行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
カーナビには「松田川ダム」をセット。松田川ダムを過ぎて暫く進むと右に鋭角に折れる道があり、そこを200mほど登ると足利市営無料駐車場(標高280m)がある。20台程度。24時間出入り叶ではあるが、トイレは無し。GPS座標(36.430072 139.427433)。GPS座標はスマホのGoogleMapに入力するとカーナビ案内が可能。
この登山記録の行程
足利市営無料駐車場(06:28)・・・赤雪山登山口(06:30)・・・赤雪山(07:11)・・・原仁田ノ頭(07:39)・・・三角山(08:25)・・・後仙人ヶ岳(08:49)・・・仙人ヶ岳(09:00)(休憩~09:14)・・・女仙人ヶ岳(09:24)・・・仙人ヶ岳・・・熊の分岐(09:57)・・・知ノ岳(10:06)・・・まつだ湖畔キャンプ場(10:41)・・・足利市営無料駐車場(11:19)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
土曜日、かつての上司との約束があって帰りが遅くなる予定だったので、週末登山を諦めていたが、意外に早く夕方前に用事を終えることが出来たので、「このまま出発すれば近くの山なら行けるか!?」とネットで検索をして栃木県の赤雪山を起点にした周遊が良いと目的地を決めた。幸い、車の中には先週準備した道具一式がそのまま積んだままになっているため、家に取りに戻る必要はなかった。
途中のスーパーで食料を買い込み、19時ごろに登山口がある松田川ダム奥の「足利市営無料駐車場」へ到着した。そもそも車中泊するような場所ではないため、当然ながら他に車は無く、外に出ても暗闇に囲まれた山の中だった。なんとかアンテナ1本立っていたので、スマホでコースの確認をしてから眠りに入った。
4時に起床。
寒さでフロントガラスがバリバリに凍っていた。低山なので急ぐ必要はなく、明るくなってから歩くつもりでいたので、そもそも早く起きる必要はなかったが、星空を見ようと早めに起床して寝袋を抜け出した。
時期は三大流星群の一つ「ふたご座流星群」の季節。
12月14日の極大日を過ぎているが、それなりに流星観測ができるだろうと期待していた。
吐く息が白く、じっとしているとブルブルと身体が震える。すると1分もしないうちに大きな光が夜空を横切り流れ落ちた。続いてもう一つ。
1分間に1,2個の割合だろうか。実は流星群でなくても日常的にそれなりの割合で流れ星は発生しているが、これだけはっきりした流れ星を連続で見ることが出来るのはやはり流星群ならではと言える。
山の上でカップ麺を食べようと、お昼ご飯用にお湯を沸かしてポットに詰めているうちにいつの間にか空がしらじんできた。
時計は6時を少し回ったところ。まだ薄暗かったが、ヘッドライト無しで歩けそうだったので、ザックを背負って出発することにした。
ダム湖沿いにオートキャンプ場「RECAMP足利」に向かって歩いていくと「赤雪山登山口」と書かれた大きな看板が見えて来た。車を停めた駐車場からも、直接、赤雪山へ向かうルートがあったが、こちらから登るのが一般的なようだった。
赤雪山は足利市北部にある松田川ダムの北に位置し、足利市で2番目に高い山。「あかゆきやま」が呼び名であるが、地元では「あけき山」とも呼ばれている。「赤」という文字から想像がつくが、名前の由来は戦国時代にあるらしく、足利又太郎忠綱が雪に残した足跡から追っ手の足利義兼の軍に捕獲され討ち取られたことにより、その血で雪が赤く染まったのが由来だという。なんとも壮絶な映像が目に浮かぶ。
九十九折りで斜面上部まで登り、尾根伝いに歩きやすい登山道を進んでいく。
7時ちょうど、赤城山へ到着。
同時に遠くの山からゆらゆらと真っ赤な太陽が顔を出し、周囲を真っ赤に染めていた。快晴。清々しい朝の始まりだった。
山頂にあった東屋を通り抜けて仙人ヶ岳方面へと進んでいく。
葉が落ち切った縦走路は見晴らしが良く、落ち葉の絨毯を踏み込むたびにカサカサと軽快な音がして、歩いていてとても楽しかった。
7時半頃。2座目の「原仁田ノ頭」に到着。
変わった名前だ。頭と言っても正直どこにピークがあるのかよく分からなかった。看板には「足利百名山」と書かれていたが、とりわけ眺望が良い訳ではなく、一体どういう基準で選んでいるのだろうか。「そもそも足利に100座もお勧めの山があるものなのか?」とちょっと失礼な考えも浮かんだりした。
小さくアップダウンを繰り返しながら進んでいく。
仙人ヶ岳まで2.9kmの地点で、樹々の間に白く輝く山を見つけた。方角的に赤城山と思われる。その右手側に視線を移していくと、皇海山、日光白根山、そして男体山が順番に見えた。日光白根山も真っ白に雪を冠している。やはり雪山装備を持ってそちらに行くべきだったか。
更に進んだところで、遠くの霞の中に一見見落としがちではあったが、存在感のある白い大きな山を見つけた。富士山だ。富士山が見えると不思議とそれだけで嬉しい。さすが、日本の象徴だけのことはある。
