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シコクブシ咲くパノラマ無名峰

阿佐尻山(三好市)、弘瀬山(大豊町と三好市の県境)( 中国・四国)

パーティ: 1人 (マローズ さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 高知自動車道大豊ICを降りて、国道32号を東進後、国道439号(酷道ヨサク)に入る。
県境の京柱峠を越えて1キロ弱ほどの所に、国道439号の道路標識が出ており、その手前東側路肩の広場に駐車する。

この登山記録の行程

登山口11:58・・・高度計高度1290m地点で休止12:38~12:49・・・1327m独標点北東の稜線12:52・・・弘瀬山南東のピーク東の林道終点13:18・・・弘瀬山で休止13:49~14:30・・・弘瀬山南東のピーク東の林道終点14:46・・・尾根取付き15:00・・・阿佐尻山で休止15:29~15:57・・・林道16:03・・・国道439号16:36・・・登山口16:59

コース

総距離
約8.8km
累積標高差
上り約575m
下り約575m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

三方山(1303.1m・拙著収録)から弘瀬山(1373.4m)を経て京柱峠まで続く高知・徳島県境尾根は、弘瀬山と京柱峠との中間の1327m独立標高点で北東に痩せた支尾根を派生させている。その尾根の最高所・阿佐尻山(1374.2m)は地形図に山名の表記がなく、これまで市販(徳島県内や全国流通)の登山ガイドブック(登山地図を除く)では紹介されたことがないものと思われるが、なぜか徳島県内外の登山愛好家が登頂している。

考えられる理由としては、東方のルートの中腹に咲く福寿草のことが新聞やテレビで報道されたのでは、ということ。そうでないとすれば、発信力のある徳島県内の登山愛好家によるものだろう。
福寿草以外でも今の時期は、山頂に近い複数の場所にキンポウゲ科トリカブト属のシコクブシが咲いている。それにもまして、この山の魅力は山頂からのパノラマにある。展望は300度以上広がり、剣山系や祖谷の山々を一望できる。

ただ、残念なのは近年、林道が山頂直下を通ったため、最短コース登山口から僅か5分ほどで登頂できてしまう点。高知県内のメジャー山で例えるならば、去年登山記録を投稿した、いの町の鷹羽ヶ森(5分では登頂できないが)のよう。が、鷹羽ヶ森の登山記録でも無名峰の大津江山からの縦走ルートを取り上げたように、この山でも尾根続きの弘瀬山とセットで登り、且つ、回遊ルートを取ることにより、最低限の「登り甲斐」は得られるだろう(人によるが)。
因みに福寿草の咲く場所を経由して登頂するコースとしては、東祖谷の栂峰からのものが知られている。

[コース]
登山口にしたのは牧場跡の林道入口だが、入口付近の路面は雑草に覆われているため、一見すると車道には見えない。それでも奥に進むと舗装箇所も現れる。
牛舎が現れると一瞬、そこで林道が終点のように見えたので、牛舎と左のサイロ群との間を進んで裏手に回り、作業道跡のような小径を上がったが、すぐ広大な茅の藪の斜面で踏み跡は途切れた。てっきり稜線近くまで踏み跡は続いているものと思っていたので、大誤算である。仕方なく、背丈ほどの茅の藪漕ぎをしながら適当に斜面を登る。

しばらく藪漕ぎすると、いきなり未舗装林道に出た。どうも、牛舎の右側から奥にまだ林道は続いていたようである。ならば、この林道終点から少し登れば稜線に出るだろうと思ったが、林道もすぐ終点となった。終点からは薄い踏み跡らしきものもあったが、それもほどなく、茅の藪に吸収されてしまった。再び斜面の茅の藪漕ぎが始まる。

ふと西方を見ると、茅藪と樹林帯との際に小径が見える。この道はサイロの左側から奥に続いていたものなのか。しかし藪に阻まれ、その際には行けない。そこで1327m峰からは遠ざかるが、北東にトラバースして1327m峰から阿佐尻山へと続く尾根に出ようとした。が、こちらも上部では藪が深い。再びルートを戻し、獣道や登り易い箇所を探して適当に蛇行しながら斜面を上って行くと、ようやく1327m峰の北東の尾根に出ることができた。尾根上には藪はあまりなく、国土調査時の刈り分け跡もある。

1327m峰頂上は三叉路になっており、国土調査杭のようなプラスティック杭の三角点が打たれてあった。三角点は国土地理院以外では森林管理局(旧山林局)や自治体も設置するケースがある。ここは国有林ではないから、三好市が設置したのかも知れない。
展望のいい阿佐尻山は後で登ることにし、先に弘瀬山に登るのだが、1327m峰は円形のため、西の稜線が分かり辛い。

