た景色と、自分の大好きな空間が調和して、心地よい時間を過ごすことになるのだ。


車中泊できる場所はどこ?

早速、車中泊を実践してみよう!と考えた時、最初にぶつかる疑問が「どこで車中泊できるのか?」。そこで、ここではどのような場所で車中泊できるのかを紹介しよう。

RVパーク

RVパークは安心して安全にクルマで宿泊できる場所を提供するために、日本RV協会が認定しているクルマ専用の宿泊施設。トイレが24時間使える、近くにお風呂の施設があるなど、クルマでの旅に必要な基本的設備が整っていることが基準となっている。

2022年3月現在、全国に250弱の施設が認定されている。近年、その数は急速に増えていて、今後も増える予定だという。施設は北海道から沖縄まであるので、目的地としても、旅の拠点、そして、中継点として旅のサポート施設として利用してもいい。

各施設によっても違うが、予約なしで利用できる場所も多い。いずれにしても事前に話などで確認する方がいいだろう。現地に到着したら受付をして、専用の駐車スペースへクルマを停める。駐車スペースは比較的広めに設定されているので初心者でも安心だ。

日本RV協会はキャンピングカー業界団体だが、クルマの旅という文化を作ることも大切な目標。よって、RVパークは基本的に一般車両でも利用できるのがポイントでもある。今あるクルマですぐに車中泊体験したいなら、特におすすめの施設となるのだ。全国に点在していて、手軽に利用できることから、自由に行動しながら、RVパークを結んで日本縦断をするのもいいだろう。

キャンピングカーの普及などを手がける日本RV協会が認定する車中泊スペース。現在、猛スピードでその数を増やしている

キャンプ場

キャンプ場といえば、テントを立てて、焚き火をして、というのが基本スタイルだった。クルマで行ったとしても、クルマはあくまでもトランスポーターにすぎない存在。そんな概念が大きく変わろうとしている。キャンプ場に車中泊をする人の姿があるのだ。

キャンプ場側でもクルマで寝泊まりするユーザー向けに、車中泊という料金設定を設けているキャンプ場も増えてきた。キャンプブームのなか、キャンプスタイルが変わってきたのかもしれないが、明らかに、車中泊のユーザーが増えているからともいえるだろう。

車中泊をするのであれば、電源サイトがおすすめ。これまではテントで電気の暖房器具を使う時などに利用されていた設備だが、クルマで電気が使えるのはメリットが大きい冬場の暖房器具以外にも、照明や電気調理器なども使えるようになるのは便利といえる。

車中泊であえてキャンプ場を利用すれば、キャンプと車中泊の両方を楽しめる。焚き火を見ながらお酒を呑みつつも、ご飯は炊飯器で炊いて、夜は映画を鑑賞しながら車内で就寝など、それぞれのメリットを活かした楽しみ方ができるのが特徴ともいえるだろう。キャンプの側面からみても、テントを立てる必要がないので、雨の日の準備や片付けが楽になるというメリットも生まれるのだ。

キャンプ場といえば、テント&タープを張るスタイルが定番だったが、最近では車中泊料金を設定するキャンプ場も出てきた

シェアリングスペース

車中泊スペースとして、新しい形態として誕生したのが、シェアリングサービスだろう。クルマが泊められる場所を所有している人が、クルマを泊めたい人に場所をシェアする仕組み。この土地所有者とクルマをマッチングするのがシェアリングサービスだ。

このサービスを提供するシステムがあり、場所を提供する人が自分の土地を登録し、場所を使いたい人がサービスを申し込む、という構図。登録される場所は少しずつ増え続けていて、全国各地に広がりつつあり、新しい形態の宿泊スペースとして注目されている。利用方法はアプリケーションなどで検索したり、ネットから申し込むのが一般的。企業がスペースを貸していたり、個人の所有する駐車場など、形態はさまざまなので、施設の情報などをしっかりとチェックして、チェックイン方法なども確認しておく必要がある。

シェアリングサービスのメリットといえば、公共の施設がある場所や繁華街ばかりでなく、住宅街や山の中の温泉施設、地方の商店など、いろいろな場所が登録されていること。意外な場所がシェアされていることもあるので、新たな発見があるかもしれない。また、オンラインで支払いができるサービスもあるので、現場でのチェックイン作業が簡略化できるというのもメリット。自分の土地を有効活用したい人と、クルマで宿泊できる場所を探している人、その双方にメリットがあるサービスとなっている。

この特徴的なサービスを使って、例えば自分が旅に出ている時に、自宅のガレージを車中泊スペースとして貸し出すこともできる。短時間であっても、シェアできる時刻を設定できるので、貸し出すオーナーにとってもメリットのあるサービスといえるだろう。

スペースを持っているオーナーが、車中泊できる場所を提供するサービスが始まっている。新たな車中泊スペースとして注目

スタートした新サービス系

車中泊の需要は年々高まっている。そこで、既存のクルマ関連サービスを提供していた企業が車中泊に注目して、新たな事業展開として、車中泊スペースの提供をスタートさせる事例も出てきた。それまで培ってきたノウハウを活かし、サービスを提供している。

シェアリングに近いサービス形態ともいえるが、予約できる駐車場などのサービスの一環として、クルマで泊まれる場所を貸し出している。これまでにも駐車場スペースを連日貸し出すサービスはあったが、宿泊を目的としている点がこれまでと異なっている。

利用方法は既存のサービスを利用する形態となっていて、インターネットから宿泊日を選んで、空いてる駐車場を検索、条件を確認してからネット決済をして予約を確定。利用日当日に現場へ行き、利用する。チェックイン、チェックアウトは必要ないことが多い。

