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天空のコバルトブルー・アイ 初秋の一切経山

一切経山、東吾妻山、吾妻小富士( 東北)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 磐梯吾妻スカイラインの中間地点にある浄土平の大きな有料駐車場(約700台)。カーナビには「浄土平ビジターセンター」と入力するとよい。有料と言っても料金所に人がいるのは8時30分~16時00分までの時間帯で、夜間は開放されていた。料金は500円とのこと。綺麗なトイレあり。なお、11月中旬から4月下旬にかけては冬期閉鎖されているので注意。

この登山記録の行程

浄土平ビジターセンター(05:49)・・・分岐・・・酸ヶ平小屋(06:24)・・・一切経山(06:45)(休憩~06:55)・・・酸ヶ平小屋・・・分岐・・・酸ヶ平(07:20)・・・鎌沼(07:26)・・・姥ヶ原(07:45)・・・東吾妻山(08:15)・・・展望台(08:29)・・・景場平(09:00)・・・鳥子平(09:20)・・・樋沼(09:57)・・・吾妻小富士登山口(10:05)・・・吾妻小富士(10:09)・・・外周・・・吾妻小富士登山口(10:41)・・・浄土平ビジターセンター(10:42)

コース

総距離
約15.8km
累積標高差
上り約903m
下り約903m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

