装備は自分で試して実践で改善。低山トラベラー・大内征さんの単独行装備を拝見【山と溪谷2024年2月号特集より】

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『山と溪谷』2024年2月号の特集「単独ハイキング入門」では、ひとりで山を歩くために必要な「装備」「計画&行動」「リスク対処」について解説。装備編から、低山トラベラーで文筆家の大内征さんの装備紹介ページを見てみよう。

文=大関直樹、写真=小山幸彦

装備は自分で試して「ものさし」をつくり、実践で改善する

大内 征

おおうち・せい/低山トラベラーとして〝 知的好奇心をくすぐる山旅″を探求。『低山トラベル』(二見書房)など著書多数。
低山トラベラー大内 征

山トラベラーとして、年間120日以上山に入っているという大内さん。装備に関しては、自分の納得のいくものを長く使い続けたいという。

「評判を聞いたり仲間が使っている道具を見たりしたら、自分で購入して試しています。ただし、すぐに自分に合うものは見つからないので、経費がかかるんですよ(笑)」。

なかでもこだわっているのがマットだ。体力を回復するのに睡眠は大切だが、快適な睡眠を得るにはシュラフよりもマット選びが重要だという。

「寒さで目が覚めるのが嫌なので。とにかくR 値の高いものを使っています。今は、ラブのイオノスフィアが気に入っています。ウレタンマットよりも自分に合っていて、一度これで寝たら手放せなくなってしまいました」。

また、寝るときはポリエチレン素材の収納袋に財布やヘッドランプ、ティッシュなどの小物を入れている。

「こうしておくと夜中にトイレに行くときに必要な物を探す手間が省けますし、テント内でなくしてしまうこともありません」。

単独行では、物をなくしたり忘れ物をすることは致命的だと大内さんは言う。

「以前にスマホの予備バッテリーは充電していったんですが、充電ケーブルが壊れたことがありました。それ以来、ケーブルは山行前に点検するか、2つ携行するようにしています。バッテリーは気をつける人が多いでしょうが、ケーブルは盲点だと思います」。

想定山行プラン

  • 時期:秋
  • エリア:奥秩父
  • 行程:1泊2日/毛木平入口→千曲・信濃川源流→甲武信ヶ岳→甲武信小屋(泊)→雁坂峠→道の駅みとみ

テント

居住性と耐久性、軽量性のバランスがとれたザ・ノース・フェイスのマウンテンショット1を使っている。足元よりも頭部分の横幅が広いこと、ゆったりした前室があることがお気に入りポイント。

ザック

ミステリーランチのスフィンクス60(60ℓ)

ミステリーランチのスフィンクス60(60ℓ)は、堅牢性と背負い心地が気に入っている。フロント部分の縦の大きなバーティカルポケットは、雨具や傘などがすぐに取り出せて便利とのこと。

こだわりポイント

快適な睡眠のために断熱性の高い寝具を使用

シュラフとマットは、断熱性の高さで定評のあるラブの製品を愛用。シュラフは900FPのダウンが使われ、裏地には熱反射加工が施されている。マットはR値4.8という優れもの。ピローはベルト付きでマットに固定できる。

山の水で割ったジンで至福の時間を満喫

出発前、スキットルにクラフトジン、真空断熱ボトルに氷を入れておく。さらに山行中に、その山の水を水筒に汲んでおき、テント場で水割りにする。「今は、秋田杉からつくったジンにハマっています。ほのかな森の香りが山に合うんですよ」。

装備一式の総重量は11.0kg(水・食料は除く)

  1. レインウェア ジャケットは着心地がよいミレーのティフォン、パンツはサイドがフルジップのモンベルのストームクルーザー
  2. 保温着 上はフリースの代用でオクタCPCP素材のスタティックのアドリフトクルー。下はファイントラックのポリゴンULパンツ
  3. 着替え 靴下とインナーはメリノウール製
  4. シュラフ ラブのミシックウルトラ360
  5. スリーピングマット ラブのイオノスフィア
  6. テント
  7. トレッキングポール
  8. シートパッド
  9. 傘とザックカバー
  10. グローブ メリノウール製の防寒用とレイングローブの2つを携行。寒いときは重ねる
  11. ウィンドシェル パタゴニアのフーディニ・ジャケット
  12. アタックザック 荷物をデポするときに使うが、防水なので濡れた衣類などを入れることもある
  13. ウエストウォーマー メリノウール製で行動中も着用している
  14. サンダル
  15. ピロー マットとの固定ベルト付き
  16. 三脚
  17. カメラ ペンタックスK-70
  18. タイベックシート 保温用にスリーピングマットの下に敷く
  19. 食料・行動食 アルファ米、おかゆ、ラーメン、みそ汁、缶詰、ツナパック、コーヒーや紅茶など
  20. カトラリー
  21. 炊事用具 SOTOのサーモスタックは保温もできて便利
  22. 晩酌セット
  23. 水筒 全部で4種類を携行
  24. 防水バッグ 登山靴を入れるなど多用途に使用
  25. 予備バッテリー
  26. ゴミ袋 においや液漏れしない防水袋を使用
  27. 洗面用具・耳栓等
  28. ファーストエイドキット サポーターやテーピング等
  29. ティッシュ等
  30. リペアキット ダクトテープ、細引きロープ、波刃のナイフ、ヘッドランプ、ホイッスル等
  31. 文庫本

『山と溪谷』2024年2月号より転載)

プロフィール

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2024年6月号の特集は「アルプス名ルート100」。日本アルプスの名ルートを100本、編集部が厳選しました。アルプスビギナーがまずはめざしたい名ルートから、ベテランにおすすめしたい通好みのルートまでテーマ別に紹介します。北・南・中央アルプスの綴じ込みマップ付き。

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雑誌『山と溪谷』特集より

1930年創刊の登山雑誌『山と溪谷』の最新号から、秀逸な特集記事を抜粋してお届けします。

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