冬こそ低山がお勧め! 冬の低山を楽しく安全に登るための、事前に知っておきたい注意点・準備
雪の心配の少ない低山であれば、この冬の時期は登山には良いシーズンだ。しかし、夏の時期と同様の準備で入山することは避けたい。どんなことに注意して入山すればよいか、3つのポイントから解説する。
この冬の時期にも、登山を楽しみたいという方は多いと思います。山には登りたいけれど、冬の高い山はちょっと心配という方には・・・低山がお勧めです。冬の低山は積雪も少なく、登山初心者でも比較的手軽に楽しむことができます。
また、葉が落ちていることで、他の季節に比べて、木々の隙間や頂上から眺めを楽しめる山が多いです。特に信州では、頂上から眺める3000メートル級の高山は最高です。虫が苦手な人にとっては、この時期は虫が少ないことも魅力のひとつかもしれません。
楽しさや魅力の多い低山ですが、ここで忘れてはいけないことがあります。それは、低山に登るのも登山であって、決して散歩ではないということです。
そこで冬に低山を楽しむための3つのポイントをまとめました。
1.情報収集をしっかりと!
アプローチや登山道の状況はもちろん、積雪状況についても事前に確認しましょう。ルートの情報がわかっていれば、道迷いも防げます。確認の方法としては、インターネットで情報収集する方が多いと思いますが、最新かどうか、また信頼できるものかどうかの確認が必要です。市町村の観光協会に問い合わせてみるのも一つの方法です。
情報収集をして登る山が決まったら、家族や身近な人に行き先を伝えておくようにしましょう。何かあった時、行き先がわかるのとわからないのでは大きな違いがあります。
2.時間と装備に余裕をもって登る!
時間の余裕は、心の余裕です。「早出、早着」に心がけましょう。安全登山の基本です。
また、余分に装備をもっていくことで、いざという時に余裕が生まれます。携帯電話やスマートフォンはもちろん、防寒着や手袋、帽子といった防寒グッズ、食べ物や温かい飲み物は忘れずに持っていきましょう。ヘッドランプや地図、救急セットもザックの中に入れてほしい装備です。
日頃のトレーニングで、体力保持を心がけることも大事です。転倒や滑落を防ぐためには、体力の余裕が必要です。
3.冬ならではの危険に注意!
準備をしっかりして当日を迎え、駐車場に到着。周りには雪が・・・。このようなときは、「登るにつれて雪が増える」ということを忘れないようにしましょう。
また、登山口に雪が無くても、日陰などは部分的に凍結しているという場合もあります。アイゼン等をもっていない場合や下りに不安を感じるルートだったら、引き返す勇気も大事です。登りに比べて下りの方がトラブルの発生確率が高くなるのは、山の高さに関係なく言えることです。
レベルにあった山を選び、事前に下調べと準備をして、冬の低山を楽しく安全に登りましょう。
プロフィール
長野県山岳総合センター
長野県大町市にある長野県立の施設。「安全で楽しい登山」の普及啓発を主目的に、「安全登山講座」と動植物・地形地質をはじめ山の自然を総合的に学べる「野外活動講座」を、年間約60講習開催。講習参加者のうち、長野県外の方が約6割を占める。
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