行き先の積雪状況やルート状況を確認して残雪期登山のリスクを念頭に慎重な行動を 島崎三歩の「山岳通信」 第300号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2023年5月25日に配信された第300号では、第300号配信を迎え、令和2年~4年の3年間について長野県内の日本百名山における山岳遭難発生状況を長野県警察本部山岳安全対策課の山岳遭難統計を併せて発表している。

 

5月25日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第300号では、期間中に起きた2件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 5月11日、北アルプスの烏帽子岳で、2人パーティで入山した29歳の女性が、烏帽子岳からブナ立尾根を下山中にスリップして滑落・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して女性を救助した。

烏帽子岳の遭難現場の状況/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)5月15日付

  • 5月21日、北安曇郡白馬村地籍北股入北方の山林内で、山菜採りのために入山した61歳の男性が、急斜面でスリップして滑落・負傷する山岳遭難が発生。北アルプス広域消防本部員が出動して男性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

5月2週は、1件の山岳遭難が発生しました。2週末は、標高の高い山域では降雪が確認され、多いところで約20センチメートルの積雪がありました。今後、登山を計画されている方は、行き先の積雪状況やルート状況を確認し、残雪期登山のリスクを念頭に慎重な行動をお願いします。

5月3週は、山菜採り中の滑落遭難が1件発生しました。本格的な山菜採りシーズンとなりますが、昨年、県内では9件の山菜採り遭難が発生し、うち2件は死亡・行方不明となっています。山菜採りに出掛ける際は、「行き先と予定を家族や友人に伝える」、「なるべく複数人で入山し、互いに声や目の届く範囲で行動する」、「急斜面には立ち入らない」、「熊等の野生動物に注意する」の4点に注意しましょう。

そのほか遭難には至っていませんが、「複数人で山菜採りに出掛け、一緒にいた仲間とはぐれてしまった」、「登山中に道に迷ってしまった」との届出がありました。いずれも無事下山して事なきを得ましたが、万一自力で下山できない場合には、通報時間が日没間際だったため、夜間又は翌日早朝からの救助となり、一晩その場でビバークをせざるを得ない状況になった可能性があります。

登山や山菜採りに行かれる際は、日帰りの計画でも上記の装備に加えてビバーク装備(防寒着、ツエルト、非常食・飲料)を最低でも携行し、万一のアクシデントに備えましょう。また、日中は気温が上昇しやすいので、行動中はこまめに水分・塩分を補給し、熱中症対策も忘れずにお願いします。

 

「島崎三歩の山岳通信」第300号配信記念の特別編集

令和2年9月29日第200号配信から皆様にご覧いただいて、今回第300号配信を迎えました。週間山岳遭難発生状況をお伝えしてきましたが、令和2年~4年の3年間について長野県内の日本百名山における山岳遭難発生状況を長野県警察本部山岳安全対策課の山岳遭難統計より集計・抽出しました。

⇒長野県内の日本百名山における山岳遭難発生状況はこちら(PDF)

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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