高橋庄太郎の山mono語り

組み合わせで寝心地も自在。夏の利尻でテントマットシステムをチェック!  2017年8月

今月のピックアップアイテム

モンベル/U.L.コンフォートシステム シリーズ

■U.L.コンフォートシステム エアパッド150
価格:11,000円+税

■ポンプバッグ
価格:3,200円+税

■U.L. コンフォートシステムピロー
価格:3,000円+税

■ピローカバー
価格:2,096円+税

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まずは、システムを構成するそれぞれのアイテムをチェック

テント泊に慣れている人であっても、わりと軽視しがちなのがマット(パッド)である。「掛け布団」である寝袋の温かさや収納性にはこだわりがあっても、「敷き布団」のマットにはそれほどの能力を求めず、その結果、いくら高品質の寝袋を選んでも、心地よく眠れないという状況に陥るのだ。

マットに求められる機能は、何か? 主なものとして、就寝時には弾力性と断熱性、歩行中には収納性と軽量性となるだろう。近年はさらに、そこへ「+α」の機能を追加したものも登場している。

8月のある日、僕は北海道の稚内に飛んだ。そこでフェリーに乗り換えると、海の上に巨大な山が見えてくる。日本百名山の利尻山である。

今回は、来年発売の『ワンダーフォーゲル』の取材だ。僕はこの山行に、モンベルの「U.L.コンフォートシステム」を持ってきた。利尻島から礼文島と続く今回の旅で、快適な睡眠を提供してもらう「寝具類」の道具である。「U.L.コンフォートシステム」は以前から継続して販売されているものだが、今年はリニューアルされ、生地などの改良により、より軽量でコンパクト、寝心地がよいものに進化している。

利尻山の登山口となる北麓キャンプ場に到着した僕は、早速U.L.コンフォートシステムを取り出した。この寝具類は、U.L.コンフォート“システム”という名称だけあって、同一のシリーズでユニークな「システム」を組むことができる。僕が持ってきたのは、以下の3点だ。

左上が「枕」、右上が「枕カバー」、そして下が「マット」である。これらを組み合わせ、快適な夜を過ごそうというのである。では、それぞれを説明していこう。

こちらは「マット」。モデル名としては「U.L.コンフォートシステムエアパッド150」である。このマットのシリーズは、90、120、150、180という4種類の長さを用意しており、このなかで僕は150㎝を選んだというわけである。その理由は、後ほど。

マットには、あらかじめストラップが取り付けられており、収納時に丸めてまとめる場合に重宝する。

重量は431gで、収納時のサイズはΦ10×20㎝。長さ150㎝に対し、幅は50㎝、厚みは7㎝。この幅と厚みに関しては、他の長さのマットも共通である。

足元はわずかにシェイプ。パッドの面積を減少することで、軽量化につなげている。

次に「枕」。モデル名は「U.L.コンフォートシステムピロー」だ。空気を抜くと完全に折りたたむことができ、非常にコンパクトになる。

長さ25㎝で、幅45㎝、厚み12㎝。この数値の中では、厚みが際立っている。市販のアウトドア用枕で、これほどぶ厚いものはなかなか見当たらない。重量は61gだ。

これら「U.L.コンフォートシステムエアパッド」と「U.L.コンフォートシステムエアピロー」には、トグルとそれを通すための小孔が付けられている。この「トグルと小孔」こそ、「U.L.コンフォートシステム」を特徴づける最大のディテールなのである。

パッドとピローを上下に並べると、トグルと小孔が同じ位置にくる。ここで固定すれば、パッドの上部でピローが固定されるわけだ。今回持ってきたパッドは長さ150㎝、ピローは長さ25㎝。連結すれば、長さ175㎝。実際にはパッドとピローの間には少し隙間ができるので、180㎝弱といったところだろう。僕の身長は177㎝ほどなので、これでぴったり全身サイズだ。これが150cmサイズを選んだ理由。2つ合わせた重量は、492gとなる。

就寝時に必要なマットの長さは、人それぞれである。軽量化のために肩から腰までの長さがあればいいと考える人も多く、その場合、僕の身長であれば、長さ90㎝のパッドに長さ25㎝のピローを組み合わせ、頭から腰までで120㎝ほどの長さで済ませられる。長さ90㎝のパッドの重さは286gなので、総重量は347gにしかならない。

しかし、U.L.コンフォートシステムの組み合わせは、パッドとピローに限らない。他にフォーム入りのパッドが厚み違いで3種あり、それぞれが数種の長さを持っている。さらに座布団としても使用できる、シートのようなエクステンションパッドなども展開され、それらの組み合わせは数え切れないほどだ。今回の150㎝パッド&ピローは、あくまでも「全身サイズで過不足なく寝たい」という僕と好みと身長に合わせた組み合わせなのである。

