行程・コース
天候
晴れのち曇り
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
国道195号で高知県香美市物部町別府まで行き、別府峡方面へ折れる。途中、短期の通行止め看板はあるが、少なくとも日曜なら何年も前から道路が復旧未定になっている、車止めチェーン箇所(自治体のホームページ参照)まで行ける。その手前の口西橋袂に駐車する。
この登山記録の行程
口西橋7:59・・・廃線跡隧道8:14・・・横道の横断箇所で休止8:59~9:11・・・1165mの尾根の分岐10:24・・・途中13分間休止・・・龍の目の部分のピーク11:04・・・竜頭山で休止11:08~11:27・・・高度計高度1355m地点で休止13:11~13:21・・・高度計高度1575m地点で10分弱休止・・・高度計高度1625m地点で休止14:09~14:21・・・石立西峰周辺で写真撮影14:34~14:38・・・石立山で休止14:52~15:14・・・高度計高度1165m地点で休止16:53~17:05・・・高度計高度980m地点で休止17:2817:38・・・竜頭谷で10分弱休止後出発18:00・・・高度計高度715mで休止18:22~18:32・・・途中数分休止・・・別府峡の吊橋18:50・・・口西橋19:36
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
四国一きつい山としてあまりにも有名な峨々たる岩山、石立山(1707.7m)。険しい登路の一方「天空の花園」と言われるほど、多種の花が咲くことでも知られる。中でも最も貴重な山野草は、世界でここにしか自生していないイシダテクサタチバナ。しかも何万もの大群落。6月中旬から7月上旬が花期の小さく可憐な白い星型の花は「石立山の妖精」と例えてもいい位。
その花は高知県側から石立西峰(1704m)に突き上げるコースの標高1500m台後半から1620mほどの地点に群生しているのだが、そのコース(分県登山ガイドのコース)は岩場を這い上がる箇所が随所にあり、超急登続き。そこで西方の竜頭山(1264.4m)から石立山稜線の縦走路に出て、石立山を往復した後、西峰から下り、回遊するルートを選んだ。
竜頭山は地形図を見ても分かる通り、等高線が龍の頭部の形になっており、三角点のある箇所は鼻の部分にあたる。’00年か’01年頃、管轄の森林管理署は別府峡沿いの複数箇所に建てた案内板に、竜頭山の登山コース(概念図)を記載していたが、’04年夏の台風でその登山口の別府峡に架かっていた吊橋が流失し、以後、登山する者は殆どいなくなった。
たまに登る者もいない訳ではないが、その者らは登山靴を脱いで別府峡を渡渉して対岸の登山口に取付いている。しかし足を濡らして渡渉するのは煩わしいため、今回、渡渉不要のルートを開拓した。そのルートは最初、大栃林用軌道廃線跡を辿る。
森林管理署が公開していたコースも当方が開拓したルートもいずれも急登続きだが、石立山ほどではなく、岩場もない。
竜頭山から石立山までは想像以上に時間を要し、何度も休止したが、これは登山日の直近三日間の睡眠時間の合計が7時間ほどしかなく、且つ、眠剤の影響や急激に肥満体型になったことも影響している。故に一般の登山者であれば今回のコースタイムの6割程度のタイムで回遊できるのではないかと思う。
[コース]
車止めチェーンを跨ぐとすぐ右手に小径が分岐するが、現在、ここには関係者以外通行禁止の看板が建てられている。恐らく、小径の先に架かる吊橋の強度を問題視しているのだろう。しかし関係者が通行できるのなら問題ないだろうと、慎重に吊橋を渡る。かつて管轄の森林管理署を訪問し、前述の案内板の概念図の原稿コピーを貰い、四国森林管理局に申請して周辺の国有林施業図や森林基本図を入手しているから、「広義の関係者」という勝手な解釈である。
この吊橋を渡るのは今回で三回目だが、以前、いの町の中追渓谷の通行禁止だった「夢の吊橋」(川面からの高さは四国一の100m)を渡っていて、橋板を踏み抜いた記憶がよぎる。
対岸の小径は昭和9年から30年代まで走っていた大栃林用軌道(森林鉄道)の廃線跡である。因みに駐車した口西橋北袂から西の沢沿いも廃線跡だが、土砂崩れで完全に路盤は埋まっている。尚、その北袂には竜頭山中腹へ向かう歩道が記載されているが、その図には廃線跡は記載されていない。
廃線跡は南西へ進む。
716mピークとその北東のピークを回り込んだ所に石造りの隧道がある。因みにこの隧道を抜けて何ヶ所もの崩落箇所を突破して行くと二基目の隧道が現れる。竜頭山へは最初の隧道手前から隧道上の尾根へと這い上がる。
尾根上に立つと意外にもヤブは皆無で歩き易い。尾根沿いは植林が多かったように思う。しかし徐々に「急登」が牙をむき始める。