小さなピークのところに、ステンレス製のプレートで作られた可愛らしい標識が設置されていた。釘のようなもので開けた穴で文字を縁どり山の名前を綴っている。「左へ仙人ヶ岳、右へ赤雪山」。仙人ヶ岳まで残り1.8kmだった。
8時19分、三角山へ到着。
小さいながら名前の通り急峻な山だった。ここも足利百名山の一つ。「もはや手あたり次第、百名山に選んでいるな!?」と確信する。(笑)
でも、確かに頂から10mほど進んだところに行くと見晴らしが良く、赤城山の全景がよく見渡せた。
8時44分。後仙人ヶ岳に到着。標高652m。ここからも、皇海山と日光白根山が良く見えた。
続いて仙人ヶ岳の頂に向かって、空に向かって反り返るような斜面を登って行く。ロープが垂れ下がっていたが、フカフカな落ち葉の絨毯でバランスを崩しそのまま滑り落ちてしまいそうだった。
登り切り、「到着!」と声を挙げようとしたが、その前に「仙人ヶ岳まで300m」という標識が目に入った。偽ピークにまんまと騙された感じだった。悔しい。
8時55分。仙人ヶ岳へ到着。標高662.9m。もはや確信に変わるが、言わずもがなここも足利百名山の1つだった。
行動食と水を口にして、そのまま下山しようと立ち上がったが、ふと1つの看板を見つけた。「標高No1は仙人ヶ岳。絶景No1は女仙人ヶ岳。あと5分で女仙人ヶ岳なのでぜひ行ってみてください!」と書かれている。女仙人ヶ岳。予定には入っていなかったが、これはもう行くしかない。
実際に5分で行けたかどうかは若干怪しいが、それほど苦労せずに女仙人ヶ岳へ到着することができた。頂に建ってみると、確かに今回のルートで一番見晴らしがよかった。先ほど見た富士山に加え、同じくらい白く見えているのは浅間山だろうか。赤城の影に隠れた白い山塊はおそらく谷川方面と思われる。「絶景&絶景!」。看板の言う通りに足を運んで正解だった。
折り返して元の縦走ルートに戻る。
今回の縦走路で最後の山「知ノ岳」を過ぎると、後はもう降るだけ。ちなみに、今回のタイトルの「知。」は知ノ岳から取った他に、流星(星空)に引っ掛けて今流行りの地動説アニメのタイトルからつけた。。。自ら解説するのは恥ずかしいが。
滑るように降っていくと、山の合間にダム湖のマツダ湖が見えた。ゴールも近い。
いつしか、植生が杉に変わり、杉林の中に突入する。
10時32分、沢に合流。
水平移動に入り、5分もすると視界が開けてキャンプ場に到着した。
看板には大きな文字で「RECAMP足利」と書かれていた。
とれも綺麗に整ったキャンプ場の敷地を横切っていく。シーズンオフなのか、無人のキャンプ場は静まり返っていた。
その静まり返った中で、いきなり「ワンワン、ワンワン」と大きな犬の遠吠えがきこえてきた。いきなりだったので、さすがにビビリ、思わず周囲を見渡してしまった。
どうもあちこちに人感センサーが設置されているようで、通り過ぎる度に防犯用の警告音が鳴り響く。それも犬だけではなく「ピーポーピーポー」とサイレンのような音や「バンバン」と散弾銃のような音まで効果音も様々。正直、やましいことはないが、気分が悪くなりそれだけで逃げたくなってしまう。
急いで出てしまおうと速足で出口に向かったが、敷地を横切るまでに5,6回は犬に吠えられてしまった。
「もう二度と来るか!」と林道をとぼとぼと歩いて行くと、かなり経ったところで、手袋が片方ないことに気が付いた。おそらく、途中でスマホをポケットから出した際に慌てて手に持っていた手袋を落としてしまったに違いない。
一瞬諦めようかとも思ったが、思い入れのある手袋だったので、もう一度、林道を戻ることにした。もうこの時点で越智が見えてくるが、結局、手袋はキャンプ場の敷地奥に落ちていた。つまり「二度と来るか!」と言ったにも関わらず、往復含めて計3回、防犯音攻撃の洗礼を受ける羽目となってしまった。これも日ごろの行いか。笑うしかなかった。
オチが付いたところで赤雪山をあとにしたが、これもまた思い出に残る面白い山旅だった。
追記
先日の土曜日(12/14)は、パキスタン・カラコルム山脈にある世界第2位の高峰であるK2西壁未踏ルートで、7月に遭難死したアルパインクライマーの平出和也さん(当時45)と中島健郎さん(同39)の「お別れの会」が東京都新宿区で開催された日だった。用事があって参加できなかったので、今回、仙人ヶ岳の山頂で二人を偲び「You Raise Me Up」を聴きながら冥福を祈った。握手を求めた際のがっちりとした平出さんの手が忘れられない。
You Raise Me Up。平出さんにとってのYouは、健郎さんだったのか、それともけいさんだったのか。あるいは家族だったのか。未だに亡くなったことが受け入れられないほど、ポッカリと空いた心の穴は大きいが、これからも二人の笑顔を思い出しながら山に登り続けることでご冥福を祈りたい。
https://youtu.be/qe6AXBu9DzA?si=Mp1CM8mWRiv-tyq1
