僕の好みでチョイスしたものといえば、「ピローカバー」もある。ハッキリいえば、「なくてもよい」ものだ。だが、夏場は肌が汗ばんでいることもあり、化学繊維でできたピローそのままではべたついて気持ち悪い。だから、今回はよい機会だからと、ピローカバーも組み合わせてみたのだ。

U.L.コンフォートシステムピローにはゴムのストラップで装着するようになっている。素材には速乾性に優れるエクセロフト中綿が使われていて、表面はパイル地のため、肌触りのよさは申し分ない。重量64gをわざわざ持っていくかどうかは、どこまで「寝る」ことにこだわるかどうかだろう。今後、僕は荷物を運ぶ距離が短いときはこのピローカバーを持っていき、長時間歩くときは省くと思う。だが今回のような旅の場合は、やはり「あると便利」なのであった。

もうひとつ、「あると便利」なのが、「ポンプバッグ」だ。通常はスタッフバックとして使用でき、底部にはバルブがついている。

これをパッドのバルブと連結させて使う。

使い方は簡単。袋の中に空気を入れて開口部を閉じたら、あとは袋をポンプ代わりにし、空気をパッドに押し込んでやるだけ。袋の中へすみやかに空気を入れるのには少しコツがいるが、すぐに慣れる。また、パッドのバルブには逆止弁がついているため、一度入った空気は抜けない。だからじつにスムーズに膨らんでいく。

僕は最終的に150㎝のパッドを4~5回でパンパンに膨らませられるようになった。バルブに直接口をつけ、息を吹き込んでいくときの体力の消耗を考えれば、なんとも簡単でラクだ。あくまでも「あると便利」なものではあるが、 防水性が高いスタッフバッグとしても使えるものなので、いっしょに買っておくことをお勧めしたい。

パッドに関して、重要なことを忘れていた。リペアキットのことである。

U.L.コンフォートシステムエアパッドのスタッフバッグには小さなポケットがあり、そこにはリペアキットが収められている。大きいパッチが2枚、小さいパッチが4枚、接着剤、そして予備のバルブの弁である。パッチは表地と裏地に合わせて、わざわざ2色入れているとは気が利いている。この手のエア注入式パッドは、小孔が開いて空気が抜ければ、ただの布地だ。補修方法もしっかりと頭に入れ、パッドとともに山中へ持っていこう。

「システム」だからこそ、あらゆる組み合わせを考えてみる

組み合わせたパッドとピローをテント内でさらにチェックしていく。左の写真は通常の組み合わせ方で、右は枕の上下をひっくり返してある。

じつはU.L.コンフォートピローは、肩近くのほうが少し盛り上がっており、頭頂部のほうが少し低い。一般的には、首に当たる部分が盛り上がっているほうが寝やすいからだろう。しかし人によっては反対のほうが寝心地良いと思うかもしれない。その場合は、トグルの位置を変え、こんな組み合わせ方も可能だ。

このピローの厚みは12㎝。それに対し、パッドの厚みは7㎝。これを上下に連結すると、計算上では、ピロー部分はパッドよりも5㎝高いことになる。

この5㎝という厚み、枕としてはかなり低い。僕はとくに高い枕を必要とはしていないが、このままでは寝心地が悪いのも事実だ。おそらく多くの人が同じ感想を持つはずで、あと3~4㎝ほど高くしたい。

そこでピローの下に畳んだウェアをプラス。これでパッドとの高さの問題が解決し、だいぶ快適になった。ただし、若干ピローがずれやすくもなっている。

ピローの高さがはじめから15~16㎝ならば、こういう問題は出ないのだが、パッドと組み合わせるという前提ではなく、ピロー単体で使うことも想定すると15~16㎝では厚すぎるのだろう。

下の写真は、ピローをパッドから外し、パッドの上に直接置いた状態だ。

こうすると、じつは厚み12㎝でも高すぎ、少し空気を抜いて低くする必要がある。だが空気を抜くと頭が安定せず、パンパンに空気を入れたときほどの寝心地は得られない。難しいところだ。

個人的な希望をいえば、ピローには2種類の高さを用意してほしい。パッドと前後に連結したときのための厚み15~16㎝ほどのものと、パッドの上で使うときのための厚み8~9㎝ほどのものだ。せっかくの「システム」なのだから、ピローにもいくつかの選択肢があるとうれしい。