一旦、勾配が緩くなると横道に出る。南に進めば森林管理署が案内板に記載していた竜頭山登山コースに出る。北に進めば、施業図を見ると谷沿い斜面を蛇行しながら上がる作業歩道が現れるようになっている。後者が最も登り易いルートなのだが、尾根上のルートとは違い、斜面を進むコースは廃道化している可能性があるため、北にも南にも進まず、そのまま横道を横断して植林帯の急勾配尾根を登ることにした。
最初は登り易いこの尾根も登るに連れ、急登になって行く。
標高1000mほどで森林管理署のコースに合流するはずだが、そこからは竜頭山が一部見えている。合流してからは明瞭な踏み跡があるものと思っていたが、廃道化している。これも吊橋が流失して登山者が激減したからだろう。
標高1165mで北西から上がってくる尾根に合流すると、比較的歩き易くなったような記憶がある。この尾根は上部では竜頭山の龍の角の部分になるが、所々モミ林もある。角を登り切った所が龍の目の部分で森林管理署の境界目出し標「境第六五四号」が建っている。
龍の目ピークはだだっ広いが、すぐ南西が龍の鼻、竜頭山山頂。三角点は塚のような石積みの上に設置されている。3年ほど前に登頂記念板を設置したのは、ネットで別府峡を渡渉して竜頭山から石立山へと登ったルートを公開している者だろうか。
周囲は樹林に囲まれているとは言え、木漏れ日も差し込んでおり、比較的明るい。
龍の目ピークに戻ると境界目出し標が設置された民有林と国有林との境界尾根を登って行く。尾根幅が狭くなった部分が龍の首で、再び広くなると胴体部になる。
やがて尾根は二重山稜のようになり、境界目出し標も標高1300十数メートルで南東に逸れていく。因みにこの境界は下方では百間滝上流の谷に入って行く。
二重山稜は上部では一つになるため、どちらの尾根を登ってもいいのだが、間の谷部が登り易い。現在はヤブが皆無の二つの尾根だが、’00年代初頭、一斉に剣山系のスズタケ等笹類のヤブが枯れるまではスズタケの密林だったものと思われる。
尾根が一つになってから高度100数十メートル登れば中東山と石立山を結ぶ県境尾根のピークに出る。
ピークからは一旦下るが、前方に切り立った石立西峰の岩峰が見える。「あんな垂直の岩盤のどこに登山ルートがあるのか」と思うほど峻険。
尾根は所々狭い岩尾根になっているため、歩くスピードを上げることができない。このままでは石立山に14時台に到着するのは難しいのではないか、と思い始める。
遂に西峰の切り立った岩盤下に立つ。岩盤だけに尾根の形を成しておらず、赤テープ等もない。一旦東側の岩を登るが、すぐ難しくなってやめる。ふと、西側の岩を見ると、割れ目のような箇所からロープが垂れている。しかしロープ下部は急傾斜のザレ場で滑り易い。そこでロープのやや上部の段々になった岩の割れ目に取付き、這い上がって行った。こんな所にルートをつけたのは、古代若しくは中世の修験者だろう。
岩盤の背後に回り込むと洞門風の岩穴があり、その上からは今来た尾根が見渡せる。更に登ると傾斜が緩い草地となり、道標が建ち並ぶ西峰に到る。北東下にはどの登山ガイドブックにも必ず載っているパノラマ岩場、捨身嶽があるが、膝が笑っており、且つ、時間的余裕がないため、その手前から写真を撮るに留める。
西峰から石立山までは今までの険しい岩場が嘘だったかのように、展望の開けた草原の尾根になっており、一部、白骨樹の大木もあり、牧歌的景観。
石立山山頂も中東山同様、’00年代初頭、スズタケや笹が枯死したことで景観が一辺し、パノラマが広がる大草原になっていた。ここだけを見るととても四国一険しい山とは思えない。
残念ながら雲が広がっていたため、山座同定はできなかったが、剣山系屈指の展望峰になっていたことは喜ばしい。
三角点は鹿除けネット内にあり、石立神社の祠は南東にやや下った所にある。険しい帰路のことを考えると手を合わさざるを得ない。
西峰まで引き返すと、よく利用されているコースを下る。最初、岩場はなく、軽快に下って行ける。
高度計高度1625mになると遂にイシダテクサタチバナの群落が現れる。想像以上の大群落で、高度に於いて何十メートル下っても続いている。こんな険しい山にこんな可憐な花の群落があるとは、まさにアンバランスの権化(?)。
高度が下がってくると急勾配の痩せた岩尾根になる。「登山」ではなく「登攀」ではないかと思うほど険しい。スタンスが片足分よりも狭い箇所もあり、慎重に下る。
竜頭谷まで下ると一安心。谷の水も美味。後は植林帯をくねくねと下って行く。
去年登った百間滝への道の分岐は気づかなかった。
ベンチが設置された三差路まで下ると別府峡まであと僅か。この下方が以前、土砂崩れを起こし、以降、石立山は入山が禁止されているのだが、何故自治体職員は復旧した事実を確認しないのだろうか。登山者は入山しなくても造林関係者は入山していたはず。
口西橋まで戻るともう辺りは暗くなっていた。
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