行程・コース
天候
晴れ、微風
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
関根河川公園横の水道管下広場に駐車、ここから真木林道を経て甘露水口から入山
この登山記録の行程
9月4日
関根河川公園横の水道管下広場(11:14)…(真木林道)…薬師岳避難小屋(13:40)(泊)
9月5日
薬師岳避難小屋(05:13)…甘露水口(05:24)…曲沢分岐(05:30)…ブナ台(05:49)…倉方(07:08)…薬師分岐(08:03)…薬師岳(08:15~08:25)…薬師平(08:49)…小杉分岐(09:28)…小鷲倉(10:06)…和賀岳山頂(10:49~11:07)…小鷲倉(11:43)…小杉分岐(12:15)…薬師平(12:51)…薬師岳(13:10)…薬師分岐(13:18)…倉方(13:50)…ブナ台(14:45)…曲沢分岐(14:58)…甘露水口(15:03)…薬師岳避難小屋(15:16~16:09)…(真木林道)…関根河川公園横の水道管下広場(17:53)
所要時間
林道(往路)(8.2km):2時間26分
甘露水口~和賀岳(往復):9時間39分(休憩等含む。)(コースタイム:7時間55分(1.21倍))
林道(復路)(8.2km):1時間44分
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
先ず、小路又説明看板から抜粋「1971年には第13回全日本登山体育大会が行われ、ここにキャンプし全国三十二都道府県より多くのパーティーが参加し薬師連山から秋田駒場岳 田沢湖のコースで行われた。松方会長からこのコースは全国でも最も自然の残されている貴重な登山地帯であると称賛された。」とありました。ここからの登山コースが、どれだけ貴重な登山の財産かを考えて頂けたら嬉しく感じます。
藪こき嫌いの私が、十年分の藪こきを一度にやったみたいで、疲れ果てました・・・マジで・・・
田中陽希さんの二百名山で和賀岳を知り、興味を持ちつつも、色々なサイトを見ても、情報量が少なく、ほぼ思いつき状態でチャレンジ、三度目で要約決行となった。
1度目は、平成29年7月14日、思いつき状態で、車を走らせ真木林道経由で薬師岳避難小屋まで行こうと計画したところ、出だしでゲート封鎖されており、夜間でもあった事から、周囲の状況がつかめず、その場で田代岳に計画変更。
2度目は、平成29年8月27日、高下登山口から計画。役場に状況確認したところ、8月23日の豪雨により、アクセス路が洗掘の凸凹で通行不可(車高が高い車であれば行けるかもしれないが、行くのであれば自己責任との事)を確認、車が4WDでない事と、またアクセス路の途中まで行ったところ、パイロンとバーでのゲート封鎖を目視確認、その場で断念した。
3度目は再度、真木林道経由で確実性を追求し計画。情報収集として、先ずは役場に封鎖ゲートから先の徒歩移動の可否と車の駐車場所を確認した。徒歩移動は可、但しあくまでも自己責任との事で、考えてみれば幌尻の15kmの林道歩きの距離の半分程度でもある。また、秋田県警にネットにより登山届を提出、天気予報は晴れ予報、とにかく行ってみなければ状況は全く分からず、不安を抱えつつも決行とした。
9月3日、前日移動をし、途中、真昼温泉に立ち寄り、道の駅錦秋湖にて車中泊とした。
真昼温泉:300円 ※地元住民の方の入泉マナーは、かなり厳しく、と言うよりも、我は、いつもやっている事であり、これが当たり前と感心、気持ちよく入泉できた。
9月4日、爆睡も爆睡、7時過ぎに目が覚める。真木林道入口まで車で約2時間半の行程、朝飯を作り喫食、8時30分にのんびりと道の駅錦秋湖を出発した。移動途中、ほっかほっか亭に立ち寄り、厚切りロースかつ丼と具沢山トン汁を購入、駐車予定地で喫食とした。
10時30分、関根河川公園に到着、再度役場に電話を入れ、駐車場所を確認するとともに、予定通りに入山する事を伝え、喫食後の11時14分、出発する。
薬師岳避難小屋まで約8.2km、のんびりと2時間半の見積もりである。
真木渓谷を流れる斉内川を右手に左手にと橋を渡り林道を歩く。ここで思い出したのが、幌尻での林道歩きだ。枝分かれの渓流、渓流の水音、周囲の緑と岩の景色、沢山の滝、清閑な林道、感じがよく似ている。車での移動だと、この感覚は味わえなかっただろうと思った。歩きで正解である。途中、数箇所の景勝地もあり、飽きさせない。幌尻が北海道の秘境であれば、まさしく和賀岳は東北の秘境、秋の紅葉時期は綺麗なんだろうなと想像した。
