年末年始は山で過ごし、初日の出を拝みたい、という人へ

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年末年始に営業している山小屋に行ってみよう!

アルプスなどの高山の山小屋は、早ければ9月・遅くても11月中には小屋閉めを行い、営業を終了する。しかし、一部の山小屋では、年末年始限定で営業を行ったり、通年で営業していたりするところもある。

北八ヶ岳・中山峠から天狗岳へ(写真:山人 さんの登山記録より)

そこで今回は年末年始に営業している山小屋のある山を紹介する。ただし以下に紹介する場所は、雪に対する装備はもちろん、しっかりとした雪山技術が必要となる場合が多い。事前にしっかりと登山道の状況を確認しておくおことはもちろん、天候や状況によっては計画を中止する決断も必要となる。

またコースタイムは、夏季のものなので当てにならない。一般的には1.5倍から2倍のコースタイムが必要だが、積雪の状況により変わるので、慎重な計画が必要となる。

ただし年末年始は、冬山登山期では最も人が多く往来する時期となる。そのため、ふだんはラッセルが必須な雪山でも、踏み固められて歩きやすいという場合もある。人の往来が多いのは心強いはずだ。

1月の中央アルプス・千畳敷(写真:とモち さんの登山記録より)

なお、山小屋への宿泊をする場合は、必ず予約をしておくこと。通年営業している小屋もあるが、年末年始限定や週末限定で営業している場所もある。予約がなければ営業していない場合もあり、受け入れ体制も限定的になっている。安全対策のうえでも、予約は必須となる。

なお、ここで紹介している他にも、さまざまな山小屋が年末年始営業を行っている。以下の特集も参考にしてみてほしい。

⇒冬季・年末年始の山小屋山営業情報2021-2022年版

 

山麓から山頂まで、3つの小屋が営業する金峰山・瑞牆山

瑞牆山および金峰山では、麓の瑞牆山荘、瑞牆山の中腹にある富士見平小屋、金峰山の山頂付近にある金峰山小屋が、それぞれ年末年始(および予約の入った週末)に営業を行っている。

そのため、瑞牆山・金峰山に入る場合は、瑞牆山荘から入るルートが人の往来が多い可能性が高いので心強い。

周辺は豪雪地帯ではなく、例年では年末年始は1mを越える積雪となることは少ない。ただし登山道は氷状で滑りやすい。天候や時期によって積雪は変わるので、それぞれの山小屋に確認してほしい。

(写真:KENT さんの登山記録より)

行程・コース

【1日目】瑞牆山荘を起点に金峰山を目指す
■総コースタイム 4時間30分、標高差 +1137m、-226m
瑞牆山荘(08:00)・・・富士見平小屋(08:50)・・・大日小屋(09:50)・・・砂払ノ頭(11:20)・・・金峰山(12:20)・・・金峰山小屋(12:30)
【2日目】金峰山山頂から瑞牆山荘へ下山する
■総コースタイム 3時間50分、標高差 +226m、-1137m
金峰山小屋(07:00)・・・金峰山(07:20)・・・砂払ノ頭(08:10)・・・大日小屋(09:20)・・・富士見平小屋(10:10)・・・瑞牆山荘(10:50)

高低図

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| 瑞牆山荘

GW中、瑞牆山チェーンスパイク。金峰山6本爪アイゼンで。マイカーは駐車場混雑します

| 金峰山小屋

雪解けも進み、標高2200m付近から小屋までの樹林帯は積雪20〜40cmです

北アルプス・燕山荘では燕岳登頂ツアーも開催!

