行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
浅草岳の田子倉コース登山口、田子倉(たごくら)駐車場を目指す。JR只見線の旧田子倉駅付近にある無料駐車スペース(標高515m、120台程度)。その奥の登山口の看板手前にも無料駐車場があるが、田子倉駐車場の方が綺麗な無料休憩所(トイレあり)もあって起点としては便利。撮り鉄ファンで賑わっている。
なお、新潟と福島を結ぶ国道は大白川地区より奥の区間は11月中旬から5月上旬にかけて冬期閉鎖となるので注意。
この登山記録の行程
田子倉無料駐車場(07:30)・・・田子倉登山口(07:36)・・・大久保沢の水場(08:01)・・・田子倉の眺め(08:34)・・・剣ヶ峰(08:56)・・・鬼ヶ面眺め(09:01)・・・浅草岳(10:25)(昼食~10:43)・・・前岳(11:07)・・・浅草岳(11:26)・・・鬼ヶ面眺め・・・剣ヶ峰(12:03)・・・田子倉の眺め(12:23)・・・大久保沢の水場(12:41)・・・田子倉登山口(13:05)・・・田子倉無料駐車場(13:11)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
「浅草岳って知っとる?」と山仲間。「もちろん」と自分。
「今度、Mさんと登るんだよ!」。「えっ、福島(新潟)来んの?」
「うんにゃ、お伊勢さんに行く」。「えっ???」
「あっ、朝熊岳だった」。「なにそれ(笑)」という昔の会話を思い出しながら、深夜、浅草岳に向けて車を走らせる。
本当の目的は、日曜日の「会津朝日岳」にあったが、土曜日の方が天気が良いと知り、「どうせなら浅草岳にも登ろう!」と会社から帰るなり仮眠をして真夜中に出発した。
しかも、YAMAP仲間の「ともさん」が、週末に守門岳を目指すと言っていた。ひょっとしたら頂越しに挨拶ができるかも知れない(そんな訳はないが)。
久しぶりの奥只見。なんど来ても素晴らしい場所だと思う。
7時過ぎに田子倉無料休憩所のある駐車場に到着した。
未舗装ではあるが、とても大きな駐車場だった。既に何台も車が停まっていたので、同業者(登山者)だと思って声をかけたら、なんと撮り鉄の方だという。今日は特別な車両が走るから早朝から待機しているとのことだった。趣味は違えども、遠方からそれだけのためにやってくる。好きなものへかける情熱は尊いと、話しているうちに意気投合してしまった。
駐車場からは、残雪の白と深い緑が織りなすゼブラの浅草岳が見えた。まるで両羽を広げた鷲のような山容で、まさに「挑んで来い!」と言わんばかりの迫力だった。見た瞬間に登りたくなる山。痺れるほどに美しい。田子倉ルートから見る浅草岳はまさにそんな山だ。
撮り鉄の方に「今からあそこに登ります!」と指を指したら、「えぇー泊りじゃないと無理でしょ!」と驚かれてしまった。それほど高く大きな山だったので、一般の方からすればそれが普通の反応なのかも知れない。
「行ってきます!」とお別れをして、登山口へと向かう。
登山口の手前には、「浅草岳」と書かれた黒々とした石碑が道しるべとして置かれていた。
木道を使い、森の中へと入っていく。
せせらぎを聞きながら渓流に沿って歩いていくと、木漏れ日が射し込み、緑がとても目に鮮やかだった。
渡渉を何度か繰り返しながら徐々に高度を上げていく。
山が深い。
いや、深いというより大きいという表現の方があっているか。
どの樹も森の主かと思うほどに太い。豪雪地帯が故か、厳しい自然の中で鍛え磨かれた山は踏み込むだけで圧倒される。
そんな大きなブナの森を進んでいくと「大久保沢の水場」に出た。最後の水場とあったので、手のひらで水を掬って一口飲んでみたが、とても甘く美味しい水だった。
