行程・コース
天候
雨・曇り
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
カーナビには「JR西金駅」をセット。国道118号で向かうと、「JR西金駅」の反対側に「男体山」の看板があり舗装道路が延びている。綺麗に舗装されいるので危険個所はないが、車幅が狭く住民の方も多く利用するので速度には注意が必要。峠を越えて降って直ぐの右に折れたところに大円寺駐車場がある。10台程度。無料。綺麗なトイレあり。座標で検索可能であれば(36.716115,140.420048)をセット。
この登山記録の行程
大円寺駐車場(06:05)・・・男体山・健脚コース入口(06:22)・・・<健脚コース>・・・男体山(07:19)・・・白木山(08:37)・・・恋人峠(08:47)・・・高崎山(09:14)・・・亀ヶ淵(13:14)・・・三葉峠(14:07)・・・明山(14:20)・・・三葉峠・・・篭岩山展望台(15:52)・・・篭岩(15:54)・・・不動の滝(16:35)・・・<奥久慈パノラマライン>・・・大円寺駐車場(17:29)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
今日は山仲間が、福井県三大急登の一つ三ノ峰から別山に向かっているという。この時期の別山は特に素晴らしく、白山の眺めと花の楽園は最高だ。負けじにこちらもどこか山に行こうと準備をする。天気予報では、終日曇り。出発時点では雨マークはなく、むしろ空には太陽があったので、これは期待できるかと車を走らせる。目的地は茨城の中でも三本の指に入る大好きな奥久慈男体山とする。
6時に大円寺駐車場へ到着。遅めの到着だと思っていたが、悪天候のためか先客はいなかった。濡れたアスファルトをテクテクと登山口へと向かう。福井の三大急登に対抗して健脚コースを選ぶ(笑)。トンネル脇の登山口から山へ取り付く。のっけからの急登が嬉しい。男体山は全体的に急な登り場が多く、鎖場が出てくると「らしくなってきた!」とワクワクしてくる。
ふと、雨露に濡れた中に黄色い花が一輪。ニッコウキスゲだ。残念ながら枯れ気味だったが、その後登るにつれ、見事に咲いたニッコウキスゲもあちらこちらで見ることが出来た。
岩場の手前で紫色のドレスを着た花、ホタルブクロを見つける。久しぶりに出会ったと嬉しくなっていろんな角度から写真を撮りまくるが、結果的にあちこちに群生していて、最後には有難みも失せてしまった。なんとホタルブクロが豊富な山なんだろう。
山頂ではヤマボウシがお出迎えをしてくれた。霧の中、純白にぼんやり光る花がとても印象的で幻想的だった。男体山からの眺望は、いつもならそれは素晴らしい山塊と奥久慈の豊富な自然を見渡せるが、今日は真っ白だった。でも、霧の合間から見える緑の山肌がとても瑞々しく美しかった。誰もいない山頂で暫し、流れゆく霧を眺めながらボーっと贅沢な時間を過ごす。
歩いてきた方に少し戻り、そのまま月居山方面へと進む。ただし、今日は周遊が目的なので、袋田の滝への縦走ではなく途中で右へと折れて白木山へ向かう。
一旦、舗装道路を横切り白木山の登山口に入る。なかなかの斜度で真っすぐ登り甲斐のある道が山頂まで続く。山頂には白木山616.3mの看板が設置されていた。時折、日が射しこんでくる。これはひょっとして晴れるのか?!