年末年始の北アルプス・燕岳は、多くの登山者で賑わうことで知られる。登山基地となる燕山荘は、2021~2022年は12月25日から1月4日まで営業。正月のイベント、雪山初心者向けのガイドツアーなども行われる(要予約)。

 例年、年末年始は多くの登山者が訪れるので、登山道にトレースが残り、しっかりと踏み固められて歩きやすくなっているケースが多い。しかし、標高2500m以上の北アルプスの地、しっかりとした冬山装備が必要なことは変わりない。

 なお夏季は中房温泉まで車やバスで入山できるが、冬季は車両通行止め。宮城ゲートから延々と林道を歩く必要があるので、燕山荘までの道のりは遠い。

行程・コース

最適日数:  2日間 7時間40分
総歩行距離:  9,953m  上り標高: 1513m  下り標高: 1513m
行程: 【1日目】
中房・燕岳登山口(08:00)・・・第2ベンチ(09:10)・・・合戦小屋(11:00)・・・燕山荘(12:05)

【2日目】
燕山荘(07:00)・・・燕岳(07:30)・・・燕山荘(07:55)・・・合戦小屋(08:40)・・・第2ベンチ(09:50)・・・中房・燕岳登山口(10:35)

高低図

ロープウェイ+宝剣山荘をベースに冬の中央アルプスを堪能

中央アルプスでは、宝剣山荘が年末年始営業を行う予定だ。駒ヶ岳ロープウェイを利用すれば、千畳敷から夏季なら1時間程度の距離。冬季でも比較的短時間でアクセスできるので、年末年始の冬山登山に人気の高い場所だ。

ただし、山小屋の建つ稜線は標高3000m弱。稜線に出ると、カール内とは打って変わって厳しい天候となる場合もあるので油断は禁物だ。しっかりとした厳冬期装備で望む必要がある。なお、ロープウェイ山頂駅では、装備チェックが行われていることがあり、十分な装備がない人は入山できなこともある。

行程・コース

最適日数:  日帰り 3時間55分
総歩行距離:  3,947m  上り標高: 492m  下り標高: 492m
行程: 千畳敷(08:00)・・・乗越浄土(08:50)・・・宝剣山荘(08:55)・・・宝剣岳(09:20)・・・宝剣山荘(09:45)・・・木曽駒ヶ岳(10:35)・・・中岳(11:00)・・・宝剣山荘(11:15)・・・乗越浄土(11:20)・・・千畳敷(11:55)

高低図

雪山デビューに人気の八ヶ岳・赤岳

八ヶ岳南部は、中腹にある赤岳鉱泉が通年営業を行っているうえに、稜線にある赤岳天望荘が年末年始は営業する。登山口の八ヶ岳山荘や夏沢鉱泉なども含めると、冬でも営業している山小屋は多い。

赤岳鉱泉は、過去のアンケート調査では「冬山初心者が初めて行った場所」で圧倒的に回答が多かった場所。美濃戸口~赤岳鉱泉までであれば、道もわかりやすく困難な箇所も少ない。赤岳鉱泉をベースに赤岳や阿弥陀岳へ、「アイスキャンディ(人工のアイスクライミング施設)」を楽しんだり、稜線には出ずに周辺を散策するのも良いだろう。

(写真:yasuhiro さんの登山記録より)

行程・コース

【1日目】美濃戸口から北沢コースで赤岳鉱泉へ
美濃戸口(08:00)・・・美濃戸(09:30)・・・堰堤広場(10:45)・・・赤岳鉱泉(12:30)
【2日目】文三郎尾根から赤岳に登り、地蔵尾根を下降
赤岳鉱泉(06:00)・・・行者小屋(06:52)・・・赤岳天望荘(08:52)・・・赤岳(09:52)・・・行者小屋(12:07)・・・美濃戸(14:37)・・・美濃戸口(15:52)

高低図

北八ヶ岳も通年営業の小屋が点在し、スノーハイクにオススメ

赤岳鉱泉と並んで、初めての雪山の地として多くの登山者が選んでいるのが北八ヶ岳。ロープウェイを利用しての北横岳や、高見石、黒百合ヒュッテをベースに天狗岳へ行くなど、多くの冬山愛好者が訪れている。

営業している山小屋も、北横岳ヒュッテ、縞枯山荘、高見石小屋、黒百合ヒュッテ、白駒荘、唐沢鉱泉など数多く、心強い。

スノーシューで散策するのに適した場所も多いので、天候や状況次第で初心者にも十分に楽しめる。

(写真:山人 さんの登山記録より)

