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無雪期登山
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障子ヶ岳(紫ナデ〜山頂〜粟畑)2018 障子ヶ岳(東北)
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ブナ太郎 さん

この登山記録の行程

南俣出合(6:30)・・林道終点(6:59)・・【休10分】・・紫ナデ(9:56)【休20分】・・障子ヶ岳山頂(11:25)【休25分】・・粟畑(13:08)【休15分】・・猟師の水場(14:36)【休5分】・・南俣出合(15:57)


総距離 約15.0km 累積標高差 上り:約1,449m
下り:約1,447m
 ヒメサユリを見に障子ヶ岳を訪れた。南俣出合に車を止め,橋を渡る。コンクリートの橋桁には流木がひっかかっている。この辺りは5年前に豪雨の被害があり,それから数年間,南俣や日暮沢に車で来ることはできなかった。今はすっかり元に戻って,林道はよく整備されている。

 沢を左に見ながら林道を進む。時計は6時半を回っている。タニウツギのピンクがきれいだ。周囲の木々は,昨夜降った雨のため濡れている。林道の終点まではおよそ30分で,そこから鬱蒼とした杉林に入る。少し行くと沢を渡り,そこからつづら折りの急登が始まる。会津駒ヶ岳の直登を思わせるような登りである。ブナの大木を見ながら,じっくりと登っていく。足元にギンリョウソウを見つけた。やはり梅雨なのだ。

 右手に見える山並みは標高1000mに満たないが,今日は雲が低くたれ込めていて山頂部は見えない。天気予報では,午後には天気が回復するそうだが,展望は期待できないかもしれない。
 1時間ほど急登を耐えると,目の前が開けた。登山道の右手が一部崩落し,谷が見下ろせる。目の前には大きなブナが数本立っている。ブナの脇を通り,また登る。登り詰めると,道はいったん下る。ヒメコマツの大木の向こうに,これから登っていく登山道が見える。天気は少し回復してきて,左手に障子ヶ岳の谷筋に伸びる襞が一瞬見えた。

 ヒメコマツまで下ると,サラサドウダンが花をたわわに付けていた。色も濃いものと薄いものがある。同じ種でも個体によって違うのだろうか。ここを過ぎて道が登りになると,小さなヒメサユリが迎えてくれた。まだ咲き始めなのだろう。周囲には丈の小さな個体がいくつか,ピンクの花を咲かせている。

 登って平らな場所に出る。十数本のヒメコマツの間を抜け,また登ると残雪に出会う。これを踏んで左に下る。周囲には,カタクリ,イワウチワ,ショウジョウバカマなど春の花が咲いている。道なりに進んでブナの萎縮林に入り,鞍部まで下りると,ブナの大木の間から登り返しの急登が見える。これが紫ナデへの最後の登りである。
 この登りは何カ所かザレ場を通る。左手が崩れている箇所では気を遣うが,その分眺めは良い。時折ガスが飛んで,登ってきた稜線が見えてくる。その先には南俣の駐車場辺りも見える。登山道にはアカモノとコイワカガミがびっしりと咲いている。これだけのアカモノロードはなかなかない。

 9時56分に紫ナデに飛び出る。一気に展望が広がる。南側はガスに巻かれているが,障子ヶ岳の北側は青空である。残雪をまとった稜線が長く伸びている。三角峰から以東岳に続く長い長い稜線である。この風景が見られるとは思わなかったので,感動はひとしおである。
 紫ナデには男性が一人休んでいた。昨日天狗小屋に泊まって,今日下山するという。障子ヶ岳にはよく登っているらしく,稜線上の山々を同定してくれた。ここで20分ほど休み,おにぎりを食べる。この日はムシが多く,身体の回りにまとわりついて離れない。虫除けを用意してくるべきだったと少し後悔する。

 紫ナデからの稜線歩きは,今日のハイライトの一つである。少しずつ近づいてくる壁のような岩壁を正面に見ながらの歩きは爽快そのものである。右手には以東岳に続く稜線,左手には切れ落ちた谷とこれから周回する尾根が見える。正面に座る障子ヶ岳の頂上付近には雲がかかっていて,残念ながら山頂を見ることはできない。

 頂上へは二つの突起を越えていく。これがけっこう堪える。思ったよりも傾斜がきついのである。左手は切れ落ちた崖で,滑り落ちれば命はない。だが,下が見えないこと,道がしっかりしていることもあって不安感はない。
 何枚も写真を撮り,紫ナデから1時間ほど歩いて最後の登りにつく。ここは小槍のような突起で,これを登りきると,山頂まではもう少しである。傾斜の緩やかな道を歩いて,11時25分に山頂に着く。右手には以東岳が近い。こんなにはっきりと以東岳を眺めるのは初めてである。以東岳から大朝日岳に至る稜線は,寒江山あたりから先がガスの中である。

