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霧に浮かぶゼブラの飯豊山(1泊2日テント泊)

巻岩山、疣岩山、三国岳、種蒔山、飯豊山(飯豊本山)( 東北)

パーティ: 2人 (Yamakaeru さん 、ほか1名)

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行程・コース

天候

雨、霧

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 飯豊山へのアプローチは幾つかあるが、今回は、弥平四郎登山口を選択。弥平四郎経由で祓川山荘方面の林道へ。最後4kmは未舗装。比較的整備されているので、軽自動車でも低速で注意しながらであれば通行は可能。林道の突き当りが祓川駐車場(はらいがわちゅうしゃじょう)。20~30台程度。仮設トイレあり。駐車場のすぐ脇から登山道が始まっている。夏季のみJR徳沢駅から会津町民バスが出ている模様。バスを利用すれば縦走も可能か。

この登山記録の行程

<1日目>
祓川駐車場(04:26)・・・上ノ越(1,260m)・・・巻岩山(1,578m)・・・疣岩分岐・・・疣岩山(1,654m)・・・三国岳(1,644m)・・・三国岳避難小屋(三国小屋)(09:43)・・・七森(10:53)・・・種蒔山(1,791m)(11:27)・・・切合・種蒔山分れ・・・切合避難小屋(12:04)・・・草履塚(13:16)・・・姥権現(13:16)・・・御秘所(13:22)・・・御前坂(13:58)・・・一ノ王子(テント場)・・・本山小屋(14:47)・・・一ノ王子(テント場)(テント設営)
<2日目>
一ノ王子(テント場)(04:12)・・・本山小屋・・・飯豊山(2,105m)(05:14)・・・本山小屋(05:37)・・・一ノ王子(テント場)(05:46)(テント撤収~07:01)・・・御前坂・・・御秘所・・・姥権現(07:40)・・・草履塚・・・切合避難小屋(08:19)・・・種蒔山(1,791m)・・・七森・・・三国岳避難小屋(三国小屋)・・・三国岳(1,644m)・・・疣岩山(1,654m)・・・疣岩分岐・・・巻岩山(1,578m)・・・上ノ越(1,260m)・・・祓川駐車場(13:33)

コース

総距離
約23.8km
累積標高差
上り約2,451m
下り約2,454m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

<構想>
1週間も前から天気予報とにらめっこしていたが、今年の梅雨は真面目に頑張っているようで、3連休の雨は避けられそうになかった。。。
目指すは、百名山「飯豊山」。標高2,105m。所説あるが「山容飯を豊かに盛るが如き」というところから名付けられたとか(ちなみに同じ福島県の「飯盛山」も同じ由来)。また、東北のアルプスとも呼ばれ、たおやかな山が連なり山深く遠くまで縦走路が延びている。更に、日本屈指の豪雪地帯であることから、石ころび沢雪渓(今回のルート外)を筆頭に、縦走中もあちこちに残雪を見ることができ、その豊富な雪解け水から様々な種類の高山植物を楽しむことができる花の百名山としても有名な山だ。
今回、設定したミッションは3つ。その多様な高山植物を楽しむのが1つ目のミッション。特にメインは飯豊の固有種と言われるイイデリンドウ。その花びらの形から飯豊の星とも呼ばれており、以前にTVで観て以来、これは絶対に自分の目で見なければいけないと思っていた。加えて、ヒメサユリとシラネオアイも絶対に外せない。残りのミッションも紹介しておくと、2つ目が、飯豊山の福島県、新潟県、山形県の県境を歩くこと。県境と言ってもただの県境ではない。もともと飯豊連峰を境界に3つの県が隣接しているが、その昔の新潟県と福島県の県境紛争から、まるでモーゼが海を分けて道を作り出したかのように、山形と新潟の県境を割るかのように福島県の領土が細長く延びている。その延びた領土に沿うように登山道も延びているので、実際に歩くことができるのだ。そんな不思議な県境があるなら、ヘンテコ大好きとしてはこれまた行くしかない。(参考URL https://yamahack.com/2465)。3つ目は、飯豊山のマスコット?こと姥権現へのご挨拶。こちらの逸話は後ほど紹介。いずれにせよ楽しみな山旅だ。