ここから先は、斜度が少しずつ増し登山らしくなっていく。
「田子倉眺め」を過ぎると視界が開け、横にはノコギリの歯のような山が見えてきた。「これが鬼ヶ面山か」。
噂には聞いていたが、まさに荒ぶる稜線だ。
後で知ったが、自転車をデポすれば、田子倉から登って鬼ヶ面山を周遊する贅沢なコースもあったそうだ。いつかチャレンジしてみたいものだ。
剣ヶ峰に到着。
眼下に青く光る田子倉湖。正面には行く手を阻む壁のように浅草岳が聳えていた。あきらかに後半戦は半端ないレベル(急登)だ。
この見上げるような感覚は、知る人ぞ知る!福井三大急登(なんだそれ(笑))の三ノ峰に似ている。空に向かって登る感覚がたまらない。
目の前に無数の白い物体が浮遊し始めた。
雪が舞っているようなその物体は、その名も「雪虫」。名前の通り本当に雪が舞っているかのように見える。以前、どこかの山でも見かけたことがあったが、そもそも本州には少ない虫なので、幻想的な姿に最初は嬉しくて見とれていたが、そのうち目や口と所かまわず飛び込んでくるので、最後は手で降り払うようにしながら進んだ。北海道では「冬の使者」と素敵な名前で呼ばれているらしいが、実態は「トドノネオオワタムシ」というアブラムシの一種らしい。
空がだいぶ近づいてきたと思った時、足元に鮮やかな青紫の花が咲いていることに気が付いた。「今年も出会えたか!」と笑顔がこぼれる。大好きなシラネアオイが、残雪を背景に可憐に映えながら風に揺れていた。雪解けでここだけ季節が遅れているのか、近くにはカタクリも沢山咲いていた。
可憐な花にパワーを貰って、最後の斜面を登り切り頂へと進む。
浅草岳と書かれた標識の向こうには、同じくゼブラ状の大きな山が真正面に見えた。
以前、頂からの景色があまりにも素晴らしかったので、3度頂に登り返したという思い出の「守門岳」だ。
「ともさん、登っているかな?」とその頂にいるであろう、ともさんにLINEを送ろうと試みるが、生憎、電波は圏外だった。
雪虫が激しく飛び交う中、お湯を沸かしてカップ麺を食べる。
初夏のような陽射しの中で登ってきたせいか、お腹は明らかに空いているが、食欲がなく箸が全く進まなかった。無理やり流し込むように食べたので、浮遊していた雪虫も数匹勢いで食べてしまった気がする。
雪渓を少し歩いてみたかったので、コーヒーを飲んでから前岳の方まで散策してみた。
登りも手こずったが、下山も段差が多い登山道だったのでスピードが出せず苦労した。
下山後、線路の近くでカメラを構えている人がいたので声をかけてみると、特別な列車「雪月花」を待っているという。「タイヤから計算するともう直ぐだろう」と説明が終わらないうちに、トンネルの中に光るライドが見えた。
「あれじゃないですか?」と指をさし、自分も急ぎカメラを取り出して、撮り鉄の方と夢中でシャッターを切った。
真っ赤な美しい車両がゆっくりと走り去っていく。最後に大きな窓に映る乗客の方に手を振ると、向こう側からも大勢の方が手を振ってくれた。素晴らしい偶然。狙ったわけではないのに、こんなタイミングで特別な列車「雪月花」に出会えるとは。通り鉄でなくても嬉しい出来事だった。
念願だった浅草岳にも登ることができ、忘れがたい日となった。
(おまけ)
下山後、河原で汗を洗い落とし、さっぱりした後、もうひとつ行きたかった金山の天然炭酸水の水場に立ち寄ってみた。あふれ出る水を大きな杓で掬って飲んでみると、確かに微炭酸。あまりにも口当たりがよく美味しい水に驚き、つい何杯も飲んでしまった。御嶽山にも天然の炭酸水があると聞くが、「自然にこんなものがあるなんて」と、自然の不思議に感動した。
































