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宮秋岩の県境で山愛を叫ぶ栗駒山

栗駒山、秣岳( 東北)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 「須川高原温泉」の正面にある「須川高原温泉駐車場」を利用させて頂く。250台と言われる広い駐車場。無料なのに舗装されていてキレなトイレも完備されている。夜間も解放されているため有難い。ビジターセンター脇には登山靴を洗う水道も完備されている。携帯はDocomo,Auともに使用できた。マップコード「573 827 203*68」。下山後の露天風呂「大日湯」が最高!(700円/大人)。

この登山記録の行程

須川高原温泉駐車場(05:32)・・・蒸し風呂(05:45)・・・名残ヶ原(05:52)・・・苔花台分岐(06:00)・・・昭和湖(06:17)・・・苔花台分岐(06:39)・・・栗駒山(須川岳)(07:44)(休憩~08:20)・・・天狗平(08:39)・・・展望岩頭・・・秣岳(10:02)・・・秣岳登山口(10:41)・・・<車道>・・・須川湖・・須川高原温泉駐車場(11:19)

コース

総距離
約15.2km
累積標高差
上り約1,047m
下り約1,047m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

連続する台風14号と15号の影響で、天気が大荒れだったシルバーウィーク後半。大人しくしていようと思っていたが、最終日だけがなんとか持ち直すという。晴れると分かった瞬間、秋山への思いが沸々と湧き上がってきた。
紅葉と言えば、飯豊山や大朝日岳を真っ先に思い浮かべたが、それよりもどうしても行きたい山があった。
紅葉の名所で「神の絨毯」と称される日本を代表する「栗駒山(須川山)」。
栗駒山へは7年前に一度訪れたことがあるが、雨とガスガスだったので、いつかもう一度訪れてみたいと思っていた。
栗駒山が頭に浮かんだのには理由がある。少し前にインターネットで、「高い火山ガス濃度が観測されたため2019年から通行止めになっていた須川登山道の一部が期限付きで4年ぶりに解禁となった」というニュースを目にした。9月9日から10月16日までの僅かな期間だという。7年前には須川登山道を歩き通しているが、残念ながら昭和湖の記憶が全く残っていない。期限付きの解禁とあれば、是非、エメラルドグリーンの神秘を見に行きたいと思ったのがきっかけだった。
栗駒山は、奥羽山脈に属し焼石岳や神室山から成る栗駒国定公園の主峰で標高1,626m。宮城・岩手・秋田の三県にまたがり、円錐状の裾野をもつコニーデ型の火山で、その山容から「奥羽山脈の女王」と呼ばれている。事実、二百名山の一つ(花の百名山でもある)に数えられているが、書「日本百名山」の後書きで「東北では秋田駒ヶ岳と栗駒山を百名山にいれるべきであったかもしれない」と深田久弥が発言しているほどの実力で、東北を代表する名峰として必ず名前が挙がる山である。
調べてみると、宮城県側のアプローチとなる「いわかがみ平」は、紅葉シーズンになると交通規制がかかるとのこと。一番早いシャトルバスを利用しても7:00だいだったので、これはさすがに不便だと思い、遠回りとなるが岩手県と秋田県の県境にある「須川温泉登山口」を起点にすることにした。7年前も須川温泉側から登ったので、いわかがみ平から登ってみたいと思っていたが、そもそも昭和湖へのアプローチは須川温泉側の方が適している。それにしても「交通規制」なんて昔はなかったような気がするが、つい最近のことだろうか。。。
宮城県側から山塊を周り込むように走る。ガソリンが心細かったので、早めに入れておこうと思ったが、気がついたらもう山の中に突入していて、お店どころか民家さえ見当たらなくなっていた。目的地まで50kmあまり。山ではよくあることだが、数kmおきにコンビニがある市街地と同じ感覚でいると痛い目に合う。