<0日目>
7月13日(土)。まるまる一日を移動日に設定したため、ゆっくり身支度を整えてぶらり旅よろしく福島県入りをする。土曜日はいったん天気が回復するとは聞いていたが、福島県内に入った途端に真夏のような青空。会津磐梯山が猪苗代湖の向こうに雄大に聳えていた。まさしく「うつくしま福島」。こんなことなら早めに来て磐梯山にも登っておくべきだったと悔やまれる。
折角なのでラーメンでも食べようと何年ぶりかに喜多方に立ち寄る。前回は喜多方ラーメンのブーム初頭なので相当の大昔か(笑)。そのため町の雰囲気もだいぶ変わっていた。有名どころの「まこと食堂」が頭をよぎったが、ここは他の評価も高い塩ラーメンの「うめ八」を選択。注文はネギ塩ラーメン。800円也。ピリッと辛くアクセントの効いた白いネギがこんもりとラーメンを覆い隠すように盛ってあり、とても美味しかった。ちょっと道を外したが、立ち寄った甲斐があったと大満足。
美味しいものを食べて気分を良くしたものの、実はこれが失敗の始まり。再ルートとされたカーナビの指示に従って走っていくと、とどんどん山の中に入っていくので、このままではお店がなくなってしまうと、もう一度、喜多方市内に戻り一番大きそうなヨークベニマル(スーパー)で買い出しをする。今日のビールもしっかり買い込み、明るいうちに駐車場でゆっくりしようと妄想してにんまり。
少々、買いすぎた食料をザックに詰め込み、再び、くねくねした山道を軽快に車を走らせる。さきほど引き返したポイントを通り過ぎ、更に進む。徐々に道が細くなり目的地まであと10km強というところ。小さな橋を渡ろうとしたら、橋の脇に「通行止め」の看板。「?」と思い、目線を前に戻すと「キラッ」と光る一条の鎖が道を封鎖している。慌ててブレーキ。危うく鎖を切ってしまうところだった。せめて赤い布でも巻き付けておかないと。。。
車から降りて注意書きを読むと「この先、のり面が崩落しているため新稲荷峠へは通り抜けできない」とある。登山あるあるだが、はるばる来たのにそれはない。
落ち着いて地図を確認すると、大きく戻り国道459号線経由で県道383号線から向かうルートがあった。それを見て思い出したが、家を出た時点ではカーナビもそのルートを指していたはず。たぶん、喜多方に立ち寄ったせいで道を外れ、迂回ルートとして今の道を案内したのだろう。
「また戻るのか」。。。「買い出しを含め何回この山道を走ればいいのか」と、とぼやきながら車を走らせる。果たして、県道383号線の方は危険な場所もなく目的の祓川駐車場まで無事到着することができた。夕方間近。駐車場でゆっくりする計画も吹っ飛び、早々に夕食を済ませ寝る準備に入る。誰かのレポにもあったが、ブヨが異様に多いので車の外に出たものならまとわりついて離れないため、そもそも早めに着いてもゆっくりはできなかったかも知れない。
車中泊、午前0時過ぎ。「ポツ、ポツ」と嫌な音で目が覚める。日中、あんなに晴れていたというのに。。。小さな粒があっという間に大粒の雨になる。ついていない時はとことんついていないもの。寝返りを打とうとした瞬間に、腰に激痛が走る。「痛い!」。助手席で、無理な姿勢で寝ていたのが悪かったのか、腰を痛めてしまったようだ。幸い動けないほどではないが、少し力を入れるだけで痛みが走る。
「この状態でテント装備の大型ザックを背負えるだろうか。途中で行動不能になることを考えると中止にすべきか?」といろんな考えが頭を巡る。
早朝3:30。相変わらず雨は降っている。車の外に出てゆっくりと身体を延ばしてみる。痛みは鈍痛に変わっていたが、歩けないことはない。こんな時のために常に持ち歩いているコルセットを強めに巻いてみると、姿勢が整ってかなりましに感じられた。飯豊山のように山深くエスケープがしにくいルートでは、少しでも体調に不安がある場合は入るべきではないのだろうが、セルフチェックの結果、歩き方でカバーすれば歩けないことはないと判断。

