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無道二千m峰25/126/768無道

冷山( 八ヶ岳)

パーティ: 2人 (1357 さん 、ほか1名)

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行程・コース

天候

曇後雪/晴後雪/晴れ

登山口へのアクセス

バス

この登山記録の行程

美濃戸口(7:15)美濃戸(8:00)デポ(2,180m)美濃戸中山(11:50)行者小屋(14:00)赤岳鉱泉幕営(15:00/7:00)稜線(8:50)峰ノ松目(10:00)オーレン小屋(11:10)箕冠山(12:30)東天狗岳(14:20)黒百合平幕営(15:20/8:00)稲子岳(9:40)中山峠(10:45)中山(11:40)高見高見石小屋(12:40)丸山(13:20)冷山(15:20)渋ノ湯(16:25)

コース

総距離
約24.5km
累積標高差
上り約2,554m
下り約2,183m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 最近は何と言っても寝不足が山登りの最大の敵で、夜行列車を避けて最終の「梓号」で新宿を発ち、茅野駅で夜を明かす。

 美濃戸口行きの始発バスはほぼ満員の盛況で、昭和51年以来の行者小屋への道を辿る。22年の空白の間に柳川には立派な橋が架かっており、車が何台も追い抜いて行く。殆どの登山者が車道を歩くので、川沿いの山道は廃れつつある。美濃戸の山小屋も一部が今様に模様替えをして、中高年世代には有難い存在になって賑わっている。
 ベルグラの張った南沢を歩き、標高2,180mで(2,250m地点の枝沢の所と勘違いをした)ザックを下ろす。ヤッケの上下を着け、美濃戸中山を目指して藪に分け入る。この時期だと根張りを覆っている苔が凍って空洞を踏み抜く事も無く、少々の藪さえ我慢すれば快適に登る事が出来、道の無い中山へ登る好期である。下生えの少ない所を選んで登ると東北東の方へ導かれ、這松の混生する頂上部の緩い傾斜を執拗に辿って頂上を踏む。そこには大きな古株が朽ちて在るだけだ。
Bが先頭に立って藪を漕いで下り、思ったより簡単にザックの所に戻る。雪煙が舞う強風の中で食事を摂って一息入れ、行者小屋へ向かう。小屋直下の登山道の流水が氷結しており、Aが手酷く転んでおでこを強かに打ち、大きなたん瘤を拵える。小屋のテント場にはほんの数張りしか無く意外な感じがするが、小屋には宿泊者が多く活気がある。先を急ぎたい処だが、ベンチに腰を下ろして橘田さんが落着くのを待つ。右側のおでこが見惚れそうになる程見事に腫れ上がって心配するが、本人は「異常は無い」と言う。
 オーレン小屋まで行くのを諦め、赤岳鉱泉で泊る事にし、中山峠を越えてゆるゆると下る。以前の鉱泉付近は立木が無くて広い草原だった様に思うが、今は小中木が生えて豊かな森になっており、その北側に2段の幕営地が在る。雪が舞う寒々とした裸地にテントを2つ張り、2人用のテントに3人入って食事を摂る。食後、2人用テントに戻ると空気は冷え切っており、夜の寒さを思い遣る。
                      
 象足のお陰で寒い思いをせずに朝を迎える。樹間から覗く青空を見上げ、晴天を喜びつつ出発し、十数人の若いグループに混じってゆっくりと登る。軍手着用の子もいて長閑に楽しく歩いているので高校生かと思いきや大学WV部員と判り、「自分等が年を取り過ぎているんだね」と言う事で3人の意見が一致する。
 阿弥陀岳が朝日に輝き、北稜も北西稜も冬の様相を呈して真っ白だ。やがて朝日を全身に享け、元気一杯に稜線に登り着く(Aは緊張から疲れが来ている様だ)。硫黄岳は直ぐ目の前で、反対側には峰ノ松目のとんがり頭が待ち受けている。
 風があってじっとしていると直ぐに身体が冷えて来るが、歩くと頬に当たる冷気が心地好い。道ははっきりしていて心配する程の事は無く、「冬季立入禁止」の看板を訝りながら這松帯から針葉樹林へ入り、静かな雪景色の中を前進する。昨夜の新雪が枯草の上に積ってスリップし易い。
 オーレン小屋への分岐点の鞍部にザックを置き、急斜面を一気に峰ノ松目の頂上まで登り、大休止して甘味を摂る。白銀に輝く陽射しの中で寛ぎ、誰も居ない静かな山頂の平穏を楽しむ。
 鞍部から緩くトラバースして右方へ下り、硫黄岳からの道を合わせて暫く行くとオーレン小屋へ出る。静寂に包まれ、それでいて明るく開けた小屋の雰囲気は好い。
 甘くて癖が無く美味しい名水を飲んで、小屋の横から箕冠山への道に入る。同じ勾配の長い道をしんねりと歩き、2本目半ばで夏沢峠からの道と合流して頂上に出る。足跡が現われ、登山者にも出会う。
 根石岳へ向かって下ると植生が途絶え、ガスに包まれて視界を奪われる。ヤッケを着込み、根石山頂の岩を廻り込んで東天狗岳へ登り返す。ガスは時々途切れ、南へ縦走する登山者にも出会う。
 天狗岳からは直接黒百合平へ向かう道に入る。岩の間の道が雪に隠れて判り難い上に吹雪模様になって消耗し、「やっと」と言う感じで小屋に着く。疲れ気味のAは小屋泊りにするが、気を使ってか、食事はテントまで遣って来て一緒に食べる。