行程・コース

【1日目】渋ノ湯から高見石、中山展望台を経て黒百合平へ
■総コースタイム 3時間45分、標高差646m
渋ノ湯(08:00)・・・賽ノ河原地蔵(09:30)・・・高見石(10:10)・・・中山(11:10)・・・にゅう分岐(11:25)・・・中山峠(11:40)・・・黒百合平(11:45)
【2日目】天狗岳に登り黒百合平から渋ノ湯へ下山
■総コースタイム 5時間5分、標高差246m
黒百合平(07:00)・・・中山峠(07:05)・・・東天狗(08:25)・・・西天狗(08:45)・・・東天狗(09:05)・・・中山峠(10:05)・・・黒百合平(10:10)・・・唐沢鉱泉分岐(10:55)・・・八方台分岐(11:20)・・・渋ノ湯(12:00)

高低図

くろがね小屋で温泉に浸かる至高の冬山・安達太良山

寒さに震えながら歩いたあとは、温泉にでも浸かって身体を温めたいもの。福島県・安達太良山の中腹に建つ、くろがね小屋は通年営業を行っている、温泉付きの山小屋だ。

あだたら高原スキー場側から、もしくは塩沢温泉側から、2~3時間のスノーハイクで辿り付き、年末年始は登山者は多い。くろがね小屋までなら日帰りも可能だが、ゆっくりと温泉に浸かって雪山を堪能したい。

(写真:ピトゥ さんの登山記録より)

行程・コース

【日帰り】塩沢温泉から湯川沿いの道をくろがね小屋へ
■総コースタイム 6時間15分、標高差+1152m、-1152m)
塩沢温泉(08:00)・・・八幡滝(09:20)・・・くろがね小屋(10:20)・・・峰ノ辻(11:00)・・・牛ノ背(11:20)・・・安達太良山(11:35)・・・牛ノ背(11:50)・・・峰ノ辻(12:05)・・・くろがね小屋(12:35)・・・八幡滝(13:15)・・・塩沢温泉(14:15)

高低図

初日の出&富士山を見るなら三ツ峠がオススメ

山頂で初日の出を拝むのは、登山者ならずとも最高の贅沢だ。その背景に富士山が含まれると、「一富士二鷹三茄子」(初夢に見ると縁起がいいとされる)ということで、縁起がいい気がする。

そんな登山を、山小屋に泊まりながら行うには、三ツ峠山は最高のロケーションの1つだ。

三ツ峠山山頂付近では、四季楽園や三ツ峠山荘が営業している。ここから山頂まではわずかの距離。積雪も少ない山域なので、登り納め・登り始めにも良いだろう。

行程・コース

最適日数:  日帰り 7時間20分
総歩行距離:  13,718m  上り標高: 1252m  下り標高: 1258m
行程: 富士健康センター前(08:00)・・・母ノ白滝(08:40)・・・送電鉄塔(09:20)・・・尾根取付(09:40)・・・木無山(11:10)・・・三ッ峠山(開運山)(11:45)・・・木無山(12:10)・・・送電線鉄塔(13:30)・・・霜山(13:50)・・・西川林道出合(14:20)・・・カチカチ山ロープウェイ富士見台駅(14:50)・・・河口湖畔(15:20)

高低図

北アルプス唯一の通年営業の山小屋、西穂山荘で雪山を体験

北アルプスで唯一、通年営業を行っているのが西穂山荘だ。ロープウェイも利用できるので、冬季でも多くの登山者が訪れる場所だ。

西穂独標までの道は険しいが、ロープウェイ~西穂山荘間なら冬山装備があれば初心者でも十分に歩ける。冬の北アルプスを味わうのに最も手軽な場所だ。
また、天候次第で丸山までなら困難な場所は少ない。

冬季は日の出も日没も山荘のテラスから見えるので、初日の出を拝むにも良いだろう。

行程・コース

【1日目】新穂高温泉から西穂山荘へ
■総コースタイム 1時間30分、標高差+249m、-25m
西穂高口駅(08:00)・・・西穂山荘(09:30)
【2日目】西穂高岳に登頂し新穂高温泉に下山
■総コースタイム 6時間45分、標高差+545m、-768m
西穂山荘(07:00)・・・西穂独標(08:15)・・・西穂高岳(10:15)・・・西穂独標(11:45)・・・西穂山荘(12:30)・・・西穂高口駅(13:45)

高低図