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天空のベンチと地の底へと続くロングな鎖 岩山

岩山(猿岩)( 関東)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

雨のち晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 日吉神社の鳥居の手前に5台ほど停められる無料駐車場(縦列スペース)がある。住宅脇から車一台分の細い道を入っていくが、入口が分かりづらい。また、Googlemapで「日吉神社」を検索したところ、別な場所に案内されてしまった。神社の近くの「星会日吉保育園」で検索した方が良いかも。
なお、正式な駐車場としては神社より800m程離れた富士山公園の駐車場が登録されている。20台程。無料駐車場。トイレ無し。GPS座標「36.559199 139.735454」(Googlemapに入力するとナビ可)

この登山記録の行程

日吉神社(07:40)・・・三番岩(8:19~休憩~08:35)・・・二のたるみ(08:50)・・・二番岩(09:04)・・・一のたるみ(09:27)・・・一番岩(09:33)・・・猿岩(09:41)・・・ゴルフ場脇(10:05)・・・日吉神社(10:31)

コース

総距離
約4.9km
累積標高差
上り約456m
下り約453m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

「折角の休みに仕事を入れるな!」とひとり文句を言いながらも、ちゃちゃっと済ませて夕方前には帰宅。これはまだ間に合うと、冬装備一式を車に詰め込んで滞在時間僅か30分で家を飛び出る。
寒波が近づいていて天候は下降傾向。おそらく、平地は晴れているが、高い山ではどこも悪天候になるだろう。敢えてそれを狙っての悪天候雪山トレーニングを久しぶりにやっておきたい。勿論、トレーニングで無茶をしては意味がないが、ケーススタディを繰り返すことで経験値が上がり本番の時に大きく違ってくる。
偉そうなことを言っておきながら、車を走らせて1時間後に大事な装備を忘れたことに気付く。
ちゃんと必要なもの一式を並べてチェックしたはずなのに、バックに詰め込む際に抜け落ちてしまったようだ。笑えない初心者的ミス。
目指していた山は2,000m級の山。万全じゃない装備ではさすがに挑めない。
ガッカリしているところに、大粒の雨が追い打ちをかける。激しく動くワイパーを見ているうちに心が折れ、一瞬Uターンして帰ろうかとも思ったが、幸いなことに車の中に積んで置いた夏靴の存在を思い出した。折角だから日頃行けなかった山の一つに行ってみようと気を取り直す。
目的地を栃木県百名山の一つ「岩山」にセットしなおす。
標高僅か328mの低山なので、北陸出身の自分にしてみれば全く縁のない山だったが、その名の通りドキドキするような面白い岩のフィールドがいっぱいあるとフォローしている方から教えて頂いた。
とりあえず雨が激しかったので「まちの駅 新・鹿沼宿」の駐車場で車中泊をさせて頂く。
「『道の駅』ではなく『まちの駅』って車中泊できるのか?」と不安に思いながらも行ってみると、一応、駐車場は開放されていたので、有難く邪魔にならない場所に停めさせてもらった。公然と車中泊を認めているわけではないと思うが、夜間でもトイレが使えるのはとても助かる。真新しそうな建物で、飾り付けられた綺麗なイルミネーションが雨に反射してとても綺麗だった。今度は、明るい時に訪れてお店の中も回ってみたいものだと思った。
5時に起床。準備をして登山口のある日吉神社へと向かう。
カーナビを頼りに神社にたどり着いついたものの、駐車場と登山口らしきものが見当たらない。周辺をグルグルとするが、どうも事前に得ていた情報と異なるので、地図を確認したら、微妙に場所がずれていることに気が付いた。
最後に頼りになるのは地図読みの力。なんとか登山口にたどり着いたのは、既に7時を大きく過ぎていた。
日の出を過ぎて周囲も明るくなっているが、深夜の激しさはないものの小雨が降り続いていてすっきりしない天気だ。一時間もすれば止むだろうと楽観するが、事故が多いことでも知られている山なので注意が必要だ。行けないと判断した時は、潔く折り返すことにしよう。
登山口は、神社の無料駐車場から神社に向かって左側にある。
大きな看板があって。登山届けのポストが設置されていた。
驚いたのは、ポストの中に用意されていたマップ。観光目的のマップではなく、救助目的のマップ。ポイント毎にGPSの座標が記されていて「登る前にマップをスマホで記録していくように!」と指示が書かれていた。正直、350mにも満たない低山でここまで丁寧な指導がされている山は見たことがない。「よほど危険なのか?」と認識を改める。
樹林帯の緩やかな登山道を登っていくと目の前に大きな岩が見えてきた。
最初の目的「三番岩」のエリアに到着したようだ。
ここ岩山は岩登りのゲレンデとしても知られている。確かに登り甲斐のありそうな面白そうな岩壁があちこちにあった。
手前にあった大きな岩の上に立ってみると、まだ登り始めというのにそれでも街並みが見渡せる素晴らしい眺めだった。
登山道がどんどんアスレチックに変化していく。ワクワク感が止まらない。ただ、小雨が舞っているので、浮かれすぎないように三点確保を丁寧に取りながら登っていく。