くねくねと蛇行しながら山道を進む。標高を上げるにつれ、濃い霧が道を覆い乱反射したライトで前が全く見えなかった。
緊張の中、慎重に運転をしていると、突如、暗闇の中に煌々とした建物が出現した。山には不釣り合いな大きな建物。目的地の須川温泉だ。
建物の反対側にあった「須川高原温泉駐車場」を使わせて頂く。
広い駐車場には既に何台かの車が停まっていたが、それでも栗駒の人気から考えると、予想していたよりは少ないと感じた。
風が「ゴーゴー」と激しくうねっている。予報では朝までには晴れるとのことであったが、台風の影響でここ数日荒れていたのが原因かも知れない。
長距離運転の疲れを取るために、早めの就寝とした。
強風で車体が横揺れしていたが、いつの間にか眠りに落ちていて朝まで一回も目が覚めることなく爆睡していた。
4時半に起床。東の空が赤く染まり始めていた。雲はまだ残っていたが、もの凄い勢いで流れている。あと1時間もすれば、きっと完全に取れることだろう。
日の出は5:27。
幾分かましになっていたが、それでも時折、強い風が吹いていたので、完全に明るくなるまで待ってから出発した。
硫黄の匂いが立ち込める須川温泉の脇を抜けて山へと入っていく。
徐々に朝日を浴びで周囲が明るくなってきた。紅葉は始まっているものの、山全体が鮮やかに染まる錦秋と呼ぶにはまだ一週間は早いようだった。
途中、小さな小屋があった。
山小屋にしては小さいと思ったら「天然蒸気浴舎蒸し風呂」と書かれた看板が入口に掲げられていた。ものすごく気になったが、歩き始めてようやくリズムが乗ってきたところだったので、そのまま通過してしまった。でも、「やっぱり覗いておけばよかった」と、あとで激しく後悔した。
暫くすると視界が開けて「名残ヶ原」と呼ばれる湿地帯へ到着した。栗駒山周辺にはいくつもの湿地帯がありシーズンになると多種多様の花が楽しめる。
木道を進み、「苔花平」の分岐で右折して、今日の目的の一つ「昭和湖」を目指す。
沢に沿いながら登っていく。硫黄で川底が白くなっていた。
ふと見ると、足元に珍しいものを見つけた。「イオウゴケ」だ。
イオウゴケは、名前の通り硫黄を好む苔。いや、苔と書いてしまったが、実はハナゴケ科ハナゴケ属の地衣類で、正確には苔ではない。数cm程の樹状の子柄が密集して、その先端に赤い子器がつく。この赤い子器が真っ赤な口紅を塗った豊満な唇に似ていることから、別名「モンローリップ」と呼ばれている。近寄ってまじまじと見ると、これが笑えるほどにセクシーで素敵だ。
分岐から20分ほどで昭和湖が見えてきた。
山の斜面で陽の光が遮られているためか、エメラルドグリーンと言うよりは少し沈んだ色をしていた。それがかえって不思議な色合いを生み出していた。湖畔にはトイレが設置されていた。制限解除に当たってトイレが使用できるように急きょ整備したというネットのニュースを思い出した。
暫く、誰もいない静かな湖畔でゆっくり湖面を眺めて過ごす。昭和湖の向こう側には湖を囲むように斜面が広がっていた。交通制限さえなければ、そのまま斜面を登り切ると、天狗平と呼ばれる場所を経て、僅か20分ほどで栗駒の山頂にたどり着くことができる。以前はそのコースで山頂まで一気に歩いたのを思い出した。
肌寒くなってきたので、そろそろ行動を再開することにした。
苔花平まで戻り、「三途の川」を渡って高度を上げていく。
産沼の分岐で、東栗駒山へ向かうコースに誘惑されたが、帰りの時間もあると今回は栗駒山へ直登することにした。
ここまで来ると、色づいた樹々が増えてきた。
緩やかな斜面が上に行くにつれて、斜度を増していく。
色づいた樹々の先に青い空が見えていて気持ちが良かった。
最後の急斜面を一気に登り切って栗駒山の頂へ立つ。
見覚えのある風景。「帰ってきた」。
反対側には「いわかがみ平」から登ってくる中央コースが見えた。
栗駒山はコニーデ型と紹介したが、富士山のような整った円錐形ではなく比較的緩やかなカーブを描いたような山容をしている。上から見下ろすとたおやかに斜面が広がっている。これが一斉に秋色に染まっていく様は確かに圧巻に違いない。
