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春の嵐 雪の舞う伯耆富士・大山

大山(伯耆大山)( 中国・四国)

パーティ: 4人 (Yamakaeru さん 、ほか3名)

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行程・コース

天候

雪・曇り

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 南光河原駐車場。大山寺参道からも夏山登山口にも近い。目の前の大山寺橋の反対側にはモンベル大山店がある。駐車場には綺麗なトイレあり。登山届ポストはトイレの脇。駐車場はそこそこ大きいが、すぐにいっぱいになるため早めの到着がよい。遅くとも6時目安。

この登山記録の行程

南光河原駐車場(07:58)・・・五合目・・・六合目避難小屋(09:29)・・・山頂(10:15)・・・山頂避難小屋(昼食~11:05)・・・六合目避難小屋(11:49)・・・行者別れ(11:57)・・・元谷避難小屋・河原周辺(12:25)・・・大神山神社(12:55)・・・南光河原駐車場(13:18)

コース

総距離
約7.4km
累積標高差
上り約1,066m
下り約1,066m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

少し仮眠をとって午前0時に出発。山メンバー総勢4名での遠征。出発間際まで天気予報をチェックしていたが、午前中は日本海側山間部全域に雪が降る可能性大とのこと。桜の開花ニュースが流れる中、春の嵐的な一日になりそうだ。
中国自動車道を使い岡山県経由で一路、鳥取県へと向かう。目的は大山。中国地方最高峰で標高1,729m。その整った山容から伯耆富士とも呼ばれている。個人的にこの山へは別格の想い
を持っている。自分が「登山」なるものを最初に意識した山で、間違いなく自分の
原点の一つ。その頃は全身バネと有り余る体力で、アクセルを踏まなくてもスイスイとどんなところにも登っていけた。そんな感じ。今は年齢を重ねた分、当時のような体力はもちろんないが、その代わりに経験と技術を得た。30年ぶりの大山。果たして今の自分にはどう映るのか。

