行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
バス
その他:
新松田駅から富士急バス 西丹沢ビジターセンター行き
この登山記録の行程
西丹沢ビジターセンター(10:20)・・・本棚ノ滝(12:44)・・・西丹沢ビジターセンター(13:59)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
初めて沢登りをしてきました。水が冷たく猛暑も嘘のよう。冷たい沢の流れに、時に腰まで浸かりながら進む沢登りは、実に新鮮で、童心に帰ったような喜びを覚えました。沢靴を履けば、こんな山の楽しみ方もできる、登山が立体的になるように思えました。
<猛暑でごく自然に沢登りに思いいたす>
多事でなかなか集中できない上に長めの日程が取れず、何よりあまりにも暑くて、高い山に出かけることもままなりません。沢沿いの道を行く登山で涼を楽しんだりしていましたが、いっそ沢を歩いたらどうだろうと考えるのは自然な流れ。以前から沢登りも楽しそうだなと思っていたのですが、敷居が高く、普通の登山のようにふらりと一人で出かけるわけにも行きません。そこで、今回はモンベルのMont-bell Outdoor Challengeの初級者向け沢登りプログラムに参加してきました。私が参加したのは、小学校3年生から参加できる、以下のプログラムです。
https://event.montbell.jp/plan/disp_data.php?event_no=Y14T02
<沢登りならではの自由、楽しさ 初心者に理想的なプログラム>
午前10時に西丹沢ビジターセンターに八名の参加者と二名のインストラクターが集合。準備運動と装備のチェックを終えたら、早速畦ヶ丸に向かう西沢へ入渓。水が冷たくて、あっという間に沢履の中も水で満たされる。一度濡れてしまえば、あとはどんなに濡れても平気になってしまうのが不思議。普段の登山では濡れることはタブーだが、ずぶ濡れになることが前提であれば、じゃぶじゃぶ沢を進み、滝壺に近づいたり行動の幅がぐっと広がる。通いなれた畦ヶ丸への登山道を進む登山者が汗みずくになっているのを横目に、暑さを忘れた山歩きを楽しむ。涼しさだけではなく、景色がいつもと違うこと、自分で登り筋を見極めていく適度な緊張感と自由さを満喫する。もっとも、そんなことができるのも、今回が初心者用のツアーで、インストラクターが前後に二名ついてくれ、暗黙のうちにここは歩いても大丈夫な場所ですよと示していてくれているからだ。
<沢登りの歩き方、必須の装備>
歩き方の基本は、フラットフッティングで、荷重をゆっくりかけて滑らないようにと通常の登山と変わらない。ただし、岩だらけの滑りやすいところを進むので、フエルトやラバーを貼った沢靴(今回はあらかじめサイズを伝えて1100円でレンタル)と、頭部を保護するヘルメット、それに着替えなど濡らしてはいけない装備を入れる防水袋は最低限必要。
ずぶ濡れが前提なので、濡れてもすぐ乾く登山用の化繊の下着、ウェア類も必須だ。私は、汗冷えを防ぐために愛用しているミレーの網シャツ+化繊のジップシャツ+登山用パンツなど普段着用しているものを流用したが何ら問題はなかった。沢は真夏でも「寒い」ので、フリースや雨具のジャケットなど防寒着を準備すべきだが、この日は暑く(沢で行動中は暑さを全く忘れていられた)、寒さを感じることはなかった。でも、それだけ揃えれば、あとは普段の登山用具の流用でこんな新しい歩き方を楽しめる。
<あれば便利な装備>
今回は初心者向けコースで、滝登りなど登攀的な要素はなかったが、思った以上に手を使って体を支えたり、大きな段差をよじ登る動作があり、上半身の柔軟性や握力などにも日頃から気を配ると良さそう。岩稜などで使う指先が出ているグローブがあると手を保護できて良い。また、岩角に膝や脛をぶつけるようなことがあっても良いように、沢用のレッグガードがあると具合が良さそうだ。私は気づかぬうちに膝を何度か打っていたようで、軽い打撲ができていた。沢靴に砂が入ると厄介だが、レッグガードはそれも防いでくれるそうだ。
大雨でコケや藻が剥がれ落ちたのか、畦ヶ丸周辺のザラザラした花崗岩のおかげなのか、沢靴はグリップが効き滑らない。水の流れで、川床の様子がよく見えなかったり、流されて狙い通りに足を置けなかったりするが、それもじきになれた。途中休憩を挟みながら、入渓から二時間弱で昼食。さらに本棚ノ滝を目指して西沢を詰める。本棚ノ滝は何度か一般登山道を通ったことがあるが、沢を詰めて進むのは新鮮。滝が落ちているところまで進んで全身にシャワーを浴びる気になるのも、ずぶ濡れが前提の沢歩きならではだと思う。
ちなみに、丹沢辺りでは滝のことを「棚」と呼ぶそうだ。したがって、本来は「本棚ノ滝」ではなく「本棚」と呼ぶべきなのだろう。道標には「本棚」、「下棚」と本来の表記がなされている。
<沢登りならではの留意点>
沢歩き終了点から登山道を下るコースによっては、帰りの登山靴が必要となる。今回は緩やかで簡単な登山道であったので、沢靴でそのまま下山。さらに活動終了後に服が乾いていない場合、乾いた服に着替えなければならない。着替えや帰りの登山靴をに防水袋に入れるなどして濡らさないようするのは当然だが、着替えの場所にも留意が必要になろう。マイカーの場合は、着替えにあまり困らない(衣類を車中に置き着替えもそこですれば良い)かもしれないが、私のような公共交通機関派にとっては、留意すべきことが増える。その点今回のコースは、終了点が西丹沢ビジターセンターなので、公衆トイレを着替えに利用でき、理想的。
通常の登山道を進むのと比べて、沢登りは道が定まっていない分、自分で頭を働かせて進む必要がある。あらかじめ整備された「道を踏み外さない」のが一般登山だとしたら、沢登りは「道を切り拓く」感じだろうか。減点法的登山と加点法的登山とでも言えるかもしれない。自分で切り拓かなければならない要素が大きい分、緊張感があり、自由で、五感が研ぎ澄まされる。涼しいのはもちろん、いつもとは違う角度で山に接することができ発見がある。登山で濡れることはタブーだが、はじめからずぶ濡れになることを前提で歩けると、こんなにも自由度が高まるんだな。童心に帰った思いがする。
山歩きは、特に低山の場合は、物思いにふけりながらのこともある。そもそも出戻り登山者にとって、山登りはかなり内省的な行為だ。これに対して沢登りは、神経が目の前の流れや岩に集中して他のことを一切忘れている。沢登りをしても、下界の悩み事はなくなったりはしないが、沢登りを終えた時に少し違った角度から捉え直すことは出来そうだ。沢登りの効用として指摘しておきたい。
ああ、沢靴買っちゃおうかなあ
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