行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
この登山記録の行程
黒木登山口(11:40)経ヶ岳(13:15)多良岳(14:55)前岳()黒木岳(15:35)一ノ宮岳(15:45)金泉寺()中岳()五箇原岳(17:40)黒木(19:10)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
大村市内から名ばかりの国道44号に入ると、1車線の細い道は最後に行止りになる。「道路が新設されて、古い地図は当てにならない」と市街地へ引き返して本屋で最新の道路地図を購入し、気分も新たに大村ICへ向かうが、ここでも2回道に迷う。
やっとの事で正しい道に乗り、郡川沿いにしばらく東行し、萱瀬ダムの先で黒木渓谷への道に入って終点の駐車場に車を停める。
山頂までの標高差は800mなので、「1時間で400mを登って、2時間で山頂に立てるだろう」と目算して出発する。林の中の細い道に入って畑の間を行き、沢を2本横断して進むとやっと登りになる。昨夜はかなりの雨が降り、土砂崩壊で通行不可になった一般道があると報道していたが、登山道も雨水に浸食されて荒れた部分がある。
檜の植林の暗い道を行くと、雨後だが既に水が涸れている登山道にサワガニが多く、少々奇異に思う。標高700m地点で一本立てる。行動中は汗が滴り落ちるが、休んでいると体がスーッと冷えてゆく。
道は一途に直上し、沢か道か判らない所も数箇所存在する。林相が次第に照葉樹林へと変わり、新葉と交替して落ちた葉が分厚く積った道は数条に分かれて判然としない。踏跡が次第に薄くなって最後の50mで道を見失うが、「直上すれば何れ尾根に出るだろう」と思いながら、急な斜面を木に掴まって登る。
金曜日は、南高来郡愛野町の山口家で歓迎の宴、土曜日は長崎花月での『長崎西高第15回生還暦同窓会』に出席して77名の盛会となり、二次会20名、三次会6名、四次会は4名で朝の3時過ぎまで飲んで歓談した。
翌日は江副君と2人で大村の音成君を訪れ、帰宅後、三室の浜に“貝掘り”に行ってアサリと牡蠣を採り、酒蒸しと茹牡蠣で23時過ぎまで酒盛りをしたので、さすがに今日は胃の調子がおかしい。
尾根の上に出た所で酒臭い大雉を撃って一息入れ、傾斜の落ちた道をほっとしながら行くとガスが流れて視界は無く、眼鏡が霧と汗で曇って煩わしい。躑躅や背丈5mほどの照葉樹のトンネルの下を「九州の山だなあ」と感慨を催しながら歩いて行き、経ヶ岳山頂を踏む。
岩が点在する狭い山頂で休憩していると60半ばの男性が反対側から遣って来て、「天気が良くなると言っていたのに」とぼやきながら休憩し、引き返して行く。山頂のすぐ先で道が左右に分かれ、「どっちだろう」と迷う。道標は無く、地図を見て方向を確認して右を採る。歩き難い道を急降下して行くと、「五家原岳から来た」と言う70代の女性とすれ違う。
昭和40年10月に母と2人で轟ノ滝から金泉寺に登り、自分は1人で多良岳山頂を踏んだ。若しかしたら、経ヶ岳も登ったかも知れない」と期待に似た思いを数十年の間持っていたのだが、岩が多くて歩き難く足が捗らない山頂から金泉寺までの道の記憶は全く無い。吾妻町の生家から朝な夕なに眺める多良岳は諫早湾の向こうに大きくなだらかに両裾を引いているのだが、岩山であると初めて知る。
笠ヶ岳の右の鞍部を越えて西面へ入り、トラバース道を行って最後に50m登ると金泉寺への分岐点に着く。天気は幾分良くなっており、予想より少し早いくらいの時間だ。「黒木岳まで足を伸ばそう」と考えながら役ノ行者を拝み、鳥居を潜って多良岳への登りに掛かる。
岩場を急登して左の国見岳へ行くと金泉寺の赤い屋根と五家原岳が見え、経ヶ岳の特異な岩峰が余す所なく眺められる。引き返すとすぐに多良岳山頂で、ここも眺めが良い。惜しむらくは、空気が霞んで雲仙岳がほとんど見えないことだ。細い稜線を進むと、ギリシャの神殿と似た佇まいの多良岳神社の前に出る。
前岳への道は岩の稜線で、「経ヶ岳の良い写真が撮れる」と期待して進むが、展望が得られない。山頂から石楠花や雑木の間を擦り抜けるようにして黒木岳を目指して下ると道が薄くなり、そろそろ下山の時間が気になり始める。
T字路へ下り着き、右へ少し上がると六地蔵からの道に出て、左へ数mの所に長崎朝霧山岳会に依る黒木岳への道標が掛かっている。「藪漕ぎじゃないんだ」と元気付けられて登ると、踏跡に毛が生えた程度の道が落葉に埋もれて伸びている。木に取付けられた赤テープが密で迷う心配は無く、一気に山頂まで登って小さい空地で一息入れる。
一ノ宮岳の方へも赤テープと踏跡が伸びており、勇気を得て喜び下る。やがて山茶花高原への登山道に出て、少し行くと一ノ宮岳に着く。鳥居と祠が雑木の間に建っており、奥の方にある標高点を踏んで一本立てる。
金仙寺へ向かって引返す。左手には伐採地が続くが、前岳直下付近まで来ると左下方へ濃い道が下っており、しばらく行っても下る一方だ。「トラバース気味に登って行く筈なのに」と思い直して引返し、斜め上方へのいかにも心細げな踏跡に入る。多良岳直下付近には岩が多く、道が良くなると間も無く役ノ行者の所へ巡り還り、広い道を行くと明るい金泉寺に出る(16:36)が、人気は無く肩透かしを食った気分だ。
残量ゼロの水を補給し、トイレを使う。ここのは、使用後に手動ハンドルを20回前後に回してバクテリヤの働きで分解する仕組みになっている。
西野越へ向って歩き出す。時間が遅くなり、五家原岳はパスするのが妥当だが、「次回は無いかも知れない」とも思え、欲張ることにして南へ尾根を辿る。よく踏まれた歩き易い道が続き、小さいアップダウンを繰返して稼ぐと、中岳を越えて1時間で五家原岳に着く。
テレビ塔が林立して山頂まで道路が達しているために経ヶ岳の登山口として親しまれているようだが、既に車も無く静けさが漂っている。雲仙岳が遠くに霞んで見え、「今日、あそこまで帰らなければならないんだ。遠いなあ」と眺め遣る。天気が好ければ絶好の展望台で、経ヶ岳の写真も物に出来る筈なのだが。時間を計算すると日没前に黒木まで下るのはかなりしんどいが、飛ばすしか無い。
広場から林の中へ入って岩尾根を下る。鞍部の少し先が横峰越(18:09)で、右へ折れて鬱蒼とした林の中の暗い道を行く。人の形跡の無い締りの悪い道がトラバース気味に長く続くので、「こんな所で日没になったら厄介だ」と焦って歩く。
林道に出てしばらく辿ると再び山道に入り、小川内谷の流れの際を慎重に道を探しながら下る。再度林道に出て右岸へ渡ると、間も無く林から抜け出て明るく開けた広い車道に出る。田圃と民家の間を下り、郡川を渡って登り返し、車へ戻る。振り返ると五家原岳が高く聳え、右手には特異な風貌の岩峰が黒木の集落を睥睨している。
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