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ひだまりの多摩丘陵を歩く 多摩よこやまの道

多摩よこやまの道( 関東)

パーティ: 1人 (すてぱん さん )

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行程・コース

天候

快晴

登山口へのアクセス

その他: (行き)京王線若葉台駅より徒歩
(帰り)小野神社前バス停よりバスで小田急線鶴川駅へ

この登山記録の行程

若葉台駅(10:52)・・・丘の上広場(11:30)・・・防人見返りの峠(12:05 12:21)・・・鎌倉街道(12:50)・・・一本杉公園(13:02 13:34)・・・里山交流館(13:50)

コース

総距離
約9.9km
累積標高差
上り約397m
下り約408m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

これといった用も無い快晴の正月休み最終日、ふと思い立って「多摩よこやまの道」を歩いてきました。大規模な団地や戸建て住宅、学校、産業施設とするには適さなかったわずかな尾根筋に、雑木に囲まれたかつての多摩丘陵の面影が残っています。この道は、所々に富士山や丹沢、奥多摩から秩父の素晴らしい展望が広がる楽しみに加え、古代から中世にかけての主要幹線道路でもあり、その歴史に想いを馳せることもできる魅力的なコースでした。

若葉台駅から唐木田駅付近まで整備された「多摩よこやまの道」を一気に歩くつもりだったのですが、途中で足を捻挫。コースのほぼ半分である一本杉公園までとし、小野路まで南に下るルートをとりました。このコースの核心部(?)は、若葉台駅から「多摩よこやまの道」の東の起点である「丘の上広場」にたどり着くまででした。多摩市が作成した案内パンフレットをスマホで参照しつつ歩いたのですが、だいぶ行き過ぎてしまい、コースタイム10〜20分とされているわずかな区間に40分もかかってしまいました!(地図上で北東方向に飛び出ている部分が行き過ぎた箇所です)

とはいえ、一度コースに立てば、幾つも怪しい、あるいは魅力的な分岐はあるものの、基本的には「西順路」あるいは「東順路」と表記されている道標に従えば問題ありません。今回歩いた向きは、東側から西に向かう「西順路」です。若葉台駅からゆったりと立ち並んだ大規模な集合住宅群や広やかな道路の脇をゆるやかに登り、稲城台病院入口交差点の手前で左に曲がり、人工的な緑の遊歩道を進んだ突き当りが、「多摩よこやまの道」出発点である「丘の上広場」です。尾根から多摩川に向かって広やかな斜面が下り、前景は多摩ニュータウンでも、中空には富士山や丹沢、奥多摩からさらには秩父までパノラマが広がり、思わず声が漏れます。

快晴の空の下、これはなかなかの掘り出し物コースだと、上機嫌で歩いていると、好事魔多し。なんでもない石に不注意に足を乗せでもしたのでしょう、足首をひどく捻挫してしまい、しばらく悶絶。実は、年末にも反対側の足首を捻挫していて、どうやら足元をしっかり見極めろと、神様にでも注意されているのかもしれません。経験的に、一旦痛みが引けば数時間は歩けるものの、その後は再び痛みが募って満足に歩けなくなりそうでしたので、この時点で全コース踏破は断念。ほぼ中間の一本杉公園までと計画を変更。ペースも落として「防人見返りの峠」へ。ここはコース中最も展望に優れ、白眉とでもいうべきところ。万葉集にも詠まれたという「玉のよこやま」とは、そのまま多摩丘陵のことなのですね。

尾根筋のコースは、基本的に「南多摩尾根幹線道路」に沿っており、左右には住宅や団地、産業施設、あるいは学校グラウンドなどが迫りますが、概ね雑木に囲まれ、ゆるやかなアップダウンを繰り返して進みます。古鎌倉街道に想いを馳せながら、現代の鎌倉街道を陸橋で渡り、さらに恵泉女学園を超えた先が「一本杉公園」になります。

ここも、多摩丘陵各地から古民家を移築してあり、静かな良い公園です。足が本格的に痛み出す前に「多摩よこやまの道」歩きはここまでとし、古民家の縁側で日向ぼっこと洒落込みます。風もなくたっぷりの日差しを受けた縁側は、実に暖かく、電気もなかった昔の人々は、畑に出なければこうして日の当たる縁側で作業やおしゃべりをしたのでしょう。足元にはいつの間にかチャボが集まり、ああニワトリとは文字通り庭にいた鳥のことなんだな、と妙に得心がいきました。後からやってきた初老のカップルが、「ねえ、こんな歌があったよね」と童謡を優しく口ずさみ、いつの間にやら二人で控えめに声を合わせて歌っているのが、なんだかとても心にしみました。

