モンチュラのウェア、シューズで登る八ヶ岳・北横岳。千穂さんおすすめアイテムを紹介!

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山岳ライター・編集者・ガイドとしてマルチに活躍する小林千穂さん。もともとのモンチュラ(MONTURA)好きが高じてモンチュラのサポートを受けている彼女から、おすすめのウェア、シューズについて聞いてみた。 今回は5月中旬、雪の残る北横岳を千穂さんとともに登り、登山についての基礎知識も教えてもらった。

 

小林千穂さんと登る北横岳

編集部N:前回の記事では標高800〜1500mの山に登る想定でモンチュラのアイテムを紹介していただきましたが、今回は標高2000m以上の高山に登る際におすすめしたいモンチュラのウェア、シューズについて聞いていきたいと思います。

 

編集部N:ということで、北八ヶ岳ロープウェイにやってきました。今回は千穂さんと実際に北横岳(2480m)を登りたいと思います。千穂さん、よろしくお願いします!

 

千穂さん:良い天気になってよかったですね。ではまず、ロープウェイを使って標高2233mにある山頂駅まで行き、今日の行程を確認しましょう。

 

千穂さん:北横岳の山頂へ行くには、ここから溶岩台地の坪庭を歩き、樹林帯を歩いて、北横岳ヒュッテを通過。急斜面を登ると北横岳山頂が見えてきます。帰りは同じ道を辿って下山します。

編集部N:登る際に注意することはありますか?

千穂さん:今日は風が強いです。樹林帯を登っているときは感じないかもしれませんが、山頂まで登ると急に風にあおられて物が飛ばされたり、体温を奪われたりするので稜線に出る前に対策をとりましょう。また、登山道に雪が残っていると思います。雪の状況を見て、簡易アイゼンを使うかなどを判断します。さて、まず山に登る前に、ストレッチをします。登山は足首をよく使うので、重点的に伸ばします。また、登山中に太ももをつってしまう方が多いので、しっかりストレッチします。

 

ガイドとして登る時は、同行者が片足立ちした時のバランス感覚や、その日の体調などもチェックするそうだ

 

千穂さん:また、歩行中にバランスを崩して転んだ時、手首を痛めやすいです。あらかじめストレッチしておくことで、捻挫などを予防します。

 

 

千穂さん:十分にストレッチしたら、北横岳に向けて歩き出しましょう。現在の標高では高山病の心配はあまりないと思いますが、その日の体調によっては頭が痛くなったり、気持ち悪くなったりすることがあります。はじめは深い呼吸を意識して、ゆっくり歩くようにしましょう。高い山に登る時は徐々に体を高い標高に慣れさせることで、高山病のリスクを減らすことができます。

 

千穂さん:坪庭に着きました。周りの山々を見てください、周りの山の木々が縞状に枯れているでしょう。あれは縞枯れ現象と言って、北八ヶ岳で多く見られる現象です。台風などの強風で倒れてしまう説などありますが、原因はまだ解明されていません。このあたりは岩で覆われていて、木が深く根を張れないからかなと私は思いますが、どうでしょうか?

 

雪や岩場のある登山道の歩き方とモンチュラの登山靴・パンツの実力

千穂さん:さあ、いよいよ登山道に入ります。

編集部N:ここから樹林帯に入っていくのですね。歩いていると、さっそく登山道上に雪が出てきました。軽アイゼンを付けたほうがいいでしょうか。

 

千穂さん:雪が凍ってつるつる滑る場合は軽アイゼンやチェーンスパイクを付けたほうがいいですが、今日の雪は柔らかいので、まだ付ける必要はないでしょう。道具を使って滑らないようにすることは大事ですが、滑らないように歩く技術を身につけることも大事です。歩行技術を知ってもらうためにも、今回は軽アイゼンを付けずに登ってみましょう。

編集部N:分かりました。雪の上を滑らないように歩くコツはありますか?