<1日目>
4:30。すっかり明るくなったので、出発することにする。レインウエアを着こんでの出発だ。
飯豊山のマップが書かれた看板の向こう側に登山口がある。両脇に門番のような大きな樹が立っていた。福島の山に関しての第一印象は「どこも森が深い」。一歩踏み込んだだけで、濃厚な森の気(エネルギー)を感じる。
水平移動だったのは僅か数百メートル。すぐに尾根沿いの急登が始まる。最初の目的地は鏡山と巻岩山のコルに当たる上ノ越。標高1,260m。祓川駐車場が標高680mなので、飯豊山までの標高差1,500mのうち、その半分をここで一気に稼ぐことになる。重いザックに身体が振られない様、腰を気遣いながら一歩一歩確実に登っていく。横方向に強い力がかからなければ、なんとか歩けそうだ。最悪のコンディションだが、苦しい反面、登りごたえのある急登がうれしい。もはや変態か。
標準タイムコース通り約2時間で上ノ越へ到着。ロープ場も何か所かあり、テント装備にはなかなかハードな斜度だった。上ノ越には看板が設置されていて、その下には花のシーズンを終えたサンカヨウがブルーベリーのような紫色の実をつけて群生していた。左に行くと飯豊連峰の好展望台として知られる鏡山。そういえば祓川駐車場手前の弥生集落に登山口の看板があった。そこから周遊する人もいるようだ。
今回は、右の巻岩山方面へと向かう。看板の横にはいきなりロープ場があるが、そこを越してしまえば、いよいよ楽しい稜線歩きとなる。ただ、それなりの平たんなコースをイメージしていたが、意外にアップダウンが大きかった。まだ標高差1,500mの半分が残っているので、当たり前と言えば当たり前か。
雨がいつしか霧状の小雨に変わっていた。真っ白な霧の中をただ黙々と歩く。その白の世界にいきなり鮮やかな色を付けたものがあった。ニッコウキスゲだ。真新しい花は、雨露に濡れながら、山吹色に光っていた。ふと、その横にピンク色をした似たようなラン系の花がある。これぞ目的の花の一つ、ヒメサユリだ。霧でピンクの輪郭がぼやけ幻想的な佇まいだった。
山開きをして間もないからか、足元には刈ったばかりの真新しい下草が敷かれていた。途中、草刈り機を片手にしたおじさんたちに出会う。今まさしく、登山道の手入れをした帰り道のようだった。こんな天候の中でも、登山者のために実に頭の下がる思いだ。お互い「お気を付けて」と挨拶をして別れる。
縦走の際、遠くに山小屋が見えた瞬間は何とも言えない安堵感と嬉しさに包まれるが、三国小屋の場合は、道を曲がったらいきなり目の前に建っていた。いささか拍子抜けしたが、もちろん心待ちにしていた山小屋には違いないので、早速、荷物を下ろしてゆっくりする。
さて、三国小屋を心待ちにしていたのには、実は理由があった。冒頭で紹介したミッション2つ目。この三国岳からその先端は飯豊山を超えてさらに先にある御西岳付近にかけて、山形と新潟の県境を割るかのように福島県の領土が登山道に沿って細長く延びている。政治的な背景があったとはいえ、実にヘンテコな話。いや逆に偉ぶった大人が大人の事情で真面目に議論すると、こんなバカげた結論に至るという面白い事例かも知れない。
そのヘンテコな県境に沿って歩いていく。三国岳までは低山の装いが残っていたが、小屋から先は植生も変わり、徐々に高山の装いになってきた。飯豊連峰は東北のアルプスと呼ばれているが、歩いてみてなるほどと納得する。晴れていれば更にもう一つの東北のアルプス、朝日連峰の全長60kmに渡る雄大な山容が望めたに違いない。
アップダウンを繰り返して種蒔山を越えて次のポイント「切合小屋」へ到着。雨の中、多くの登山者で賑わっていた。有難いことにこの小屋の脇には水場があり、常に綺麗な水が蓄えられている(積雪が多い時は埋もれてしまうらしい)。豪雪地帯だけあって飯豊山には年中各所に雪が残っていることから、長距離のルートでも水の補給が比較的楽なのは有難い話しだ。早速、空になったペットボトルに水を汲み飲み干す。市内で買った「美味しい水」よりも数段まろやかで甘い。
チラホラと雪渓が現れてきた。雪解けの豊富な水が多様な植生を育むのか、花の種類が一段と多くなってきた。
その中で、淡い紫色をした花を見つける。柔らかなカーブを描いた花びらで淑やかなドレスを連想させる。念願のシラネオアイだ。やっと出会えたと心が躍る。写真よりも数段実物の方が美しく一目惚れだ。
登山道が途切れて、目前に大きな雪渓が現れた。
ガスっていて奥行きがよく分からないが、相当上の方まで続いていて奥行きがある。石転び沢雪渓と名前がつくほどではないが、写真としては絵になる大きさだ。この時期に雪の上を歩るけるのは高山に来た特権。緩やかな斜面なので、アイゼンは付けずにキックステップで登っていく。
雪渓を抜けて小高いピーク、草履塚へ到着。かつての飯豊参りの人たちは、ここで休憩をとりながら草履を整えていたのだろうか。自分も一息入れてから、急な坂道を下っていく。ダイモンジソウ、リンドウとさらに花の種類が増えて目を楽しませてくれる。
降り切って少し進んだところで、石垣に囲まれた石像が目に飛び込んできた。普通のお地蔵さんとは趣が異なりどことなく人間っぽい顔をしている。姥権現。以前、写真で見た時は赤い服を着ていたが、今日は白い服を身に纏っている。この姥権現には次のような面白い逸話があり、飯豊山のマスコット的な存在として、今回ミッション3つ目として是非ご挨拶したいと思っていた。
【逸話紹介】
「小松のある女の人が、女人禁制の霊山とされていた飯豊山にどうしても一度は登ってみたいと思いたったのだそうです。男が二十一日間の精進潔斎をして絶頂に入るなら、女の自分はその倍の日数をかけて精進したらよかろうと、四十二日間の苦行を済ませて登りました。ところが、途中まで来て、心身ともに疲れたと言って一休みしたら、不思議なことにそのまま石と化してしまったということです。それは後の世に、<姥権現>として祀られるようになりましたが、生まれ在所の小松の人がそこを通りかかると、なつかしく思うあまり、涙雨を降らせるといいます。」