枕として使う部分に関していえば、このパッドに取り付けられているストラップが便利に使える。ウェアなどをまとめてパッドの上部に固定すれば、ずれない枕となるのだ。ウェア類は余ったスタッフバッグなどに入れてから固定すれば、ますます寝心地はよくなるであろう。

U.L.システムピローを使ったほうが寝心地がよいのは否めないが、荷物の軽量化を考えれば、これで充分ともいえる。

暗くなってきたキャンプ場で向かえる利尻島の初日。夜には星空が楽しめた。

U.L.コンフォートシステムの寝心地は上々だった。このパッドは軽量性を重視しているので、内部に断熱シートなどをはさみこんでいるわけではない。そのために断熱性はそれほど高くはなく、雪がある冬には適していないタイプだ。だが、今回のような夏や、春や初秋にはちょうどよい。柔らかな風合いのピローカバーも心地よく、やはり組み合わせてよかったと思わされた。

登山後に再びチェック! 自分にとってベストな組み合わせを探ろう!

翌日は期待通りの好天。

標高が上がると海原が目に飛び込み、さわやかな北国の夏を感じさせてくれる。

僕が以前登ったときは曇り空で小雨も混じり、一切の展望は得られなかったが、今回はいうことがない。

山頂でも青空は続き、のんびりと休憩することができた。詳しくは、来年発売の『ワンダーフォーゲル』をご覧いただきたい。

テント場に戻り、休憩を兼ねて、再びU.L.コンフォートシステムに寝転ぶ。

このキャンプ場は虫も少なく、テントを開けっぱなしにして昼寝をするにも好都合だった。気持ちのよい時間が流れていく。

気に入ったのは、こんな使い方。ピローとパッドを組み合わせたまま、ピローをパッドの上へ。すると、ピローが固定されたままで脇の下で使え、体を横向きにして寝転ぶときにラクなのだ。

これなら枕をクッションとして寛ぎやすい。ウェア類を枕代わりにしていると、これほどのラクさは感じられないはずだ。

一方で気になったのは、表面生地。どうも汚れが付きやすいようである。僕はこれまでに何種類ものマット、パッドを使ってきたが、それらと比較してU.L.コンフォートシステムの使用生地はかなり汚れが目立つのは間違いない。機能を損なうわけではなく、使用する分には問題はないのだが、これは今後の改善点だろう。表地に対して、裏地はあまり汚れが目立たないので、色の問題もあるかもしれない。

しかしこの生地は滑りにくく、テント内でむやみに移動したり、寝袋がずれ落ちたりしにくいのがいい。そのような長所も持っているのである。

さて、撤収時。バルブから空気を抜いていく。左の写真がキャップを閉じた状態で、右がキャップを外した状態だ。

だがこのバルブには逆止弁がついているので、このままで空気が抜けるわけではない。

そこで、バルブのつまみを弁の中に挟み込む。こうすると、空気が抜けやすく、ストレスなく丸めていけるのだ。

シンプルだが、よく考えられた工夫である。

先に述べたように、U.L.コンフォートシステムは、さまざまなパッドから自分好みのものを選び、自分で作り上げる寝具である。僕は今回、150㎝のパッドとピローを組み合わせて見たが、このままでは僕にはピローの高さが足りないと感じた。そこでウェアを下に敷いたわけだが、正直なところモノぐさな僕には面倒くさく、ピローがずれやすくなったのも困った。僕は150㎝のパッドではなく、180㎝のパッドを使い、少しだけ空気を抜いたピローをその上に置いたほうがよさそうだ。そう考えると、これも先に述べたようにもう少し厚みが少ないピローがあると、より快適度は上がるだろう。

とはいえ、あくまでもこれは僕の場合。今回の150㎝パッド&ピローの組み合わせで文句なく使える人も多いはずだ。このU.L.コンフォートシステムを使ってみようという人は、自分なりのベストを目指し、さまざまな組み合わせを考えてみるといいだろう。

今月の山利尻山りしりざん

利尻山
別名
利尻山(りしりやま)、利尻富士(りしりふじ)
山域
利尻島
都道府県
北海道
標高
1,721m
2万5千図
鴛泊・雄忠志内・仙法志・鬼脇
利尻山の詳しい情報はこちら >>
山行記録
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高橋庄太郎

(写真:小山幸彦)

山岳 / アウトドアライター 高橋庄太郎 です。

宮城県仙台市出身。ひたすらに山、海、川に行き、山岳/アウトドア専門誌などで原稿を書いています。 特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。自然とは「旅をする場所」だと思っている僕のこだわりは、できるだけ日帰りではなく、1泊だけでもテントで眠る、ということです。

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