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愛鷹山(越前岳) 山のストーリー  

越前岳( 関東)

パーティ: 1人 (chall 24 さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 駒門スマートよりR469 愛鷹山登山口BS.入る
山神社Pは利用無料

この登山記録の行程

山神社駐車場(06:40)・・・富士見峠(07:20)・・・黒岳(07:50)[休憩 7分]・・・富士見峠(08:20)・・・鋸岳展望台(08:48)・・・富士見台(09:35)・・・越前岳(09:59)[休憩 15分]・・・呼子岳(11:11)[休憩 2分]・・・割右峠(11:33)・・・大沢橋(12:40)・・・山神社駐車場(13:13)

コース

総距離
約10.0km
累積標高差
上り約1,036m
下り約1,036m
コースタイム
標準6時間10
自己6時間9
倍率1.00

高低図

標準タイム比較グラフ

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登山記録

行動記録・感想・メモ

目覚ましが鳴っている。
もう少し、布団の中でぬくぬくしていたい。
一瞬「行くのやめようかな。」と思ってしまうのがこの時期の山行の朝だ。

そんな優柔な気持ちを振り払って、
暗い道を歩き出しているこの行動の原動力は何なのか、よく分からないが、
やっぱり行ってよかった越前岳。

以下は、今回の山行で知り得たあれこれを綴りたい。
内容は(1)登山道について(2)富士山の風景(3)演習の音だった!(4)コースについての4つ。
だいぶ長くなってしまった。

1.登山道について

 登山口、鳥居の前にかなり大きな石がどんとあって、
 「松永塚」とある。
 その説明看板を写し、読んだのは帰宅してからだった。
 
 この登山道には、これまで登った山とは違うストーリーがあった。
 信仰で登拝する人たちによってできたものではなかったのだ。
 なんと、遭難事故が建設の契機だったという。

 碑に刻まれているのは、その方のお名前で、当時高校生。
 事故は昭和3年に起こる。
 山岳雑誌『山と渓谷』が創刊されたのが、昭和5年というから「登山」が世に広まり出す前か。
 天候の急変に遭ったらしい。

 この事故を受けて、登山道の開発を提言したのは、渡辺徳逸氏。
 登山家で、富士山研究の第一人者。富士山資料館名誉館長でもある。

 青山師範の学生だった頃、
 教授ウイリアム・ヘーゲル(英山岳会会員)の影響で山岳に目覚めたらしい。
 建設に当たっての話は、https://yossy.main.jp/post-9406-9406.html 。

 尾根に出る手前に愛鷹山荘があるが、これは避難小屋で、無人。
 利用は無料と門に書かれている。

 当時、登山道建設に従事した人たちが下山せずに作業を続けるために、建てたのではないか?
 と想像する。

2.富士山の風景

  野口英世の1000円紙幣(千円券)の裏面に「富士山」が描かれている。
  その元となっているのが「湖畔の春」と題された写真である。

  撮影は、岡田紅陽(1895~1972)。
  まったく知らない人物だった。
  越前岳の手前、「富士見台」に立てられている看板にその説明があった。

  氏は何度もここにきて、富士山を撮影したという。
  登山道が新たに造られたと知り、機材を背負って登ったのであろう。
  その写真が1938年発行の50銭紙幣に採用された、と書かれている。
  
  ちなみに、
  現在流通している千円券の「富士山」はここからのものではなく、本栖湖の北西あたりから。
  その写真は昭和10年の撮影で、90年近く経つ今も使われていることに改めて驚く。

  カラーフィルムの発売が昭和16年というから、写真乾板か? 
  今のデジカメと違って何度もシャッターが切れないし、その場で確認もできない。
  満足のいく写真になるまで登っては撮り続けのだろう。
  そんな様が浮かんでくる。
  
  

3.演習の音だった!

  山行を開始して7時を回った時、発砲音が山中に響き渡った。

  クマの出没によるものか?
  流れ弾に当たったらどうしよう、などと身構えたが何発もターン、ターンと撃ちまくっている。

  黒岳の山頂で景色を眺めていたら、機関銃のような連射音もし出したので、
  そうだった、そうだった。
  近くに実弾射撃訓練場があるのだった。

  演習場のお知らせサイトをみると、
  平日は毎日。
  朝の7時から夕方4時まで「大きな音のする可能性がある訓練」があり、
  日によっては、午後の10時までも。

  国防上、必要なことではある。
  静寂に包まれた中を歩きたい方は、演習のない土日がいいだろう。(お知らせサイト要確認)

  また余計なことを書き添えておく。

  東富士演習場(御殿場市)は、農地に向かない火山灰土で、
  地租改正(1873年明治6年)の後、国有地になった所にできた。
  最初の演習は帝国陸軍によって1896年に行われている。

  地の人たちは、入会地として茅や山菜を採取している。(要入会権)
  立入については広報無線で知らされるそうだ。

  演習で使われる銃弾や砲弾の値段も暇に飽かせて調べてみた。
  ピンキリらしいが、
  一日中撃っていれば、うん百万、うん千万円になる。

  防衛費が過去最大の6兆8000億円余りになるというニュースがあったが、
  そりゃ金も相当にかかるというもんだ。
  山登りを通して時事問題にも向き合うことになろうとは思ってもいなかった。

4.コースについて

  愛鷹山(越前岳)は、十里木高原Pからピストンで登ったことがある。
  それが物足りなく感じたので、今回は「山神社」を起点にしての周回を計画した。
  約10Kmを6時間程度で歩く。

  週明けの早朝、
  後方から登ってきたご夫婦とソロの方に道を譲り、先に行ってもらったら以後、誰も見なくなった。
  人気(ひとけ)が全く無いのも嫌なもので、ラジオを鳴らして紛らわした。

  登山道は、ずっと樹林の中で土の道。傾斜はさほどきつくはないのだが、長く感じた。
  鋸岳は逆光で黒くてよく見えない。
  山の端がのこぎり状になっている故の命名か?

  越前岳の山頂に至った。

  人っ子一人いない。十里木からも誰一人、上がって来ない。
  静かすぎて淋しくなってくる。

  沼津市街、駿河湾が見渡せるが、足元はぐちゃぐちゃ。
  写真を撮って「呼子岳」へ。

  200mほど降下していく。(せっかく登ったのに)
  露出した岩があり、段差もあってこれまでとは一変の登山道。
  逆回りだと、ここの登りは結構堪えるに違いない。

  右手から吹いてくる海風が冷たい。ネックウオーマーの出番となる。
  痩せた尾根の道になって歩きやすくなる。
  「呼子岳」からは越前岳が望めた。

  鉄梯子を降りていくと「割石峠」。
  お、人だ。
  
  若者2人がロープクライミングをする準備をしていた。
  登山口を尋ねると、そこを上がってきた、と返ってきた。

  自分がこれから下るその登山道は、水の無い沢で大きな石がごろごろ。
  実に歩きにくい。

  大杉を過ぎた辺りだったか、かつてはそこに舗装された道が造られていたようだ。
  堰堤工事のための作業道路だったかもしれない。
  今はその上に土砂が堆積して木まで生えてしまっている。
  必要がなければ管理もしないからこうなってしまう、というわけだ。

  その林道も劣化がさほどでも状態となっていき、「大沢堰堤」の沢に出た。
  水は流れていない。
  10分歩き、Pに戻った。

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装備・携行品

登った山

愛鷹山

愛鷹山

1,504m

黒岳

黒岳

1,086m

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