途中、ユンボによる林道崩落の補修工事をしている箇所が1箇所あり、一時器材を停めてもらい、安全に通過、丁重にお礼をする。
山だから仕方がないとはいえ、ブト、アブ、蚊のすさまじい攻撃を受ける。立ち止まり、写真を撮ろうとする数秒の間にも、手のひらにブトやアブが直ぐにもとまってくる。両腕には小さな蚊がわんさかと、とまる。右手、親指の付け根をブトに咬まれ、後々腫れ上がる結果となる。アブは10匹以上は撃墜した。
13時40分、ほぼ見積もり通りの時間で、薬師岳避難小屋に到着、ここには水場が無いため、荷物を置き、700mほど離れた所にある甘露水まで水汲みをする。甘露水口の標識からの登り口も確認、明日はここからの入山である。避難小屋自体は新しい感じで綺麗だが、中は、蜘蛛の巣や蛾、蚊、アブ、蜂等の害虫が飛び回り、また虫の死骸が酷く、先ずは清掃をする。蚊取り線香を焚き、害虫駆除、生活エリアを確保する。
今日の晩飯は、ドライカレーと味噌ラーメン。日没前に晩飯も済ませ、日没と同時に寝袋に入る。小屋内のトイレは、山水を溜めての水洗トイレであり、常時水の音が響き渡り、耳にまとわり付いてくる。時計のタイマーは聞こえないかもしれないが、早い時間に寝るので、早い時間に目が覚める事を期待し、耳栓をして就寝する。
9月5日、4時15分起床、予定よりも15分も寝坊した。朝食は、牛とじ丼と茄子の味噌汁とコーヒー。昼飯のカレーライス用のアルファー米にも、お湯を注ぎ、準備も万端、不要な荷物を小屋内にロストし、滝倉の水場で補給する事として、ハイドレーションの水量は1リットル、他にポカリスエット500cc×4、ザックを軽量化させ、5時13分、周囲が薄明るくなった薬師岳避難小屋を出発した。昨日のブトに咬まれた右手はパンパンに腫れ上がり、グローブの装着に難儀した。昨日、確認した甘露水口の標識から入山、鬱蒼とした原生林の中の登山道を登る。要所要所に標識があるので目標と距離が分かりやすい所ではあるが、滝倉の標識が、上りも下りも見つける事が出来なかった。従って、帰りの甘露水口まで、水の補給は出来ない結果となる。いつものとおり、50分行動の10分休憩を基準として行動する。
小さな渡渉箇所を越えると、藪こきが断片的に始まる。人があまり入っていない事は事前から分かっている事でもあり、ある程度の藪こきは、覚悟はしていた。
倉方まで良いペースで進んでいる。薬師岳まで45分のコースタイム。しかし、ここからが本当の秘境の始まりであった。藪は次第に濃くなり、手探り、足探り、目視で進路予想を立てて進むようになる。切り立った崖の細い登山道に出ると、要約視界が取れ出す。正面を見ると月山が見える。神室、栗駒、鳥海山も見える。焼石は真近に、一つ一つの山が見える。おおっと、左手には早池峰と薬師岳が見える。ここから見る早池峰って、でかいな〜。ひと時の清涼感で、少しは疲れが癒された。気を取り直し、薬師岳へGoひろみ。
薬師分岐からは、小鷲倉から延びる稜線と目的地の和賀岳が見えた。倉方から約1時間を掛けて、薬師岳山頂へ到着、ここから先の稜線を見ると、ず~っと藪が続いている。人が入っていないとはいえ、これは酷い・・・心が折れそうになる。とりあえず、薬師様に御酒を奉納し、山行安全と健康を祈願する。
覚悟を決めて、藪こき地獄に突入、胸元辺りまでの藪を手で掻き分け、足で見えない道を探り、目でわずかな藪の凹みを探し、薬師岳から和賀岳までの約3.8kmを前進する。薬師平から見る、小杉分岐、小鷲倉を越え、和賀岳に伸びる稜線が何とも言えない。しかし、あれ、全部藪?冷静に考えると、心が折れそうになる・・・引き返そうかとも思ったが、行ける所まで行って、無理と判断したら引き返せばいい。道は探せば有ると信じて、おっさん、頑張れ~!!自分を応援した。
薬師平からの藪は、顔の辺りまで掛かる。小杉分岐までの上り・・・帰りの事も考え、所々で、藪を折り、目印を付けて行く。小杉分岐からの稜線で田沢湖と秋田駒が見えだす。和賀山塊の朝日岳が尖っている。岩手山の頭には雲が掛かっている。小鷲倉で和賀岳が隠れる。これを登れば和賀岳は正面だ。藪をこきながらも確実に和賀岳が近づいている。順調だ。
小鷲倉を抜けると和賀岳が正面に姿を現した。山頂に先行者が1名見える。高下からの登山者であろう。こけ平に下山する2名も見える。藪も次第に消えて行き、白い登山道が和賀岳へと延びている。The road to heaven.