 山頂には単独の男性が一人休んでいた。ここで昼食を摂る。おにぎりを食べながら,ガスに巻かれたり晴れたりする稜線を眺める。残雪が筋を作った青い山並みは魅力的だ。裾野に下りるに従い,緑が濃くなっていく。
 遠くに大朝日岳が見えないかと思い,しばらく待ってみたが,山頂部はガスに巻かれたままである。止むなく意を決して粟畑に向かう。この尾根歩きも爽快である。右手に以東岳,左手遠くに雲をかぶった月山,谷に落ちる鋭い渓谷,振り返れば三角形の障子ヶ岳が大きい。
 この尾根も花が豊富だ。アカモノ,コイワカガミ,ツマトリソウ,ミツバオウレン,ミヤマキンバイなどが次々に現れる。障子池の手前には大きな残雪があり,これを越えていく。振り返ると障子ヶ岳の鋭角的な山頂部が見えた。

 ここからは登りが続く。これが足に堪える。両方の太腿が攣りそうになったため,しばらく休んで足を宥めた。切り立った稜線の先には,大きな突起が見える。それを越えれば粟畑である。この頃になると,稜線上のガスはすっかり飛び,以東岳から大朝日岳までの稜線がくっきりと見えるようになった。これほど鮮やかな稜線は初めてである。今日,ここに来たことに感謝した。
 粟畑まで登ると,道の両側にヒメサユリを見る。まだ小さく,個体も多くはない。道のずっと先には天狗小屋が見える。さらにその先には大朝日岳の三角錐も見える。時刻は13時8分である。

 粟畑から雨量観測所に向かうと,道は石畳になる。ここでザックを下ろして休憩した。青空の下,360度の展望が素晴らしい。太陽が照りつけ,身体が火照ってきたので,大量に水分を補給した。
 石畳の下りの途中には大きな雪渓が現れる。二週間前にはアイゼンが必要だったと障子ヶ岳山頂で聞いたが,今日はもうアイゼンなしで大丈夫だ。雨量観測所まで下り,広場で最後の風景を楽しみ,低灌木の中に入っていく。登山道は比較的穏やかで歩きやすい。ブナの大きな木が現れ,山腹をゆったりと巻くように進んでいく。

 途中,何度か雪渓を越える。標高1500mほどの山にしては雪が豊富だ。道を見失いそうなほど,残雪が多い箇所もある。ただし,夏道の入口にはピンクのリボンが付けられており,焦らず探せば見つかるので心配はいらない。
 雪が溶けた辺りには,たくさんの花が咲いている。ミズバショウ,リュウキンカ,ニリンソウ,サンカヨウとどれもきらびやかだ。中でもミズバショウは大群落をつくっていて,見応えがある。
 竜ヶ岳を右手に見ながら鬱蒼としたブナの森を進む。斜面を巻くようにして下りていき,雪渓を何度か横切ってようやく猟師の水場に着く。時計は14時36分である。ここで水分を補給し,また登山道を下る。見事な花畑があり,ここでニリンソウ,サンカヨウの写真を撮った。

 やがて道はブナの森に入る。ブナとミズナラの大木を見ながら巻くように下るが,左手後方には障子ヶ岳が樹間から顔を覗かせている。登山道は,朝日連峰の例に漏れず急な下りである。登りで疲弊した太腿は,下りではまだまだ大丈夫である。やはり使う筋肉が違うらしい。
 登山道にヒメコマツが現れるようになると,下りも終盤に入る。ブナやミズナラの葉で滑るような急斜面を下ると,しだいに傾斜は緩やかになって,カラマツの植林帯に入る。なだらかで歩きやすい道がしばらく続き,ブナの二次林から再びカラマツ林になると,南俣出合は近い。
 右手に砂防ダムが現れ,樹林帯に入ると細くなった道を下る。下りきったところを直進すると目の前が開ける。ここが南俣出合である。15時57分。正味8時間あまりの山旅だった。

登山中の画像
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南俣沢を渡る
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登山道に入る
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急登を行く
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ツツジ
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ギンリョウソウ
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尾根に出る
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サラサドウダン
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ベニサラサドウダン
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ヒメサユリ
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アカモノ
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白のコイワカガミ
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針葉樹の間を進む
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ウラジロヨウラク
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コイワカガミ
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紫ナデ
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以東岳が見えた
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障子ヶ岳に向かって
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紫ナデを振り返る
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障子ヶ岳が近づく
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スラブの岩壁
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ゴゼンタチバナ
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障子ヶ岳山頂
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以東岳を間近に見る
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粟畑への稜線
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以東岳
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ハクサンチドリ
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以東岳を見ながら歩く
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シラネアオイ
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障子池の向こうの障子ヶ岳
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三角の鋭峰
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朝日連峰の稜線
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障子ヶ岳
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天狗角力取山の向こうに大朝日岳
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石畳の登山道
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登山道を下る
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タムシバ
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残雪
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タムシバ
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ブナの森へ
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ミズナラの巨木
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月山が見える
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猟師の水場
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残雪を横切る
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ミズバショウ
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緑が美しい
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豊富な残雪
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リュウキンカ
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ミズバショウ
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サンカヨウ
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サンカヨウ
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ブナの道
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ヒメコマツ
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カラマツ
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南俣出合はもうすぐ
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駐車場に着く
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帰り道で見た月山
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