「小松ってまさか石川県の小松市じゃやないよね?石川出身じゃないけど、北陸繋がりで雨が降ったのか?」などと考えながら、姥権現にお別れをする。
次に目に入った看板には御秘所(おひそ)と書かれてあった。「ついに来たかー」。御秘所は三国岳から飯豊本山までのルートにおいて最大の難所と言われる岩場。岩場、鎖場大好きとしてはとても楽しみにしていた。
しかし、先に登っている人を見ると、危ないといえば確かに危ないが難所と言うほどでもない。「拍子抜けか?」」と思ったが、登ってみて難所の意味が分かった。ルートとなっている岩場が一枚岩のようにせり出していて、よじ登っている岩の一歩横は奈落の断崖絶壁になっていた。今日は濃い霧でなにも見えないが、晴れていればさぞかし足元がスースーするだろう。御秘所にも逸話があって、行いが悪い人が通ると神隠しにあうとか。いやそれは逸話じゃなくて、突風にさらわれただけじゃないかと思う。気を抜いたらほんとに神隠しになりかねない。
ここを抜けたらもう飯豊本山までもう程なく。と、書きたいところだが、ここからの最後の登りが長くて大変だった。ゴロゴロした岩の道をジグザグに登っていく。登っても登っても上が見えず実に長く感じた。
なんとか登り切ると、大きな空間が広がる平らな場所に出た。よくある賽の河原的な場所だ。よく見ると整地されて石垣が組んだ場所があちこちにあった。どうも、これが今日の宿、テント場のようだ。山の上でこんなに整地されたテント場も珍しいのではと思う。テント場から100m先に水場があったが、シーズン的なものか今は枯れていた。
腰が危ぶまれたが、なんとかここまでやってきた。とりあえずザックを下ろして、飯豊本山小屋へ行く。小屋はテント場から約300m。トイレに通うには少し遠い。
優しそうなおじさんにテントの申し込みをする。1人1張1,000円とのこと。綺麗なトイレもあり、「最初100円払えば後は良いよ」と言われた。水場は飯豊神社のさらに先にあるとのこと。
水を補充したいと思ったが、ザックを置いてきてしまったので、受付だけ済ませてテント場へ戻る。再び雨が強まってきたので急いでテントを設営する。誰もいなかったので、場所は選び放題だった。ザックをまさぐり、中から缶ビールを取り出す。出発時、腰が痛くて歩けるかと真剣に悩んだが、それでも長い距離を歩くためのご褒美は欠かせないとビールだけは軽量化できなかった。
目の前にそびえているであろう飯豊本山に乾杯してから、一気に飲み干す。「ぷふぁー」だ。生温いがそんなの関係ない。旨し。^_^
止みそうにない雨。恨めしく空を睨みながら、仕方がないのでテントに入って夕飯の準備をする。アルファー米におかずを並べて結構リッチな晩御飯。マットに横になり、フライシートに当たる雨音を聞きながらら晩御飯にありつく。「これまた旨し。うま、、、しぃ、、、」

