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富士登山持ち物ガイド

日本の最高峰・富士山に登るには、
無理のない計画と相応の体力にくわえて、
着用する服装と持っていくものが重要になります。

「服装」編

汗ばむ道中と
真冬並みの頂上への対策を!

富士登山で最も気をつけなければならないことが、山中の寒暖差が激しいこと。出発時は、日差しがあるとTシャツ1枚で行動できる場合があります。しかし、7~8月の富士山頂の平均気温は、5℃前後で、東京と大阪の12月の平均気温に匹敵します。この寒暖差に対応するために、身につける衣服の重ね着(=レイヤリング)が重要になります。

衣服の種類

ベースレイヤー

直接肌の上に着ることで、かいた汗を素早く吸収してくれます。濡れても乾きやすい速乾性があるものを選びましょう。ポリエステルやウールのウェアがおすすめです。

ミッドレイヤー

寒さを感じたときにベースレイヤーの上に着ます。着たまま行動しても暑くなりすぎない適度な保温性が必要で、フリースやジャケットが当てはまります。

保温着

ダウンや化繊綿が寒さを防ぐ層で体温低下を防ぎます。ミッドレイヤーと違い、休憩中や御来迎待ちのタイミングなど、主に行動していないときに着ます。

アウターレイヤー

雨や霧で衣服を濡らさないための服で、いちばん上に羽織ります。防風性・防水性が高いレインウェアが基本です。雨の予報でなくとも必ず携行しましょう。

パンツ

生地に速乾性があり、ストレッチ性の高いものをチョイス。寒い夜間に行動するときは、パンツの下にタイツをはくと快適です。

その他ウェア類

帽子は日除け用のハットと寒さ対策用のニット帽を用意しましょう。グローブは雨風を防ぎ、寒さを和らげる役割。肌の露出を少しでも抑えましょう。

標高別の
レイヤリング例

①五号目付近(標高1500m程度)

登り始めは薄着でOK
天気にもよりますが、晴れていて風がなければ上着はベースレイヤー1枚で充分なことが多いです。パンツも1枚でちょうどいいことが大半。スタート時からミッドレイヤーを着る、ロングパンツの下にタイツをはくなど、重ね着をしすぎると汗をかきすぎて、汗冷えを招くことになります。

②山小屋での休憩時(標高2800m程度)

肌寒さを感じたらミッドレイヤーを重ねる
標高が上がると気温が下がるので、寒さを感じるようならベースレイヤーの上に保温性のあるミッドレイヤーや、風を防いでくれるアウターレイヤーを重ねましょう。薄手のウインドブレーカーを着るのもよいです。立ち止まった時に寒さを感じるようであれば、面倒でも休憩時だけ保温着を着用して、体を冷やさないようにしましょう。

③早朝の山頂(標高3500m程度)

保温着以外をすべて身につけて出発
御来迎を見るために早朝行動する場合、ミッドレイヤーの上にアウターレイヤーも重ねて、保温着以外のウェアをすべて着込んで行動しましょう。耳まで覆うニット帽をかぶりグローブも装着。風がある場合はネックウォーマーがあると首元が温かいです。頂上で御来光を待つときは、アウターの下に保温着を着て、寒さに耐えましょう。

「持ち物」編

登山靴とバックパックは
店頭で買いましょう

衣服と同様に重要になってくるのが、登山靴とバックパックです。登山靴は富士山の砂礫や岩の斜面を歩行するのに適したものを、バックパックは山小屋泊に適した20ℓ前後のものを選びましょう。どちらも長時間身につけるものなので、登山用品店で実際に試用してみて、自分にフィットしたものを選びましょう。

登山靴

スニーカーには防水機能が備わっていないものが多く、ソールが薄くて足裏が疲れてしまいます。防水性があり、厚いソールでクッション性に優れる登山靴ないしはトレッキングシューズを選びましょう。富士山の登山道には砂が多いので、内側に砂利が侵入しにくい足首を覆うミッドカットかハイカットタイプがおすすめです。

