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樹氷の先にオレンジの紅葉 奥日光と日光白根山

前白根山、日光白根山( 関東)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

雪、晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 湯元本通り北湖畔駐車場を利用。日光湯元温泉街の中心部で、日光湯元温泉街のバスターミナルに隣接している無料駐車場(バス用と乗用車用で区画される場合有)。24時間開放されていてトイレもある。その他、日光湯元ビジターセンター前に湯元本通り南駐車場もある。ちなみに、すぐ近くの湯本温泉スキー場のゲレンデには、テント場(キャンプ場)があるので前泊される方は便利。

この登山記録の行程

湯元温泉・湯元本通り北湖畔駐車場(03:48)・・・天狗平・・・前白根山(06:41)・・・五色沼避難小屋(07:16)・・・弥陀ヶ池(08:05)・・・日光白根山(08:54)(休憩~09:17)・・・五色沼避難小屋(10:09)・・・前白根山(10:43)・・・天狗平(11:01)・・・湯元温泉・湯元本通り北湖畔駐車場(12:32)

コース

総距離
約13.6km
累積標高差
上り約1,588m
下り約1,588m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

地元の先輩が週末の日曜日、苗場山へ遠征をするという。
「そこで落ちあおう!」と盛り上がり、頂でのランデブーを夢見て、土曜日、車を走らせるも、途中で寝袋を忘れたことに気が付き、取りに戻ったらすっかり時間も遅れてもはや意気消沈。泣くなく苗場山は諦めることにした。
ハンドルを握りながら、新しい目的地を頭の中で検索すると、一つの候補が浮かび上がってきた。前から挑戦しようと思っていた栃木四天王の一つ「錫ヶ岳」が良いんじゃないかと。事前の情報チェックと心の準備ができていなかったが、まあ、なんとかなるだろう。
かくして苗場山から行く先を奥日光に変更して車を走らせた。
歩き出しは、金精峠にしようかと迷ったが、久しぶりに想い出のコースを歩きたいと湯元温泉を起点にすることにした。
到着してすぐに仮眠をとり、●時から歩き始める。
明け方前の真っ暗闇。
ヘッドライトの光に照らされ、何かがちらつくと思ったら雪だった。冬型の天候になるので高い山では雪が降る可能性があると聞いていたが、歩き出しで降るとは思ってもいなかった。道理で寒いはずだと、珍しくウエアーを一枚着込んでから歩き出した。
久しぶりの湯元起点で、道を間違えてしまい駐車場の周りをぐるぐるしてしまった。ようやく道を思い出し、スキー場の脇を抜けて登山口へと向かう。
林道を黙々と登って行く。
この辺は鹿が多いと聞いていたが、もの凄く近いところから甲高い鳴き声とともにガサガサと移動する音が聞こえてきた。暗闇なのではっきりとは分からなかったが、おそらく数m先、5,6頭はいる気配だった。
登山口に到着。
ここからは一気に高度を上げていく。かなりの直登だったと記憶が蘇ってきた。
大木の根っこを足掛かりにしながら斜面をひたすら登って行く。ハードな道だが、明瞭なため夜間でも問題なく登ることができた。
頭の上では、「ゴーッ」と言う唸り声を上げながら、風が吹き荒れていた。この週末は寒気が入り込んでくる影響から、てんきとくらすもALL「C」で強風と予想されていた。「錫ヶ岳」は稜線歩きが長いため、風の強さが一番気になっていた。果たして大丈夫だろうか。
稜線にたどり着いた頃、周囲を真っ赤に染めながら太陽が昇ってきた。
右手に見える山の斜面がほんのりと明るい。モルゲンロートで赤く染まっているのかと思いきや、樹々が紅葉で色づいているせいだと気が付いた。ベールのように霧がかかり、その紅葉を包み込んでいる。寒さを忘れ立ちすくんでしまうほど、とても神秘的な光景だった。
高度を上げるにつれて遮るものが少なくなり、強風の洗礼を全身で受けるようになってきた。雪が交じり痛くて目が開けていられない。耳も冷たさで痛いくらいだった。
どんどん白くなっていく地面。「キュッキュッ」という踏みしめる音に、ようやく今年も雪山がやってきたと嬉しくなった(雪山と呼ぶにはまだ早いが)。
さらに進むと、樹々が凍り始めてきた。
