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星空と雲海、自然あふれるオーレン小屋でテント泊

硫黄岳、箕冠岳(みかぶりだけ)、根石岳( 八ヶ岳)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

1日目:曇り、2日目:霧と強風、3日目:快晴

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 諏訪ICから桜平登山口の無料駐車場を目指す。近くには目印になるようなものはないので、カーナビにはマップコード「218 625 763*77」が便利。唐沢鉱泉と桜平の分岐から林道を延々と進む。ほぼ未舗装。危険な個所はないが、あまりにも長い道なので、タイヤがパンクしないかと恐る恐る進む。駐車場は手前から下(約70台)、中(約60台)、上(約20台)と3か所ある。今回、平日で空いていたため上に止めたが、上から登山口はいったん戻る必要もあり、休日は直ぐに一杯になるためトイレ(5月下旬以降)もある中がお勧めかもしれ

この登山記録の行程

1日目:桜平駐車場(上)(12:10)・・・夏沢鉱泉(12:46)・・・オーレン小屋(14:03)
2日目:オーレン小屋(07:34)・・・夏沢峠(08:16)・・・硫黄岳(10:10)・・・夏沢峠(11:05)(昼食~11:54)・・・オーレン小屋(12:48)
3日目:オーレン小屋(03:07)・・・箕冠岳(みかぶりだけ)(04:20)・・・根石岳(05:00)(朝食~05:41)・・・箕冠岳(05:47)・・・夏沢峠(06:18)(休憩~06:47)・・・オーレン小屋(07:11)・・・テント撤収(~09:07)・・・桜平駐車場(上)(10:30)

コース

総距離
約14.5km
累積標高差
上り約1,497m
下り約1,497m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

