行程・コース
天候
晴れ、ただし山頂はホワイトアウト
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
滝沢登山口(たきざわとざんぐち)駐車場は、冬季通行止めにつき注意。今回は、滝沢(たきざわ)グラウンド駐車場を利用させて頂く。登山口(林道入口)まで近く、トイレもある。20台程度で無料。緯度経度(37.030021 139.394098)。
この登山記録の行程
滝沢グラウンド駐車場(06:18)・・・駒ヶ岳登山口(06:26)・・・滝沢登山口(06:58)・・・水場(08:16)・・・駒ノ小屋(09:15)・・・会津駒ヶ岳(09:31)・・・駒ノ小屋(09:55)・・・水場(10:53)・・・滝沢登山口(11:45)・・・駒ヶ岳登山口(12:10)・・・滝沢グラウンド駐車場(12:16)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
(今回は山日記と言うより温泉旅行記メインかも)
先だっての日光白根山では思いがけず吹雪の中を歩いたが、まだ雪山と呼ぶには程遠く。アイゼンとピッケルが活躍する本格的な雪山が待ち遠しかった。
そんな時に、ふとYAMAPで安達太良山の雪山レポが目に付いた。レポの直後に12月とは思えない気温が続いたので融けている心配もあったが、これはもう行くしかないと土曜日のうちに福島へと向かった。
安達太良山へ向かう途中、郡山にあるジャンボ餃子のお店「福龍餃子館」に立ち寄った。TV番組「バナナマンのせっかくグルメ」で取材を受けたお店で、肉汁が飛び散る映像が食欲をそそり是が非でも食べたいと思っていた。お昼時を少しずらして13時に到着。TV取材を受けたお店にありがちな大混雑かと思いきや、駐車場はがら空きだった。一瞬、「定休日か?」と思ったが、入口には「営業中」の札がぶら下がっていた。一抹の不安を抱えつつ隅っこのテーブルに座り「焼き餃子定食」を注文。3種類の味から選択できる仕組みで、好みから「セロリ入り」を注文した。あまりにもお客がいなくてビビったが、接客をしてくれたおばさんはとても優しくて、料理もおいしかった。餃子のたれもつけずに、中に閉じ込められた味付きの肉汁だけで食する餃子はとても斬新だった。
食事を終えて、安達太良山へ向かうべくエンジンをかけるが、既に視界に入っている安達太良山にはどう見ても雪が少ない。やはりかなりの勢いで融けてしまったようだった。
時計はまだ14時前。「よし」とおもむろに方向転換。
安達太良山の目前まで来ておきながら、大胆な方向転換だが、新潟県境付近ならきっと雪もあるだろうと、南会津の名峰「会津駒ケ岳」に目的地を変更した。距離にして約130km。時間があるとはいえ、正直者、もの好きで(山)バカ者だ。
時間があるついでに以前から行きたかった南会津の秘湯「湯ノ花温泉」に立ち寄ることにした。田代山登山口の手前にある暗線で、登山時に横を通り過ぎながらも、なかなか入る機会がこれまで無かった。
夕方の5時に到着。スマホのナビで「石湯」を検索して、導かれるままに集落を進み、橋を渡った畑の脇に車を停めた。
湯ノ花温泉は、田代山を源流とする湯ノ岐川沿いに4つの共同浴場(弘法の湯、湯端の湯、天神の湯、石湯)がある。秘湯と言われる所以として、一日入浴券300円(大人)を購入すればその日のうちであれば何回でもどこへでも入浴できるという、この物価高のご時世にありえない有難い価格設定になっている。ちなみに、天神の湯と石湯は混浴になっていて。これも秘湯と呼ばれる理由の一つになっている。
車を停めたはいいが、看板らしきものは無く不親切極まりない。川沿いにそれっぽい建物が見えたので、畑の横の道を降って行ってみると、小さな掘っ立て小屋に「石湯」と大きな文字が書かれていた。
入口の扉にチケットに関する説明書があった。予め近くの取扱店で購入する必要があるようで、温泉宿のリストが書かれていたが、肝心の地図がないのでどこがどこだか分からない。
仕方ないので、扉を開けて中に入ってみると、幸い地元のおじいさんが一人温泉に浸かっていたので、聞いてみると「岩湯の手前にある階段を登った民家でチケットを売っている」とのこと。
早速行ってみると、確かに玄関に「チケット販売所」と書かれた張り紙があった。
しかし。ここからが大変だった。
「ごめんください!」と呼ぶこと20回。奥からTVの音が漏れ聞こえてくるので不在ではないと思うが、呼べど叫べど全くの無反応。更に声を張り上げて「すみませ~ん!」と叫ぶこと10回。それでも出てくる気配は無かった。
諦めて他にも販売している家がないかと探してみたが、日も暮れてどんどん暗くなる一方で、それらしい場所の見当もつけられない。心もとなくなり、もう一度、先程の家に戻ることにした。今度はダメもとでお勝手口に回り込み、引き戸を開けながら大きな声で叫んでみた。数回叫んで心が折れそうになった時、ようやく「は~い」とおばあさんの返事が聞こえた。耳が遠くて聞こえなかったとか。