 

千穂さん:後ろに蹴りだすように歩いてしまうと滑りやすくなってしまいます。足にしっかり重心を乗せて、靴底全体を地面に付けるようなイメージで歩くといいでしょう。

 

千穂さん:視界がひらけてきましたね。 

編集部N:本当だ! 南八ヶ岳、南アルプスが綺麗に見えていますね!

 

千穂さん:だいぶゴツゴツした岩場が増えてきました。バランスを崩して転倒しないように、なるべく水平な岩に足を置くようにして進んでいきましょう。

なるべく平らなところを選んで足を置くとバランスを崩しにくい

 

編集部N:千穂さんが今日履いている靴は何ですか?

千穂さん:「SUPERVERTIGO GTX WOMAN」です。靴底が硬くてしならないので、凹凸が激しい岩場でも安定して登ることができます。一般的なライトアルパインブーツは足全体がしっかりサポートされている反面、足首やつま先が曲げづらくなってしまうのですが、「SUPERVERTIGO GTX WOMAN」は足首と爪先にそれぞれ切り込みが入っているので、そういったことがありません。岩場で立ち込む時などもストレスなく登れます。

千穂さん:「SUPERVERTIGO GTX WOMAN」は独自のレースシステムで、2方向のレースで足首のサポートや足全体への締め具合を調整できるようになっています。慣れるととても使いやすいですよ。

山頂駅で撮影。レースを結ぶ必要がないので素早く調整できる

 

SUPERVERTIGO GTX WOMAN

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編集部N:パンツも裾が細くて、脚さばきが良さそうです。

千穂さん:モンチュラのパンツの特長は立体裁断。細身ですっきりしたシルエットが魅力です。今回は膝と裾の部分に耐久性のある素材を使った「FREE K LIGHT -5 CM PANTS WOMAN」を履いています。

FREE K LIGHT -5 CM PANTS WOMAN

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モンチュラのウェアは機能性やデザイン性はもちろん、色にも注目

千穂さん:さあ、北横岳ヒュッテに到着しました。ここで少し休憩を取りましょう。

編集部N:長い休憩を取る場合に注意することはありますか?

千穂さん:体を冷やさないように、寒いと思う前に防寒着を着るようにしましょう。ヒュッテまで登ると一汗かくと思います。汗が引いて寒いと感じる前に一枚羽織るようにするといいでしょう。風が避けられない場所の場合は防風性の高いウェアを、無風であればフリースでもいいでしょう。

編集部N:レインウェアをウインドブレーカーとして使ってもいいのでしょうか。

千穂さん:レインウェアは防風性もあります。私はレイヤリングの一つとして積極的に着ていますよ。荷物を減らすことで軽量化もできます。ただ、軽さを突き詰めて超軽量レインウェアを持っていくと、生地が薄いため、強風や冷たい風にあたると寒さを感じやすくなります。汎用性を考えると、高山に登る時は少し厚手のものを持っていくといいでしょう。今回のレインウェアは「MONTURA MAGIC 2.0 JACKET WOMAN」を紹介します。

 

MONTURA MAGIC 2.0 JACKET WOMAN 

 

千穂さん:「MONTURA MAGIC 2.0 JACKET WOMAN」の良いところは、生地にある程度厚みがあって、耐久性もあり、そのうえ軽いことです。また、今日は必要ありませんが、岩稜帯でヘルメットを着用する場合、ヘルメットの上からフードがかぶれる設計になっています。

フードはヘルメットのラインに沿うように裁断されており、ぴったりとフィットする斬新なデザイン

 

編集部N:袖のベルクロのデザインも特徴的ですね。より軽くするために中をくり抜いていて、テープを剥がしやすくするために先端を細くして、先がくっつかない処理がされている。こういった細部にもこだわりを感じます。

