紅葉の始まりは「草紅葉」から。一足先に秋を楽しめる湿原の紅葉に行こう

尾瀬・燧ヶ岳、熊沢田代の草紅葉(写真=CresArrow さんの登山記録より)
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草木たちが燃え上がる! 秋風に揺れる黄金の草木を満喫する山旅へ

夏山シーズンが終わると、山は冬へとまっしぐらに進んでいく。その間の、ごく短い期間が山の秋だ。

秋といえば紅葉だが、山の紅葉期間は短い。場所にもよるが、長くて1ヶ月、短いところは1週間程度しか紅葉を楽しむことはできない。

そんな紅葉の中で、先陣を切るのが草紅葉(くさもみじ)だ。夏の間、高山植物として彩った草の葉は、いちはやく色を変えて山肌を染める。

尾瀬ヶ原の紅葉。先に見えるのは燧ヶ岳

そんな草紅葉が美しい場所として知られるのは、湿原が広がる場所が挙がる。今週は、草紅葉が美しい湿原を歩くコースを行くモデルコースを6つ紹介する。

なお、草紅葉が最も美しい時期は、本格的な紅葉シーズンの少し前の一週間ほどで、草の葉が赤・オレンジ・黄色などの色に染まる。

その後は紅葉というより「枯野」となるが、光の加減や風により、金色に輝くのも美しい。樹木の紅葉の時期でも、十分に楽しめる。

湿原といえば尾瀬! 尾瀬ヶ原以外の湿原にも注目

尾瀬の湿原と言えば尾瀬ヶ原だが、各所に大小さまざまな湿原が存在する。尾瀬を代表する山、燧ヶ岳に登って尾瀬ヶ原を御池から歩く本コースでは、入り口の御池田代から始まり、広沢田代、熊沢田代、そして尾瀬ヶ原と、大小さまざまな湿原を通ることになる。

こぢんまりとした広沢田代、傾斜した場所に広がる熊沢田代、広大な尾瀬ヶ原と、特徴を持った湿原の草紅葉が楽しめるうえに、燧ヶ岳山頂から見下ろす草紅葉も美しい。

尾瀬の草紅葉が始まるのは9月の中旬からで、キンコウカの葉がオレンジ色に染まる様子が特に美しい。樹木の紅葉は10月いっぱい楽しめる。

行程・コース

【1日目】御池から燧ヶ岳へ
■総コースタイム 6時間、標高差 +914m、-1002m
御池(08:00)・・・広沢田代(08:55)・・・熊沢田代(09:40)・・・俎嵓(11:10)・・・柴安嵓(11:30)・・・燧ヶ岳分岐(13:50)・・・見晴(下田代十字路)(14:00)
【2日目】見晴から山ノ鼻経由、鳩待峠へ
■総コースタイム 3時間、標高差 +212m、-35m
見晴(下田代十字路)(07:00)・・・竜宮十字路(07:30)・・・牛首分岐(尾瀬ヶ原三又)(08:10)・・・牛首(08:20)・・・山ノ鼻(09:00)・・・鳩待峠(10:00)

高低図

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苗場山頂の広大な湿原と大展望は他にはない眺望

山頂に、4km四方に及ぶ高層湿原が広がる苗場山。湿原には多くの池塘が点在し、その水面に周囲の山々が映り込む。

苗場山頂の草紅葉(写真=mka10 さんの登山記録より)

草紅葉の美しさはもちろん、樹木に本格的な紅葉が始まると、さらに美しさに奥行きがでる。展望も素晴らしく、湿原越しに望む谷川連峰や北アルプスは、他の山ではなかなか味わえない景色だ。

草紅葉の時期は9月中旬からで、樹木の紅葉は10月初旬からが見頃だ。

行程・コース

最適日数:  日帰り 7時間5分
総歩行距離:  11,392m  上り標高: 1162m  下り標高: 1162m
行程: 和田小屋(08:00)・・・下ノ芝(09:10)・・・上ノ芝(10:10)・・・小松原分岐点(10:25)・・・神楽ヶ峰(10:45)・・・苗場山(11:55)・・・神楽ヶ峰(13:05)・・・小松原分岐点(13:25)・・・上ノ芝(13:35)・・・下ノ芝(14:15)・・・和田小屋(15:05)

高低図

高谷池、天狗の庭、黒沢池――、妙高周辺の3つの高層湿原を楽しもう

妙高山と火打山の間は多くの湿原が広がり、高谷池周辺、天狗の庭、黒沢池周辺あたりがよく知られる。夏にはハクサンコザクラのピンク、ワタスゲの白、そして緑の草原と、時期によって表情を変える湿原は、秋にはオレンジ色に染まる。

天狗の庭の池塘に映り込む火打山(写真=ふじのたかね さんの登山記録より)