このようにすべてがネットで完結し、しかも、チェックインが必要ないことから、時間を気にせずに利用できるのがいい。ほとんどの場合、鍵の貸し出しやスペースの確認などがないので、夜間の到着でも問題ない。時間が自由に設定できるのがポイントになる。

このメリットを活かして、宿泊直前に予約を入れ、遅い時間に到着といったスケジュールセッティングも可能だ。ネットで検索しながら、直前まで宿泊場所を探すこともできる。クルマで移動していると、予定変更も多いので、このようなサービスはありがたい。

ただ、既存のサービスを流用しているので、クルマが置けるけど、人が宿泊することを考えていない施設もあるので注意が必要だ。よく概要をチェックしよう。また、完全に車中泊できる場所の登録がまだ少ないので、他のサービスと併用するのがいいだろう。

これまで提供してきたサービスに車中泊スペースを追加する企業もある。ユーザーの選択肢が増え、ますます利便性が向上する

サービスエリア、パーキングエリア

高速道路のサービスエリア・パーキングエリアを宿泊地としているユーザーは多い。高速道路を利用するのであれば、移動の途中にあるので利便性は高いといえるだろう。実際、車内で寝ていると思われるクルマが夜になると増えてくる光景をよく見かける。

しかし、厳密にいうと、高速道路のサービスエリア・パーキングエリアを宿泊目的で利用するのは、本来の使い方とは違っているといえるのだ。もし睡眠を取るなら、あくまでも疲れた時に仮眠するスペースとして提供されていることを理解しなければならない。

駐車スペースの数が少ない場所などは、次に利用したい人が使えなくなってしまうこともあるだろう。あくまでも公共のスペースとして、トイレへ行く、食事をする、疲れを取るなどの目的を達成できたら、次の人に場所を譲る気持ちが大切になってくるのだ。

もし仮眠するのであれば、なるべく広い場所を選び、すいている時間帯での利用をおすすめしたい。そして、朝を迎えたら、なるべく早く移動を開始すること。そうすれば、次の人が疲れてやってきても、気持ちよく駐車場と施設を利用できるようになるだろう。

高速道路のサービスエリア・パーキングエリアにはトラックが休憩していることが多い。これは法律で定められた、規定の休憩時間を確保するため。クルマによってはエンジンを掛けたままで駐車しなければならず、エンジン音が気になることもしばしばある。

そこで、仮眠するなら、大型車両の駐車スペースから離れた場所を探すのがいいだろう。さらに、トラックが横に駐車できないような場所を選ぶこともポイントになる。乗用車枠が1列で並んでいる場所などであれば、トラックが隣にくる可能性は低くなる。

高速道路のSA・PAは宿泊目的の利用はできないが、安全のために仮眠することはOK。使い方によって、旅のスタイルも変わる

道の駅

道の駅で宿泊しているクルマは非常に多い。全国各地にあり、設備も充実していて、24時間オープン、さらに無料で利用できるのがその理由だろう。観光地近くの道の駅では週末ともなると、夜間にたくさんのクルマであふれている光景がデフォルトになっている。

しかし、高速道路のサービスエリア・パーキングエリアと同じように、道の駅も宿泊目的で利用することはできない。この宿泊という定義は難しいが、あくまでも他の利用者の妨げになってはいけないということ。仮眠スペースとしての認識が必要といえるだろう。

場所によっては宿泊お断りという道の駅もある。なぜ、このような状態になってしまったのか? それは実際に利用者からの不満が出ているからと考えられる。一般利用しようとしても、滞在しているクルマが多くて利用しずらいなどの問題が起きているからだ。  そこで、多くの人に利用してもらうために、道の駅側は宿泊お断りの看板を出すことがある。もちろん、公共の場所として解放されているので、利用を制限することは難しいが、あくまでルールとして捉えて、困っている人がいることを理解しなければならない。利用する場合は、長時間、連泊などの利用を控えて、目的を達成できたら、次の目的地へ移動することを心がけておこう。そうすれば、多くの人が道の駅を利用することが可能になる。高速道路のサービスエリア・パーキングエリアと同じ考え方だ。

一方で宿泊を歓迎している道の駅も存在している。できれば、宿泊はこのような道の駅を積極的に利用するのがいいだろう。また、道の駅は地元の名産を扱っていることも多いので、地場産を買って、夕食や朝食に食べることで旅を満喫するというのもおすすめできる。

SA・PA同様、道の駅は宿泊目的の利用はできないことになっている。しかし、一部では車中泊歓迎の場所もあるのだ

第2回では、車中泊スペースの見つけ方や、泊まる際の注意点などを紹介する。


別冊山と溪谷『CAR CAMPING アウトドアを楽しむための車中泊』

別冊山と溪谷『CAR CAMPING アウトドアを楽しむための車中泊』

キャンプ・釣り・登山・自転車・スキー・スノーボード・ウォーター系(サーフィン、カヌー、カヤック、SUP)、山岳&自然写真など、アウトドアを趣味としてディープに楽しんでいるユーザーの車中泊カスタム実例にフォーカス。軽自動車から普通車ワンボックス、バンコンなどのキャンピング車まで、お金をかけずにできるライトカスタムから、本格キャンピング仕様まで詳しく紹介します。また、Youtubeで人気の「クルマで日本一周旅」から、クルマで日本一周旅をしたい人に向けて、有益な情報をしっかり解説します。車内のDIYやカスタムポイントもまとめているので、車中泊に必要な情報がまるわかり!

山と溪谷社 編
発行 山と溪谷社
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