週間天気予報を見ても、どうにも回復するとは思えない(少なくとも1週間前の予報では)気圧配置で、ずいぶん悩んだが、「今回は、テント泊がメイン!。飲みあかそう!語らいあかそう!」との友人の一言で決行することにした。雨のキャンプも大好きなので、天候はもともとあまり気にならない。テント撤収時に晴れてくれれば御の字だ。
1日目(5/18)。明け方前に高速で茅野市を目指す。あんなに悩んだ天候も、今日は無駄に快晴ときたものだ。電車でやってきた友人を茅野駅でピックアップし、開店したてのスーパーで買い出しをする。数日前に積雪があったと聞いていたので、アイゼンやらなにやらといっぱい持ってきたので、正直ザックにはスペースがないが、現地で買い出しをするとつい余計に買いすぎてしまう。
車に乗り込み桜平駐車場を目指す。前線が近づいている影響か、市内は蒸し暑いくらい。唐沢鉱泉と桜平の分岐。左に進めば、天狗岳の登山口として以前も訪れた唐沢鉱泉。今日は右の桜平へと向かう。砂利道の林道が延々と続く。尖がった砂利を見ていると、昔、下山時にパンクしていた悪夢を思い出す。どうかパンクだけはしないでくれ!と祈りつつ慎重に車を走らせる。平日に加えて土曜日が悪天候との予報からか上の駐車場もがら空きだった。
テント装備の重いザックを背負うので、ストックを使いたかったが、買いすぎた食料を両手に持たなければならず、結局そのまま歩くことにした。シンドいというより両手に買い物袋をぶら下げた自分の姿が恥ずかしい。途中、訓練中の長野県山岳警察の方々とすれ違った。特に隊長さんと思しき人の目が厳しく、つま先から頭の先までじろっと。さもあらん。警察の方々は常に緊張感をもって安全に気を張り巡らせているのに対し、こちらはあまりにもぬるい姿。穴があったら入りたい気分だった。「すみません。でも、決して山をなめている訳ではありません」と心の中で頭を下げる。
オーレン小屋に到着。沢には豊富な水が流れていた。ここでお世話になる間の貴重な生活水にもなる。さっそく手ですくってみると、手がしびれる程の冷たさ。でもとてもまろやかで美味しい水だった。オーレン小屋ではこの水を使い、お風呂にも入れる。しかもヒノキ風呂。実に楽しみだ。また、水の流れを使った発電で2,000mを超える高地ながら、電気も安定して使えるとのこと。
「受付前にテントを設営してもらっていいですよ」と小屋の方に声を掛けられたので、まずは陣取りをする。込み合う時には100張以上と大人気のテント場だが、今日は誰もいないので、先着順のスノコも選び放題。一番良い場所にテントを張る。料金は、一人1泊1,000円。受付に支払いに行ったついでに、小腹が空いたのでおでんとワインを頼む。下界ではあんなに蒸し暑かったのに、標高2,330mにあるオーレン小屋では、肌寒くすら感じるので、コタツに入りながらおでんを楽しむ。名物の薪ストーブがある部屋でとても落ち着く。
夕方から天気が崩れるので、早めに夕食とする。持ってきたワインで焼き肉パーティー。
食べ終わると少し風が出てきた。たいぶ寒さも増してきたので、お風呂が待ち遠しい。入浴時間5時30分丁度に、500円を持って受付へ駆け込む。お風呂場はこじんまりとしているが、湯舟は立派なヒノキ風呂。薪で炊いたお湯にヒノキの香りがどことなく懐かしい。湯が冷めないようヒノキの板で蓋がされていた。一枚持ち上げると、ぶっわっと湯気が立ち上がった。湯かげん最高!。山の中でお風呂なんて、幸せこの上ない。肩までゆっくり。身体の芯までポッカポカになる。
温まった勢いでテントに戻る。曇天の空。早めに眠ることにした。夜の12時頃、ついに雨がテントの幕に当たるようになってきた。時折、空が唸るような強風も吹き荒れている。明日は予定を遅らせて、朝までゆっくり寝ていることにしよう。
2日目(5/19)。一旦、5時に目を覚ます。雨は相変わらず強く降り続いている。本当に止むのだろうかと思いつつ、もう少し眠る。
7時にテントから這い出る。視界ゼロの一面濃霧の世界。風は強いが、有難いことに雨は止んでいる。となれば、昼から回復すると信じ、歩き出すことにした。今日の目的地は、硫黄岳。まずは夏沢峠へと向かう。森の中を抜けるように緩やかな道を登っていく。苔むした森に立ち込める霧が神秘的だった。
夏沢峠。本来であれば、本沢温泉方面が見渡せるが、今日は何も見えない。ももんがで有名な山びこ荘もまだ閉まっていた。さて、ここから先はようやく登山らしい道となる。暫くは森の中を抜けて歩くが、直ぐに森林限界となりゴツゴツした岩の登山道となる。森林限界を超えると遮るものがないので、直接、容赦ない風が吹きつけてくる。指先が冷たく痺れてくる。寒い。時に身体がふらつく程の強風で、中止すべきかと悩むが、ギリギリ危険レベルではないため、いつでも中止する覚悟で歩を進める。
霧の中にケルンが現れた。一定間隔で設置されていて、心強い道しるだ。また、ケルンの後ろに隠れると丁度よい風よけにもなるので、休憩しながら登ることが出来た。
一瞬、さーっと霧が晴れる。真横に硫黄岳の特徴的な岩肌が見える。荒々しく力強い。写真を急いで撮るが、数枚のところで再び白い霧に包まれていった。例え一瞬でも見れてよかった。:)
程なくして山頂へ。念のためアイゼンとピッケルを持ってきたが、結局、山頂にも全く積雪はなかった。ただ、赤岩の頭や峰の松目方面には雪も残っているらしく、かなり歩きづらいとのこと。出来れば周遊するようにオーレン小屋に戻りたかったが、今日の悪天候ではやめた方が良いと判断し素直に引き返すことにした。
テント場に戻ると、いつの間にか天候が回復していた。少し早く晴れてくれれば、山頂からの絶景が見れたのに、と思うが、これも登山。
天気の回復に合わせてか、テント場もいつしか賑やかになっていた。
嘘のように雲一つ無くなった空を見上げ、明日は日の出が期待できると嬉しくなった。
3日目(5/20)。1時30分に起床。期待を膨らませて、テントのジッパーを開けると、やはり!!いや、期待していた以上の星空が満天に広がっていた。月もなく絶好の観測日和。天の川もはっきりと見えていた。うん。来てよかった。
できればじっくり星空に浸っていたかったが、この季節、日の出の時刻もどんどん早まっているので急ぎ支度をする。
出発前に、ヘッドライトを消してもう一度、星空を見上げる。すると、力強く太い筆で夜空に線を描いたように、明るくはっきりとした光が一条走っていった。こんなに大きな流れ星はなかなか見ることはできない。神様のご褒美か?!
今日は夏沢峠ではなく、オーレン小屋から直接、箕冠岳(みかぶりだけ)へと向かう。ヘッドライトの明かりを頼りに登っていくと、直ぐに積雪が見られた。10m程の雪の塊。なくなってまた雪道の繰り返し。アイゼンは必要ないが、早朝なので滑らないよう注意して進む。登っているうちにどんどん周囲が明るくなってきた。あのこぼれるほどあった星も、いつの間にか空から消え去っていた。
間に合わないかと焦りながらも、なんとか日の出前に箕冠岳に到着。ただ、箕冠岳の山頂は眺望がないため、根石岳の方へと向かう。少し降りると直ぐに視界が開ける。目の前には根石岳。足元には根石岳山荘も見える。そしてなにより「うわーーーーっ」と思わず声が出るが、根石岳を囲むように白い雲が一面広がっていた。見事な雲海だ。
その白い海が徐々に赤に染まっていく。真正面から今まさしく太陽が生まれ出んとしている。根石岳から日の出を眺めたかったが、登っている間に出てしまいそうだったので、根石岳山荘があるコルの部分から日の出を待つ。一日の始まり。じわじわと太陽が顔を出してくる。後ろを振り向くと、遠くに見えていた南や中央、そして北アルプスの山々にも朝の陽が射し込み、白い頂にモルゲンロートが映えている。本当はじっとしていられない程寒かったが、それさえ忘れて一刻一刻変化する自然の美しさに見入っていた。
太陽が昇り切ったので、根石岳の山頂へと場所を移す。天狗の東と西の二峰が目前にそびえていた。
岩陰で風を避けながらモーニングコーヒーを淹れる。岩に腰かけ、目の前に広がる雲海を眺めながらの一杯。こんな贅沢はない。ふと、雲海に輝く丸い光を見つけた。虹だ。円に近い。自分の足元からその円に向かって影が延びている。残念ながらはっきりとは写り込んでいなかったが、いわゆるブロッケン現象だ。大きな流れ星といい、今日はなんて
ついている日か。ひょっとしてこれで一年の運を使い切ったか?! :)
天狗に足を延ばそうかとも思ったが、テントの片付けもあるので、戻って下山前のわずかな時間を楽しむことにした。降りは、箕冠岳から夏沢峠に抜ける。昨日と違って夏沢峠から硫黄岳ががぜんカッコ良く見えた。
オーレン小屋に戻り、テントを干しながら乾くのを待つ。その間、コーヒを淹れてこの3日間を振り返る。実に楽しかった。強風の中の硫黄岳も、眠れない程の大雨も。全てひっくりめて、緩やかに流れる時間とともに自然を満喫できた。一段と八ヶ岳が好きになった。また、季節を変え訪れたいものだ。
帰りに道中の夏沢鉱泉により、お土産に小さいタルチョを買った。お経が書かれた五色の旗だ。帰ったら部屋にでも飾ろう。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 絵の具で色を塗ったような、素晴らしい色の景色ですね。

