行程・コース
天候
晴れたり曇ったり
利用した登山口
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
甘露水登山口手前の駐車場には十数台駐車できます。そこから徒歩10分ほどで甘露水登山口に着きます。駐車場の手前にキャンプ場があり、そこにも数十台駐車できそうですが、ここから甘露水登山口までは、徒歩で30分ほどかかるようです。
この登山記録の行程
薬師岳登山口(06:26)・・・甘露水口登山口(06:37)[休憩 4分]・・・滝倉(07:30)[休憩 3分]・・・倉方(08:08)[休憩 9分]・・・薬師岳(09:09)[休憩 3分]・・・小杉山(09:55)[休憩 10分]・・・和賀岳(11:00)[休憩 40分]・・・小杉山(12:30)・・・薬師岳(13:04)[休憩 3分]・・・倉方(13:42)・・・滝倉(14:06)[休憩 5分]・・・甘露水口登山口(14:45)・・・薬師岳登山口(14:51)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
梅雨の晴れ間を狙って、今日は秋田に遠征する。東北南部以南はほとんど雨の予報だが、秋田と岩手は晴れもようだという。
登るのは和賀岳である。花の百名山と二百名山に選ばれている秀峰だ。登り口は秋田と岩手にあるが、秋田の甘露水登山口から登ることにした。開放的な稜線歩きと花を楽しむことができると聞いたからである。
午前2時過ぎに自宅を出る。夜空には星が瞬いている。今日はいい天気になるだろう。
深夜の東北自動車道はトラックが多い。パーキングエリアに入ると、どこもトラックでいっぱいである。仮眠をとっているのだろう。北上から秋田自動車道に入り、片道一車線を快調に走る。錦秋湖を過ぎると霧が濃くなってきた。どうもこの辺りの天候は良くないらしい。表示には、横手・湯田間は霧に注意と出ていた。和賀岳周辺の天気が心配になる。
横手インターを降りて、「みずほの里ロード」を北上する。信号がほとんどない農免道路である。心配した天気は北上するにつれて回復し、青空も見えるようになった。思わず「よし」と声が出る。小神成という地点から右に折れて真木林道に入る。林道の終点付近が登山口だ。林道は整備されていて、普通乗用車でも通行できる。途中に切り出した杉の丸太が積んであった。
車が入れるのは甘露水登山口のずっと手前で、トイレ付きの休憩施設がある。以前はここにマタギ小屋があったと聞いた。小さな広場と道端に十数台ほど止めることができる。着いた時には、すでに7、8台が止めてあった。
6時26分。真木渓谷上流沿いの林道を甘露水口登山口に向かって歩き出す。傾斜は緩やかで、10分も経たないうちに登山道入り口に着く。甘露水と呼ばれる水場を渡ってブナとミズナラの中に入っていく。急な登りを数分で杉林に入る。
杉林を過ぎると、またミズナラとブナが目立つようになる。7時にブナ台に着く。ここからはブナの大木が混じる中、鬱蒼とした森をジグザグに登っていく。傾斜は穏やかだが、その分、歩く距離は長くなる。周囲はガスが流れ、湿った空気がまとわりつく。上空には部分的に青空も見えるものの空気は重く、汗を絞られる行程だ。
傾斜がほとんどなくなってくると、やがて右手に沢音が聞こえるようになる。小さな沢を渡って滝倉に着く。ここで水筒に水を補給した。
滝倉からはまたジグザグの登りで、避難小屋跡を過ぎると湿った鞍部に出る。サワグルミの木が目立つ。ここから再びブナの樹間をジグザグに登り、8時8分に倉方に着く。稜線の肩に着いたのだ。ここで9分休みを入れ、バナナを食べた。
倉方からはやや萎縮したブナ林を進み、開けた展望地に飛び出す。右手は切り立った崖になっており、対岸にはガスに覆われた大甲から甲山に連なる山並みを見る。その向こうに見えるはずの真昼岳は雲の中である。崖を横切る道には、ヨツバヒヨドリ、クガイソウ、ハクサンフウロ、ウツボグサなどが咲いている。