いわかがみ平側の斜面は、よくポスターでも使われていて、真っ赤に染まった風景は「神の絨毯」とも呼ばれている。
一方、須川側は黄色をベースとした色合いが特徴と言われている。赤と黄色の色のせめぎない。是非、ベストな状態で見てみたいものだ。
紅葉には1週間早かったようだったが、その代わりに目を奪う別な光景があった。
山頂から広がる雲海の先に、明らかに周囲の山々とは風格が異なる特徴的な山が幾つか聳えていた。
岩手県側に見える比較的になだらかな山は「早池峰山」と思われる。
とすると「岩手山もあるはず」と目線を左へと移していくと、鋭く尖った山がひょっこりと雲の中から顔をのぞかせているのが見えた。
更に左へと視線を移し、秋田県側を眺めると、思わず「うおぉーー」と声が漏れるほどの山が目に飛び込んできた。
雲海の中に成端な山容をした黒いシルエットが見える。遠くにあるにも関わらず距離感を狂わせるほどの存在感を持っている。見まごうことなく東北の山を代表する「鳥海山」だ。
うっとりするほど美しい。さすがは「登りたい夏山ランキング1位」と言われるだけのことはある。
鳥海山から左へいくと「月山」が見えた。こちらは対照的になだらかな形をしていた。
宮城県の方を振り返ってみると、双耳峰のようなシルエットと、その横に平らな頂を持つ山が見えた。真夏のくそ暑い中、飛び交う虫を避けながら重装備を持って歩いた記憶がよみがえる。「泉ヶ岳・北泉ヶ岳」と「船形山」だ。
栗駒山から見る360度の眺望。
東北の主要な山々がこんなに綺麗に見渡せるとは。言葉を失うほどの素晴らしい風景をしっかりと心に刻んだ。
1時間程ゆっくりしていたかったが、帰路のことを考えるとあまりゆっくりもしていられない。水分補給と軽く行動食を口にしてから再び歩き出した。
後半は下山モード。登ってきた方向とは反対側に進み「天馬尾根」を使って、周遊するようにスタート地点の須川温泉まで戻るルートをとる。
山頂から暫くは鳥海山を眺めながらという贅沢な稜線歩きを楽しむことができる。こちらの方は紅葉が早いのか、一面黄色く染まっていた。
眼下に昭和湖が見えた。朝一番に見た風景とは異なり、太陽の光を受けて湖面が青く輝いていた。
「天馬尾根」を緩やかに降っていく。
天馬という名前にぴったりな、どこまでも歩いていきたくなるような登山道だった。
歩いていると突然、風景ががらりと変わり、視界一杯に広がる草原エリア「白銀草原」にやってきた。草原と空がめちゃ近い。草原の中に線を引くように一本の木道が延びている。青い空と色づいた草紅葉のコントラストが絶妙だった。まさにフルコースのような栗駒山の風景を得て、満足しきったところへのデザート的風景だった。
秣岳まで来ると出発地点の須川温泉がよく見下ろせた。
ここまで来ると楽しかった山旅ももう終わり。
尾根から外れて30分ほど斜面を降ると秣岳登山口に出た。そこからは舗装道路を使いテクテクと、途中、須川湖に立ち寄りながら須川温泉へ。
帰り着くと、時間は11時少し前。駐車場がいつしか満杯になっていた。
下山後、露天風呂「大日湯」に立ち寄って。700円/大人。
良質なお湯で、温泉好きの日本人の心をくすぐるように硫黄の匂いが漂っている。
青空の下での大露天風呂。一枚の板で囲ってあるだけの解放感がまた良い。目の前には温泉の名前の由来となっている大きな岩「大日岩」が景観にアクセントをつけていた。紅葉と秘湯。やはり栗駒山は最高の山だ。

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みんなのコメント

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  • モンローはちょっと・・・

  • えー、お色気ムンムンでしょ。^_^
    お色気といえば、モンローか水戸黄門のお銀と言った。

登った山

栗駒山

栗駒山

1,626m

秣岳

秣岳

1,424m

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