  • 刻一刻と変化する自然に息をするのを忘れるぐらい引き込まれますね。

  • 日の出と雲海の写真が美しすぎます

  • レオさん、お帰りなさい。
    そうなんです。前日はとんでもない天候でしたが、最後に最高のご褒美を貰いました、、(^-^)

  • 昨年5月末に高見石からみた朝焼けを思い出しました。こんな景色を見たら山はやめられませんね。
    今日はゼブラ柄の白山を堪能しましたが、いつになく疲れました。明日は天気が良さそうですね。楽しんでください。

  • こちらは終日海にいました。穏やかな海でゆっくりできました。白山の写真も楽しみにしています、、(^-^)

  • これがあるから山は辞められないですね
    私はまだブロッケン現象見たことないです
    羨ましい

    高校の時綺麗なご来光を見ていたら
    たまたま隣に居た女性が感動で涙していたのを思い出しました
    私もこの年で見たらウルウルかもしれません

    明日から日々の行いに気を付けます
    Yamakaeruさんのようにご褒美貰えるように

  • kuronekoさん、コメント有難うございます。素晴らしい景色は心に刻まれますね。自分も未だに燕岳での日の出が忘れられず、今も一等好きな山になっています。雨の日も晴れの日も、山好きにはきっと山の恵みが必ずありますよね。(^-^)

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