行程・コース
天候
雨
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
祓川登山口(はらいがわとざんぐち)駐車場。旧かぐらスキー場第二リフト町営駐車場。最近、500円から1,000円に値上がりした模様(6月から10月中旬までは有料)。緯度経度(36.877655 138.735154)(GooglMapでナビ可能)。
2023年の夏季シーズンは丁度同日の7月15日からかぐら第1高速リフトが上りのみ運行開始。営業時間は6時00分~8時00分で料金は大人2,300円(これも値上がりした模様)。
この登山記録の行程
祓川登山口駐車場(06:04)・・・和田小屋登山口(06:18)・・・下ノ芝(07:03)・・・中ノ芝(07:31)・・・上ノ芝(07:42)・・・股スリ岩(07:49)・・・神楽ヶ峰(07:58)・・・富士見坂・雷清水(08:10)・・・お花畑(08:15)・・・雲尾坂(08:34)・・・苗場山(08:57)・・・苗場山頂ヒュッテ(09:00)・・・苗場神社(09:29)・・・お花畑(10:35)・・・富士見坂・雷清水(10:43)・・・神楽ヶ峰(11:00)・・・上ノ芝・・・中ノ芝・・・下ノ芝・・・和田小屋登山口(12:36)・・・祓川登山口駐車場(12:55)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
夜の1時に真っ暗な駐車場へ到着。
天気予報では曇りとなっていたが、激しく降る雨は止む気配がなかった。
少し仮眠をとって4時に起きるが状況は変わらず。「今日は車の中で寝て過ごすか?」と弱気な考えが頭をよぎった。実は、行動を渋っていたのには理由があった。この三連休は38度を超える酷暑との予報で、日本各地で熱中症アラートが出ていたこともあり、水分補給のことばかり考えていたら、レインウェアをすっかり入れ忘れていた。山屋としては恥ずかしいミス。
眠気もあってこのまま寝てしまおうとも思ったが、明るくなった周囲を見て、行動を決意する。「やっぱり登ろう!」。
幸い車に常備している折りたたみ傘を使えばなんとかなる。
決断さえしてしまえば、行動は早い。準備を整えて、いざ出発。
今日から登山者向けリフトの今期運行が開始になったらしく、スタッフの方が駐車場で待機されていた。「第一リフトのところまで車で送るのでどうぞ!」と言われたが、「大丈夫です。有難うございます」と丁寧にお断りをして歩き出した。歩ける脚力があるうちはできる限り山は自分の足で登りたいものだ。
ちなみに、登山者向けのリフト運行は、朝の6時から8時まで。いつの間にか値上がりしたようで片道2,300円。登りのみの運行で降りは徒歩での下山となる。1時間の行程を僅か10分に短縮できるので、時間がない方にはお勧めだ。
苗場山。新潟県南部、長野県北東部の県境に位置する標高2,145mの火山で、日本百名山の一つで、越後百山・新潟100名山・信州百名山にも選ばれている名峰。
山頂周辺には幾つもの池塘が点在していて、そこに群生するヒメホタルイが苗代に伸びる苗のように見えたことから苗場山と呼ばれるようになったとか。その風景は雲上の楽園として「神の田んぼ」とも言われ、古来より水の恵み・収穫の豊穣を祈った稲作の守り神として信仰を集めている。
今回は、好展望の登山道とされる「祓川コース」を使い、スキー場のゲレンデ脇から登山道へと入っていく。岩でゴロゴロとした登山道が、雨で川のようになっていた。滑らないように気をつけながら登っていく。しばらくは展望のない樹林帯が続いた。
中腹まで登ると視界が開け、「下ノ芝」と呼ばれる湿原に着く。この付近から徐々に植生が変化していく。
更に登った「中ノ芝」では、完全に樹林帯を抜けて周囲がよく見渡せた。晴れていればかなりの絶景ポイントだ。
湿原を芝と呼ぶのもの面白いと思ったが、なかなか言い得て妙。
「中ノ芝」から「上ノ芝」へ。たいぶ高度が上がってきたと感じる。振り返るとエメラルドグリーンのカッサ湖が見えた。
神楽ヶ峰まで来ると8合目。
