| 瑞牆山荘
2024.04.25
GW中、瑞牆山チェーンスパイク。金峰山6本爪アイゼンで。マイカーは駐車場混雑します
アルプスなどの高山の山小屋は、早ければ9月・遅くても11月中には小屋閉めを行い、営業を終了する。しかし、一部の山小屋では、年末年始限定で営業を行ったり、通年で営業していたりするところもある。
そこで今回は年末年始に営業している山小屋のある山を紹介する。ただし以下に紹介する場所は、雪に対する装備はもちろん、しっかりとした雪山技術が必要となる場合が多い。事前にしっかりと登山道の状況を確認しておくおことはもちろん、天候や状況によっては計画を中止する決断も必要となる。
またコースタイムは、夏季のものなので当てにならない。一般的には1.5倍から2倍のコースタイムが必要だが、積雪の状況により変わるので、慎重な計画が必要となる。
ただし年末年始は、冬山登山期では最も人が多く往来する時期となる。そのため、ふだんはラッセルが必須な雪山でも、踏み固められて歩きやすいという場合もある。人の往来が多いのは心強いはずだ。
なお、山小屋への宿泊をする場合は、必ず予約をしておくこと。通年営業している小屋もあるが、年末年始限定や週末限定で営業している場所もある。予約がなければ営業していない場合もあり、受け入れ体制も限定的になっている。安全対策のうえでも、予約は必須となる。
なお、ここで紹介している他にも、さまざまな山小屋が年末年始営業を行っている。以下の特集も参考にしてみてほしい。
瑞牆山および金峰山では、麓の瑞牆山荘、瑞牆山の中腹にある富士見平小屋、金峰山の山頂付近にある金峰山小屋が、それぞれ年末年始(および予約の入った週末)に営業を行っている。
そのため、瑞牆山・金峰山に入る場合は、瑞牆山荘から入るルートが人の往来が多い可能性が高いので心強い。
周辺は豪雪地帯ではなく、例年では年末年始は1mを越える積雪となることは少ない。ただし登山道は氷状で滑りやすい。天候や時期によって積雪は変わるので、それぞれの山小屋に確認してほしい。
高低図
| 瑞牆山荘
2024.04.25
GW中、瑞牆山チェーンスパイク。金峰山6本爪アイゼンで。マイカーは駐車場混雑します
| 金峰山小屋
2024.04.25
雪解けも進み、標高2200m付近から小屋までの樹林帯は積雪20〜40cmです
年末年始の北アルプス・燕岳は、多くの登山者で賑わうことで知られる。登山基地となる燕山荘は、2021~2022年は12月25日から1月4日まで営業。正月のイベント、雪山初心者向けのガイドツアーなども行われる(要予約)。
例年、年末年始は多くの登山者が訪れるので、登山道にトレースが残り、しっかりと踏み固められて歩きやすくなっているケースが多い。しかし、標高2500m以上の北アルプスの地、しっかりとした冬山装備が必要なことは変わりない。
なお夏季は中房温泉まで車やバスで入山できるが、冬季は車両通行止め。宮城ゲートから延々と林道を歩く必要があるので、燕山荘までの道のりは遠い。
高低図
中央アルプスでは、宝剣山荘が年末年始営業を行う予定だ。駒ヶ岳ロープウェイを利用すれば、千畳敷から夏季なら1時間程度の距離。冬季でも比較的短時間でアクセスできるので、年末年始の冬山登山に人気の高い場所だ。
ただし、山小屋の建つ稜線は標高3000m弱。稜線に出ると、カール内とは打って変わって厳しい天候となる場合もあるので油断は禁物だ。しっかりとした厳冬期装備で望む必要がある。なお、ロープウェイ山頂駅では、装備チェックが行われていることがあり、十分な装備がない人は入山できなこともある。
高低図
八ヶ岳南部は、中腹にある赤岳鉱泉が通年営業を行っているうえに、稜線にある赤岳天望荘が年末年始は営業する。登山口の八ヶ岳山荘や夏沢鉱泉なども含めると、冬でも営業している山小屋は多い。
赤岳鉱泉は、過去のアンケート調査では「冬山初心者が初めて行った場所」で圧倒的に回答が多かった場所。美濃戸口~赤岳鉱泉までであれば、道もわかりやすく困難な箇所も少ない。赤岳鉱泉をベースに赤岳や阿弥陀岳へ、「アイスキャンディ(人工のアイスクライミング施設)」を楽しんだり、稜線には出ずに周辺を散策するのも良いだろう。
高低図
| 赤岳鉱泉
2024.01.18
赤岳鉱泉付近で積雪25cm程度。防寒対策を入念に、良識のある雪山装備でお越しください
| 硫黄岳山荘
2024.04.26
朝晩に限らず、天候によって冷え込みます。防寒装備をお持ちください。硫黄岳山荘は5月24日まで休業
| 赤岳天望荘
2022.06.23
急な雷雨があるので早めの行動をおすすめします
赤岳鉱泉と並んで、初めての雪山の地として多くの登山者が選んでいるのが北八ヶ岳。ロープウェイを利用しての北横岳や、高見石、黒百合ヒュッテをベースに天狗岳へ行くなど、多くの冬山愛好者が訪れている。
営業している山小屋も、北横岳ヒュッテ、縞枯山荘、高見石小屋、黒百合ヒュッテ、白駒荘、唐沢鉱泉など数多く、心強い。
スノーシューで散策するのに適した場所も多いので、天候や状況次第で初心者にも十分に楽しめる。
高低図
寒さに震えながら歩いたあとは、温泉にでも浸かって身体を温めたいもの。福島県・安達太良山の中腹に建つ、くろがね小屋は通年営業を行っている、温泉付きの山小屋だ。
あだたら高原スキー場側から、もしくは塩沢温泉側から、2~3時間のスノーハイクで辿り付き、年末年始は登山者は多い。くろがね小屋までなら日帰りも可能だが、ゆっくりと温泉に浸かって雪山を堪能したい。
高低図
山頂で初日の出を拝むのは、登山者ならずとも最高の贅沢だ。その背景に富士山が含まれると、「一富士二鷹三茄子」(初夢に見ると縁起がいいとされる)ということで、縁起がいい気がする。
そんな登山を、山小屋に泊まりながら行うには、三ツ峠山は最高のロケーションの1つだ。
三ツ峠山山頂付近では、四季楽園や三ツ峠山荘が営業している。ここから山頂まではわずかの距離。積雪も少ない山域なので、登り納め・登り始めにも良いだろう。
高低図
北アルプスで唯一、通年営業を行っているのが西穂山荘だ。ロープウェイも利用できるので、冬季でも多くの登山者が訪れる場所だ。
西穂独標までの道は険しいが、ロープウェイ~西穂山荘間なら冬山装備があれば初心者でも十分に歩ける。冬の北アルプスを味わうのに最も手軽な場所だ。
また、天候次第で丸山までなら困難な場所は少ない。
冬季は日の出も日没も山荘のテラスから見えるので、初日の出を拝むにも良いだろう。
高低図