偶然通りかかったモンチュラ好きの登山者が持っていた、何世代か前のモンチュラのレインウェア(写真右、MAGIC 2.0 JACKETシリーズではない)。袖の部分を比べてみると、作りが進化しているのがよく分かる

キャプション:反射材も流線型の裁断に合うように施されている

 

千穂さん:今回の行動着はフリース「STRETCH JACKET WOMAN」を着ています。表面の繊維がブロック状にカットされているので、軽くてかさばりません。また、行動中に着ていても暑すぎず、標高が上がって寒くなっても体が冷えないという、絶妙な生地の厚みになっています。

 

STRETCH JACKET WOMAN

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千穂さん:機能以外にも、この色が気に入っています。白い登山用ウェアは意外と少ないのですが、樹林帯で着るととても映えます。他の色もいいのですが、山で白いウェアを着たことがない方は挑戦してみるのも良いと思いますよ。

それぞれの色に良さがあるが、たしかに樹林帯をバックにした白いウェアは映える

 

編集部N:フリースの下は何を着ていますか?

千穂さん:「RUN WOOL T-SHIRT WOMAN」というTシャツを着ています。メリノウールとナイロン混紡のTシャツで、それぞれの素材の特長を生かした、乾きやすく、通気性の良いアイテムです。「メリノウールを夏に着ると暑くないの?」と聞かれることもあるのですが、メリノウールには熱を外に発散させる機能もあるので、夏でも快適に過ごすことができます。また、ウールが匂いを抑えてくれるので、縦走などで着替えられない時にもおすすめです。私は1泊2日の山行では、「RUN WOOL T-SHIRT WOMAN」を2枚持っていくようにしています。 

薄手で肌触りが良い素材感

 

RUN WOOL T-SHIRT WOMAN 

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千穂さん:さて、そろそろ出発しましょうか。ここから急な斜面を登ればすぐに山頂ですよ。

ヒュッテから先の斜面には、まだ雪が多く残っていた

千穂さん北横岳山頂へ

千穂さん:さあ、山頂(北峰)に到着しましたよ! 

 

山頂から望む南八ヶ岳

蓼科山の後ろには、北アルプス(写真右)、乗鞍岳(写真左)がそびえ立つ

 

編集部N:南八ヶ岳から北アルプスまでが一望できますね!

千穂さん:少し歩くと南峰があります。そちらにも行ってみましょう。

千穂さんの後ろにそびえるのが蓼科山

 

編集部N:こちらは蓼科山がより綺麗に見えますね。

千穂さん:山頂の景色を満喫したら、下山しましょうか。下りは事故が起こりやすいので、上り以上に慎重に歩くようにしましょうね。

 

編集部N:ところで、「モンチュラのウェアを知ったきっかけは山岳系雑誌の編集者」と前回のインタビューでおっしゃっていましたが、モンチュラをはじめて着たのはいつだったんですか?

千穂さん:取材で冬の富士山に登る時でしたね。厳しい山であればあるほどウェアによって助けられることがあるので、最新技術のウェアで信頼できるものを使いたいと思って、モンチュラを選びました。

編集部N:最後に少し意地悪な質問ですが…他のブランドに目移りすることはありますか?

千穂さん:実は密かに山ガールっぽいブランドに憧れていた時期もありましたが…(笑)。冬の富士山登山がきっかけで、クライミングやグレードの高い冬山に挑戦するようになったこともあって、ちょうど私の趣向とモンチュラの機能性やデザインが合ったんですよね。シルエットを綺麗に見せてくれることも魅力だし、独自性のあるデザインも気に入っています。はじめてモンチュラのウェアを着てからずっと使い続けていますし、これからもきっとモンチュラを着ていくと思います。

 

プロフィール

小林 千穂(こばやし ちほ)

山岳ライター。山好きの父の影響で子どものころに山登りをはじめ、里山歩きから雪山、海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動している。著者に『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)、『失敗しない山登り』(講談社)などがある。日本山岳ガイド協会認定、登山ガイド。

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