おばあさんの説明によると朝の掃除時間を除き、岩湯は24時間入浴可能。その他の3つは、夜の10時までと言う。どのみち今日は急ぎ旅ではないので、ゆっくり4つの温泉を楽しむことにした。
チケットを購入して石湯へ戻った。
小屋の中央には小さな湯船が一つ。その奥につい立があり、そこから先ほどのおじいさんが顔を出し、「おう、戻って来たか。こっちにこい!」と声をかけてくれた。「つい立ての奥で何をしているんだ?」といぶかしげに思ったが、おじさん曰く手前の湯船は熱すぎて入れないという。足を入れてみたが、確かに長時間いれる温度ではなかった。つい立ての奥にはちょうどタタミ1畳分の小さな湯船があった。手前の湯船からお湯を引き込み温度調整しているらしい。足を入れてみるとなるほど丁度いい温度。しかし、深さが30cm程度しかなくお風呂と呼ぶには浅すぎた。おじいさんの説明ではお互い頭と足を交互にして寝そべるように並んで入ると丁度いいんだとか。
一瞬たじろいだが、見知らぬおじいさんと寄り添うように温泉に入るのもまた旅の興。かくし、いろんな話をしながら、2人並んでゆっくり温泉を堪能した。
「4つの温泉のうち岩湯だけが泉源が異なり、熱がこもるお湯室だから長く入っていると湯あたりするぞ!」とおじいさんが言ったので、服を着替えて残りの3つを巡ることにした。
弘法の湯と天神湯へは、星商店というお店の前に車を停めるとアクセスしやすい。湯端の湯は少し離れているので、車で移動した方が良い。建物の前に数台程度の駐車スペースもある。
4つの温泉を巡り、個人的には、混浴であることは別として、岩湯と天神の湯が秘湯としての風情があり、やはり一番良かった。
その後、会津駒ケ岳の登山口に近い道の駅「尾瀬檜枝岐」に向かい車中泊をした。
温泉で出会ったおじいさんに「氷点下になるから寒いぞ!」と脅されたが、予想に反して寒さを感じることなく寝袋に潜り込み朝まで爆睡することができた。
翌朝、早めに起点となる無料駐車場へ移動。ほんのりと明るくなるのを待って歩き出した。
凍ったアスファルトに滑らないよう注意しながら林道を登って行く。冬の場合、ショートカットが使えるようになるが、まだ積雪が充分ではなかったためここは無理をせず林道沿いに登って行く。
蛇行する林道を登って行くと、急斜面に取り付くための階段が見える。これが会津駒ケ岳の登山口となる。装備を整えて、いざ山へと階段を登って行く。
最初はほとんど積雪が無かったので、行けるところまで進み、雪が出てきたところで今年初のアイゼンを装着。雪面に食い込むアイゼンの歯がサクサクっと心地よく、やっとこの季節がやってきたのかと嬉しくなった。
会津駒ケ岳の登りはたおやかな山頂に相反して息もつかぬ急登が続く。楽園にたどり着くには、試練を越えていくというのが定石か。
久しぶりのアイゼンで歩き方が悪かったのか、かかとに靴ズレができてしまった。歩くたびに痛みが走ったが、それさえも楽しい。
「水場」の標識を見て小休止。
ここまで来れば山頂もかなり近い。ちなみに水場は50mほど降ったところにあるが、真夏の暑い時期に来ると、これがまたヒンヤリと冷たくびっくりするほど美味しい。50m降る価値は絶対にあるので、是非、試して欲しい。
ここまで順調に、青空の下、登って来たが、山頂手前で文字通り雲行きが怪しくなってきた。山頂方面が真っ白な雲で覆われているのが見えた。
楽しみにしていた燧ヶ岳方面も雲で覆われている。このために来たと言っても過言ではないのに残念で仕方が無かった。
駒の小屋を通り過ぎて直接、頂へと向かう。小屋から続くなだらかな斜面を登って行くと、ついに真っ白な世界に突入して、どこを歩いているか分からなくなった。それでも上へ上へと歩いていると、やがて頭まですっぽりと雪に埋まった頂の標識が見えてきた。会津駒ケ岳の「会津」の文字だけがかろうじて見えている。
いつもであれば、更に奥にある中門岳まで足を延ばすところだが、頂から先はトレースもなく完全にホワイトアウトしていたので、今日はおとなしくここで折り返すことにした。
冬季で閉鎖された駒の小屋まで戻り、壁を風よけにしながら昼食をとった。
暫く頂の様子を眺めていたが、雲が取れる気配は一向になかったので、早めに下山をすることにした。
会津駒ケ岳から眺める純白の燧ヶ岳を楽しみにやってきたが望み叶わず。でも、まぁ、今回は秘湯と今年最初のアイゼンが堪能できたので良しとしよう。
(後日談、メインで使っていたカメラのメモリが壊れてしまい折角とった写真がパァーになってしまった。そういう意味では絶景でなくて諦めがついた。笑)
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