バックパック

基本的に、富士登山に必要な装備は20ℓ程度の容量で収めることができます。パッキングできない場合は荷物を持ちすぎかもしれないので、持ち物を見直してみましょう。家族や仲間の荷物を背負うようなら30ℓ前後も選択肢に入ります。しっかりしたヒップベルトが付いていると腰に荷重を分散できるので、バックパックをラクに背負うことができます。

装備一覧

そのほかの持ち物

ここまで紹介してきたもの以外にも、必要なものはたくさんあります。下記の表にまとめましたので、登山前にチェックしましょう。

◎・・・・・・必ず持つ
○・・・・・あると便利

品名 必要度 備考
レインカバー 雨が降ってきたときバックパックにかぶせる。バックパックと荷物が濡れるのを防ぐ
帽子 熱中症予防に。ハットは首筋の日焼けも防ぐことができる。防寒用にニット帽も用意
マスク 砂ぼこりから口元を守る。ネックウォーマーなどでもOK。今年はコロナ対策のためにも携行
トレッキングポール あると登り下りがラクになる。長さを調節できるモデルが使いやすい
水筒 軽いソフトボトルが人気。お湯をもらえる山小屋に泊まる場合は保温ボトルもあり
行動食 手軽に食べることができるパンやおにぎりなど。甘いものや塩気があるものをお好みで
地図 スマートフォンの地図アプリも役立つが、バッテリーを節約するために紙地図も用意
汗拭きシート 市販のシートを必要な枚数だけ密閉袋に入れて持つといい。山小屋でさっぱりできる
ビニール袋 濡れた服やレインカバーを入れる、下山時に汚れたスパッツを入れるなど、なにかと便利
スキンケアセット 日焼けや乾燥といった肌へのダメージをケアする
S字フック 貴重品を入れたサコッシュやヘッドライトなど、よく使うものを吊るしておける
耳栓・アイマスク 山小屋での睡眠・仮眠に活躍。音や明かりを気にせずに休むことができる
現金・小銭 トイレの使用には100円が必要。クレジットカードに対応していない山小屋もある
モバイルバッテリー コンセントが使える山小屋は少ない。主に携帯電話(スマートフォン)の充電用
アームカバー ベースレイヤーに半袖シャツを選んだときに使う。腕の日焼けを防ぐことができる
替えのベースレイヤー 汗以外に雨や霧で濡れてしまったときに着替える。コットンが含まれているものはNG
グローブ 防寒用に防水性のあるレイングローブが1セットあるといい
サングラス 主に紫外線の影響が目を守るために着用。UVカット機能が付いているものを選ぶ
タオル 行動中にかいた汗を拭く。乾きやすいものなら薄手の手ぬぐいなどもあり
スパッツ 足元に装着して靴の中に雨水や砂が侵入しないようにする。パンツの裾が汚れない利点もある
水(1ℓ) 行動中に補給する水分。山小屋で買い足すことができるので、用意する目安は1ℓ
非常食 予期せぬケガなどで予定どおり下山できない場合を想定して、行動食を1日分多く持つ
腕時計 登山用でなくても問題ないが、防水性があると安心できる
ウエットティッシュ ほとんどの山小屋に洗面所がない。あっても貴重な水を節約するために必要な枚数を持つ
日焼け止め 標高が高い場所は紫外線の影響が強いので男性も必須。日焼けすると疲労も蓄積する
サコッシュ 山小屋の中を移動するとき貴重品などを入れて持ち運べる
カイロ 山頂で御来光を待つとき、体を温めることができる
保険証 ケガをすることもありうるので必ず用意。コピーでもいい
ファーストエイドキット 絆創膏や常備薬など、使える範囲で必要最低限のアイテムを準備
携帯電話(スマートフォン) 緊急時に救助を要請するなど、登山に欠かせない連絡手段。地図アプリも活用できる