 白銀の世界を期待していたのだが10cm程の積雪で、生憎と天気が悪くガスが流れている。起きるのが億劫で夜明けまでズルズルと延ばし、この間、「朝食は一緒に食べよう」と言う約束を守るべく、Aは小屋とテントの間を何回も往復したらしい。
中山峠にザックを置いて稲子岳へ向かう。2人はアイゼンを着用する。気温が低くて雪がキュッキュッと泣く位だから、急な坂の下りでは呆気無い程簡単に滑って転ぶ。一段降りて等高線が緩くなる付近で山道を離れて左に入り、シラビソの小木を押し分けてトラバースする。途中の大岩に苦労して下ると赤布があり、鞍部から尾根状の所に取り付くとはっきりした踏跡が現われる。
 小丘を越えて本格的な登りに掛かると雪が多くなる。吹き曝しのガラ場を登り、稲子岳南壁の上辺を辿って水平な頂上部を廻り込み、足元が切れ落ちている樹林との境目を慎重に歩き、倒木を越えて最高点へ達する。
 頂上で立休を取って引き返すとこちらへ向かう登山者が現われて吃驚する。暫く行くと別の組にも出会い、「誰も登らない」と思い込んでいた稲子岳の盛況振りを訝しく思う。雪のこの時期の登頂を目論んだ人が偶々4組も一緒になったのだろうが、それにしても予想外の事だ。
赤布と踏跡が登山道まで続いており、復路では幾らか楽をする。注意して探すと、踏跡の入口に赤布を見付ける事が出来る。
 峠へ登り返して食事を摂っていると、急坂の登りで暖まった身体が急速に冷える。「黒百合平から渋ノ湯へ下山するだろう」と期待している風のAに気付かない振りをして、「八柱山は諦めざるを得ないが、せめて冷山へは登りたい」と、中山を越えて高見石へ向かう。中山は石の山で、登りも下りも石が露出して歩き難い。積雪が50cm程になれば楽しい登山道に変身するだろう。
 高見石への長い下りにいい加減厭きる頃、鞍部からほんの少し登って小屋へ着く。木製のテーブルと椅子が雪を被って陽射しの中に輝いているが、吹き抜ける風の冷たさには陽光も敵わず、風を避けて屋根の下で大休止して英気を養う。
 小屋から丸山へ向かう途中には白駒池や麦草峠、あるいは渋ノ湯へ向かう分岐が多く迷い易い。一登りして丸山に至り、林に分け入って冷山への廃道を探す。三角点の横から西へ向かってはっきりした道が付いており、「藪漕ぎとも無縁で、明るい内に渋ノ湯へ下山出来そうだ」と安堵する。
 山頂部のお椀の盛り上がり部の下降は足元が悪いが、やがて緩い雪道が樹林の中に続き、長閑な冬山気分を楽しみながら下る。思ったより道は長く、左にトラバース気味に高度を下げて先を急ぐと渋ノ湯と麦草峠西部を結ぶ道にやっとの事で出会い、やれやれと腰を下ろす。赤岳鉱泉の賑わいが嘘の様に、この道にはトレースが付いていない。
 食事の傍ら冷山への登路を捜すが見当たらず、渋ノ湯へ向かい、下降に移る手前の分岐点にザックを下ろす。Aは初日に転倒して作ったたんこぶの内出血が目の周りに下りて来て酷い顔になっており、酷く疲れている様にも見え、あまり強く登頂を勧めるのは気が引ける。
 Bと2人で小中木の林に分け入り、小枝から落ちて来る雪と落葉や樹幹の煤に塗れながら強引に冷山の頂上を目指す。中木に覆われた最高点は何の変わり映えもせず、人の痕跡は全く無い。

 今回は、八ヶ岳の主稜線から離れてあまり登る機会の無い山頂を踏破しようと出掛けて来たのだが、八柱山を逃したとは言え、結果的には最も手強イト思っていた冷山に登った事で満足し、足取りも軽く引き返す。 
Aのザックの中身を2人で分けて軽くし、下山に掛かる。暫くは緩い道が続くが、やがて本格的な下りとなり、暗くなる直前、渋ノ湯へ下山する。
 既にバスは無く、タクシーを頼んでゆっくりとお湯に入る。茅野ではAの案内で『諏訪せんべい』を土産に買い、『更科』の新蕎麦を美味しく食べて乾杯する。

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装備・携行品

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登った山

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