| 秦野ビジターセンター
2024.03.15
日陰には雪が残っています
神奈川県の屋根とも称される丹沢。神奈川県の西北部に位置し、その広さは東西約40km・南北約30kmにも及び、静岡県や山梨県へも裾野を広げている。
首都圏からのアクセスが良いことから、四季を通じて多くのハイカーで賑わっている。最高峰となる蛭ヶ岳でも標高1,678mと、2000mには満たない山塊だが、海からせり上がるように派生する山々は、標高以上に登りごたえがある。実際、登山口から山頂に立つとなると、1000m以上を登ることになる山も多い。
そんな丹沢の魅力の一つが豊かな植生だ。植林されている場所も少なくないが、上部はブナやカエデ類も多く、春の時期には新緑が、秋は紅葉が山肌を染める。
また春から初夏の時期は、丹沢が最も賑やかになる時期だ。木々の緑が徐々に濃くなり、ミツバツツジやシロヤシオが稜線を彩る。程よい暑さと涼しさが同居する、登山の最適時期となる。
登山道途中には休憩できる山小屋・休憩所も数多く、初心者にも安心だ。網の目のように登山道が付けられていて、同じ山を登るにしても、さまざまな表情を見せてくれる。富士山を目の前に拝み、眼下には相模湾を望む景色は、目と心を大いに癒やしてくれる。
今回は日帰り登山にはオススメな丹沢の魅力を満喫できる、7つのコースを紹介する。
通行止め情報は、下記も参考にしてほしい。
「表丹沢」と呼ばれる丹沢南部の山域を代表する山が塔ノ岳だ。塔ノ岳から東に派生する「表尾根」と、北に伸びる「大倉尾根」を使って縦走するこのコースは、表丹沢を楽しむ最もポピュラーなコースの1つとなっている。
登山口・下山口となるヤビツ峠・大倉へは、多くのバス便があり利用しやすい。とくに大倉へは小田急線渋沢駅から頻繁にバスが運行されている。
本登山コースは入門とするには標高差も距離もあるかもしれない。また、表尾根側は途中に鎖場を通過するようなスリリングな場所もあるが、休憩・補給できる売店や山小屋も多く安心だ。途中で下山できるエスケープルートも多く、行き交う登山者も多いので安心感も高い。
塔ノ岳山頂は広く展望も素晴らしい。丹沢の魅力を満喫できる代表的なコースと言える。
高低図
| 秦野ビジターセンター
2024.03.15
日陰には雪が残っています
丹沢は「日本百名山」にも数えられている。百名山を選別した深田久弥は、丹沢の山全体を指して百名山に選んでいるが、主峰となる丹沢山のピークに立ちたいと考えるのは登山者の心理だ。
しかし主峰・丹沢山は、この広い山塊の中心にあるため日帰りで行くには少し遠い。最も一般的なコースである大倉からの往復だと約18km・獲得標高約2,000m、キツイ数字だが軽装の日帰りなら無理ではない。健脚の者であれば、十分に1日で行って帰って来られるだろう。
なお最近は、さらに最高峰・蛭ヶ岳を経て山梨県側へ縦走する「丹沢主脈縦走」を日帰りで行ったり、蛭ヶ岳から西丹沢方面へと下山する登山者(トレイルランナー)も多いが、一般的には厳しい距離なので縦走するなら山中で泊まっていきたい。
なお、南北に縦走した場合は大倉~東野間で、距離は22km(獲得標高約2,400m)となり、標準コースタイムでは約700分となる。ちなみに、その様子はこんな記録となる。
高低図
晴れた日に東京方面から西側を望むと、三角錐の美しい山容の山が見られる。この山こそが大山だ。信仰の山として知られ、中腹までケーブルカーも通っているので、多くのハイカーに親しまれている。
大山の周辺には信仰の山が他にも点在していて、その1つが日向薬師(ひむかいやくし)だ。大山阿夫利神社への参拝とともに、参拝してみてはいかがだろうか。
日向薬師の周辺はハイキング道が整備されていて、季節ごとに様々な表情を見せている。参道から奥の院(日向山)、さらに広沢寺温泉へと足を伸ばすのもオススメだ。
高低図
神奈川県の水源の山として知られる丹沢の山々は、多くの沢が山肌に刻まれ、美しい渓谷や滝を作り出している。それぞれの沢は、沢登り愛好者に親しまれていて「小川谷廊下」「水無川本谷」などは、沢登りの入門コースとして愛好者に知られている。
そんな渓谷美を一般登山道からも楽しめるコースは多いが、西丹沢・畦ヶ丸を登る登山道中には、迫力ある「下棚」「本棚」の滝を見ることができる。
下棚は約40m、本棚は約60mの落差があり、それぞれ登山道から10分ほどで往復できるので、ぜひ訪れたい。なお、いずれも冬季は氷結して氷瀑となることもあるので、寒い日が続いた冬の登山も注目だ。
高低図
山中湖の東側となる丹沢西端は富士山が目の前に聳える山域だ。賑やかな丹沢にあって、静かな登山が楽しめる山域だが、5月の下旬頃は一度は訪れたい。この山域周辺のみに咲く、野生のバラ「サンショウバラ」が咲く時期だからだ。なお、サンショウバラは、不老山山頂付近などで咲いている。
東側(棚沢キャンプ場方面)から山中湖湖畔まで縦走や、駿河小山駅から須走へと進むコース(富士箱根トレイル)を使うと富士山の展望が特に楽しめるが、距離的にはかなり遠い。週末のみの運行となるが、明神峠までのバスを利用するのが便利だ。
高低図
丹沢の山の中で、スリリングな岩場や切り立った岩稜を歩きたい、という場合は丹沢の東端にそびえる三峰山(大山三峰)が手頃だ。
標高は1,000mにも満たないながら、山頂付近はヤセ尾根となっており、登山道は梯子や鎖場が連続する箇所が待っている。
転落事故・道迷いも起きている場所なので、経験者向きの山であることは理解して入山する必要がある。なお、山頂から西側に広がる展望は、丹沢山塊を一望でき、満足感の高い登山となるだろう。
高低図