一本杉公園からは、以前も辿った小野路への道を下っていきます。「多摩よこやまの道」は多摩川の分水嶺ですから、南に下れば鶴見川水系に入ることになります。小野路はかつての宿場で、幕末期にはのちに新選組のリーダーとなる近藤勇らも通っていたそうです。今も道の左右には土蔵や大きな家が並び、数百メートルですが板塀などで修景がなされるなど、宿場の雰囲気を少し感じることができます。三蹟で知られる小野道風の祖父にあたる小野篁を祀った小野神社に参り、その麓の里山交流館で豚汁の昼食を楽しんだ後、新鮮で安い地場野菜を土産に買い込んでバスに乗り込みました。

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フォトギャラリー:37枚

京王線若葉台駅から出発

多摩ニュータウンの中を進みます

本来は、「稲城台病院入口交差点」手前のこの緑道に左折するのでした。私は大きくいき過ぎてしまい、痛恨の道迷いロス。

整備された緑道を上っていきます。

途中、「デンマークイン若葉台」という老人介護施設の前を通ります。

コースタイムの倍の時間をかけて、ようやく「丘の上広場」に到着。

富士山や丹沢の山並みが広がります。

雑木の間からは、団地が見えたりするのですが・・・

ここは古代からの幹線道路

コース中の白眉、「防人見返りの峠」。はるばる東国から都や、北九州まで駆り出される防人たちは、この景色を見て何を思ったのでしょう。この名前は、後世の人が古に想いを馳せつけたものかもしれませんが、確かに防人たちもこの道を辿っていったのでしょう。

丹沢や富士山・・・

さらには奥多摩から秩父への景色が広がります。

鎌倉幕府滅亡前夜の舞台もここなのでした。

一本杉公園で「多摩のよこやま道」とはお別れ。

ここも静かな良い公園です

ニュータウン開発で無くなるはずだった古民家が移築されています。

チャボがのどかに餌をついばんでいます。

かまどには大口真神の護符が

土間から覗くこの景色は、昔と何も変わっていないのかもしれません。

宅地開発には手が余ってしまった尾根筋。皮肉にもこのためにかつての多摩丘陵の面影がわずかに残されたわけですが、近代において「裏」として扱われているのは変わりません。

小野路へ下る途中にある双体同祖神

かつての宿場だった小野路は、板塀などで修景がなされていて往時の雰囲気を感じることもできる。

近藤勇らが通ったという「小島資料館」

里山交流館

里山交流館の土蔵では、書初め展が開かれていました

小野篁を祀った小野神社

里山交流館で豚汁をいただいて、帰ります

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • すてぱんさん、こんばんは。

    遅くなりましたが、改めまして、明けましておめでとうございます。

    実は年末に、すぐ近くの丘陵で打ち納めの芝刈り業務をやりましたので、親近感を覚えながらレコを拝見しました。
    今や大分宅地化されてしまいましたが、、確かにこの辺りは歴史の香りが濃厚ですよね。

    ところで、年末年始に片足ずつ捻挫されたご様子。
    神様のお告げかどうかは兎も角、深い山でなくて良かったですね。
    お互い、足元に注意という事で、、、どうぞお大事になさってくださいませ。

  • ガバオ さん、あけましておめでとうございます。

    コメント、お見舞い、ありがとうございます。休日も芝刈り業務とは、大変お疲れ様でした。

    途中、というよりはほとんど出だしで負傷してしまったため、コースの半分だけでしたが、すぐそばにこのような魅力的コースがあることを再発見し、嬉しく思いました。

    山中ではなく、市街地のすぐ脇の散歩道だという気安さが、不注意につながったようにも思います。それにしても、筋力だけでなく、バランス感覚とか、体の柔軟性などが著しく劣化してきているのではないかと思わざるを得ません。ちょっと意識的に、でも無理のないようにじっくりと回復に努めたく思います。

    今年こそは、オフ会をやりましょう!
    本年もよろしくお願いいたします。

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