金曜日の夜、仕事を終えて東北へと向けて車を走らせる。
大型の台風14号が接近しているが、まだ影響が及ぶには少し早いと天気図を見て判断した。出発時点での予報は決して良くはなかったが、明日に限って言えばきっと晴れ間も期待できるはず。
目指すは福島の一切経山。
「登りたい山リスト」の上位にあって敢えてこれまで取っておいた思い入れのある山。密かに計画していたのは、一切経山・東吾妻山を経て西吾妻までの長距離縦走。歩き切った後の交通手段が少ないこともあって、これまでなかなか実行に移せずにいたにで、一度、土地勘を持っておこうと、今回は下見をかねて出発地点となる一切経山へ行ってみようと思い立った。
「一切経山」ととても変わった名前を持つが、その昔「空海和尚」が“一切経”という経典を山中に埋めたことからその名がついたといわれている。標高は1,949mで三百名山の一つ。その周辺には、1,975mの東吾妻山を最高峰に、1,805mの高山、そしてシンボルと呼ぶべき1,705mの吾妻小富士が聳えている。それぞれ2,000mに近い山だが、スタート地点となる浄土平ビジターセンターで既に1,600mあるので、比較的、初心者でも天空の楽園が気軽に楽しめるようになっている。
深夜0時を少し過ぎて、ようやく浄土平ビジターセンターの駐車場へ到着。
台風の影響にはまだ早いはずなのに、車が横揺れするくらいの激しい風が吹いていた。天気図を読み間違えたのかと不安がよぎった。
「本当に明日、晴れるだろうか?」と、もう一度、天気図を確認しようと思ったが、疲れていたのか、スマホを握ったまま、いつの間にか寝落ちしていた。
「ゴォー」と言う風の唸り声で目が覚める。時計を確認すると4時過ぎだった。
よくもまあ、こんな状態の中で爆睡していたものだ。よほど疲れていたと言うことか。
日の出は5時22分。
出来る限り長距離を歩きたかったので、日の出前に出発しようと考えていたが、激しい風切り音を聞くからに、暗いうちは安全が確保できないと、出発を1時間遅らせることにした。
日の出の時刻を過ぎて、周囲が完全に明るくなってきた。
始めてみる浄土平の風景。浄土という名前を使うだけあって非日常的な風景が広がっている。最初に目に入るのは、ジターセンターから見上げる一切経山。白っぽい山肌に、赤茶けた土や黄色い土が混ざって見える。黄色い部分は硫黄だろうか。その近くから白く吹き上がる噴煙が印象的だった。
トイレで顔を洗い準備を整えて出発。
若干、太陽が顔を出したことで風も落ち着いたような気がしたが、登山には不向きなくらい肌寒かったので、レインウエアを着込む。
予定していたコースを変更して、最初に、メインイベントだった「一切経山」を目指す。先ほどビジターセンターから見上げた一切経山の山肌とは対照的に、緑あふれる登山道を緩やかに登っていく。
この周辺には湿地帯が多く、登山と言うより散策と言う感覚に近い。
右手に「蓬莱山」を見ながら分岐を右へと折れると、草原の中にポツンと建つ「酸ヶ平避難小屋」が見えてくる。その脇を抜けてガレ場の斜面を登っていく。やっと登山らしくなったが、山頂までの距離は登山と呼ぶほどではなく、40分ほどの工程。
少し登ったところで振り返ってみると、絨毯のように緑で覆われた「酸ヶ平」が見えた。雲のかかった蓬莱山とその右手前に小さな池も見える。「鎌沼」だ。
岩稜地帯の丘のような斜面を登り切ると、一切経山の山頂。
荒涼とした頂に薄っすらと霧が立ち込めていて、黄泉の国を連想させるような不思議な光景が広がっていた。
広い山頂を奥へと進み、最も見たかった風景を探す。
「魔女は霧の中か?」と、諦めかけた瞬間、舞台の幕が開くように、霧がサーっと大きく動き視界が開けていくと同時に、「ハッ」とするような濃いコバルトブルーの湖が眼下に現れた。「おおっー魔女の瞳だ!!」。
神秘のカルデラ湖。これが見たかった。美しく静かに湖面が鏡のよう。吸い込まれるような不思議な魅力を持っていることから、通称「魔女の瞳」と呼ばれている。正確には五色沼。光の当たり具合によって五色に変化するという。
高い山の上、火口跡にできた神秘的な湖。その向こうには雲海が広がっている。まさに天空に浮かぶ湖。
もう少し眺めていたかったが、登山者が登ってきたので、次の目的地へと行動を開始した。
来た道を折り返し、酸ヶ平へ向かう。
登ってくるときには気がつかなかったが、山頂から九少し降ったところで、吾妻小富士が目の前でよく見えていた。大きく開いた火口が地獄の釜のように見える。今にも真っ赤な溶岩が真っ黒な噴煙と共に吹き上がってもおかしくない、そんな臨場感があった。
「やっぱり、今日の締めにはあそこ(吾妻小富士)へ登らないと!」
酸ヶ平避難小屋へ向かって降っていく。
真正面に見える蓬莱山の横に、特徴的な頂が見えた。登りの時には雲で隠れていて気が付かなかったようだ。特徴的なその頂は見間違うことなく「会津磐梯山」。別名「会津富士」だ。いつもは向こう側から吾妻連山を眺めていたが、今日は逆の位置に立っている。そう思うと、自分の中の地図がまた一つ広がったような気がして嬉しくなった。
小屋を過ぎて、酸ヶ平から鎌沼へ向かって木道を歩く。
緑に、青い空と白い雲。最高だ。
鎌沼の周辺は植生が異なるのだろうか、ほんのりと秋色に変化していた。
静かな湖畔で休憩を取る。
透明度が高く、湖底にある石の一つ一つがはっきりと視認できた。
鎌のような形状をしていることから名前がついたと察するが、どちらかと言うと三日月の形状に近く、折角なら「三日月湖」にすればもっとイメージ的にも良かったのにと思う。
緑に包まれて、湖面には雲が写り込んでいる。いつまでも眺めていたくなるような風景だった。
そんな風景を上から眺めてみようと東吾妻山へ登ってみる。
東吾妻山は、こんもりとした大きな森のような山だった。身長をすっぽりと囲むような低い雑木に覆われていて、登山道も頭上まで枝で覆われていいて、残念ながら振り返っても鎌沼を鳥瞰することはできなかった。
仕方がないので、一気に登り詰める。
樹木のトンネルを抜けて山頂へ到着。
山頂は一切経山と同じく、荒涼としたガレ場だった。下から見上げた時には青空に頂が見えていたが、登っている最中に雲がかかってしまったようで、真っ白の中にかろうじて山頂の標識が見えているだけだった。磐梯山が見えるかと期待していたのに残念だった。
当初の予定では、一番目に東吾妻山に登り、その後、東大巓まで足を延ばし、烏帽子山を経て一切経山へ向かうルートで歩くはずだった。
地図を見ながら「今からでも周れるか?」との考えもよぎったが、流れ的に吾妻小富士を狙った方が良いと、ここは東吾妻山を反対側へと抜けて吾妻小富士へ向かうルートをとることにした。
登りと同じく眺望がなかったので、駆け下りるように降り雲を抜け出た。
傾斜が緩み、水平移動に入って暫くすると「景場平」と呼ばれる湿地帯へ出た。
予備知識がなかっただけに、東吾妻山の反対側にもこんなに素晴らしい湿地帯があるとは思ってもいなく、暫くその風景に魅入ってしまった。
こちらの方が、酸ヶ平や姥ヶ原よりも、幾分、紅葉が進んでいようだった。
行く手に聳えている「吾妻小富士」を目印に進む。こうやってみるとまさに富士山をそのまま小さくしたような成端な山容。でも、その威厳は本物にも引けを取らず堂々たるものだった。
湿地帯を抜けると再び下りとなり、磐梯吾妻スカイラインまで降る。ここまで来るとスタート地点だった浄土平も近い。
鳥子平を抜けて、途中、樋沼に立ち寄り浄土平へ。
ガラガラだった駐車場もいつしか一杯になっていた。
吾妻小富士へは、スカイラインの道路を挟んで浄土平ビジターセンターの反対側からアプローチする。
登山道が整っていて20分もかからずに登れるため、普通の観光客も大勢混じって登っている。その隙間を縫うように登っていき、20分どころか5分を切って山へ到着した。
赤茶けた山肌。富士山の砂走を思い起こす。
登り切ると、火口のお釜とその外周が目に飛び込んできた。圧巻の光景。
振り返ってみると浄土平を囲むように一切経山とそれに連なる山々が綺麗に見下ろせた。白っぽい山肌がとても不思議な空間を生み出している。SNSでは「磐梯吾妻スカイラインから見た一切経山は日本とは思えない」と話題になっていると聞いたことがあるが、確かにこんなスケールの大きな風景は滅多に見ることができないと思う。
火口の外周を反時計回りにゆっくり巡ってみる。約1時間と言われているが、実際には30分程度だろうか。
東吾妻山に滞留していた雲もいつの間にか完全に無くなっていた。代わりに、東吾妻山の奥にあった安達太良山系が姿を現していた。
眼下にゆっくりと雲が流れている。その雲の下には福島の市街地とそれを囲むように広がる田園風景が見えた。稲が穂を実らせて、田んぼの色が緑から金色に変わりつつある。日本の秋は美しい。
僅か15km程度の工程で、これほど変化が楽しめる登山はそうはない。いつか必ず戻ってきて、西吾妻山への縦走を実現させなければ!と心に秘めた下山した。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • なぜに池や湖を瞳というのか。容姿ややらなきゃいけない仕事、それでも瞳だけは真の自分が宿るからかな。瞳を見れば、その人の真の姿が見える。なぁんてね。

  • 外から見ても山バカ。
    真の姿も山バカ。バカ。

登った山

東吾妻山

東吾妻山

1,975m

一切経山

一切経山

1,949m

吾妻小富士

吾妻小富士

1,707m

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