10時49分、計画予定時刻よりも1時間も遅れて、和賀岳山頂へ到着、360度のパノラマが待ち受けていた。先ずは、和賀岳の神様に御酒を奉納し、本日の好天を感謝し、山行安全を祈願する。先行者としばし会話すると、高下登山道のアクセス路のゲートは無くなっており、通行止めは解除になっていると言う。じぇじぇじぇ~である。先週の役場の人の話では、予算が付くまで見通しは立たないと言っていたのに・・・
気を取り直し、ビデオと写真の撮影をする。早池峰も月山も霞で見えなくなっている。田沢湖と秋田駒は良好、岩手山の頭には相変わらず雲が掛かっている。田沢湖の左手奥の森吉山の右奥に薄っすらと岩木山が見えた。ここで昼食をと考えていたが、帰りの藪こきを考えると時間が惜しい。登りで予定を1時間遅らせている。下りで、どれだけ遅れるか分からない。まだ明るいが、状況によっては薬師岳避難小屋でもう1泊する事も考えられる。食料の確保を考え、行動食に留めて、11時07分下山を開始する。この時点で、保有水量はポカリスエット500cc×2のみ、計算しながらの給水となる。帰りの藪こきは、目印を付けていたのが役に立ち、経路は明解、後は怪我の予防で足元に注意し、いつものとおり、「こけたら大怪我」を口に出し、認識する。
13時10分、藪地獄を抜けて薬師岳到着、予定では12時50分で計画、20分の遅れまで、時間を取り戻した。精神的余裕がやっと出来た思いがした。薬師様に、引き続きの山行安全祈願とお別れをする。この時点で、保有水量は、ポカリスエット500cc×1、甘露水まで約2時間の見積もりである。非常事態も考慮し大切に飲む事とする。
下山しながら考えたのが、避難小屋からの林道歩きである。幌尻の時の苦しみが思いだされる。荷物の重量は、あの時に比べれば、はるかに軽い。距離も半分だ。今日の日の入りは18時04分、少々暗くなっても林道の状態はいいし歩きやすい。ヘッドランプもある。森林香をガンガン焚いて煙を出せば、ブトやアブも近寄って来れまい。とにかく今は、安全に甘露水まで、たどり着くことに専念しようと考えた。
15時03分、無事、甘露水に到着、この時点でポカリスエットの残量は250ccくらい、一気に飲み干し、甘露水に飛びついた。最高に旨い山水を飲んだ気持ちがした。水の有難みをつくづく痛感した。林道用の水2リットルをハイドレーションに入れ、お持ち帰り用の水2リットルを確保し、薬師岳避難小屋に到着、撤収準備をする。
ザックの荷物を全てだし、パッキングのやり直しと、小屋の清掃である。トイレの水の水栓閉の確認も忘れずに行う。汗で濡れた靴下も交換する。10分ほど床の上で大の字になり体を休ませる。出発前に森林香をと・・・あれ?携帯防虫器が無い。カラビナだけが残っている。紐が切れたのか?火は消えていたから、山火事の心配はないが、ブトとアブと蚊が・・・大きく腕を振って、急いで歩けば何となる!帰るぞっ!
16時09分、気合を入れ、薬師岳避難小屋を後にした。帰り際、例の林道復旧工事現場では重機は動いてはいないが、未だ作業をやっており、お礼を言い、通過した。17時過ぎに後方から車が2台やって来た。工事現場で働いていた2名である。「乗っていけ。」とお誘いを受けたが、車に到着するまでが下山との自分流儀の登山態様を話し、「お心遣いだけ、有り難く頂きます。」と会釈をして、車を見送った。優しい人達ですね。
2度のアップダウンを乗り越え、林道を走破、帰路においてもアブを10匹以上撃墜し、17時53分、車に到着、無事下山した。
当初計画の下山予定時刻は、17時40分、時間の遣り繰りはあったが、ほぼ予定通りで進められた。
ここで着替えをと考えたが、アブが飛び回っているので、とりあえず車の中に退避、近傍の温泉をナビで探し、奥羽山荘の川口温泉に直行する事とした。
ゆっくりと温泉に浸かり、疲れと汗を洗い流した。登山の後の温泉って、本当に気持ちいいですね~。
川口温泉:500円
今回の登山の感想として、計画段階に関しては、情報収集の重要性を再認識させられました。特に、情報の少ない山では、役場の情報は、非常に役に立つものと痛感させられました。高下の通行が分かっていたならば、高下登山道を選択していたかもしれません。
今回は結果論となってしまいますが、人が立ち入らない東北の秘境を味わう事の出来た、いい感じの山行が出来たと満足しています。
装備に関しては、水の確保は出来る時にやっておく。これに尽きます。ポイズンリムーバも考える必要ありと感じました。
9月6日、皮膚科へ通院し、注射2本を打って、翌日、腫れもかゆみも引いてきました。先生からは「山に行かなければ刺されることは無い。山に行くなら覚悟してください。」と言われました。
藪地獄・・・本当に参りました。
最後に、和賀岳を計画される方へ、是非とも、真木林道は歩きで、行っていただきたいと思います。車では味わえない、自然を体感でる、素晴らしい林道と感じました。プチ幌尻を味わえますよ〜。紅葉時期は最高だと思いますよ〜。
また、薬師岳ルートに人が入って行けば、藪も少しは軽減されていくと思います。
薬師岳避難小屋も快適ですよ〜。耳栓をお忘れなく!
役場からの情報収集もお忘れなく。
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