白木山を降っていくとコルの部分に看板が設置されていた。「恋人峠」とある。なんでも峠を挟んでそれぞれ反対側の村から、恋人が峠までやってきて愛をはぐくんだとか。よくある昔話ではあるが、看板曰く「白木山ハイキングを楽しんでいる恋人の皆さん、ぜひこの峠で愛を語り合ってみてはいかがでしょうか」とのメッセージ。かなり赤面するフレーズだ。でも、正直、見晴らしがよい訳でもなくあまりロマンチックな場所ではなかった。せめてベンチくらい設置してあげればいいのに。
高崎山を抜けて山を降ったところで次の行動に向けて小休止をとっていると、ぽつりぽつり。さっきまで晴れるかと期待していたのに、いつの間にか分厚く黒い雲で空が覆いつくされている。天気予報に雨マークはなかったはずだが、嫌な予感がしたので雨具を取り出すと同時に「ザーッ」と激しい雨が降ってきた。多少の雨なら山歩きも楽しいが、ここまで本降りだとやる気も失せる。しかし、地図を確認しても地形的にショートカットで戻れるルートはないようだ。そのうち雨も上がるだろうと歩き出す。
高崎山までの登山道は比較的よく整備されていたが、上武生から中武生を抜けて亀ヶ淵の手前までは歩く人も少ないのか、極端に道が荒れていて藪に覆われた場所が沢山あり、実際、何度か道を見失ったこともあった。一度、ミスルートをして登らなければいけないところを降ってしまい、無理やり軌道修正しようと目の前の尾根を強引に登ったら、身長と同じ位の笹の壁に行く手を阻まれ、完全にスタックしてしまった。藪漕ぎそのものは馴れていて雨の中でも経験はあるが、さすがに土砂降りの中で足元も滑って登りづらい。濡れた藪や笹をかき分け足がかりを作りながら進むので1mがとても長く感じる。去年、藪漕ぎをしていてマダニの大群に襲われた記憶も蘇ってくる。この雨では大丈夫だと思うが、想像すればする程、身体がむず痒くなる。
ついに登山靴にも雨が進入したようで、歩くたびに「ぐぼっぐぼっ」と妙な音がする。湿っているを通り越して、もう完全に水が溜まっている。気を抜くと濡れ落ち葉に足を取られ、大きく尻もちをつきそうになる。危うく手をついてバランスをとるが、コケても、コケなくても既に全身泥だらけだった。特に注意が必要だったのは岩場。濡れて超滑りやすく、靴のグリップもあったものではなかった。そんな中、ピークの手前で大きな岩に行く手を阻まれた。両脇切り立っていてトラバースすることもできない。登って登れないことはないが、「本当にみんなこんな道を通っているのだろうか?」と疑心暗鬼。道を見落としていないかと、二、三度、周囲を見渡したが、やはり道らしいものはなかった。仕方なく岩に正面から向き合う。岩場のアスレチックは大好きなので悩むルートではないが、なにせ濡れているため、滑り落ちないよう手と足を掛けるポイントを確認してから慎重に登っていく。登り切った所で振り返りかえる。白木山だろうか霧の中に高く聳える山が見えた。
亀ヶ淵へ向けて最後の山を下ったコルの場所で、左右へと登山道が分かれていた。地図には記載がなかったので判断はつかないが、両側には沢があるので地形的に嫌な予感がする。
進行方向に対して遠回りになるが、とりあえず勘を頼りに左へと折れる。降って程なくして沢に合流。倒木があって道が荒れていた。亀ヶ淵まではさほど距離もないため、なんとか沢沿い進めないものかと思ったが、すぐ先が険しい斜面になっていて、明らかに無理そうだった。しかも、先ほどまでの土砂降りで、濁った水がもの凄い勢いで流れ込んでいる。落ちたら間違いなく死ぬパターンだ。
周囲を観察してみると沢の向こう側に登山道らしきものが見えたので、飛び移れそうな岩を探して沢向こうへと移動する。地図から判断しても、地形的にはこちらの山の方が、斜度が緩やかなので、少し登って斜面を周りこめばなんとか下山できるかも知れないと、とりあえず登ってみる。登るにつれて道がはっきりしてきたので、無理やり藪こぎで回り込むよりは、このまま下山ルートを探した方が早いと感じた。おそらく山頂へ行くまでには下山可能な別なルートが走っているに違いない。急がば回れだ。
予想通り、ピークを幾つか過ぎたところで下山できそうな道に合流。歩きやすい道で一気に降っていくと、ドンピシャで亀ヶ淵へとたどり着くことができた。
河原に降りて亀ヶ淵の風景を眺めてから、目の前の林道を歩き出す。しかし、地図を改めて確認すると、林道は別な方向に延びているので、どうも進行方向ではないようだ。地図と地形を比較してチェックをするが、地図が指す方角には川しかない。地図読みを誤っているのか、それとも道を見落としいているのか。地図を見ながらとりあえず河原に降りてみると、対岸の滝横にコンクリートの階段が見えた。まさかと思うが、あれか?!。