「、、、し?」。
自分でもびっくり。どうもご飯を食べながら眠っていたようで、箸とおかずを持ったまま倒れ伏していた。重い荷物を背負い、腰に負担をかけないよう注意深く歩いてきたので、思っていた以上に疲れていたのだろう。それにしてもこんな爆睡も久しぶりだ。笑。
残りのご飯をかっ喰らい、早々に就寝とする。真夜中に一度起きてテントの外に出てみた。雨は上がっていたが、厚い雲で覆われているようで星1つ見えなかった。
テントに戻りもう一寝入り。寒くもなく暑くもなく気温が安定していて、朝までグッスリだった。こんなに快適な睡眠は珍しい。きっと綺麗に整地されたテント場のお陰かもしれない。

<2日目>
3時半に起きて必要最低限のものだけをアタックザックに詰め込む。
4時半。すっかり明るくなったので、飯豊本山へご挨拶に向かう。今日も昨日と変わらず霧の世界。もっとも晴れていたら早くに起きて朝日を拝みに行っただろうから、ゆっくり眠れたのでそれはそれでよかった。そのおかげか、幾分腰が昨日より調子がいい。
小屋を過ぎてお花畑を通り山頂を目指す。
目を皿にして足元を探るように歩く。目的はミッション1つ目でまだ未達成の飯豊の星こと「イイデリンドウ」を探すこと。時期的には咲いていても良い頃なのに、色とりどりの花が咲いているものの、肝心のイイデリンドウはついに見つけることができなかった。特徴的な花なので見落とすことはないはず。「まだ早かったのか?!」
飯豊本山に到着。小屋からは緩やかな道なので、苦労せずに到着する。
百名山としては最北の登頂になる。念願の飯豊山だ。
太陽の日が射してきたのか、霧に乱反射して周囲がほんのり明かるい。一瞬スーッと。ほんの一瞬だが、周囲の霧が動いた。アップダウンが激しい難ルートと呼ばれるダイグラ尾根の一部が姿を現した。その山肌にはまだ多くの雪渓が残っていて、それが織りなすゼブラがとても美しかった。写真を1,2枚撮っているうちに再び霧の中に隠れてしまったが、飯豊連峰のスケールの大きさを一瞬垣間見ることができたのはラッキーだった。飯豊連峰最高峰の大日岳は残念ながら姿を現すことはなかったが、眺望の良いときに訪れて必ずその姿を拝んでやろう。
テント場に戻る途中、ついに小さなイイデリンドウの蕾を見つけた。今年は遅れているのだろうか。。。イイデリンドウは花弁を広げると綺麗な青色で星型の花が咲く。飯豊の星の所以だ。蕾はまだ小さく咲いた姿さえ想像できなかったが、しかし、ぐっと凝縮された青紫色に輝く蕾も悪くはなかった。「よし、これも改めてリベンジだ!」。再訪の理由が増え、必ず来るぞと心に決めて下山に入る。
下山時も、終始、霧と雨。黙々と歩くひたすら長い工程だった。特に上ノ越から登山口までの急登は、激しいぬかるみの降りで、重い荷物には最悪の状態だった。
2日間、悪天の中、腰の不安を抱えつつ苦行のような山旅だったが、なぜかとても充実した時間だった。来てよかったと山に感謝して帰路とする。


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装備・携行品

みんなのコメント

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  • いいではいいでぇ(●^^●)いつか登ってみます!

  • 来たらいいでぇ~。。。

    みなさんの遠征を心待ちにしてるよ。

  • 腰痛と戦いながらお疲れ様でした。
    飯豊山も行ってみたいですね。

  • 最近、どうも故障続きで。。。涙。
    でも、飯豊山、最高でした。霧の中でさえそう感じたので、快晴であれば天国間違いなしですね。自分もまたチャレンジしたいと思っています。 :)

登った山

飯豊山

飯豊山

2,105m

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