カッコソウ咲く鳴神山で低山ハイキングを楽しむ
群馬県の鳴神山(なるかみやま)は標高930mの低山ですが、吾妻山(あづまやま)へ連なる「桐生アルプス」とも呼ばれる縦走路の一部で、古くから山岳信仰の山として知られています。近年は絶滅危惧種に指定されたカッコソウの自生地としても有名で、希少な草花の宝庫です。開花は4月末から5月上旬と、初夏の爽やかな風と可憐な花を求めてハイキングをする絶好の季節です。
文・写真=奥谷 晶
駒形登山口より登り、鳴神山山頂からカッコソウ自生地に寄り、赤芝登山口を経由する周回コースを選びました。沢沿いの林道を進むと、鳴神・吾妻ハイキングコースの標識のあるところから山道となり、新緑に輝く杉林のなかを緩やかに登ります。クサタチバナやレンゲショウマなどシカの食害を防ぐ保護ネットがところどころに設置されています。
中間点を過ぎると雷神岳神社御神水の札がある井戸があります。さらに登ると雷神岳神社広場(肩の広場)に出て、雷神岳神社の石の鳥居をくぐって登り切ると鳴神山山頂(桐生岳)です。雷神岳神社の小さな祠があります。
山頂からは袈裟丸山、日光連山が見通せます。少し西に下ったところからは榛名山や赤城山が見渡せます。
稜線を座間峠方面へ辿って、椚田峠から、コツナギ橋方面へ少し下った所にカッコソウの自生地があります。カッコソウはサクラソウ科の多年生で赤紫の花をリング状に咲かせます。地元の愛好家によって保護されており、絶滅危惧種で採取が禁じられています。
カッコソウ自生地から椚田峠に戻り、新緑の林の中を赤芝登山口方面へ下ります。赤芝登山口付近には、これも絶滅危惧種の「ヒイラギソウ」の群落がネットで保護されていました。
MAP&DATA
参考コースタイム:駒形登山口~鳴神山~赤柴登山口~駒形登山口・3時間20分
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プロフィール
奥谷晶
30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。
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