一段、高い場所に出たと思ったら、岩の上に設置されたベンチが目に飛び込んできた。空とベンチの構図。そのアンバランスな風景に驚く。これが噂の三番岩にある「天空のベンチ」というやつだ。
グレー色の空が少し残念だが、これが青空のもとだったらさぞ映えたことだろう。
ベンチに腰を掛けてゆっくりと街並みを見下ろす。
いつの間にか雨は止み、眼下の森から霧となって立ち上っている。幻想的な雰囲気を醸し出していた。雪山には行けなかったが、そのおかげで誰もいない空間でこんな絶景を独り占めできるとは。こういう瞬間を大切にしたいものだ。
アップダウンを小刻みに繰り返しながら進んでいく。
今更だが、三番から始まると言うことは、「ひょっとして登る順番が逆だったか?」と頭をよぎった。一番岩の向こうにはラスボスが如く、この山最大の難関と言われる70mの鎖場が待っている。どうせなら、降るよりも登る方が楽しかったかもしれない。
岩山には、ピーク毎に特徴的な大きな岩が存在していて、それがコースの見どころとなっている。今日のコースは「三番岩⇒二のたるみ⇒二番岩⇒一のたるみ⇒一番岩⇒猿岩(山頂)」といった感じにポイントを辿っていく。
「二のたるみ」から登り返して「二番岩」へ。この時点でようやく空に太陽が出てきた。
二番岩は鎌首を掲げたような特徴的な形をしていた。登ってみると、下山後に歩くゴルフ場が見えた。とにかく登れる高いところには登っておく。 :)
順調に「一のたるみ」から「一番岩」へ。
一番岩は、岩山の最高点で足元には三角点が設置されていた。遠くには雲の合間から僅かに白くなった男体山の一部が確認できた。
一番岩から「猿岩」へ。
たぶん名前が書いてあったのだろうと想像するが、錆だらけで文字の消えた鉄板が岩に張り付いていた。切り立った岩場で、真下にはゴルフ場が広がって見えた。まさに覗き込むような断崖絶壁。スリル感がたまらない。
その猿岩の左横に長い鎖が垂れていた。これがラスボスの鎖場。
「後戻りができなくなるので、自信のない場合は進まないように!」と言った注意書きがあった。
全体で70m程あるという。長さ自体は問題ではないが、覗き込んでも上部しか目視できず、下の状態が全く確認できない。
ただ、想像していた以上に「危険」なポイントであるということは感覚で伝わってきた。
岩の表面は雨で完全に濡れている。コンディションは最悪。行くべきか、戻るべきか判断に迷うところ。雨の日の長い鎖場と言えば金沢にある医王山の鳶岩を思い出す。あそこも距離が長かったうえに滑り易くて降るのが大変だった。もともと予定外で訪れた岩山だったが、車の中に装備を常備しておけばよかったと後悔した。とりあえず岩の状態を確認しつつ、全体が覗ける場所まで降りてみようと、鎖を握り下降を始める。
降り始めの斜度はそれほどでもないが、気分的には懸垂下降モードに近い。
下が覗けるところまでやってきた。
「地の底まで続く」という表現がぴったりで、鎖の端が見えないほどに延びている。
「晴れていたら楽しいポイントだったろうなぁ」と思う。それでも、訓練を積んでいない人には難易度が高く危険な場所には間違いがない。事故が多いと聞いていたが納得だ。
体感的にほぼ垂直の壁。しかし、難易度を高めているのは斜度よりも岩の状態。足がかりになる突起が極端に少なく、表面がツルツルしている。苔が生えている箇所もあり、長危険だ。
岩の面に対して、できる限り身体を垂直にして、両足でしっかりと斜面を捉えた姿勢をとる。今日のように滑りやすい日は、心持ち両足を広げるようにして足から岩へ伝える力を「下方向」ではなく「横方向」へと逃がすようにすると安定する。腕は決して延ばしきらない。力に任せて降りようとすると、あっという間に筋肉を疲労していまい10mすらもたない。
言うは易しだが、これは意外と経験を積まないと難しい。恐怖心に負けてしまうと、どうしても岩にしがみつく姿勢になりがち。そうなると足の接地面が小さくなり、その一点では全体重を支えきれず、ふとした瞬間に滑落してしまう。つまりへっぴり腰になればなるほど滑落のリスクが増してしまう。3階建てのビル屋上から、懸垂下降訓練をしたころがあるが、そんな経験でもないとなかなか恐怖心を抑え込むのは難しい。
途中、全く足場が確保できなかった場所があったので、無理をせず腕を休めながらゆっくりと時間をかけて降りた。
岩の表面が乾いてさえいればここまでの苦労はしなかったと思うが、ある意味、表妙義の「鷹戻しの鎖場」よりも記憶に残ったポイントだった。
そのまま登山道を降り、ゴルフ場のコース脇に出る。
敷地ではないが、ボールが飛び交う場所なので足早にゴルフ場を抜け、歩いてきた岩山に沿うように日吉神社へと戻る。
駐車場にはいつの間にか4台の車が増えていた。
雪山には行けなかったが、なかなか面白い登山ができたと大満足。
満足ついでに大好きな「正嗣」に立ち寄り、焼き餃子を買い込んだ。栃木の餃子と言えば「みんみん」だが、個人的には少し癖がある感じの「正嗣」が気に入っている。久しぶりの味でこれも大満足だった。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 絶望とか地の果てとか、底から這いあがれる者だけが挑める場所ですね。

  • 地獄の住人 やまかえるです。笑

登った山

岩山

岩山

328m

よく似たコース

岩山 栃木県

岩場に富み、スリルが味わえる小連峰

最適日数
日帰り
コースタイプ
周回
歩行時間
3時間
難易度
コース定数
9
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