水平移動に移り、少し進むと目の前に大きな山が見えてくる。これが目指す苗場山。思っていた以上に大きな山で存在感を示すようにどっしりと聳えていた。
登山道は一旦大きく降り、その垂直壁のような斜面に続いているのが見えた。なかなかの急登だ。望むところ。
富士見坂を降り、雷清水で水分補給をする。手をつけると痺れるくらい。残雪もないのに、どうしてこんなに冷たいのだろうか。喉越しが良くとても美味しかった。
コルまで降りるとニッコウコスゲやミネウスユキソウ(峰薄雪草)等、色とりどりの花が咲いていた。よく見ると看板に「お花畑」とある。なるほど、確かに圧倒的に花の種類が多い。登りの時には見落としていたが、降りの時にはヤマオオダマキも一輪見つけた。
さて、お花畑を過ぎるといよいよ最後の壁に向き合う。なかなかの激壁だ。傘をさしながらではバランスが取りづらかったが、幸い風は強くなかったので助かった。
振り返ると歩いてきた神楽ヶ峰の尾根ルートが見渡せた。
遠くの山も薄らながら見えている。
雨降りで眺望は完全に諦めていたが、今のところ頂にも雲はかかっていない。期待を持ちつつ、「あと少し!」と足に力を込めて、登り切る。
その瞬間、世界が一変した。
誰かの活動日記に、「激壁を上り切った先に広がる湿原は、苦労した分、尾瀬より感動する」とあった文章を思い出したが、その言葉通り、想像以上の風景が感動と共に目に飛び込んできた。
緑一色に広がる優しい湿原の風景。まさに五月の田植えが終わった田園のよう。「一体自分は今どこに立っているのか?」と驚き、遅れてじんわりと感動が全身を駆け巡った。
「おおーっ。素晴らしい」
傘で雨からレンズを守りながら手当たり次第に写真を撮った。
濡れて萎んだワタスゲが寂しげだったが、池塘に映る姿がとても愛らしい。
山頂の標識を巡り、苗場山頂ヒュッテに立ち寄ってみた。ヒュッテの横には、休憩ができるテーブルと椅子が設置されていた。少し小高い位置にあり、そこからは湿原全体が見渡せるようになっていた。湿原の向こうには折り重なるように特徴的な形をした高い山々が連なっている。
一番手前に聳えているのは、大好きな仙ノ倉山。
そこを起点に周辺をよく見てみると、奥に谷川岳。その右手にはぼんやりと赤城山も見えた。
最初は霞みか山かも区別がつかなかったが、頭の中で地図後繋がってくると山座同定も俄然面白くなってくる。左手に見えている双耳峰の山は尾瀬の燧ヶ岳。とするとその間にあるのは皇海山に違いないと見ているだけでワクワクしてくる。
雨が降って残念な登山だと諦めていたが、ここまで眺望が楽しめるとは嬉しい誤算で、むしろ人のいない苗場山を独占できてラッキーだった。
木道をゆっくり巡りながら、苗場神社まで散策してから折り返す。
頂の開放感は半端なく、まさに雲上の楽園と呼ばれるに相応しい場所だと思った。
できれば快晴の時に再び訪れて、お湯を沸かしコーヒーを淹れて、池塘に写り込む雲の流れを楽しみながら、のんびりと時間を過ごしてみたいと思った。
心なしか雨が弱まってきた。お昼から雨が上がると言っていたが、最近の天気予報は本当に正確だ。
「もう少し待っていれば止むかな?」とも思ったが、スケジュールの関係から下山を開始することにした。離れがたかったが、やむを得ない。
降る途中、ちょうど何人かの登山者が入れ替わりで登ってきた。「雨ももう直ぐ止みそうですし、眺望もありますよ」と、声をかけると嬉しそうな笑顔が返ってきた。なんだかこちらまで嬉しくなる。
濡れた岩に足を取られないように、踏ん張りながら降っていく。
足に負担をかけすぎたのか、治りかけてきたはずの右足に痛みが出てきたが、少しかばいながらも、なんとか最後まで降り切ることができた。
最後に、近くにある「道の駅みつまた」に併設される「街道の湯」で温泉に浸かり、丹念に足をマッサージして明日に備えた。600円也。道の駅も小さいながら、お土産も豊富でとても素敵な施設だった。新潟県魚沼地方発祥の蕎麦「へぎそば」を旅の想い出に購入。














