しばらく行くと道は急な登りとなる。ここが一番の難所だろう。足元を確かめながら慎重に登る。ウツボグサやハクサンフウロを見ながら登り詰めると、草原状のなだらかな道に出る。ここからの展望は良いが、岩手県側はあいにくガスに覆われている。
道の先に空が広がるようになると、数輪のニッコウキスゲが現れた。その先には和賀岳を中心にした山稜が小さく顔を出している。ここで初めて和賀岳と対面した。
しだいにせり上がってくる和賀岳を右手に見ながら、ゆるやかな道を登って行くと、左手間近に薬師岳が姿を現す。青空を見ながら、9時6分、山頂に着く。
薬師岳からはおおらかな稜線歩きとなる。ここが和賀岳登山の白眉の一つだろう。草に覆われた登山道は、刈り払いを最低限しかしないためだろうか、足元が見えないために歩きにくく、しかし、そのマイナス面は高山植物の保護にプラスに作用しているような気もする。なだらかで広い稜線上には、今が盛りとさまざまな花が咲き乱れている。
ヨツバヒヨドリ、クガイソウ、ハクサンフウロ、アキノキリンソウ、ハクサンシャジン、キバナノ二ガナの咲く中で、もっとも目を引くのはイブキトラノオである。一帯を埋め尽くすように咲いている場所もあり、まさにここは花園である。それから先の斜面一帯は、ニッコウキスゲで覆われている。広々とした稜線の左には大甲、右には和賀岳が小さく見えている。
ここからは草をかき分けながら歩くことになる。薬師平を過ぎ、ゆるやかな登りとなってじっくり行くと小杉山に着く。9時55分である。写真撮影に時間を取られ、予定よりもやや遅いペースである。薬師岳あたりから日差しも強くなり、汗が噴き出してくる。横手市の今日の最高気温は30度を超えるらしい。
小杉山からは、小鷲倉を越えて行く。1354mのピークである。花の咲く稜線歩きは楽しいが、ピーク越えはなかなか厳しい。途中、ミネカエデの木陰で10分ほど休憩し、10時30分に小鷲倉の山頂を踏んだ。
ここから大鷲倉、すなわち和賀岳山頂はすぐだろうと思っていたが、実はまだまだ遠い。予定の時間で行けるかどうか不安になる。ただ、この先はアップダウンは少ないようなので、気を取り直して歩き始める。
ここからの稜線歩きは快適だった。どんどん歩いて、たちまち和賀岳山頂直下に至る。山頂直下にはニッコウキスゲが群生していた。青空と黄色のコントラストが目に鮮やかに映る。山頂部には人の姿が見える。一歩一歩踏みしめながら、11時に山頂を踏む。山頂は結構広く、十数人が思い思いの場所で休んでいた。
山頂ではミネウスユキソウが咲き始めたばかりで、主役は、何と言ってもニッコウキスゲである。西側の斜面はニッコウキスゲで黄色に染まっていた。例年よりも花の数は少ないと地元の方は話していたが、初めて見る私には圧倒的な光景だった。
山頂では40分ほどくつろぎ、11時40分に下山を開始した。往路で写真をかなり撮っているので、帰りは立ち止まる回数も少なくなり、12時12分に小鷲倉を通過して、和賀岳を振り返る。ここからはかなりの距離があることに改めて驚く。
小杉山から薬師平に下り、イブキトラノオやニッコウキスゲの花を見ながら、13時4分に薬師岳に着く。気温が大分高く、水分を補給して5分の休憩を入れる。ここからは登り返しはなく、どんどん下るだけである。
岩手県側のガスも飛んで、日差しが強い。倉方手前の急斜面では、対岸の大甲から甲岳に続く稜線がはっきりと姿を現した。その向こうには、真昼岳や女神山も見えている。クガイソウやヨツバヒヨドリを見ながら切り立った斜面を横切って、ブナ林に入る。暑さが大分和らぐ。
下って、14時6分に滝倉に着く。冷たい水を補給し、5分ほど休んだ。火照った体が落ち着きを取り戻した。水場を撮影しようとしたところ、カメラがレンズを認識しなくなった。古くなったためか、はめ方がよくなかったのか、接触部の不良なのかよく分からないが、もう8年も酷使しているから、耐用年数を過ぎつつあるのかもしれない。
滝倉からは休まずに下って、14時31分にブナ台、14時45分に甘露水口登山口を通過する。駐車場に着いたのは14時51分。正味7時間6分の山旅だった。
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