高谷池ヒュッテや黒沢池ヒュッテ(いずれもテント場あり)を利用して、ゆっくり紅葉の山を楽しみたい。

なお、草紅葉が始まるのは9月中旬からで、樹木の紅葉は10月いっぱいは楽しめる。

行程・コース

【1日目】 笹ヶ峰から火打山に登り黒沢池ヒュッテへ
■総コースタイム 7時間、累積標高差 +1320m、-620m
笹ヶ峰(08:00)・・・黒沢橋(09:00)・・・富士見平(10:30)・・・高谷池ヒュッテ(11:15)・・・天狗の庭(11:45)・・・火打山(12:45)・・・天狗の庭(13:30)・・・高谷池ヒュッテ(14:00)・・・黒沢池ヒュッテ(15:00)
【2日目】黒沢池ヒュッテから妙高山に登り、笹ヶ峰に下る
■総コースタイム 7時間20分、累積標高差 +836m、-1536m
黒沢池ヒュッテ(07:00)・・・大倉乗越(07:30)・・・長助池分岐(08:10)・・・妙高山北峰(09:20)・・・妙高山南峰(09:30)・・・妙高山北峰(09:40)・・・長助池分岐(10:30)・・・大倉乗越(11:20)・・・黒沢池ヒュッテ(11:40)・・・富士見平(12:20)・・・黒沢橋(13:30)・・・笹ヶ峰(14:20)

高低図

草紅葉を見下ろす大展望が広がる八甲田山

八甲田山の山腹に広がる湿原、上毛無岱と下毛無岱は、美しい草紅葉が広がる場所として知られる。とくに上・下の毛無岱を結ぶ階段からの景色は、絵葉書のような景色が広がる。

毛無岱の草紅葉は9月中旬~下旬あたりから始まる。樹木の紅葉は10月いっぱいまで楽しめる。

登山口となる酸ヶ湯温泉は、古くからの湯治場として知られる。強酸性の泉質は肌にピリリと来るが、登山の疲れの癒やしに、ぜひ立ち寄っておきたい。

行程・コース

【日帰り】酸ヶ湯を起点に八甲田山を周遊する
■総コースタイム 5時間、標高差+742m、-742m
酸ヶ湯(08:00)・・・仙人岱ヒュッテ(09:35)・・・大岳(10:30)・・・大岳ヒュッテ(10:55)・・・上毛無岱(11:40)・・・下毛無岱(12:10)・・・酸ヶ湯(13:00)

高低図

ひたすら平らな山頂部の湿原を満喫できる! 八幡平の草紅葉

気軽に草紅葉ハイキングを満喫できる場所として挙がるのが八幡平だ。平坦な山頂部に広がる湿原は、マイカーやバスで簡単に登山口にアクセスできる。ここから1時間30分ほどで湿原を一周することが可能なので、ファミリーや初心者でも楽しめる。

八幡平を眼下に見下ろす。(写真=x-trail さんの登山記録より)

紹介しているコースは茶臼口から山頂を歩くコースだが、本コースだと中腹にある黒谷地湿原の草紅葉も楽しめるうえに、登山気分がぐっと高まる。

草紅葉が始まる時期は9月中旬~下旬。樹木の紅葉は10月中旬まで楽しめる。

行程・コース

【日帰り】茶臼岳から八幡平山頂への縦走路を行く
■総コースタイム 2時間50分、標高差+430m、-252m
茶臼口(08:00)・・・茶臼山荘(08:40)・・・茶臼岳(08:45)・・・茶臼山荘(08:50)・・・黒谷地湿原(09:15)・・・源太森(09:55)・・・源太森分岐(10:05)・・・陵雲荘(10:20)・・・八幡平山頂(10:35)・・・八幡平頂上(11:00)

高低図

奥鬼怒・鬼怒沼山で秘湯と日本一高所の高層湿原の秋を満喫する

尾瀬と日光の中間ほど、「奥鬼怒」と呼ばれる場所にある鬼怒沼湿原は、日本で最も高い場所にある高層湿原とされている(どの湿原が日本一の高所かは、さまざまな議論がある)。

鬼怒沼湿原。右に根名草山(写真=あし0316 さんの登山記録より)

登山口は秘湯として知られる奥鬼怒温泉郷。夫婦淵温泉、八丁の湯、加仁湯、日光澤温泉、手白沢温泉などを通るので、温泉+紅葉にピッタリの場所だ。日帰りも可能だが、温泉宿を利用して、ゆっくりするのも良いだろう。

鬼怒沼湿原は9月中旬には草紅葉が始まる。

行程・コース

最適日数:  日帰り 9時間20分
総歩行距離:  20,170m  上り標高: 1376m  下り標高: 1380m
行程: 女夫淵温泉(07:00)・・・八丁の湯(08:30)・・・加仁の湯(08:40)・・・日光澤温泉(08:50)・・・丸沼分岐(09:05)・・・オロオソロシの滝展望台(09:35)・・・鬼怒沼湿原南端(11:05)・・・T字路(11:25)・・・鬼怒沼山(12:15)・・・鬼怒沼湿原南端(13:10)・・・オロオソロシの滝展望台(14:10)・・・丸沼分岐(14:30)・・・日光澤温泉(14:40)・・・加仁の湯(14:50)・・・八丁の湯(15:00)・・・女夫淵温泉(16:20)

高低図