作東を越えた付近で電光掲示板に「米子方面チェーン規制」のアナウンス。すでに小雪が舞っていたので覚悟はしていたが、チェーン規制とは。。。蒜山高原から県境にかけては雪深いところ。果たして無事峠越えができるかどうか。学生時代に鳥取の県境でスピンした記憶が蘇る。
湯原のインターでタイヤチェックを受けて、シナリオ通り高速を降ろされる。国道に切り替えて走るが、次第に吹雪が強まる。ほんのりと路面に付いていた雪がはっきりと白くなってきた。
一時、これは無理だと諦めようと思ったが、幸い吹雪が止み轍がハッキリしてきたので、そろりそろりと県境を越えていく。予定よりかなり遅れての鳥取県入り。ここで次のハードルが。。。降りきったところで、ガソリンの給油ランプが点灯。まだまだいけると思うが、登山口までは登りの道が暫く続く。途中でのガス欠は最悪と、まだオープン前のガソリンスタンドで待機することとした。コンビニで、おにぎりを頬張りつつスタンドが開く時間を待つ。
そんなこんなで、すっかり予定よりは遅れてしまったが、7時半過ぎに南光河原駐車場に到着。すでにいっぱいだったが、入口近くが空いていたのでそこに停める。橋の反対側にはモンベルの立派なお店。昔にはなかった風景だ。変わらないのは橋からの風景。大山の山頂はガスっていて見えないが、河原の風景は少しも変わっていない。
大山の夏道道は、南光河原駐車場の直ぐ近くにある道路脇から山に入っていく。駐車場から既に20cmほどの積雪がある。山道に入ると更に雪深い。カチカチに雪が凍ったところに、新雪が積もっている。踏みしめると新雪の部分だけがズルッと滑るので歩きにくいが、久しぶりの雪の感触がたまらなく良い。
階段から次第に登山道に変わっていく。夏道は尾根伝いにまっすぐ登っていくので、九十九折のような道はなく、力勝負の直登となるがこれが結構楽しい。ただ、大山は標高1,729mに対し登山口がすでに700m強 なので、さほど苦労することもなく森林限界を突破することが出来る。
5合目を越えたあたりから見事な樹氷が楽しめるようになってきた。まるで山頂に導くアーチのように、行く手を飾ってくれている。この頃から時折、光が差し込む様になってきた。6合目付近になると、待ちに待った大山ブルーが目を楽しませてくれる。振り返ると、麓の街並みとその向こうには日本海も見える。
大山が誇る景観だ。春一色に染まりつつある下界に対し、今、白銀の世界に立っているという非日常的なギャップがたまらなくいい。大山では、尾根伝いを登ることから、こんな風景がずーっと山頂まで続いている。なんて贅沢なことか。しかし、今日は残念ながら山頂付近は厚いガスに覆われている。山頂に着く頃にはガスが抜けてくれるといいのだが。。。
天国へと続くような雪の回廊を登っていくと、木道が出現した。霧の中に延びていく木道は微かに記憶に残っている。あの時と同じ風景で、ここまで来ると山頂もあと僅かという証拠だ。
木道に沿って進むと大きな屋根が見えた。半分、雪に埋まっている。山頂の小屋だ。山頂の石碑はその裏側にある。
残念ながら石碑は記憶に残っていないが、30年前にも確かにこの場所に立っていた。忘れもしない。皆が寒さで震える中、自分だけが半そでTシャツで寒さも気にならないぐらい登頂に感動していたものだ。
山頂に到着と書いたが、実は最高点である標高1,729mは、ここではなくその先にある剣ヶ峰を指す。ただ、崩壊が酷く通常は侵入禁止となっていて冬のみアクセス可能となっている(冬季でも禁止が解除されているわけではない)。せっかくなので、剣ヶ峰へのルートに踏みいってみる。入ってすぐに痩せ尾根でエッジのようなルート。凍った部分と新雪の柔らかい部分が混在して、バランスを保つのが難しく、かなり危険。途中まで目印であったトレースも、エッジが切れて落ち込んだような場所で突然切れていた。ルートを見誤ったかと思ったが、どうやら先人もそこで引き返してしまったようだ。さもあらん。雪と崖の境界さえ分かりづらい濃霧。方向感覚も危ういので、これ以上、先に進むのは危険とおとなしく引き返すことにした。
山小屋に戻って昼食とする。
山小屋の中では、大勢の登山者が休憩をしていた。開いているスペースに腰を下ろし、持ってきたおいなりさんをぱくつく。先輩が恒例の山ウインナーを取り出し焼いてくれる。外の寒さが嘘のように、中は気温が安定していてとても快適だった。
昼食を終えて外に出る。休んでいる間に、ガスが晴れていないものかと願っていたが、相変わらずの濃霧。そう簡単にはいかないものだ。諦めて下山することにする。来た道を降っていく。登りの時に晴れていた六合目に戻ってきても濃霧のまま。山頂からの眺望は見ることができなかったが、少しでも絶景が楽しめたという点では、自分たちは今日一番のベストなタイミングで登ってきたと言える。
行者谷別れで、右に折れて谷へと降っていく。支尾根伝いになかなかの急登が続く。
降り切るとスキー場が作れそうな広い空間に出る。なだらかな雪原で、元谷小屋が中央にポツンと立っていた。大山の懐に入り込んだような空間で、周囲は大山の尾根で囲まれている。本当であれば鋭くとがった三鈷峰や、北壁が屏風のように広がっているはずだが、上の方はやはりガスの中で全貌は見えない。
沢沿いに降っていく。樹木の間を抜けながら雪に埋もれた森の探索するかのように進んでいく。スノーシューが似合いそうな場所だ。
大神山神社に到着。まだまだ歩き足りないが、登山としてはここがゴールのようなもの。せっかくなのでお参りすることにする。登山目的だったので財布を持ってこなかったが、先輩の放り投げたお賽銭にあやかり、「二礼二拍一礼」。
30年ぶりに訪れた懐かしの地。登ったシーズンは違うが、あの時以上に山の大きく深い魅力に触れた気がした。山は悠久の中でただ悠然と佇んでいるが、人間にとっての30年は大きい。いろんなことがあった。失敗も多かったが、自分としてはそこそこ誇れる生き方をしてきたとも思う。そんなことを考えていると、山に会いに来たつもりが、実は見られていたのは自分の方だったのだと気づく。「まだまだこれからも、もっといろんな経験をしてこい。」と、そしていつでも報告に来いと言われたような気がした。

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みんなのコメント

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  • 変わらない山の中で、成長した自分が見る景色は変わるのですね。

  • 自然がそのまま自分を映す鏡になるんだねー。
    最高の仲間と登る登山は感動も倍増でまた風景も変わって見えますね。

  • 私の山の原点は八ヶ岳です。赤岳山頂から見た絶景は今も残っています。印象が強い山はいつまでも残りますよね。今回はまさに記憶に残る山行でした。色々とありがとうございました。

  • 山は不思議ですよね。ただ、「在る」だけで憧れや親しみ、安心感、畏怖といろんな感情を抱かせる。自分も八ヶ岳の山並みを始めてみたときに一目惚れをしたのを覚えています。憧れの地に立つ。山登りに理由はいらないですね。今年は南アの頂で感動を共有したいですね。よろしくお願いします。^_^

登った山

大山

大山

1,729m

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大山 鳥取県

ブナ林を満喫しながら中国地方の最高峰へ

最適日数
日帰り
コースタイプ
往復
歩行時間
4時間16分
難易度
★★
コース定数
20
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