今年初めての樹氷。しかも、オレンジ色に紅葉した樹木がそのまま凍りついていて、得も言われぬ美しさを醸し出していて、「おおーっ」と言う声が自然と溢れ出た。季節をそのまま氷で封じ込めているようだった。
前白根山へ到着。
晴れていれば主たる日光白根山がドーンと目の前に聳えているのが見えるが、今は吹き荒れる雪と霧で何も見えなかった。
立っている間も、容赦なく冷たい風が襲い掛かってくる。
太陽が完全に出てしまえば、少しは収まるだろうと思うが、これから先は稜線歩きとなるため、吹雪に終始晒されながら歩くことになる。
霧の中に消えていく登山道を眺めながら考える。気合を入れて明け方前から登って来たが、初めてのルートでこの悪条件はリスクが高い。今日はやめた方が無難だろうと判断した。
そうと決まれば早めに下山して、午前中いっぱい温泉を堪能してから帰ることにしよう。そんな贅沢な日があっても良いと思ったらワクワクしてきた。
五色沼経由で五色山まで足を延ばし、そのまま湯元へ向かう来た道とは別ルートで降るコースを設定した。頭の中は既に「温泉」モード。一刻も早く温泉に入りたくなった。
避難小屋から森を抜けて五色沼へ向かう。
五色沼周辺は山に囲まれているためか、樹氷は少なかったが代わりに森全体がフリーズドライのように凍っていた。エネラルドグリーンの五色沼も灰色がかり、モノトーンの世界観で美しかった。
五色沼から弥陀ヶ池方面へ。
「ゴーッ」という風の音を聞いて顔を上げる。日光白根山の直下を歩いているにも関わらず、頂はぶ厚い霧の中に姿を隠していた。
そこに頂があると思った瞬間、「登りたい」と衝動が湧き上がってきた。
「ここまで足を運んで、目的の山(錫ヶ岳)も諦め、日光白根山に挨拶もせずに帰って果たしてそれで良いのか?」と心を突き動かす。
山屋の悪い癖。温泉モードになっていたもう一人の自分がぶうたれていたが、思った瞬間、自然と足は日光白根の頂に向かっていた。
真っ白でも構わない。とにかく頂に立ちたい。
弥陀ヶ池から山頂へのルートは、岩稜地帯を通るものすごい急登。岩が凍ていて気をつけないと滑りそうだったが、幸いアイゼンが必要な程ではなかった。また、岩稜地帯全体が風よけとなって、ほぼ無風状態で登ることができた。
すると、頂の手前で雲を突き抜けた。目の前には、真っ白な雲海が広がっている。頭上には青い空。まさに日光ブルーだった。
悪天候の頂を想像していただけに、あまりのギャップにただ驚いてしまった。
温泉の誘惑に負けてあのまま下山しなくて良かったとつくづく思ったが、満足するにはまだ早く、なんと、頂にはもう一段上の最上級の感動が待っていた。
頂に立つと、あれだけ高密度だった霧がスーッと引いていく。
同時に、魔法がかけられたように世界が一変していく。
霧が取れた後には、真っ白に凍った冬の装いをした日光白根山が裾野を広げている。目線を上げると、正面奥にはオレンジ色に染まった男体山が聳えていた。氷と紅葉。白とオレンジの競演。昔、似たような景色を見て以来、この季節になると紅葉の中の初冠雪を求めて山を歩いてきたが、こんなにドンピシャなタイミングには滅多に出会えない。度重なる予定変更があって、今この奇跡に巡り合っていると思うと神様がくれたプレゼントのように思えた。これだから山はやめられない。
さらにプレゼントはもう一つ。
雲海の先に目を凝らしてみると富士山が見えた。冬型の天候で空気が澄んでいた恩恵と言える。
いつの間か、強風も収まり、太陽の光がぽかぽかと心地良くなってきた。
目の前に広がる風景の素晴らしさは、どんな高性能なカメラでも残すことはできないだろう。こればっかりは登った者の特権と、しっかり心に焼き付けてから下山を開始した。
下山は、登って来たルートとは反対側に降りて、避難小屋を経由して登って来た道を使った。降る頃には樹氷も溶け始めていたが、暗闇で気が付かなかった紅葉も堪能できた。
下山後は楽しみにしていた温泉に浸かり汗を流してから帰路に入った。
車中から見る奥日光もいろは坂も、紅葉真っ盛りでとても美しかった。来年も是非、来たいものだ。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • プレゼントって、受け取る側の器の大きさによるのですね。
    行くぜ、プレゼントもらいに!!

  • クリスマスのように、なんでも入るようにでっかい靴下持って行ってくらはい。

登った山

日光白根山

日光白根山

2,578m

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