冷静に考えれば考えるほど、地図に符合する道らしきものはそこしかない。しかし、どこをどう見てもそこへ行く道がない。目の前には小さいとはいえ雨で増水した川。川幅は5m程度。深いところで膝下か。現時刻と帰りのコースをチェックしてから、意を決して(言うほど大げさではないが)、靴を脱ぎザブザブと川へと入っていく。水が思ったよりも冷たかった。靴のまま入っても良かったが、脱いだのは雨で溜まった水を履き出したかったから。そういう意味では渡り切ってから脱いでも良かったが、気分だけの問題ともいえる。でも、靴下を絞って靴を履きなおしたら思っていた以上に快適になった。
コンクリートの階段は登ってすぐに通行止めになっていたが、代わりにその横から登山道が斜面に沿って延びていた。入り口に注意書きの看板があり「雨天時は水量が増えて通行できない場所があります」とのこと。今渡ったところのことを指すのかと思ったが、それであれば川の手前に看板を設置するはず。きっとこれから先も気を付けて進む必要があるのだろうと思った。
斜面を登り尾根沿いに進んでいくが途中から谷間へと変化していく。ここで看板の意味が理解できたが、登山道がほぼ「登山道=沢」のようになっていて、場所によっては水が溢れていて「どうやって登ろうか?」と悩む場所が幾つかあった。
なんとか登り切って三葉峠に出る。右に篭岩山、左に明山の看板が立っていた。残りの帰路を考えるとあまり余裕はなかったが、せっかくここまで来たので明山に登ってみることにする。明山は標高457m。決して高くはないが、眺望はよくこれまで周遊してきた山々や、観光名所になっている竜神大吊橋がよく見渡せた。
ピストンで三葉峠へ戻る。まだまだ先は長いので、スピードアップ。これまで藪漕ぎもあり思うようにスピードを出せなかったが、三葉峠以降は整備された登山道で歩きやすい。また、亀ヶ淵付近からいつしか雨もあがっている。
スピードをのせて歩いていると、ついミスルートしても気が付かずに結構な距離を歩いてしまう。何度か、間違いを繰り返しながら、篭岩山を目指す。
篭岩山は山頂ではなく降って篭岩山展望台へと進む。目的は篭岩の奇岩。どうやってこんな不思議な風景ができたのか、岩肌の斜面に無数の穴が開いていて、さながら日本のカッパドキアのような光景が広がっている。久しぶりにやってきたが、いつ来ても面白い場所だ。お約束で不安定に横揺れする階段を上り、自然にできたあて穴式住居を内覧する。
不思議な光景を堪能した分、時間を使ってしまったので、急いで降っていく。滑り落ちそうな急斜面を降っているうちに、以前来た記憶が徐々に蘇ってくる。確か、この先の滝付近でもアグレッシブなルートがあったような気がする。。。
現場(沢)に到着して、完全に記憶が現実と一致する。そうだ、この先は、沢に沿って進み滝が落ちるギリギリの脇を抜けて降っていくはず。晴れた日でも危なかったような気がするが、特に今はゴウゴウと音を立てながら多量の水が流れている。ここは気が抜けない。カヌーイーストが川で流されたとあっては大まぬけだ。
ゆっくりと滝のところまで移動する。集まってきた水が勢いよく飛沫をあげて、流れ落ちている。こんなにリアルにすごい風景も稀かと思い、近づいて写真を撮りたかったが、さすがに滑落せずに戻ってくる自信がなかったのでやめておく。
実は、滝の手前から男体山方面へ向かうルートがあって、そこから帰ろうと目論んでいたが、ここまでに時間を使いすぎてしまったので、おそらく明るいうちに下山することは無理と判断。天候が良ければ別に暗くなってもかまわないが、今日のような悪路では、リスクも大きいため、ここは素直に下山を選択する。滝から篭岩山の登山口まではほどなくして到着する。後は舗装された林道(奥久慈パノラマライン)を使って延々と出発地点まで戻るだけ。
駐車場に到着したのは5時半。やはり停まっていたのは自分の車だけだった。
濡れた体をふき、泥だらけの服とズボンをはき替えて車に乗り込む。細い道を走り、国道に出るころにはすっかりスモール点灯が必要なほどに薄暗くなっていた。まったく、朝一番から日が暮れるまで、悪天候で危険極まりない悪路の山歩きをして一体何が面白いのか???と、ふと冷静に考えると可笑しくて笑いがこみあがってきた。大昔、サバイバル訓練で激しい雨の中、歩荷で気が遠くなるような距離を歩かされたことがあったが。そんな辛かった青春?の一ページを思い出した一日だった。
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