登山道が岩と氷のミックスとなる難しい状況の時期、慎重な歩行を 島崎三歩の「山岳通信」 第336号

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2024年4月11日に配信された第336号では、八ヶ岳連峰赤岳で起きた滑落事故について取り上げ、雪解けが進む登山道のコンディションの難しさについて注意を呼びかけている。


4月11日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第336号では、期間中に起きた2件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 4月6日、八ヶ岳連峰の蓼科山で、単独で入山した51歳の男性が蓼科山に向けて登山中、体調不良などにより行動不能となる山岳遭難が発生。男性は無事に救出された。

  • 4月7日、八ヶ岳連峰の赤岳で、2人パーティで入山した69歳の男性が赤岳地蔵尾根を下山中に足を滑らせて滑落、負傷する山岳遭難が発生した。

八ヶ岳連峰・赤岳地蔵尾根での遭難現場/長野県警察本部ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)4月8日付

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

4月1日の週は、県内で2件の山岳遭難が発生しました。

八ヶ岳連峰赤岳で発生した遭難は、地蔵尾根を下山中、凍結した登山道で足を滑らせ約100m滑落して行動不能となりました。県警ヘリコプターが出動しましたが、遭難者が滑落した先は樹林帯のため、発見には時間を要しました。その後、遭難者は県警ヘリで病院まで搬送されましたが、右大腿骨骨折を伴う重症でした。

山岳遭難で多いのが下山時の滑落です。登頂して体が疲れている状況で、凍結した登山道を安全に下山するためには、確実なアイゼン歩行技術と集中力が必要です。雪融けが進み、岩と氷のミックスとなるこれからは、中途半端な時期で難しい登山道状況になる場所もあります。経験の浅い方は入山を控え、入山される方は登山口に下山するまで集中力を切らさず行動をお願いします。

みなさん、登山中にヘルメットは装着していますか。私たちはさまざまな遭難現場を見てきましたが、「ヘルメット一つで助かった」ともいえる遭難現場が多数ありました。頭部の負傷は致命的で、たとえ救助されたとしても後遺症が残ってしまう可能性もあります。滑落、転倒、落石などさまざまなリスクに対応するために、ヘルメットを必ず被りましょう。

【参考】山岳ヘルメット着用奨励山域について
https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangaku/helmet.html

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

編集部おすすめ記事