行程・コース
天候
初日:晴のち吹雪(-9℃)、2日目:晴れのち吹雪のち雪(-8℃)
利用した登山口
登山口へのアクセス
バス
その他:
往路:郡山駅→奥岳温泉バス停(シャトルバス)
復路:奥岳温泉バス停→岳温泉バス停(シャトルバス)→二本松駅(福島交通路線)
この登山記録の行程
【1日目】
奥岳(11:50)・・・勢至平(14:15)・・・くろがね小屋(15:30)
【2日目】
くろがね小屋(07:55)・・・峰ノ辻(08:50)[休憩 5分]・・・安達太良山(09:35)[休憩 10分]・・・仙女平分岐(10:58)[休憩 10分]・・・薬師山頂駅(11:52)・・・展望台(11:55)[休憩 10分]・・・奥岳(13:13)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
以前から泊まってみたいと思っていた、安達太良山中腹にある「くろがね小屋」。
HPで、雪の様子などを見てみると、今年3月31日を以て立て替えのため営業停止とあった。これは急がねばと予約状況を見てみたところ、3月末までの土曜は全て埋まっていたものの、平日は空いている。
なので、金曜日1日休みを取って、くろがね小屋へ行くことを決意した。
安達太良山の登山口、あだたら高原スキー場のある奥岳温泉までは、郡山からの直通シャトルバスと二本松駅前から路線バスを乗り継いで行く方法の2通りがあったので、行きは郡山からシャトルバスで、帰りは奥岳から岳温泉、二本松駅とバスを乗り継ぐことにした。ちなみにシャトルバスは予約が必要だ。
奥岳温泉にバスが到着したのは10時半ちょっと前。出発前の昼食に、スキー場のレストハウスでチキン南蛮丼を食べた。凄いボリュームだった。
レストハウス1階のベンチで装備を身につけ、スキー場正面右手にあるパトロールセンター横にある登山届け入れに登山届けを投函し、あだたら渓谷自然歩道と書かれた方に進む。
歩き始めて少しすると烏川橋に差し掛かった。レストハウスでワカンを着けてくれば良かったが、この先、良い場所もなさそうなので、橋の側でワカンを装着した。
前日の情報では、昼前に出発したワカンを装着した人の到着が16時頃になったとあったので、ラッセルは仕方ないと覚悟していたが、人気の山域だけあってしっかりとトレースは着いていた。しかし、時々、踏み抜く場所があった。
登り始めは雲が多いながらも青空が見える空模様だったが、西の空の方から曇ってきて、見る見る内に曇ってきて、鉄山が見え始めた勢至平手前で小雪が舞い始めた。
その内、風も強くなってきて、勢至平の斜面をトラバースする頃には地吹雪に変わり、前方の鉄山も見えなくなった。
勢至平のトラバースは、丁度斜面に雪が積もっているため、細く崩れやすく歩きにくい。
踏み抜きも多く、ワカンを履いていてもかなり苦労した。
ロープで囲われた水場を過ぎると今晩の宿であるくろがね小屋が見えた。
最初は小屋正面が左側を向いて見えていたが、最後の登りの頃には右側を見せる様になった。小屋の手前でワカンを外し、ベランダにある鐘を鳴らして小屋に入った。
小屋の中ではダルマストーブが燃えており、暖かかった。手続きを済ませ、8号室があてがわれた。濡れたものを干して、荷物を片付け、早速温泉に浸かる。草津温泉みたいなかなり熱めの湯で、顔を洗うと酸性が強いお湯が目にしみた。温泉には20時半までは何度でも入れる。
17時半の夕食はカレー。牛すじやジャガイモ、ニンジンがゴロゴロした具だくさんのカレーだった。お代りも自由だったので、タップリと頂いた。
小屋番さんから、今年の3月いっぱいで営業休止と思っていたくろがね小屋が、諸事情により来年の3月いっぱいまでの営業となったことを聞く。
食後、布団を敷いて、凍って雪見大福みたいにするため、窓際に明日の行動食のくるみ大福を置いた。
外に出るとオリオン座がハッキリ見えて晴れ渡っていたが、この晴れ間は一時的なもの。
明日、安達太良山山頂にアタックするかどうかは、微妙なところだ。
寝る前に長風呂に浸かり、暖かいまま布団に入った。
翌朝、目が覚めてから外に出ると、曇り空だが風はなかった。前線通過の影響で、昼頃からは確実に荒れるがアタックは可能と判断した。
朝食は温泉玉子が出た。源泉ならではの食事だ。昨日は気がつかなかったが、ダルマストーブが真っ赤に焼けている。
食後、お湯が提供されたので水筒に補充、出発の準備を整えて外に出た。
起きがけと違って、晴れ間が見え始めている。ベランダの鐘を鳴らし、雪が積もったところで昨日は着けなかったアイゼンを着けた後、ワカンと着けてフル装備。
まだ、誰も向かった跡のない安達太良山山頂に向けて出発した。
雪に埋もれたルートには竹竿や赤い布で目印が着けてあった。GPSの航跡と合わせても間違いはない。今回は、GPSとして使っているスマホが低温でシャットダウンしない様に、靴底用のカイロを貼り付けてあるので、手にするとほんのりと暖かい。
右手に鉄山の雪稜を見ながら登っていくと、前方に矢筈森、左前方に篭山が見えてきた。
さらに登ると矢筈森の影から安達太良の乳首が見えてきた。
その頃には風がだいぶ強くなってきて、青空が見えると同時にクラストの雪面がキラキラとまぶしい。振り返ると自分のトレースを同宿だった夫婦が後続してくる。