国土調査員が付けたのか、造林関係者が付けたのか分からないが、マーキングテープを追って下って行くと林道に出た。林道下方を探ってみたが、稜線が分からなかったので、林道下方の植林帯の斜面を並行して南西に進む横道を辿って行くと、稜線沿いを走る林道に出た。この時、この林道はさきほどの林道に繋がっているものと思っていたが、復路、そうではないことが分かる。

林道のすぐ横が稜線だが、林道ができたことにより、藪化している可能性もあるため、林道を進むことにした。
ほどなく林道は終わったが、終点から上の植林帯に向けて踏み跡が続いていたのでそれを辿った。少し登ると、無名峰ピークハンターが付けたと思しき赤テープがあった。が、登るに連れ、踏み跡は薄くなり、遂に消えた。が、稜線はすぐ上方に見えているので、マーキングテープを付けながら、稜線に上がった。

稜線上は植林も藪もない草地で、国土調査杭が打たれている。尾根道沿いの灌木が頭上に張り出している箇所が随所にあり、背をかがめて通るようになる。通行の邪魔になる灌木は伐採されている。

尾根は痩せており、若干起伏があり、二ヶ所にテンニンソウの小群落がある。
弘瀬山の三角点は、尾根道がほぼ直角に右へ曲がる、その角の草地沿いの灌木帯にあった。三角点標石の上には、針金が張られた紅白ポールがまだ立ったままなので、三角点の再測量が行われたのは最近かも知れない。私が’03年、土佐市で見た三角点測量は、標石の上に巨大な円盤型機器を置くデジタル式だったが、ここの測量はまだアナログなのかも知れない。

山頂からの展望はないが、手前の南東側からはその方向の展望が開けており、正面にミツコバ山(1757.1m)が見える。尚、ミツコバ山は分県登山ガイド等では「牛の背」と表記されているが、正確にはそれは誤りで、本来「牛の背」とは、天狗塚とミツコバ山を繋ぐ尾根のことを指す。

ここで食事を取ったので、この後、阿佐尻山まで忠実に尾根を辿ったとしたら、阿佐尻山山頂に着くのは16時位になるだろう。それではあまりにも遅いので、極力林道を歩くことにした。
林道を1327m峰西下まで辿って行くと、そこで一旦この林道は途絶え、その終点の北上に別の林道が造成されていた。

そちらの林道は記憶が定かではないが、1327m峰ピーク北東のコルを横切り、尾根の東沿いを進むようになったと思う。そして次のピークを巻き終えた所で林道は尾根に乗る。そこから再び尾根を辿ることにした。
最初は弘瀬山の尾根のように歩き易かったが、その内、岩場や藪化した箇所が現れるようになる。岩場はすぐ横をすり抜けられる箇所もあるが、下の植林帯に下りて巻く箇所もある。

山頂の西のコルでまた林道が尾根を横切っていた。茅尾根を抜けた先にパノラマ山頂があった。こちらの三角点標石にも旗付ポールが残っており、弘瀬山より多い登頂記念標が立てられている。記念標の中には山岳会のものもある。当方や鳴門市の山岳会のように、無名峰の登山ガイドブックを刊行することを前提に登頂記念標を設置するのなら話は分かるが、それもせず、ホームページにガイド文を記載することもしないのに拘らず、もしこんな自己満足行為をする山岳会があるとするならば、その「神経」が分からない。

それはさておき、展望は想像通りで、土佐矢筈山や綱附山、矢筈山系、寒峰、中津山、国見山等、名立たる剣山系や祖谷山系が視界に展開する。北方の尖峰は「マドの天狗塚」(サガリハゲ山南方には「滝下の天狗塚」もある)だろうか。だが、このように360度近い展望を誇る山は、無名峰全体の1%にも満たない。それだけに貴重な山だが、林道が開通したことが悔やまれる。

復路は逆の東に下るが、このコースを三角点測量員は辿ったようである。すぐトリカブト属のシコクブシが咲く箇所があった。この花は剣山系の山でよく見かける。四国の高山地帯に多く分布する花である。
更に下って行き、林道に出る手前にも咲いていた。しかし剣山系の中東山ジル沢コースにある小群落よりは規模が小さい。

林道はそのまま南東に進むが、すぐ南側にはドリーネのような巨大な擂鉢状の窪みがある。
数百mほど東進すると、尾根が削平されたように真っ平になった箇所があり、そこで何台もの作業車が作業していた。日曜日も作業しているのは、平日に土砂降りのような強い雨が降り、作業を休んだ日があるからだろう。

その北東のピークを過ぎたコルの林道三叉路位から、舗装されていたと思う。この林道は林業専用林道だが、一般車も通行できるようになっている。
そこを過ぎてほどなくで林道は右急カーブを描いて反転し、南西へと下って行く。
国道439号に出た地点の林道入口には「阿佐尻山登山口→」と書かれた手製の小さな標柱が立てられていたが、高知県側から車で下って来る際は気づきにくいだろう。

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