雪山では雪面状況が変わりやすい時期。特に急斜面の下りやトラバースの際は滑落に注意 島崎三歩の「山岳通信」 第333号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2024年3月14日に配信された第333号では、期間中に発生した2件の遭難事故はいずれも雪山から下山中にスリップして起きた事故であったことから、雪の状況の変化をしっかりと確認する大切さを説明している。


3月14日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第333号では、期間中に起きた2件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 3月10日、中央アルプスの中岳で、単独で入山した34歳の男性が木曽駒ヶ岳から千畳敷に向けて下山中にバランスを崩して滑落、負傷する山岳遭難が発生した。
中央アルプス中岳での遭難状況/長野県警察本部ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)3月12日付
  • 3月10日、北アルプスの霞沢岳で、単独で入山した50歳の男性が、霞沢岳から上高地に向けて下山中にバランスを崩して滑落、負傷する山岳遭難が発生した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

3月2週は、2件の山岳遭難が発生しました。2件とも単独登山者による遭難で、下山中に発生しています。
この時期は、寒暖差が大きいため、気温の上昇によって融けた雪が、気温の低下とともに一気に凍ってアイスバーンになっている箇所が複数あります。
歩行中は雪の状況をしっかりと確認するとともに、急斜面の下りやトラバースの際は、特に慎重な行動に努めてください。登山時と下山時では、雪の状態が変わることも忘れないでください。
また、アクシデントにより救助要請をしても、時間帯や天候状況によってすぐに救助ができない場合があります。非常時に備え、寒さに耐えられる防寒着やツエルトなどの装備品、予備の食料・飲料水を必ず携行しましょう。

これからの時期は、周期的に天候が変わり、午前と午後では、天候が大きく変化する場合があり、標高の高い山域では日中の寒暖差が大きくなり、それに伴い積雪が不安定になる傾向にあります。
ビーコン、ショベル、プローブの雪崩対策装備の携行はもちろんのこと、入山前の天候状況や当日の積雪状態の確認は、誰もが心がけていなければならないことです。入念な計画を立てた上で入山をお願いします。

帰りを待つご家族から、「登山に出かけると言ったまま連絡が取れない」といった問い合わせもありましたが、結果的には、ご本人は登山中で無事が確認されました。
登山へ行く前に、家族などに登山計画を共有する場合は、「○○山へ行ってくる」だけではなく、詳細な行き先と登山日程を確実に共有しましょう。あなたの帰りを待つ家族等は、連絡が取れなかったり、下山予定日なのに帰宅してこないといったことがあると、なにかアクシデントがあったのではないか心配になります。お互いに登山計画の内容を共有しておくことも大切なことです。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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