二本松方面には雲海が有り、その下は雪かなと考えた。
峰の辻に到着する頃には、安達太良山山頂はガスに包まれ始めていた。
当初、牛の背に上がって稜線沿いに山頂を目指す計画だったが、ガスの中稜線を歩くのは雪庇を踏み抜く可能性などもあるためリスキーなことと、遅くなるほど天候が悪くなることを考え、山頂へ直登することにした。
峰の辻から山頂までの直登コースは、一度下った後、岩でガレた所に風雪が凍り付いた中をワカンは着けたまま登った。
周囲の岩や中間地点の道標には大きな海老のしっぽができていて、風雪の強さを窺わせた。
目指す稜線上に見えていた太陽が見る見る太陽の中に消えていき、視界は10m弱。ホワイトアウトの中、山頂直下の尾根道標に出た。
山頂が全く見えない中、進んでいくと、すぐに山頂の標識があった。背後の乳首が薄ら見える。
ザックをデポして乳首への登頂を考えたが、それはまた次にしよう。来たルートを引き返すという夫婦と山頂手前の道標の前で別れ、薬師岳方面へ続く尾根を下ることにした。
ホワイトアウトのままであったが、下り始めは半分雪に埋もれたロープに沿って歩いて行く。少し歩くとロープは消えて、竹竿も目印もなくなったので、予めGPSにセットしておいたポイントの磁方位を確認し、コンパスナビゲーションで進んだ。ヤセ尾根などもない、ゆるい尾根なので、トレースは全くないが、危険もないと判断した。
400m程、下降したところで周りを見渡すと、左手に薄らと真横に直線状のシルエットが見えた。人工物と考えて近寄ると登山口と山頂を示す道標だった。良い精度でコンパスナビゲーションができていると思った。
この道標を過ぎて、標高が1550m位になった辺りからホワイトアウトから脱出した。周囲は霧氷の雪原で、振り返ると山頂方面は小さなスノーモンスターが群れをなしていた。
その先、尾根の真上に乗って進んでいくと、五葉松が多い林になる。
木々の間を進んでいくと、ツリーホールに落ちて胸まではまったが、ストックを足場に脱出した。
観察すると、落葉した気の回りはツリーホールがあまり目立たないのに対し、五葉松の周りはホールが大きい傾向がある。このまま進むとかなり危険だと考え、一度登り返した。
登り返した場所から、次のチェックポイントの方位を直線で結ぶと、ラインは尾根北側の斜面を通っているので、尾根直上を行くより雪は締まっているはずだと考えてそちらを進んだ。
後はひたすらツリーホールに気を付けながら樹間を進むと前方から声が聞こえた。
ほんとの空の碑の前で、この日山頂を下って初めての登山者に出会った。
碑の前で記念写真を撮ってもらった。
空は白い雪空だったので、ほんとの空は見えなかったが、再訪した時に見ることにしよう。
そこから先はトレースが続く灌木の間を五葉松平へ向けてひたすら下って行った。
五葉松平からリフトの山頂側へ進むと地形図では登山道はリフトの左岸側にある事になっているが、実際は右岸側の元ゲレンデ上を歩いて行く。
元ゲレンデを下まで歩くとリフトの山麓側で登山道の標識に従い、リフトを横切ってあだたら渓谷自然歩道に合流し、登山口まで降りた。
スキー場のレストハウスで装備を外していると、山頂で分かれた夫婦と再会し、挨拶をして分かれた。
13時30分のバスには間に合わなかったので、レストハウスで荷物を片付け、あだたらラーメンを食べた。
レストハウスで岳温泉までのバスチケットを購入し、15時丁度のバスに乗れた。
今回の山行は、あの古びたくろがね小屋解体前の駆け込みであったが、解体が来年春まで延びたことなので、次回は夏場に再訪し、ほんとの空を見ようと思う。
フォトギャラリー:48枚
装備・携行品
シャツ | アンダーウェア | ダウン・化繊綿ウェア | ロングパンツ | 靴下 | バックパック |
スタッフバック | スパッツ・ゲイター | 水筒・テルモス | ヘッドランプ | タオル | 帽子 |
グローブ | サングラス | 着替え | 地図 | コンパス | ノート・筆記用具 |
腕時計 | カメラ | 登山計画書(控え) | ナイフ | 修理用具 | 健康保険証 |
ホイッスル | 医療品 | ロールペーパー | 非常食 | 行動食 | テーピングテープ |
トレッキングポール | GPS機器 | シュラフカバー | テントマット | ストーブ | 燃料 |
ライター | カップ | クッカー | ローソク・ランタン | アウターウェア | オーバーパンツ |
バラクラバ | オーバーグローブ | 雪山用登山靴 | アイゼン | ピッケル | ワカン |
ゴーグル | ヘルメット | ||||
【その他】
装備重量:約15kg(ザック容量55L、ワカン、アイゼン、ヘルメット等、全て収納) 食料:25日昼食@スキー場レストハウス利用@チキン南蛮丼、25日夕食@くろがね小屋@カレー 26日朝食@くろがね小屋@温泉卵、26日昼食@スキー場レストハウス利用@あだたらラーメン 非常食:カロリーメイト×4、えいようかん×2、くるみ大福 水:お湯0.9L、紅茶0.5L(翌日の水はくろがね小屋で熱湯補充、使用量0.5L) その他:ハクキンカイロ |
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