行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
菅の台バスセンター駐車場を目指す。300台、普通乗用車800円/1日。菅の台バスセンター駐車場が満車の場合は、係員が別の駐車場へ案内するとのこと。ただし、起点とするならばここがベスト。激込みなので深夜のうちに到着することをお勧めする。24時間営業。トイレあり。
この登山記録の行程
千畳敷駅(06:30・・・駒ヶ岳神社(06:32)・・・極楽平(07:03)・・・サギダルの頭・・・三ノ沢分岐(07:16)・・・宝剣岳(07:45)・・・天狗岩(08:04)・・・宝剣山荘・天狗荘(08:09)(休憩~08:28)・・・駒飼ノ池(08:56)・・・濃ヶ池(10:01)・・・濃ヶ池分岐(10:17)・・・馬ノ背・・・(11:20~昼食11:42)・・・木曽駒ケ岳(12:30)・・・駒ケ岳頂上山荘(12:54)・・・中岳(13:03)・・・宝剣山荘・天狗荘・・・乗越浄土・・・勒銘石・・・伊那前岳(13:46)・・・勒銘石・・・乗越浄土・・・八丁坂・・・千畳敷駅(14:40)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
敢えて登らずに「とっておき」として大事にしてきた山がある。そのうちの一つが木曽駒ヶ岳と宝剣岳。
ついにその封印を解くべく、駒ケ根へとやってきた。
駒ケ根は、自分にとって人生の中で大事な時間を過ごした懐かしい場所でもある。
深夜の駒ヶ根インターを降りて、バス乗り場「菅の台バスセンター」へと向かう。
三連休の混雑を予想して、早めに着くように高速を飛ばしてきたが、深夜2時の時点で既に満車に近かった。恐るべし木曽駒ヶ岳。
幸い奥の方に若干の余裕があったので、なんとか車を停めることができた。
車の外に出ると、日中の熱が残っていてムシっとしていた。夜のうちに場所取りをしようと、チケット売り場の前にザックを並べた。売り場の前には、30人ほどの列ができていた。4時45分販売開始の予定なので、並んでいる人達は夜通し座り込んで待つのだろう。まるでiPhoneの新型発売日のようだ。
予め前売りチケットを予め購入している人もいるようで、バス乗り場の方にも同じような列ができていた。効率よく動けるよう、バス乗り場の列側にも仲間のザックを分散して置くことにした。そのまま並んで夜を明かしても良かったが、2時間以上もあったのでいったん車に戻って仮眠をとることにした。
4時少し前、「ガヤガヤ」と人の声で目が覚めた。駐車場の奥の方までチケット売り場の列が延びていた。ザックで場所取りをしておいて正解だった。
4時ちょうどにチケット売り場の明かりがつき、ガラガラとシャッターが開いた。混雑回避のためか、予定よりも30分早くチケットの販売が開始された。
バスとリフトの往復で合わせて4,710円(シーズンなどで価格変動あり)。モンベルの割引を期待してカードを見せたが、「対象期間が過ぎています」とあっさり言われてしまった。「モンベルよ、もっと頑張ってくれ」
チケットを購入してバスの列に並び直す。あっという間にバスの列も長蛇に伸びていく。その中に、どうみても山登りには不釣り合いな集団がいた。木曽駒ケ岳の千畳敷へは、多くの観光客も訪れるので、必ずしも登山スタイルである必要はないが、5・6人の集団で、よく見ると着物を着た女性や変な箱を背負った男性も混じっていた。まさか、まさかの「鬼滅の刃」のコスプレ集団だった。今更感もあるが、とりあえず面白いので写真に収めておく。確かに炭治郎の木箱はザック代わりに最適化も知れない。笑。
そうこうしているうちに始発のバスがやってきた。混みあうシーズンはバスもロープウエイも短い間隔で臨時運行を繰り返してくれるので有難い。ただ、それでもロープウエイは激混みになり、特に下山時は観光客も加わり2時間待ちはざらとなるので、時間設計をしておかないと帰路に影響が出るので要注意だ。
バスは30分ほどでロープウエイの「しらび平駅」へと到着した。
バスを出ると、流れるように誘導され、そのままロープウエイへと乗り込んだ。コロナ禍ですっかり距離をとることが当たり前になっていただけに、最近経験していなかったギューギュー詰めに少々抵抗を覚えた。
全員が乗り込むと、ロープウエイがゆっくりと動き出した。
千畳敷駅までの切り立った崖のような斜面を僅か7分ほどでのぼって行く。人混みで良く見えなかったが、窓ガラスの向こうには南アルプスの山なみが良く見えた。
駅を出ると、ポスターのような美しい千畳敷の風景が広がっていた。
何年ぶりだろうか。思い入れのある場所だけに、登山もしていないのに感極まりそうだったが、見上げるとモルゲンロートで赤く染まった宝剣岳が目に入り、ついに「とっておき」解禁と武者震いがした。まさに剣のように鋭い頂だった。
千畳敷駅左の石段を上がり、駒ヶ岳神社に参拝。ここから登山開始となる。
右に「宝剣岳」、左に「空木岳」と看板に書かれていた。コースはリーダーにお任せだったが、混雑を避けるために最初に宝剣岳を登ってしまおうと、ここは左へと進む。
氷河によってU字に削られたカール独特の地形。最初はU字の底に沿ってゆっくりと進み、そして一気に空に向かって急な壁を登って行く。
稜線の「極楽平」に到着。
たどり着いた瞬間、稜線の向こう側に御嶽山が大きく聳えているのが見えた。後ろを振り返ると、登ってきた方角に、雲海に浮かぶ南アルプスの峰々が朝日を浴びてくっきりと見えていた。大好きな甲斐駒ヶ岳。南アルプスの後ろには、八ヶ岳や富士山も見えた。
なんと贅沢な風景だろうか。
いよいよ待ちにまった宝剣岳へ向けて稜線を歩き出す。
宝剣岳は中央アルプス三大岩峰の一つ。ほどなくして岩稜地帯へと入った。
油断はできないが、鎖もしっかりしているので、それほど危険な場所はないと言った印象。個人的にはアスレチック感覚でむしろ楽しい。
頂の手前で、せり出した大きな岩を見つけた。
「そうこれ!」
この岩にずーっと登りたかった。
岩の上に立つと、南アルプスを背景にまるで雲の上に立っているかのような写真が撮れる。太陽を背にしているので逆光でシルエットになってしまうが、むしろ顔が移らない方がかっこいい。このまま崩れたら即死だなと思いながらも、天空を独占したような感覚はやめられないと思った。
宝剣岳の頂でも岩の上に乗って記念撮影をする。そのまま反対側にある宝剣山荘へと降っていく。宝剣山荘は宝剣岳の直下にあるので、小屋を見下ろしながら岩稜を降っていく感じが何ともいい。どとなく奥保高を思い出した。
バス乗り場で見た鬼滅の刃チームも登ってきたようで、登山者に囲まれながら撮影会をやっているのがみえた。
宝剣山荘で記念の山バッチを購入。休憩をとったのち、お池巡りに出発。伊那前岳に向かう列から離れ、谷の方へと降っていく。地図読みで予め地形は頭に入れていたが、実際に降ってみるとかなりの高低差だった。
干上がった駒飼ノ池を過ぎて、更にもう一段降って今度は左側に見えている「馬ノ背」に向かって登り返す。
途中、道を誤って涸れ沢を登ってしまったが、それ以外は道も明瞭で全体的に緩やかな登りで歩きやすかった。逆コースの方が体感的にキツイだろうと思った。
濃ヶ池で小休止をとる。周囲の樹々が気持ち色づき始めていた。あと2週間もすれば木曽駒ケ岳も紅葉に包まれるに違いない。
濃ヶ池分岐から馬ノ背に沿って木曽駒ヶ岳へ向かって縦走する。
天空の縦走路。アルプスの醍醐味は、なんといっても縦走だ。
先ほど歩いた濃ヶ池が、左眼下に小さく見えた。
お腹が空いてきたのもあって足が重い。木曽駒ケ岳の頂を捉えてもなお、最後の道のりがとても長く感じた。
時間が経過して、雲がどんどん競り上がってきた。雲との競争になり、ラストスパートで頑張ったが、残念ながら一歩及ばず。頂に到着した時にはガスの中だった。
木曽駒ケ岳、標高2,956m。木曽山脈(中央アルプス)最高峰のありがたみを実感しつつ、もう少しゆっくり頂を堪能したかったが、雲が取れる気配はなかったので、「木曽駒ヶ嶽神社」にお参りをして、早々に降ることにした。
駒ケ岳頂上山荘を経て登り返しで中岳へ。
駒ケ岳頂上山荘の奥には沢山のテントが並んでいた。3,000m級でのテント泊。久しぶりに星空を眺めながら仲間とテン泊を楽しんでみたいものだ。
続いてもうひと踏ん張りで、中岳を越える。山と言うより小さなピークといつもならいうところだが、そろそろ足にも疲れがたまり、頂手前で息が上がりそうになった。
木曽駒ケ岳と同じくガスガスだったが、中岳の山頂で写真を撮って、宝剣山荘へと降った。
宝剣山荘まで戻ると、雲はなく伊那前岳方面も綺麗に見えていたので、予定通り足を延ばすことにした。
伊那前岳は、目の前に見えていたが実は意外に遠かった。しかし、稜線はとても素晴らしかった。右手眼下に見えるロープウエイの千畳敷駅から、時々、館内放送がこだまして聞こえてきた。既に降りのロープウエイで大きな待ち時間が発生しているようだった。
伊那前岳の山頂からは、駒ケ根の市内が良く見下ろせた。いつもは駒ケ根サービスエリアから見上げていたが、今はその逆にいると思うと不思議な感じがした。今度、駒ケ根サービスエリアに立ち寄った時には、また違った風景に見えるかも知れない。
もう少し余韻に浸りたかったが、帰りの時間が気になったので、急いで乗越浄土へ戻り、八丁坂から千畳敷駅へ向かって降る。八丁坂はもはや坂ではなく崖と言ってよいと思う。その代わり、ここから見下ろす千畳敷の風景が、何とも言えずスケールが大きくて心に焼き付いた。
とっておきの山の一つ、木曽駒ケ岳と宝剣岳を堪能した最高の一日だった。
後日談として。。。
下山後、高速で帰ろうと乗った瞬間。魔の交通事故渋滞に巻き込まれて、数時間、足止めを食らった。1時間で1kmも進まずイライラもMAX状態。「折角の山の想い出が、なんてこったい」と思っていたが、その渋滞のお陰で面白い土産話ができた。
渋滞解消後に、立ち往生ですっかりガソリンを使い切ったので、一番近かったサービスエリアのガソリンスタンドに立ち寄った。この時、接客してくれたおじさんがこれまた不愛想で、一瞬かちんと来たが、顔を見てびっくり。
「●●さんじゃぁないですか!」
遠征で来た遠く離れた地。時間は23時手前。深夜のガソリンスタンドで、偶然に知人(先輩)に会うなんて。先輩も「どうしてこんなところにるんだ?」と驚いていたが、これもまた山旅の良き思い出になった。
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